このページの本文へ移動

コロナ危機下におけるフランスの制度改革の行方~失業保険改革編・中~

在フランス日本国大使館参事官 大来  志郎

「失業保険改革編・上」においては、失業保険の受給資格を拡大することで制度をより普遍的なものとすることを目指した左派的なマクロン大統領候補の選挙公約項目が端緒となりつつも、2年ほどの政権運営の中で、失業保険改革の全体像に右派的・親ビジネス的な要素が入り込んでくる過程を追った。その過程で、歴史的には労使自治に基礎を置く失業保険制度への政府の関与が一層強まり、2019年夏に向けて、政府自身の手によって失業保険改革の総合的なパッケージが取りまとめられる段階にさしかかる。

1.政府による改革パッケージ公表
(1)改革パッケージの内容
2019年6月18日にフィリップ首相とペニコー労働大臣は記者会見に臨み、失業保険改革パッケージを公表した*1。このパッケージは以下表1(2019年6月時点における政府公表の改革パッケージ(内容・施行日))のとおりである*2。以降、新聞報道などにおいても、失業保険改革のパッケージは「四つの柱」から成るものとされた。労使双方にとって負荷がかかる総合的なパッケージが示されたことになる。
<第一の柱>ボーニュス・マリュス制度(イ)
マクロン大統領の選挙公約にあった項目であり、失業保険の保険料企業負担分に雇用契約の長短等に応じて傾斜を付ける改革。経営団体サイドに負荷がかかる改正項目。
<第二の柱>失業手当受給要件の厳格化(ロ、ハ)
新規受給要件の厳格化と受給資格の再充填の厳格化の二つから成る改革。労働組合サイドに負荷がかかる改正項目。
<第三の柱>失業手当支給額計算方法の厳格化(ニ)
従来、短期の就労と失業手当受給を交互に繰り返す慣行の最大要因ととらえられてきた参照日額賃金(SJR)の算出方法を見直す改革。日当たり受給額×受給権利期間の総額は改正前後で不変であるものの、やはり労働組合サイドに負荷がかかる改正項目。
<第四の柱>高所得者の手当逓減制の導入(ホ)
高所得者にかかる受給抑制策であり、対象者も限定的な改革。
この改革によって、2019年から2021年の3年間にかけて、15万人~25万人程度の失業者の減少が見込まれるとされた。
写真1:記者会見に臨み、政府による失業保険改革パッケージを公表するフィリップ首相(右)とペニコー労働大臣(左)(いずれも当時)(Service photos / Matignon)

(2)改革パッケージの財政影響
改革が失業保険手当支給という歳出にもたらす財政効果について、2019年9月時点で、失業保険管理機構(Unédic)は以下表2(改革が失業保険財政(歳出)にもたらす効果(2019年9月時点試算))のように見積もった。なお、ボーニュス・マリュス制度に関しては、保険料企業負担分に傾斜をつける施策ではあるが、直接的には財政中立的に設計されるものとされた。
いずれの改正項目に関しても、失業保険管理機構(Unédic)は、新制度が労働市場参加者の行動変容を通じて副次的・反射的な財政影響を引き起こす可能性があると留保しつつ、さしあたり直接的な財政影響を試算している。

(3)改革パッケージの第一段階施行
この改革案とりまとめ段階で、手当受給要件・支給額計算方法の厳格化(ロ~ニ)については労働組合側から、ボーニュス・マリュス制度(イ)については経営側から、それぞれ反発が示された*3*4*5。
それでも、これらの改正項目は2019年年7月26日に政令(デクレ)として定められた(Décret n° 2019-796*6,2019-797*7)。この政令に基づき、表1にもあるとおり、一部の重要な改正項目はパッケージ第一段階として、2019年11月1日に施行が実施された。
2019年11月と言えば、2017年5月からはじまったマクロン大統領の任期5年間のちょうど折り返し地点に当たる。失業保険改革は、マクロン大統領の労働関連施策に関する選挙公約*8の中で残されていたものであり、その政治的決着と第一段階の施行は、マクロン大統領がその任期の前半のうちに、長年の懸案とされてきた種々の労働市場関連の改革を着実・迅速に積み重ねていることの象徴だったともいえよう。紆余曲折を経て多段階施行の各施行日を待つのみとなったかに見えた2019年末を越え、しかしながら、コロナ危機が待ち受けることとなる2020年を迎えるのである。

