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財務省広報誌「ファイナンス」令和4年2月号,各地の話題

釧路市
大自然に溶け込む街釧路

釧路税務署 総務課長 田川 浩史

はじめに
釧路税務署は明治30年4月に設置され、北海道の東部に位置する釧路市を拠点として、1市6町1村を管轄しています。管轄面積は約6,000km2と全国2位の広さがあり、ほぼ茨城県に匹敵します。
その中には、2つの国立公園と、1つの国定公園があり、手つかずの自然も多く残されています。
沿岸部の気候は年間を通じて冷涼で、特に7~9月の最高気温の平均は20度前後と、街全体が天然のクーラーのようで、残暑もありません。
また、6~8月頃は、地元で「じり」と呼ばれる粒の大きい霧が観測されます。傘を差しても上半身まで湿るため、一見厄介者のようですが、街は映画のワンシーンのように幻想的な風景に包まれます。

管内の名所

〔釧路湿原国立公園〕
釧路湿原は、日本最大の湿原として国立公園に指定されており、特別天然記念物のタンチョウが生息する自然豊かな環境です。国立公園の広さは287.88km2あり、東京のJR山手線の内側(約63km2)と比べると、約4.5倍もの広さになります。その中を一級河川の「釧路川」が大きく蛇行しながらゆったりと流れており、その雄大さに思わず心を奪われてしまいます。
この釧路川は、湿原内での高低差が少なく、人工的なダムや堰が無いという特徴があり、カヌーやカヤックでのんびりと川下りを楽しむことができます。
また、湿原の縁を通るJR釧網(せんもう)本線からの車窓は格別で、特に眺めの良いポイントを通常よりゆっくり走る「くしろ湿原ノロッコ号」、冬季はSLがけん引する「SL冬の湿原号」という観光列車が走ります。運が良ければ、釧路川で水浴びするエゾシカや、つがいで仲睦まじいタンチョウなど、季節ごとに、大自然の中で生きる様々な野生動物の姿を見ることができます。

〔厚岸(あっけし)霧多布(きりたっぷ)昆布森(こんぶもり)国定公園〕
令和3年3月に新たに国定公園として指定され、ほぼ原生的な状態で湿原と大小の湖沼が点在し、変化に富んだ海岸景観と美しい植物群落を特色とする自然豊かな地域です。多くの野鳥や、湿原特有の植生が発達しており、多数の花々が見られます。
また、国定公園内にある厚岸湖で養殖された牡蠣は有名で、それ以外にもアサリの養殖や、周辺海域での昆布漁も盛んに行われています。

〔阿寒摩周国立公園〕
阿寒(あかん)・屈斜路(くっしゃろ)・摩周(ましゅう)という、それぞれ特徴のある3つのカルデラ湖があり、そこには、今でも地底から噴気を上げる火山地帯が隣接しています。
阿寒湖は、大きく丸みを帯びたマリモが有名で、「阿寒湖のマリモ」として特別天然記念物に指定されています。冬は全面結氷することから、湖面の氷に直径20cm程の穴を空けてワカサギ釣りを楽しむことができます。
屈斜路湖は、「釧路川」の源流となる湖で、釧路湿原とともに、天然のダムの役割を果たしています。昭和50年代には、巨大生物が生息するという噂がテレビや雑誌で取り上げられ、話題になりました。
摩周湖は、流入・流出する河川は無く、世界屈指の透明度を誇ります。その上、水深が急に深くなっていて、青色以外の光が吸収されてしまうため、湖面の色は独特の「摩周ブルー」と呼ばれる濃い青色に見えます。

〔釧路の夕日〕
秋になると霧は晴れ、晴天の日が多くなります。
そんな澄んだ空をオレンジ色に染める釧路の夕日は、世界三大夕日のひとつとも言われます。
3月と9月は、釧路川河口付近に掛かる「幣舞橋(ぬさまいばし)」周辺から沈む夕日が特に絶景で、撮影スポットとしてとても人気があります。

