ファイナンス 2017年6月号 Vol.53 No.3
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ア 海側海側は、先端アート系。科学やテクノロジーに精通した作家が多いのも今回の特徴の一つ。A 茨城県天心記念五浦美術館時間の関係で回れなかった人気スポット。映像と音楽のデジタルアートを世界で展開する東京大学工学部計数工学科出身の猪子寿之率いるウルトラテクノロジスト集団、チームラボの「小さき無限に咲く花の、かそけき今を思うなりけり」という長いタイトルの作品。抹茶を点てるとそこに花が咲いていき、お茶を手に取ると花びらが器の外に散っていくというインタラクティブな作品。猪子が人気漫画「One Piece」の世界を具現化したというメンバー400人以上のこのチーム、メンバーの誰も全員を把握していないらしいが、4月にオープンした銀座シックスのほか、ミラノ万博2015の日本館、2016年にはシリコンバレーやイスタンブールで展覧会、シンガポールに常設展も展示している超売れっ子。《小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々》2016B 日立駅舎妹島和世デザインの日立駅舎もアートで彩られている。駅舎を、ストライプの魔術師といわれる、世界的な現代美術の巨匠ダニエル・ビュレンが全長300メートルの虹色のカッティングシートで覆いつくした。どこまでがダニエルの作品と言えるのか分からないが、夜は真っ暗な今回の芸術祭、夜でも見られるのはこの作品くらい。C 日立シビックセンター日立製作所のお膝元らしく、日立製らしいタービンなどが外に展示。入口には、「日立電輪塔」というリズムカルに明滅するブラウン管型テレビが埋め込まれたタワー。これが古い家電を電子楽器として再生させる和田永の作品。流れる音楽は当然、「この木、何の木、気になる木♪♪」。センター前には「山行き」の路線バスが停車。よく見ると、バスの中では植物が育ち、ウサギ、モルモットが跳ね回る。人間と環境との関係性を問う創作活動を展開するフィンランドのテア・マキパー「ノアのバス」。海から山へ逃げる方舟のイメージ。カメもいるとのことだが見当たらず。きっと、「ウサギとカメ」みたいに、ウサギが寝ている間にとっくにゴールしているのかも。D うのしまヴィラCTスキャンして3Dプリンターで作った透明なヤドカリの殻の上に世界の各都市を象徴する建物が乗っている。 これが、「やどかりに『やど』をわたしてみる―Border―」という作品。アーティストは生き物や自然との協働作業を行うことで、人間と野生、自然と人工などの境界を問いかけるAKI INOMATA。ひときわ大きい殻には東京タワーなどが載っており、ヤドカリが住んでいるのが透けて見える。素っ裸でガラス張りの家に住んでいる感覚で、落ち着かないことこの上ないが、ここのヤドカリは羞恥心がないのか、悠然としている。《やどかりに「やど」をわたしてみる -Border-》E 御岩神社パワースポットとしても人気の高い御岩神社に目力の強い龍の天井画。日光の「鳴き龍」みたいに馴染んでおり、神社の天井画のため芸術祭後も残る。神秘的な信仰が現代の科学主義的な生活の20ファイナンス 2017.6SPOT

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