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自転車通勤で「なろう」になろう!?あぷらいど! 番外4

―完結したはずなのに編集のご厚意でまだまだ続くよ!本編の「楽」の先に、「楽しさ」を探してみよう!本連載はシン・最終回だけど、自転車には終わりはないわけで、この先を導くリソース紹介で締めくくります。俺の屍を越えてゆけ!
証券取引等監視委員会事務局総務課長 若原 幸雄

1.書籍
玉井雪雄『かもめチャンス』(小学館)
マンガが敷居が低かろう、ということでまずはマンガから。だいたい10年前(2008~2013年連載)の作品です。2021年5月現在で、自転車マンガ史上トップクラスの人気を誇る『弱虫ペダル』が連載中であるにもかかわらず、そんな昔のマンガを取り上げるのは、わたくしが天邪鬼だから、というだけではありません。
あえてこちらをおススメする理由は、本稿の読者層ならば主人公に感情移入しやすいだろう、という点。高校が舞台の『弱虫ペダル』とは異なり社会人が主人公なので、子育てや部下の扱いで悩むところなどにリアリティを感じてしまいますし、レースを通じたカタルシスもまた大きくなっています。なお、そんなところに共感しても楽しくない、マンガを読むならエンタメに興じたいということでしたら、『弱虫ペダル』を。

疋田智・小林成基『新・自転車“道交法”BOOK』(枻出版社)
世の中に自転車本あまたあれど、普段使いの乗り方を丁寧に解説した本となると、わたくしはこれに勝るものを知りません(といいながらわたくしが持っているのは、本書の実質的な旧版である同じ著者陣の『自転車はここを走る!』なのですが)。財務省の近くでいえば、溜池から六本木に向かう際、六本木二丁目交差点(アークヒルズ先のY字路)を自然体で行くとY字路を左に入って遠回りの飯倉片町経由になっちゃいますけどどうしましょう? という話が取り上げられているあたりで、本書の狙いがよくわかるでしょう。
2点ご注意いただきたく、1つは枻出版社は現在民事再生手続中なこと。ムックなので再版はかからず、上記のわたくしの持っているもの、『自転車“道交法”BOOK』、本書とリニューアルして出版されてきましたが、同様に続くかは不明です。現在はまだ在庫があるようですが、今後、入手が困難になるかもしれません。
もう1つは、著者のひとり疋田氏は「ツーキニスト」として知られる業界の有名人ですが、長年自転車通勤の普及に努める過程で日本の道路交通行政、ひいては行政・公務員一般に総じて批判的なスタンスをとるようになり、霞が関関係者にとっては攻撃的に見える表現が散見されます。本書の有用性を損なうものではないので、なるべくスルーいたしましょう。

ふじいのりあき『ロードバイクの科学』(スキージャーナル)
自転車は多くの人が使っているだけに、いろいろな人が語っています。本連載もそうですが(笑)、これらは玉石混淆で、その中から玉を高確率で選ぶには、急がば回れ、基本的な知識の枠組みを身につけることが早道です。そのためにおススメなのが本書。タイトルに「ロードバイク」とありますが、自転車一般に通じる話がほとんどですのでご安心あれ。
著者はホンダのエンジニアですが、日々片道20kmを自転車で通勤する等プライベートでたしなむ自転車を、職業人のスキルで解き明かした一冊です。書名で検索してみれば、本書を指針としている自転車乗りの多さが一目瞭然で、本連載に関しても、例えば本編第4回で紹介したペダルの1分当たり回転数の目安―一般に90回転とされるけれど、しんどければ70回転ぐらいでもいい―については、著者が実験データ付きで検証している本書が元ネタだったりします。
残念ながらこちらも版元が倒産していて、何度も重版がかかったおかげかまだ在庫僅少という話は聞きませんが、再版は期待できない点にご留意ください。

2.ウェブサイト
Cyclist https://cyclist.sanspo.com/
自転車関連のニュースサイトは少なからずありますが、わたくしが見るところこの『Cyclist』がほどよく軟らかいネタを取り上げていて、入門としては最適だったものの、3月末で更新終了、今月末で公開終了となってしまいました。気に入った記事は保存しておかないと!
膨大なコンテンツから何を見ればよいかについては、トップページの新着情報に、各年のアクセスランキング上位記事がまとめられているので、まずはそちらをチェックされてはいかがでしょうか。このランキングに複数回登場する名物連載、「栗村修の“輪”生相談」では、元プロレーサー・現ロードレース解説者の栗村さんによる、素人の素朴な疑問に寄り添いつつ、前向きでユーモラスな回答が楽しめて特におススメです。

自転車探検!(保存版) https://jitetan.com/
個人が作成したものとは信じがたい、自転車についてのあらゆることを取り上げているサイト。圧巻は「自転車用語」で、ここに載っていなかったら日本語での情報は存在しないんじゃないか、と思われるほど多くの項目をカバーしています。
もともとはgeocitiesというYahoo!の個人向けサイト用サービス上で運営されていましたが、同サービスの停止により失われた後、有志が外部アーカイブから復元したものです。経緯上、新しい情報がないのは残念ですが、わたくしも、これら関係者すべてへの感謝の念を抱きつつ活用させていただいております。

東京~大阪キャノンボール研究 https://cannonball24.com/
サイトタイトルの「東京~大阪キャノンボール」とは、東京・大阪間500km強を24時間で走破するという試み。わたくしのようなぬるい自転車乗りからは信じられない偉業ですが、本サイトを運営するbaruさんは、大阪から東京、東京から大阪の双方向のみならず、東京~大阪~東京の往復もなしとげていらっしゃって、そのキャノンボール関連のお話がメインコンテンツです。
わたくし自身はキャノンボールとはもちろん無縁ですが、達成の記録のほか、これまでのルートの変遷や達成者のインタビューなどは、走らなくても非常に面白い読み物です。使う機材や飲食物などの使用レポートは、前回紹介したロングライドを試みる際には、とっても参考になるでしょう。

CBN Bike Product Review https://cbnanashi.net/cycle/
わたくしが知る限り、日本最大の自転車口コミサイト。高価なレース用機材から100均グッズの活用まで、ありとあらゆる情報が集まっています。難を言えば、情報のあまりの多さに比べてナビゲーションが弱いので、慣れないと目当ての情報にたどり着きづらいのは否めません(個人サイトなので仕方がありませんが)。
実はわたくし、かつてこのサイトにいくつか投稿したことがあります(本名ではありません。ハンドルネームは秘密です(笑))。本連載でも取り上げた機材についてですので、どこかで読んだことがある話だな、と思ったらそれです(笑)。
というわけで本連載、これにて終了です。ご笑覧ありがとうございました。よい自転車生活を!