グルメ
〔海鮮炉端焼〕
釧路市は、海鮮炉端焼き発祥の地と言われており、元々は囲炉裏の端で魚介類を焼いて提供されていたようです。今では、この海産物を炭火の上に乗せた網で焼くスタイルが定着し、全国に広がっています。

〔勝手(かって)丼〕
釧路市の中心部にある「和商(わしょう)市場(いちば)」という海鮮市場で提供されている「海鮮丼」です。
特徴的なのは、ご飯の量もネタ選びも自由なところ。まずは総菜屋で、好みの量の白米又は酢飯をどんぶりに盛ってもらい、市場内の海鮮屋や魚卵専門店を巡って、好きなネタを購入し、自分好みの海鮮丼に仕上げていくというユニークなもので、ついつい大盛になってしまいます。

〔スパカツ〕
スパゲッティミートソースにカツを乗せた料理で、「スパカツ」の愛称で親しまれている、釧路発祥のソウルフードです。
熱々の鉄板に乗せて提供されるため、濃厚なミートソースがジュージューと音を立て、食欲がそそられる上、涼しい釧路の気候にもマッチします。カツとパスタの相性は良く、癖になるおいしさです。

〔釧路ラーメン〕
北海道のラーメンで有名な味としては、「札幌みそ」、「旭川しょうゆ」、「函館しお」ですが、北海道第4のラーメンとして近年知名度を上げているのが「釧路ラーメン」です。
釧路ラーメンの発祥は大正時代と言われており、当時は豚骨ベースのこってりとした味だったようです。その後、釧路の風土に合わせて味が改良され、現在はかつおだしをベースに醤油だれで味付けした、あっさりスープが特徴となっています。
細い縮れ麺との相性は良く、朝食にラーメンを食べる、いわゆる「朝ラー」にもおすすめです。

おわりに
実際に自然の中に立つと、その迫力に息をのみ、しばらく時を忘れてしまうほど圧倒されます。
釧路湿原にあるような湿地帯は、堆積した植物が数千万年という長い年月を経て石炭化すると考えられており、ここ釧路では、国内唯一の坑内掘り稼行炭鉱として、今でも火力発電等に用いられる良質な石炭の採掘が行われています。
皆さんも是非お越しいただき、この手つかずの大自然と、道東の「食」を堪能してください。

(写真提供:釧路市)

北見市 玉ねぎと焼き肉の街北見

北見税務署 総務課長 森田 敦

はじめに
北見税務署は、昭和22年に北海道の東部に設置され、北見市、訓子府町、置戸町、佐呂間町の1市3町(管内面積2,550km2、管内人口約128,000人)を管轄しています。管内の石北峠からオホーツク海沿岸までの東西の長さは、東京駅から箱根までの距離に相当する110kmに及びます。

産業・経済
北見市の特色の一つ、豊かな自然の恵みである一次産業では、玉ねぎといえば北見というほど全国的にも有名で、国内生産量の2割を占めるほど。
もともとこの地域は、明治の終わりから昭和の始めにかけて盛んに栽培されたハッカの世界的な産地として発展してきましたが、戦後、合成ハッカが安価に生産されるようになり北見のハッカ産業は衰退。代わって冷涼な気候がその栽培に適している玉ねぎが市内に広がり現在の礎となりました。
そのほか、広大な農地では麦類、馬鈴薯、テンサイ、白花豆など多くの作物が大規模に生産されています。常呂地区のホタテは増養殖技術の研究の歴史が古く、今では日本有数の水揚げ量を誇ります。また、この地域では豊富な林産資源に支えられる林業などが発展しており、一次産業とその加工業が北見市の基幹産業となっています。