2.コロナ危機の発生
以上、「失業保険改革編・上」からに引き続き「コロナ前史」という前置きが長くなったが、いよいよ本題のコロナ危機発生後の改革の動向である。

(1)危機発生直後の経済状況
順調に改革を進めているかに見えたフランスをコロナ危機が襲う。2020年3月から5月にかけての第一回ロックダウンは、他国の措置やその後のフランスの第二回・第三回のロックダウンと比較しても極めて厳格なものであり、フランス経済の体力を大きく奪った。GDPは2020年第2四半期について、前期比-13.8%となるなど、大幅な落ち込みとなった。
雇用情勢については、失業率こそ2020年第1四半期(7.8%)、第2四半期(7.1%)と、それ以前の8%台に比べて低下したものの、これはロックダウンにより求職活動そのものが困難となったことを背景とする「統計上の錯覚」と指摘された*9。雇用実数でみれば第2四半期における国内の雇用総数は前年同期比で57万2900人の減少(率にして-2.3%)を記録し、特に臨時雇い(intérim)が前年同期比で-27.1%となっている*10。部分的失業制度の迅速かつ大規模な実施などの効果もあり、雇用の大幅な落ち込みは避けられたものの、その後に向けて雇用の量・質に関する警戒感が広がっていた時期と言えよう。
そのような状況の中、様々な厳格化措置を含む失業保険改革のパッケージについても、これをどのように取り扱うのか、維持するのか、棚上げにするのか、中間的な途を模索するのか、という点はフランス政府にとって一大テーマとなった。

(2)失業保険改革に関する初動対応(第一回施行延期)
危機発生直後、ロックダウン中の3月末に、フランス政府は2020年4月1日から予定されていた公的給付や公共料金の変更を、緊急避難的に凍結することを決定する。その凍結対象には、失業保険改革のパッケージに含まれていた厳格化措置も含まれていた。すなわち失業手当支給額計算方法の厳格化(ニ)の施行を4月から2020年9月へと延期した。あわせて、高所得者への手当支給額の逓減制(ホ)について2020年5月末まで凍結することとした(逓減制については、制度としては施行されていたものの、支給期間が6か月経過したのちに逓減が作動する、という制度だったために、個別受給者ベースでは「逓減」は未だ発生していない状況だった)*11。

(3)労働関連施策に関する総合的アジェンダセッティングの中での第二回施行延期
次なる一手として、第一回のロックダウンが5月半ばに解除されてからほどない2020年6月4日に、マクロン大統領自ら、大統領府において政労使全体会議を主催し、コロナ危機に対応するために労働関連施策の総合的な議論をキックオフした*12。主に以下の分野がこの会議のアジェンダとして提示された。
A)部分的失業制度の縮小のあり方や部分的失業制度の後継・受け皿となる雇用調整の新制度(長期部分的活動制度)の創設
B)若年者雇用支援パッケージの策定
C)失業保険改革の取扱い
上記A)は、日本における雇用調整助成金類似の制度であり、一時的帰休を公的に下支えするフランスの制度である「部分的失業制度」という緊急対応策の出口戦略、B)は短期の雇用創出策であるとともにマクロン政権発足以来力を入れてきた人的資本の蓄積・労働生産性の向上策、をそれぞれ描くための柱である。
コロナ危機の到来に当たり、雇用不安の解消や大量解雇の回避のために緊急対応は実施したものの、A)~C)という総合的なアジェンダセッティングを行うことにより、労働市場改革路線に早期に復するのだという方向付けに関するフランス政府の意思が感じられる。また、B)のように給付拡大を伴う積極的労働市場施策に関する議論と、財政健全化の効果があるA)部分的失業制度の出口戦略や、C)厳格化措置が中心となる失業保険改革の議論をセットにして提示をしている点も興味深い。
政府は労使代表との間で、それぞれのテーマについて調整を行い、一定の結論を2020年の夏のバカンスの前に導き出していく*13。失業保険改革については、2020年7月17日に、内閣改造に伴う就任間もないカステックス新首相が労使代表と会合をもち、厳格化の方向にある改革項目については、基本的にその施行を2021年冒頭まで延期とすると公表した。既に施行されていた受給資格の厳格化・権利再充填の要件厳格化(ロ・ハ)についても、2020年8月1日から2020年末までは、原則として旧制度に復することとされた*14。
表3:当初の施行(予定)日と延期等のあり方(2020年8月段階)

