ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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ここから、29年度予算の主要事項の概要を紹介していきます。3.農林水産業の成長産業化の一層の推進「農林水産業・地域の活力創造プラン」に沿って、農林水産物の輸出促進、若者を中心とする人材力の強化、経済界の人材・ノウハウを活用した経営力の向上、担い手への農地の集積・集約化、高収益作物への転換などを支援することにより農林水産業の構造改革を推進し、農林水産業の成長産業化を一層推進していくために要する経費を計上しています。(1)輸出促進①輸出に取り組む事業者へのサポート体制の強化39.2億円(対前年度当初予算比+0.5億円)「国別・品目別輸出戦略」に基づくオールジャパンの輸出促進に係る取組等を支援します。具体的には、同戦略の効果的な実施に向け、輸出戦略実行委員会を司令塔として、輸出関連事業者等の参加の下、主要な品目ごとの輸出拡大方針を作成し、実効性のある産地間調整やマーケティング戦略を実現して、輸出拡大を図ります。輸出相談窓口のワンストップ化、海外の専門家等によるアドバイス、新興市場等におけるマーケティング拠点の設置等、JETROを通じ、輸出に取り組む事業者に対し、継続的かつ一貫したビジネスサポートを提供します。②地理的表示等の知的財産の保護・活用 2.7億円(+0.2億円)登録支援窓口の整備により地理的表示(GI)の登録を支援するとともに、海外に向けた日本産GIの情報発信、海外市場におけるGI不正使用の監視等を推進します。③海外規格等との相互認証、日本発規格の国際化 1.5億円(+0.6億円)国際規格との連動を見据え、日本産品の強みをアピールできるJAS規格の制定に向けた調査を実施します。国際的な取引に通用するとともに、日本の食文化に適用しやすい日本発の食品安全管理規格・認証スキームの策定等を支援します。モデル認証事業などにより普及に向けた取組も実施します。④輸出先国の規制に対応するためのサポート体制整備事業0.9億円(新規)輸出先国の規制・検疫条件に対応できるように、検疫や防除の専門家から構成されるサポート体制を整備し、産地・流通・販売事業者の状況に合わせたきめ細やかな技術指導等を行います。⑤輸出植物検疫協議の迅速化事業0.9億円(新規)輸出先国が受け入れやすい検疫措置を産地と連携して確立し、輸出検疫の協議を迅速化します。⑥おみやげ農畜産物検疫受検円滑化支援事業 0.4億円(▲0.0億円)訪日外国人旅行者を対象としたお土産用農畜産物のモデル販売を通じて、検疫手続円滑化の仕組みを構築するとともに、検疫手続円滑化モデルを全国的に普及させるために説明会を開催します。(2)経営力・人材力の強化①農業人材力強化総合支援事業202.4億円(対前年度当初予算比+9.0億円)次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(準備型)については2年以内で、就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型)については5年以内で年間最大150万円の資金を交付します。地方の農業者が営農しながら体系的に経営を学ぶ場(農業経営塾)を開講することにより、今後の農業界を牽引する優れた経営感覚を備えた担い手の育成を図ります。②「緑の新規就業」総合支援対策 59.1億円(+1.8億円)新規林業就業者を確保・育成するため、林業大学校等での若者の学習、都市部での就業ガイダンスの開催、3年間のOJT等による基礎的研修、キャリアアップ対策を総合的に支援します。③新規漁業就業者総合支援事業 9.3億円(+3.5億円)新規漁業就業者を確保・育成するため、漁業学校等での若者の学習、就業相談会等の開催、漁業6ファイナンス 2017.5特集

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