管内の名所・話題

〔ハッカ記念館〕
昭和9年に開業したホクレン北見薄荷工場の事務所を改修した建物で、北見ハッカの歴史を伝える様々な資料等が展示されており、当時の様子をうかがうことができます。隣接する薄荷蒸留館では、蒸留やアロマクリーム作りの体験ができます。

〔カーリングによるまちづくり〕
平成30年に開催された平昌冬季五輪での銅メダル獲得に続き、本年の北京大会への出場を決めたカーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」は、地元にあるアドヴィックス常呂カーリングホールを練習拠点としており、彼女たちの活躍により、北見市は「カーリングの街」として全国に知られるところとなりました。
昭和63年に国内初のカーリングホールが建設され、現在の国内におけるカーリング競技発展の中心地としてこれまで多くの有力選手を輩出。令和2年に市内中心部にオープンしたアルゴグラフィックス北見カーリングホールでは、北見工業大学と連携し、最先端の機器を備えた冬季スポーツ科学研究による競技力向上支援を行うほか、それぞれのホールでは気軽にカーリング体験が楽しめるメニューも用意されています。

グルメ
〔焼き肉・たまコロ・オホーツクビール〕
農水産物の地域資源が豊富なことから、北見市は観光目的の一つとなる「食」にも特色があります。
過去に屠畜場が所在していたことから新鮮な肉が入手しやすかったため、内臓肉を中心とした焼き肉が市民に広く浸透しており、1人当たりの焼き肉店舗の数では全国トップ3に入るほか、暖かい季節には家族や仲間同士、屋外で焼き肉を楽しむ光景もよく目に付くなど「焼き肉の街」としても有名で、特に牛サガリ(ハラミ)や豚ホルモンが好まれているようです。
玉ねぎのおいしさを詰め込んだコロッケ「たまコロ」は、全国コロッケフェスティバルで第4回、第7回とグランプリを獲得したこともあり、全国に北見産玉ねぎの名を馳せています。
「オホーツクビール」は、平成6年の酒税法改正後、日本で初めてビール製造内免許を取得した、地ビールブームの先駆けとして有名で、醸造所と隣接したビアホールでは、作りたてのビールと地元の食材を生かした北見グルメを味わうことができます。
 催し

〔北見厳寒(げんかん)の焼き肉まつり〕
北見市の気候的な特徴として、台風や梅雨などの影響を受けることがほとんどなく安定している一方で寒暖の差は非常に大きく、夏には35℃を超えることもあれば、厳冬期には最低気温がマイナス25℃を下回るほど冷え込むこともあります。
北見市はオホーツク地方の経済の中核となる都市でもあることから支社や支店が多く所在し、転勤などで北見に来られる方も多く、その方々が北見の「厳しい寒さ」と「焼き肉文化」を全国にPRしようと発案された「北見厳寒の焼き肉まつり」は平成12年から開催され、真冬の寒さの中、屋外で七輪を囲んで焼き肉を楽しむというイベント性の高さから、現在では北見名物として全国にファンがいらっしゃいます。

おわりに
北見税務署管内には、今回ご紹介しきれなかった魅力的な見所・グルメがたくさんあります。北海道にお越しの際には、女満別(めまんべつ)空港から車で約40分、オホーツク観光の拠点としても最適な北見に、ぜひお立ち寄りください。
(写真提供:北見市)


旭川市
四季折々の情景を見せる街旭川

旭川東税務署 総務課長 北西 嘉久

はじめに
旭川東税務署は、昭和24年10月、旭川税務署(現旭川中税務署)管内の一部を管轄区域とした、上川税務署として分割設置され、昭和45年7月に署名を旭川東税務署に改称、平成16年7月に庁舎を現在地に移転しました。
現在の管轄区域は、旭川市の一部と上川郡の7町(東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町、美瑛町)で、管轄面積は約3,076km2、管内人口は約255,000人です。
旭川市は、札幌市に次ぐ北海道第2の都市で、内陸性の気候のため、これまで夏は最高37.9℃、冬は最低-41.0℃を記録しており、寒暖差が激しく、四季の変化に富んでいます。

