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令和4年度財政投融資計画について

理財局財政投融資総括課長 関口 祐司

1.令和4年度財政投融資計画等の

基本的考え方
昨年11月19日、新型コロナウイルス感染症に万全を期すとともに、「新しい資本主義」を起動させ、「成長と分配の好循環」を実現するため、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(以下、「経済対策」という。)」が閣議決定された。この経済対策においては、現下の低金利状況を活かして財政投融資を活用し、科学技術立国の実現に向けた積極的な投資を促進するとともに、防災・減災、国土強靱化を推進する政策が盛り込まれた。
これを踏まえ、こうした分野の足元のニーズに応えるため、令和3年度補正予算において、株式会社日本政策投資銀行によるグリーン・デジタル化といった成長分野の支援や送配電網等のインフラ整備の支援、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構による防災・減災、国土強靱化を図るための高速道路の暫定2車線の4車線化の実施、新関西国際空港株式会社及び中部国際空港株式会社による航空灯火のLED化による空港の脱炭素化の推進等、総額9,221億円の財政投融資計画を追加することとし、その政府案が11月26日に閣議提出され、12月20日に国会にて成立した。(資料1)
続いて、12月24日に令和4年度財政投融資計画(以下、「4年度計画」という。)が予算政府案とあわせて閣議提出された。これは、令和3年8月末に要求を受けた後、経済対策も踏まえつつ、財政制度等審議会財政投融資分科会における審議を経て決定したものである。

2.令和4年度財政投融資計画の概要

(資料2)
4年度計画の総額は、18兆8,855億円であり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への支援に引き続き万全を期すとともに、科学技術立国の実現、「デジタル田園都市国家構想」や経済安全保障の推進、防災・減災、国土強靱化等の分野に重点的に投融資を行うこととしている。
なお、4年度計画は対前年度比で半分程度まで減少しているが、足元の執行状況や今後の感染再拡大の可能性も踏まえ、十分な規模を確保している。

3.令和4年度財政投融資計画の主な施策

(1)資金繰り支援や企業の成長力強化等
株式会社日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫において、新型コロナウイルス感染症により厳しい状況にある事業者への資金繰り支援に万全を期すとともに、ポストコロナを見据えた様々な経営課題(事業承継・デジタル化等)への取組を積極的に支援することとしている。そのほか、「デジタル田園都市国家構想」の推進の観点から、スマート農業やグリーン化、輸出基盤強化等を支援し、農林水産業の成長産業化を推進することとしている。
また、2050年カーボンニュートラルの達成や、地域脱炭素による地域の魅力と質を向上させる地方創生の実現に向けて民間資金を誘発するため、株式会社脱炭素化支援機構(仮称)を創設することとしている。

(2)インフラ整備の加速等
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構において、今後発行を予定している政府保証債の一部を予め財政融資資金に置き換えることにより、ネットワーク代替性や時間信頼性の確保、事故防止の観点から、高速道路の暫定2車線の4車線化を計画的に実施することとしている。
また、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構において、アクセス利便性の更なる向上等を図るため、都市鉄道ネットワークの早期整備を支援することとしている。このほか、全国土地改良事業団体連合会を新たに財投機関とし、近年の自然災害の多発を踏まえた防災・減災等の観点から、小規模な防災重点農業用ため池や用排水路等の施設整備等を推進することとしている。

(3)日本企業の海外展開支援等
株式会社国際協力銀行において、諸外国における脱炭素社会の実現に向けた取組や国際的なサプライチェーンの強靱化・再構築の取組、ポストコロナを見据えた新たな海外事業展開等を支援することとしている。
また、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構において、経済安全保障等の観点から、レアメタルを含む重要物資の安定供給の確保等を促進することとしている。

(4)教育・福祉・医療
国立研究開発法人科学技術振興機構において、経済対策を踏まえ、世界最高水準の研究大学を形成するため、10兆円規模の大学ファンドを実現することとしている。
また、独立行政法人福祉医療機構において、医療・福祉事業者への資金繰り支援に万全を期すとともに、デジタル投資の加速や保育の受け皿整備等を積極的に支援することとしている。

(5)地方公共団体
地方公共団体向けについては、地方債計画に基づき、生活インフラ(上下水道等)や国が責任をもって対応する分野(災害復旧等)を中心に、地方公共団体の円滑な資金調達に貢献する観点から、必要な資金需要に的確に対応することとしている。