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編集後記/「ファイナンス」令和3年4月号(通巻665号)

突然ですが皆さま、今年の大河ドラマ「青天を衝け」ご覧になっていますでしょうか。主人公の渋沢栄一氏は、大蔵省(現財務省)退官後、本邦初の銀行や証券取引所を立ち上げ、民間経済人として約500社の創業や育成に関わられました。今月号の「路線価でひもとく街の歴史」は、渋沢翁が創設に関わった第一国立銀行、証券取引所の地、「日本橋」を取り上げています。

また巻頭言では、幕末から明治、大正、昭和にかけて津波のように押し寄せる大変化に対応した日本人の創造的対応をテーマとした「イノベーターたちの日本史」の著者である米倉誠一郎教授にご寄稿を頂きました。この本の中では、冒頭大河ドラマでも第一話から登場する玉木宏さん演じる西洋砲術家・高島秋帆氏が、当時極めて高い情報感受性を持って、ペリー来航に際して開国通商により富国強兵を進めることを提言したことや、大隈重信氏が国家の対外的信用樹立のために、財政構造の抜本的改善を画期的なアイデアで進めたこと等が描かれています。

我が国が大きな危機に見舞われた際に発揮された、過去の日本人の類い稀な創造的対応には今なお学ぶところが多いのではないでしょうか。「近代日本を築いた創造的対応」という観点からもこの1年、渋沢翁を始めとした登場人物の活躍を楽しみにしていきたいと思います。

(財務省広報室長 大森 朝之)