3.2020年夏のバカンス明けの「さや当て」
類をみない厳格な第一回目のロックダウン解除後、感染症流行についてはかなりの抑制がみられ、フランスはひと時の楽観論に包まれる。多くのフランス人は夏のバカンスを楽しみ、2020年9月の新学期・新事務年度を迎える。待ち受けていたのは感染流行再拡大であった。10月中旬にはマクロン大統領が第二波到来を正式に認め、パリを含む主要都市圏で夜間外出禁止令が発表される。そしてついに10月末には第二回のロックダウンが導入される。ロックダウン解除後の2020年第3四半期はGDPが前期比+18.7%と急回復したにもかかわらず、第4四半期は-1.3%と再びマイナスに転じた。雇用情勢に関しては、2020年第3四半期の失業率は9.1%であり、当時、フランス中央銀行が「2020年に76万人の雇用が失われ、失業率は2021年第1四半期に10.9%とピークに達する」*15と予測するなど、一層の情勢悪化が見込まれた時期である。
失業保険改革については2019年前半の改革案とりまとめ段階で、受給資格・受給額の厳格化については労働組合側から、ボーニュス・マリュス制度については経営側から、それぞれ強い反発が存在したことはすでにふれたが、コロナ危機の進展と失業増加の兆候とともに、労使双方から改革の見直しや、さらには改革全体の放棄を求める声が再び上がり始めていた*16。夏前に、全体の施行を2021年冒頭に先延ばしをしただけでは一件落着とはならず、バカンス明けには政府と労使代表の間で再度調整が必要な情勢となっていた。
それでも2020年8月後半の経営者団体Medefの夏季大会に招かれたカステックス首相は「(7月の対応は)施行の延期であり、放棄ではない。なぜならこれは良い改革だからだ」と述べ、改革自体の放棄は正面から否定した*17。
写真2:コロナ危機下の2020年6月、労使代表と政労使全体会議に臨むマクロン大統領(Yoan Valat / Pool via REUTERS)
(図1)フランスの四半期ごと実質GDP成長率(対前期比)の推移
(図2)フランス(全土)の失業率の推移

4.2020年秋、政労使の調整
(1)ボルヌ新労働大臣による「前捌き」
2020年9月30日には、夏の内閣改造で就任していたエリザベット・ボルヌ(Élisabeth Borne)新労働大臣が政労使会議を開催する。7月の施行延期に加えた「さらなる措置」が失業保険改革についてもなされると新聞紙上などでは予想されはじめた時期である。この会議上、労働組合側は失業手当受給要件厳格化などの改革項目を廃止するよう、また経営側はボーニュス・マリュス制度を2022年まで先延ばしするよう、それぞれ要求した。しかしながら、労働省関係者は新聞の取材に対して、「制度哲学までさかのぼることはなく、パラメータをいじる程度だ」と答え、政府サイドの譲歩に関する過度な期待を招かないように予防線を張っている*18。一方で、大手紙の論説などでは、以下のような、いくぶんうがった見方も見られるようになっていた。
「カステックス首相は、本来は改革者の高い志を持っているはずだが、ここ数週間、経済の回復や企業活動の潜在的回復を妨げることを全力で回避しようとしている。(中略)短期雇用への逃避を制限するための失業保険のボーニュス・マリュス(マクロンの選挙公約だ)。予定されていた2021年施行の代わりに、首相府は、既に傷んでいるホテル・レストラン業界をこれ以上苦しめないために、一年施行を遅らせる(そののち改革自体を廃止する?)用意がありそうだ。」
それでも政府は「調整するのはいくつかのパラメータに限る」という考え方を維持する。2020年10月に入っても、例えばボルヌ労働大臣は、以下のように述べている*19。
「失業保険改革は、最良の質の雇用を提案するよう企業にインセンティブ付けするとともに、就労が必ず失業よりも報いられるよう求職者にインセンティブ付けをするためのものだ。この思想は適切であり続けている。一方で現実的でもあるべきだ。改革に含まれるいくつかのパラメータについては、経済危機の影響が及ぼす負の影響を限定するように調整する必要があるかもしれない。ボーニュス・マリュス制度や失業手当支給額計算方法の厳格化などの改革の原則を撤回するつもりはない。労使代表とこれらの改革のパラメータについて議論し、一定の調整をすることにはオープンだが、仮に労使の議論が収斂しないようであれば、我々は政府の立場として責任ある行動にでなければならない。」
改革の中身について、引き続き「パラメータ調整」には一定の柔軟性を示唆しつつも、改革の核心部分は維持する姿勢を示すものである。また、進め方に関しては、たとえ労使代表との調整が決裂しても最後は政府の責任で改革の針路を決めるぞ、と迫っている。
写真3:エリザベット・ボルヌ新労働大臣(Ministères sociaux / DICOM / Nicolo Revelli-Beaumont / Sipa Press)

