ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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感があって、何か被災者のためにやりたいなと、ずっと思っていたのです。でも僕は体操選手なので、体操をやって被災者を元気付けること以外に何もできないなっていうのがありました。それで、今回復興応援大使になって、直接被災地に行ったり被災者の方に会ったりして勇気を与えられるので、体操以外で復興支援ができるってこと自体が僕はすごく嬉しいことだなって思っています。体操にプラスして復興支援ができ、それが自分の本当にやりたいことに直結しているので、大変やりがいを感じています。これからもそういう方達のために、体操も復興支援もやっていって、人として一回り大きくなれればいいなと感じています。▶神田: これも驚いたのですが、『栄光のその先へ』で、「すごい高い所は本当に無理です」と仰っています。しかし、幼少時からトランポリンで空中感覚を鍛えられた方が高所恐怖症とは俄かに信じられません。本当にそうなのですか。体操も我々素人から見ると怖いくらいに高い所で演技をされていますが、一体、どれ位の高さから怖くなるのですか。▷内村: 鉄棒とか吊り輪の高さは大丈夫ですね、基本的には。離れ業をやったときは鉄棒の2メーター上ぐらいまで上がるので、5メーターぐらい上がっているわけじゃないですか。それプラス台があれば7メーター上ぐらいまで行きます。でもそこまでは自分の力で行ってるわけですから、怖くないんですよ。でもジェットコースターとか観覧車とかって、自分で行くというより連れていかれるじゃないですか。連れていかれるくせに、自分で何も操作できないことがすごく嫌なんですよ。普段自分の体を操っているからこそ、何かを操られて高いところに行くっていうのが嫌いというか。高いところは、例えば高層のホテルとかに泊まったときに、ベランダから下見たら吸い込まれそうな気がして。▶神田: 足がすくんでしまうのですか。▷内村: はいそうです。体の動きがないとダメなんだと思います。もし仮に、鉄棒でそれぐらい高いところからバーを持てという練習をするんだったらできるかもしれないですけど。何も動きがない状態でそこに行くっていうのはちょっと怖いです(笑)。▶神田: 国際体操連盟(FIG)会長に渡辺守成日本体操協会元専務理事が就任され、五輪競技国際連盟(IF)での日本人会長の誕生は22年ぶりという快挙です。これまで、新体操教室創設や協賛企業増加にも貢献してこられましたが、今後、我が国が戦略的にルール改定に参画できる機会にもなると期待されます。体操のメジャースポーツ化と、愛好者を含めた競技人口の拡大に全力で取り組むとされる渡辺さんはもう57歳で、内村選手と30歳近く離れていますが志は同じ方向だと思いました。渡辺さんに何を一番、期待しますか。▷内村: 僕もプロになって、体操をメジャーにしたいという渡辺会長と共通の思いがあるので、そこは立場は違うんですけど同じ志なので、渡辺会長がいいふうに体操の価値を上げていければいいなって思います。また、やはり日本の体操人が世界の体操界のトップになり、よりもっと日本の体操の素晴らしさを世界に発信していけると思うので、そこもプラスになりますし。体操で結果を残す上でも、やはり日本に対する採点が有利になる可能性もあると思うので、実際今は日本が一番ファイナンス 2017.545超有識者場外ヒアリング62連 載|超有識者場外ヒアリング

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