ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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軟な全国的運用を可能とするため、陸上総隊(仮称)を各方面総監部の指揮・管理機能を効率化・合理化することにより、自衛官の定数を増やすことなく新編することとしている。また、情報本部においては、国際テロに関する情報収集・分析能力の強化のため増員(3人)を行う一方で、効率化・合理化の取組等により減員(▲3人)を行うなど、自衛官の定数を増やすことなく、求められる多様な任務にしっかりと対応できるよう、防衛力整備に必要な体制を構築することとしている。自衛官の実員は、大綱及び中期防を踏まえ、弾道ミサイル対応に係る態勢、南西地域における警戒監視態勢等の充実・強化を図るため、平成29年度においては、関連する自衛隊の部隊に310人の実員を増員することとしている。*4この実員の増員に伴う配置先は以下のとおりである。・陸上自衛隊においては、主に南西地域の島嶼部に対する攻撃事態における実効的な抑止及び対処を図るため、陸上総隊(仮称)の直轄部隊となる水陸機動団(仮称)の新編による機能を強化するための要員の充足(58人)・海上自衛隊においては、南西地域における警戒監視態勢等を強化する艦艇、潜水艦の増勢に対応するための要員の充足(128人)・航空自衛隊においては、弾道ミサイル対処に係る態勢の強化や対領空侵犯措置等の各種事態への防空態勢を充実させ、即応性の向上を図るとともに、警戒監視態勢を強化するための要員の充足(118人)・共同の部隊(自衛隊指揮通信システム隊)においては、サイバー攻撃に対する防護・監視機能を強化するための要員の充足(6人)また、防衛政策上の喫緊の課題に対応するため、フィリピン、ベトナムの防衛駐在官を増員するとともに、新たにフィンランドに防衛駐在官を派遣することとしている。6.調達効率化の促進平成29年度においては、装備品取得の全般にわたり、一層の合理化・効率化を図るため、各種の取組を推進し、同年度以降で約2,040億円のコスト縮減を図ることとしている。主な取組内容は下記の通りとなっている。(図表8:中期防期間中における調達改革について)(1)長期契約を活用した装備品等及び役務の調達〔縮減見込額:110億円〕・陸自輸送ヘリコプター(CH-47JA)6機の一括調達〔縮減見込額:86億円〕一括調達による材料費、労務費等の減少により、調達コストを縮減。・PBLへの長期契約の導入〔縮減見込額:24億円〕輸送機(C-130R)につき、可動率の向上と適時適切な部品供給態勢の確保等を図るための包括的な契約(PBL:Performance Based Logistics)を導入し、これらに要するコスト図表8 中期防期間中における調達改革について施策の例26年度27年度28年度29年度30年度長期契約を活用した装備品等及び役務の調達-417億円148億円110億円維持・整備方法の見直し(ロジスティクスの改革)81億円336億円432億円540億円民生品の使用・仕様の見直し250億円423億円455億円582億円装備品のまとめ買い331億円350億円465億円467億円原価の精査等---345億円単年度計660億円1,530億円1,500億円2,040億円(注1)要効率化額約1,300億円累  計660億円2,190億円3,690億円5,730億円7,000億円(注1)28年度補正予算(第3次)に前倒し計上したPAC-3MSEミサイルを搭載・運用しうるペトリオット・システムの導入に伴う縮減額616億円は、29年度における縮減額に含む。(注2)計数については、一部概算のものがあり、今後変わりうる可能性がある。なお、計数は四捨五入によっているので計と符合しないことがある。*4 自衛官の定数とは自衛隊の任務遂行に必要な自衛官の人員数、実員とは実際に配置する自衛官の予算上の人員数をいい、予算編成においては実員に基づいて人件費の積算を行っている。ファイナンス 2017.523平成29年度予算特集③平成29年度防衛関係費について 特集

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