管内の主な産業は、稲作や野菜を中心とした農業、二つ目に全国的に知名度が高い「旭山動物園」(旭川市)や「大雪山国立公園」、「層雲峡温泉」(上川町)、「美瑛の丘」、「青い池」(美瑛町)など自然環境資源に恵まれた観光業となっています。
ちなみに「旭川」という自治体名は、市内を流れる忠別川をアイヌの人々が「チュクぺッ」と呼んでいると和人が聞き取り、それを「チュプぺッ:太陽川(転じて)日が昇る川」と解釈して、明治23年に命名されたものです。

管内の名所

〔層雲峡〕
層雲峡は、石狩川を挟み約24kmの断崖絶壁が続く峡谷で、大雪山黒岳山麓には北海道有数の規模を誇る層雲峡温泉があります。
峡谷を彩る紅葉は、大雪山系山頂付近で8月下旬頃から色づき始め、山々から温泉街へと徐々に各所に降りてきて、各所で10月中旬まで紅葉が楽しめます。

また、1月から3月の冬期間には、滝が凍るほどの極寒の自然を最大限に活かして作られた、大小さまざまな氷のオブジェが立ち並び、ライトアップによって幻想的な光景が広がる「層雲峡温泉氷瀑(ひょうばく)まつり」が開催されます。

〔美瑛の丘・青い池〕
美瑛町は、旭川市と富良野市との間にあり、ヨーロッパの農村風景にも似た雄大な丘陵地帯が広がり、CMやドラマの撮影で使用されるなど、美しい眺めを求めて国内外から多くの観光客が訪れています。

また、近年、観光スポットとして人気になっている「青い池」は、水面が不思議なほど青い色をたたえ、立ち枯れたカラマツとあいまって、幻想的な風景を楽しむことができます。

〔旭山動物園〕
日本最北の動物園として、昭和42年に開園した旭山動物園は、「行動展示」(動物の特徴的な能力や行動、感性を発揮できる環境作り、それを見せる展示方法)が人気で、平成15年に北海道で一番の入園者数、平成16年の月間入園者数(7月、8月)では日本一となり、平成18年には、年間入園者数が300万人を突破しました。
近年の入園者数は、コロナ禍ということもあり大きく減少していますが、現在でも、旭川市を代表する観光スポットです。

グルメ
〔旭川ラーメン〕
札幌、博多、喜多方など、全国にラーメンで有名な街はいくつかあります。
そういう街のラーメンは、いわゆる「ご当地ラーメン」と呼ばれ、地域の人や観光客に愛されています。
北海道のご当地ラーメンといえば「札幌のみそ」、「旭川のしょうゆ」、「函館のしお」が有名です。
旭川のラーメンは、北海道特産の魚介類でとった醤油スープをベースとしており、麺は、加水率の低い細めの縮れ麺でスープとよくなじみます。
旭川のラーメン専門店は約200店舗あると言われ、全国区のラーメン店も複数あります。

〔新子(しんこ)焼き〕
新子焼きは、若鳥の手羽を含む骨付き半身を炭火などで香ばしく焼いた料理で、旭川市発祥の焼鳥として市民に愛されています。
寿司ネタにある「コハダ」は出世魚で、稚魚の時は新子と呼ばれています。
若鳥も同様の意味で新子であり、それを焼くので新子焼きの名になったというのが名称についての定説になっています。

おわりに
旭川東税務署管内には、地酒の酒蔵やホルモン焼きなど、まだまだご紹介しきれない観光スポットや美味しいグルメが満載です。
北海道の中心地である札幌市からJR(鉄路136.8km)で約90分と比較的短時間で旭川市に来ることができます。
旭川を宿泊の拠点として、四季折々の情景をみせる道北の観光に是非一度ご来訪ください。
(写真提供:旭川市、上川町、美瑛町)