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令和3年度財政投融資計画について

理財局財政投融資総括課長 関口 祐司

1.令和3年度財政投融資計画の基本的考え方

昨年12月8日に、(1)新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、(2)ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、(3)防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱とする「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(以下「総合経済対策」と言う)が閣議決定された。この総合経済対策においては、現下の低金利状況を活かして財政投融資を活用し、生産性向上や防災・減災、国土強靱化の加速を図ると共に、ポストコロナ時代の社会・経済構造変化に対応した民間投資を促進する政策が盛り込まれている。

(資料1 経済対策における財政投融資の活用)

これを踏まえて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「高速道路機構」と言う)による、防災・減災、国土強靱化の強化を図るための高速道路の暫定2車線の4車線化の加速や、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」と言う)による、デジタル社会の実現に向けたデジタル・インフラの整備加速や既存産業のデジタル化投資(デジタル・トランスフォーメーション)の実現のための施策やグリーン社会の実現に向けたリスクを取った果断な投資を促進するための「グリーン投資促進ファンド」の創設等、総額1兆4,341億円の財政投融資計画を、令和2年度第3次補正予算において追加することとし、その政府案が12月15日に閣議提出された。

続いて、令和3年度財政投融資計画(以下、「3年度計画」という。)も、12月21日に予算政府案とあわせ、閣議提出された。これは令和2年9月末に要求を受けた後、総合経済対策も踏まえつつ、財政制度等審議会財政投融資分科会において審議を行ったものである。

2.令和3年度財政投融資計画の規模

3年度計画の総額は、40兆9,056億円と過去最大規模である。

この中では、コロナ禍の影響を受けた企業・事業者や地方公共団体への支援、イノベーションの加速、生産性向上、防災・減災、国土強靱化などに思い切った重点化を行うこととしている。

3.令和3年度財政投融資計画の概要(資料2 令和3年度財政投融資計画のポイント)

(1)資金繰り支援や企業の成長力強化等

株式会社日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫において、令和3年度も中小事業者等の資金繰り支援に万全を期す規模の財政投融資を措置することとした。*1

また、DBJにおいて、デジタル・トランスフォーメーションの推進等を支援するとともに、ライフサイエンス産業(特に創薬・バイオ)の競争力強化が重要課題に位置づけられていることも踏まえ、「DBJイノベーション・ライフサイエンスファンド(仮称)」を設置し、日本医療研究開発機構(AMED)等とも連携して、医療分野等のイノベーションに向けた投資を加速することとした。さらに、ポストコロナ時代に向け、民間の金融機関やファンドが保有する資金・人材・ノウハウを動かしていくことが重要となることを踏まえ、民間金融機関や民間ファンドによる取組みを後押し・育成していくために、資本性資金を供給することとした。

(2)インフラ整備の加速等

高速道路機構において、今後発行を予定している政府保証債の一部を予め財政融資資金に置き換えることにより、安全性・信頼性等の向上のための高速道路の暫定2車線の4車線化を実施することとした。

また、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構において、将来の貸付料を返済財源として、長期・固定・低利の財政投融資を活用することにより、金利負担を縮減し、整備新幹線の整備を着実に実施することとした。さらに、自動車安全特別会計(空港整備勘定)においても、国際的な人の往来再開も見据えて、コロナ対策の観点も踏まえつつ、現下の低金利環境を活かし、空港インフラ等整備を実施することとした。

(3)教育・福祉・医療

国立研究開発法人科学技術振興機構において、総合経済対策を踏まえ、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデータ連携基盤の整備、博士課程学生などの若手人材育成等を推進するため、大学ファンドを創設することとした。

また、独立行政法人福祉医療機構において、新型コロナウイルス感染症により休業や事業を縮小した医療・福祉事業者の資金繰りを支援することとした。

(4)地方

地方公共団体向けについては、地方債計画に基づき、防災・減災、国土強靱化に資するライフラインや排水関連インフラなどに対し、地方公共団体の円滑な資金調達に貢献する観点から、必要な資金需要に的確に対応することとしている。また、現下の新型コロナウイルス感染症による地方財政への影響を踏まえ、臨時財政対策債の引受けを大幅に拡大することとした。

*1)補論「新型コロナ融資への財政投融資の対応」で詳述。