ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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ック委員会(JOC)は金メダル獲得ランキング3位(20~33個)、日本パラリンピック委員会(JPC)は金メダル7位(22個)を目標に掲げ、政府としても、最大限、支援しているところです。私も以前、スポーツ予算も担当しておりましたが、今日我々がいるナショナルトレセンの拡充や競技力向上事業なども強化してきました。政府のスポーツ支援について、過去と比べて、現在はどのように評価できますか。▷内村: 北京オリンピックのときに、このナショナルトレーニングセンターで合宿をさせてもらって、そこからすごく日本選手団としては結果も伸びてきていると思うので、すばらしい施設を建ててもらってそれが結果につながっていると思います。悪い点というのはあまりないと思うんですよね、正直なところ。やっぱり僕達は、支援をしてもらっていますけど、結局競技会で成績を残すのって自分の努力次第だと思うので。支援が無いにしてもあったにしても、それをプラスに変えられるかは選手自身だと思うので、支援が足りないと思ったことは全くないですね。▶神田: 先日、鈴木大地スポーツ庁長官のお話しを伺ったところ、アスリート発掘の試みとして、甲子園やインターハイで引退、ベンチ、応援に回った選手は宝の山であり、ここから日本体育協会が、発掘して種目転向を働きかけることを示唆されていましたが、体操について、他種目への転向、他からの転向の可能性はいかがでしょうか。▷内村: 他の競技から体操に転向するというのは難しいと思いますけど、体操から他の競技に転向する場合は、多分どんな競技でもできると思います。体操ってやはり全身を使いますし、色んな競技のもとになっていると僕は思うので。体操の基礎があれば、色々教えてもらわなくても体の動かし方とかはある程度分かるんじゃないでしょうか。▶神田: 体操を本格的にやろうという場合、その入門は大体何歳ぐらいが限界になるのでしょうか。▷内村: 一概にはいえないかもしれませんが、小学校の低学年からはやっておかないと絶対に無理かなというのはあります。体操を高校から始めてオリンピックまでいけることはないかな、ということで、それだけ長くやっていかないと成績が出ない競技だと思います。▶神田: リオはロンドンより金の数(12←7)や順位(6位←11位)、メダルの数(41←38)が向上した一方、メダルが取れる競技数が減少(10←13)し、レスリング、柔道、体操、水泳の4つへの依存の集中が進んでいます。なぜ、日本はこれほど体操に強いのでしょうか。育成方法、体格等々、何が要因だと考えられますか。▷内村: やはりもともとジュニアの育成というのがかなり他の国よりも進んでいるからじゃないかなと思います。大体オリンピック選手になる選手というのはジュニアのときからも強い選手が多いし、僕もやはりジュニアのときに受けた指導っていうのがすごく今も役に立っているので。指導者たちが持っている指導力が日本はかなり高いっていうことに加え、もともと日本人は努力家であることがすごく競技に合っているのじゃないかなと思います。なかなかすぐ簡単に投げ出したりしないですし、本当にこつこつやらないと体操って伸びていかないので、日本人のそこが競技とかなり合ってるというか。あと美しい体操というのをちっちゃいときからすごく教えられるので、そこが一番他の国とは違うところかなとは思いますね。プロへの覚悟▶神田: 5年半在籍したコナミスポーツクラブを退社してプロの道を選ばれました。私はコナミのジムに通っているので、ちょっと寂しいですが、一層、応援します。陸上のケンブリッジ飛鳥選手は内村選手の後、プロ化、競泳の荻野公介選40ファイナンス 2017.5連 載|超有識者場外ヒアリング

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