(2)施行の第三回延期
この時期(2020年10月14日)、対する五つの主要労働組合側は、カステックス首相宛ての共同書簡*20を策定し、正式に失業保険改革のシンプルな「放棄」を要求している*21。
第二回ロックダウンが不可避となってきた10月26日、カステックス首相が労使代表を集めた全体会議を開き、失業保険の制度改正の施行時期をさらに延期する意思を伝達した*22。2020年7月時点で2021年初頭まで延期されていた各種項目の施行時期を2021年4月1日にまで延期する内容だった*23。しかしここでも、首相が、「延期は放棄を意味しない」と発言し、あくまで改革の完遂に意欲を見せている。

5.国務院の「横やり」
こうした政労使間の調整が続いている中、行政裁判の最高裁判所に当たる国務院(Conseil d’Etat)が2020年11月25日の決定で、四本柱の改革項目(ボーニュス・マリュス制度の導入、失業手当受給要件の厳格化、失業手当支給額計算方法の厳格化、高所得者の手当逓減制導入)のうち二つの項目の無効を判示した*24。この決定は複数の労働組合からの訴えに基づくものだった。
無効と判示された第一の項目は支給額計算方法の厳格化(ニ)に関するものである。従来、失業手当の受給額は、受給前に働いていた日の賃金のみを考慮して決定されていたが、改革後は月平均の賃金が基準となる。短期雇用と短期の失業手当受給を繰り返す濫用的な行為を防止しようとする改正内容だったことはすでに触れた。改革後の制度下では同じ労働時間、同じ賃金水準の2人の労働者であっても、就労時期が分散しているか連続しているかなどによって受給額の差が生じる点が不合理とされた*25。
無効と判示された第二の項目は、ボーニュス・マリュス制度(イ)に関するものである。こちらは法形式に関する判示で、制度の基準についてアレテ(省令)で定めているもののうちに、デクレ(政令)で定めるべき類のものがあるという理由で無効とされた。
手当受給要件の厳格化(ロ・ハ)や高所得者への支給額の逓減制(ホ)などについては有効とされた。ボルヌ労働大臣はプレスリリース*26を出し、「労使との対話を通じて、改革の哲学と特別な状況への配慮を両立させる回答を出すことができるだろう。この調整を国務院が指示した2021年3月までに行うことができるだろう。」とコメントしている。

6.越年
こうした国務院の判示内容を政労使の間で咀嚼する必要が生じたこともあり、2020年12月14日、ボルヌ労働大臣は2021年の年明けに労使代表との間で失業保険に関してさらなる調整を実施する考えを示した。本来は2020年の年内決着を目指していたものとされていたが、失業保険改革の帰趨は年を越えた調整に委ねられることとなったのである*27。
以上、コロナ危機の到来に伴う失業保険改革の2020年内における速度調整を見てきた。フランス政府は都合三度、施行時期を後ろにずらした。一方で改革の中身には未だ触っていない。いわば陣形は維持したまま、ジリジリと前線を下げた形である。そこに横から国務院を介した攻勢をかけられ、戦端を開く時期を持ち越した。
来月号の「失業保険改革編・下」では、2021年が明けて以降の失業保険改革を巡る攻防と、その帰結を見た上で、「医療提供体制改革編」から続いた本連載全体を締めくくることとしたい。

