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編集後記/令和4年3月号(通巻第676号)

今月も「ファイナンス」をご覧頂き、ありがとうございます。
日々刻々と悪化するウクライナの戦禍をSNSで見ていますが、ふと、太平洋戦争に出征した祖父の話を思い出しました。
あれはたしか私が高校三年生の夏、身内の戦争体験をレポートにまとめるという課題でしたが、普段は豪快な祖父が戦場でのつらい記憶を涙ながらに振り返り、戦争は何も生まないと繰り返し教えてくれたものでした。
いま思えば、当時高校生の私は「教科書で勉強した通り、戦争はやっぱりだめなんだ」程度の認識だったと思いますが、市民が犠牲となり破壊が繰り返される戦争は、本当に何も生まず、深い悲しみしか残さないことをSNSから絶え間なく発信される凄惨な画像を通じて思い知らされます。
70年前と違い、SNSやメディアが発達したいま、私たちの言葉は世界中に届くようになりました。報道に携わる身として、言葉の力を信じ、いまはただひたすらに平和を祈るばかりです。
(財務省広報室長 伊藤 拓)