ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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2017年3月17日~18日にかけて、ドイツ・バーデン=バーデンにて、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(以下「G20」)が開催され、日本からは麻生大臣と黒田日本銀行総裁が出席した。2日間にわたり、世界経済、アフリカとのコンパクト、国際金融アーキテクチャ、金融セクター改革、国際課税、テロ資金対策など多岐にわたり議論が行われた。今回のG20は、米国の新政権が発足し、ムニューシン財務長官が就任して最初のG20であったことから、世間の注目も高かったが、その中で、日本としても積極的に議論に貢献し、マクロ経済政策や為替について、G20のこれまでのコミットメントを再確認することができた点が大きな成果である。本稿では、主な議論の概要を紹介したい。参考1)参加国・国際機関(ア)G20:G7(日本、カナダ、仏、独、伊、英、米、EU)、アルゼンチン、豪、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、露、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ(イ)招待国:スイス、スペイン、シンガポール、オランダ、ノルウェー(ウ)国際機関:金融安定理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、国際決済銀行(BIS)、世界銀行(WB)、金融活動作業部会(FATF)1世界経済麻生大臣からは、世界経済は緩やかに回復してきたが、世界経済の見通しに対する下方リスクが存在しているとの認識を示し、世界経済の安定を図るため、これまでのG20において合意されたコミットメントを改めて確認する必要がある旨説明した。その上で、引き続き、全ての政策手段、すなわち、金融、財政及び構造政策を個別にまたは総合的に用いて、持続的な成長と市場の信認を確保していくことが重要であり、また、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうるものである、などと発言した。結果、会議において、前回のG20サミット(昨年9月中国・杭州)に続き、マクロ経済政策に関しては、「全ての政策手段-金融、財政及び構造政策-を個別にまた総合的に用いる」こと、為替に関しては、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうる」こと、金融政策に関しては、「中央銀行のマンデートと整合的に経済活動と物価の安定を支える」ことが確認された。また、貿易に関しては、米新政権の発足を受G20バーデン=バーデンの概要(2017年3月17日~18日開催、於:ドイツ・バーデン=バーデン)国際機構課長 三好 敏之国際機構課課長補佐 徳岡 喜一国際機構課企画係長 田中 豪Spot01集合写真26ファイナンス 2017.5SPOT

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