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではない。

【コラム】フランスの失業保険の財政状況
失業保険財政の位置づけ
制度の沿革を反映する形で、基本的には労使自治による制度であるとの考え方の下、財政的にも一定の独立性が担保されてきた。したがって、現段階では毎年度の社会保障財政法には含められていない*28。
失業保険改革の財政政策としての側面
2019年に政府がとりまとめた失業保険改革のパッケージについては、労働市場改革としての側面と同時に失業保険の財政状況の改善も意図されたものだった。失業保険の財政主体である失業保険管理機構(Unédic)に収支改善がもたらされ、改革着手の2年後(2021年)には黒字化が達成されると見込まれていた図3(失業保険の収入と支出の推移)の点線や図4(失業保険の収支の推移)の薄い棒グラフ参照)。その後コロナ危機の影響を受ける形で、2019年の改革案策定時のシナリオからは一定程度乖離しているが、それでも2022年には黒字化するシナリオとなっている。
失業保険の財源
フランスにおける失業保険の財源として、まずは雇用主負担の保険料がある。雇用主がグロスの総賃金の4.05%を原則として保険料として拠出することとされている。
一方、被用者側については、2019年1月1日から原則として保険料は廃止され、その代替財源としてCSG(一般社会税)が充当されることとなった*29。
これらの財源はいったん失業保険管理機構(Unédic)の下に集められ、それが各ポールオンプロワ(フランス版ハローワーク)を通じて求職者等に手当として支給されることとなる。*30
失業保険財政の収支状況
コロナ危機直前の「平時」と考えられる2019年の収入は392億ユーロ、支出は411億ユーロとなっている。支出の内訳は、失業手当350億ユーロ、求職者の補足年金保険料22億ユーロ、ポールオンプロワ事務費35億ユーロ等となっている。
直近の収支予測によれば、2020年の収支はコロナ危機を受けて174億ユーロの赤字となっている。
失業保険の収支赤字は、失業保険管理機構が明示的な政府保証の下で発行する債券によって賄われる仕組みとなっている。
失業保険制度の累積債務
累積債務は、2019年末時点の368億ユーロに対して2020年末には546億ユーロ、2021年末には647億ユーロへと増え、その後2023年にいたるまで600億ユーロ程度で高止まりとなる見込みとなっている。

これら失業保険財政の状況をグラフ化したものが以下の図3~5である。
(図3)失業保険の収入と支出の推移
(図4)失業保険の収支の推移
(図5)失業保険の累積債務の推移

*1)https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2019/06/discours_de_m._edouard_philippe_premier_ministre_-_presentation_de_la_reforme_de_lassurance_chomage_-_18.06.2019.pdf
*2)2019年11月1日から施行された内容についてはhttps://www.unedic.org/espace-presse/actualites/assurance-chomage-refait-le-point-quelles-evolutions-au-1er-novembre
*3)https://www.medef.com/fr/communique-de-presse/article/fin-de-la-negociation-relative-a-lassurance-chomage-seance-du-20-fevrier-2019
*4)https://www.cgt.fr/comm-de-presse/assurance-chomage-mobilisation-le-26-juin-paris-et-en-territoire
*5)https://www.cfdt.fr/upload/docs/application/pdf/2019-02/com_12_-_assurance_chomage.pdf
*6)https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000038829474/
*7)https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000038829574
*8)https://storage.googleapis.com/en-marche-fr/COMMUNICATION/Programme-Emmanuel-Macron.pdf
*9)https://www.insee.fr/fr/statistiques/4641598
*10)https://www.insee.fr/fr/statistiques/4653055
*11)https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000041763397/
*12)https://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2020/06/04/comment-preserver-lemploi-et-accompagner-les-plus-fragiles-declaration-des-ministres-a-lissue-dune-reunion-avec-les-partenaires-sociaux-en-presence-du-president-de-la-republique
*13)A)部分的失業制度の出口戦略とB)若年者雇用支援にかかるパッケージとその後の展開の詳細については、大来志郎(2021)「コロナ危機の発生とフランス労働市場改革の行方」(長谷川伸次(編)コロナ下の世界における経済・社会を描く 同文舘出版 p.43-63.)を参照。
*14)https://www.unedic.org/espace-presse/actualites/publication-des-decrets-sur-le-report-de-certaines-regles-dassurance。受給資格要件の厳格化に関しては、旧制度の「契約終了直前28か月に4か月働いていること」を改革後は「直前24か月に6か月働いていること」とする予定であったところ、コロナ危機に伴う延期期間中は「直前24か月に4か月働いていること」とする折衷的なものだったことから労働組合が反発する、という小競り合いも見られた。フランス労働省は「ポール・オンプロワ(フランス版ハローワーク)のシステムの制約を勘案しつつ、旧制度に可能な限り近づけた」と説明することでこの折衷案を維持している。
*15)https://www.banque-france.fr/sites/default/files/medias/documents/projections-macroeconomiques_2020-12_vf.pdf
*16)例えば経営者団体の声としてhttps://www.medef.com/fr/actualites/reunion-des-partenaires-sociaux-avec-le-premier-ministre-un-dialogue-tres-direct-et-tres-francまた労働組合の声としてhttps://www.cgt.fr/sites/default/files/2020-06/[CP%20CGT]%20Presque%20un%20million%20de%20ch%C3%B4meurs%20en%20plus%20fin%202020.pdfやhttps://www.force-ouvriere.fr/assurance-chomage-la-suspension-de-la-reforme-doit-porter-aussi?lang=fr
*17)https://www.gouvernement.fr/partage/11706-rencontre-des-entrepreneurs-de-france-medef-hippodrome-de-paris-longchamp
*18)https://www.lefigaro.fr/conjoncture/sur-le-front-de-l-emploi-le-gouvernement-adapte-en-temps-reel-sa-politique-anticrise-20200930
*19)https://www.lefigaro.fr/social/elisabeth-borne-c-est-le-role-de-l-etat-de-proteger-l-emploi-et-les-entreprises-20201009
*20)https://data.over-blog-kiwi.com/3/22/80/20/20201015/ob_db1700_courrier-au-premier-ministre-des-5-org.pdf
*21)https://www.lemonde.fr/politique/article/2020/10/14/face-a-la-crise-les-syndicats-dictent-leurs-exigences-dans-une-lettre-au-gouvernement_6055993_823448.html
*22)https://www.lefigaro.fr/selon-castex-le-gouvernement-n-entend-pas-renoncer-a-la-reforme-majeure-de-l-assurance-chomage-20201026
*23)https://www.vie-publique.fr/questions-reponses/271537-7-questions-sur-la-reforme-de-lassurance-chomage
*24)https://www.legifrance.gouv.fr/ceta/id/CETATEXT000042570066?tab_selection=cetat&searchField=ALL&query=ch%C3%B4mage&searchType=ALL&dateDecision=24%2F11%2F2020+%3E+26%2F11%2F2020&sortValue=DATE_DESC&pageSize=10&page=1&tab_selection=cetat#cetat
*25)この国務院の決定に対しては、早速批判も上がった。(2020年12月4日付レゼコ紙へのPierre CahucとStéphane Carcilloの寄稿)。すなわち、二人のエコノミストによれば、改革案は失業給付に入る前の平均月収を正当に評価しようとするものである。国務院の決定は、例えば、全営業日フルタイムで4か月働く者と、週1日だけフルタイムで20か月働く者を比較したとき、改革案では前者が5倍の手当を受給することを問題視しているが、この較差は「平均月収」の補償という失業保険の考え方からすれば正当化される、とする。その上で、この二人のエコノミストは、月のうち一週間だけフルタイムで働くCDDを2年間経たような労働者が失業保険に登録するだけで就労時の2倍の収入を手にできるような現行制度にこそ問題があったのだ、国務院の決定はこうした不合理を永続化しかねない、と批判している。https://www.lesechos.fr/idees-debats/cercle/opinion-assurance-chomage-ou-est-vraiment-la-disproportion-1271073
*26)https://travail-emploi.gouv.fr/actualites/presse/communiques-de-presse/article/reforme-assurance-chomage-le-ministere-prend-acte-decision-conseil-etat
*27)https://www.sudouest.fr/2020/12/14/reforme-de-l-assurance-chomage-les-concertations-reprendront-debut-janvier-annonce-borne-8188037-705.php
*28)この点について、「失業保険の財源」にあるように、すでにCSGという「公費」が投入されるようになっている以上、失業保険財政も社会保障法の範囲に含め、議会審議の対象とすべきとの動きが上院などで見られる。本年後半に議会審議に付されている社会保障財政法組織法改正法案に対して、上院が2023年以降は社会保障財政法の範囲に失業保険財政を含める旨の修正を加えている(本稿執筆時点では、同修正は両院協議会で「吊るされている」状態)。(https://www.assemblee-nationale.fr/dyn/15/dossiers/alt/pplo_lfss#15-CMP)
*29)失業保険管理機構(Unédic)によれば、失業保険の財源の37.5%がCSGとされている。https://www.unedic.org/a-propos/qui-fait-quoi-dans-lassurance-chomage
*30)https://www.unedic.org/a-propos/qui-fait-quoi-dans-lassurance-chomage