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巻頭言:ポストコロナ時代を形作る、コロナ禍で生まれるDX(デジタルトランスフォーメーション)

株式会社オプティム 代表取締役社長 菅谷 俊二

現在、私が代表を勤めております株式会社オプティムは、私が佐賀大学農学部在学時に創業した企業で、2015年には東証一部に上場しております。実は数多くの上場企業の中で唯一国立大学(佐賀大学)内に本店を置いた企業でもあります。そんな私達が夢中になって取り組んでいる事業とは「日本の多くの課題をDX(AI・IoT)によって解決すること」です。我々はこの取組を“〇〇×IT:(あらゆる産業)×(AI・IoT・Cloud・Robotics)”と呼んでいます。日本の産業界のリーダー的企業の皆様と協力することで、その産業を来る「第4次産業革命型」に変えようという構想です。この思いを胸に今では取得した特許の件数も476件に及んでいます。

例えば農業分野。生産者の方々と開発した世界初の技術によって、ドローンで撮影した画像をAIが解析し、必要最小限(最大100%削減)の農薬で安全なお米や野菜を作ることができます。出来た農作物はすべてオプティムが生産者価格で買い取り、高付加価値な商品として販売して、その差益からライセンス費を得ます。さらに、生産者に余剰利益をシェアしているので生産者はこの技術やドローンを無償で利用でき、所得もあがります。農業がリスクがなく、儲かる産業となれば若手の新規就農者の増加も期待できます。

医療分野では、日本で初めてスマホを使った遠隔医療サービスを提供し、コロナ禍で通院しづらい患者様の選択肢の一つとして普及し始めています。また川崎重工業、シスメックスの合弁会社であるメディカロイドが開発した国産初の手術ロボット「hinotoriTM(ヒノトリ)」のAI・IoTプラットフォームも提供しました。日本が得意とする繊細な動作が可能なロボットと先端AI・IoTテクノロジーが組み合わされば、先行する他社手術ロボットを追い抜くこともできるはずです。患者様・医療関係の方々、そして社会にとっても有用で、優しいサービスを作れる可能性が日本にはあると思います。

さらに建設土木分野ではコマツと「LANDLOG」というプラットフォームを共同開発し、土木現場のDX化を推進しています。

様々なDXを推進しているオプティムですが、新型コロナウイルス関連でも活躍しており、最近ではぐるなびと共に外食店舗内の混雑状況をAIがカメラからの映像を解析しお伝えできるサービスを始めています。リアルタイムで混雑状況をお伝えすることで、感染対策と経済の両輪が機能するお手伝いになればと取り組んでいます。コロナ禍によって私たちの生活でデジタルサービスにふれる機会は増えています。コロナは人類にとってまさに災厄ですが、数少ない良い兆しがあるとすればその一つはDX、デジタル化の浸透ではないでしょうか。

佐賀に本店を持ち地方からも日本を俯瞰できるオプティムとしては、これらのDXは地方にも恩恵をもたらすものだと確信しています。そもそも一次産業とはまさに自然に生まれる、自然の恵みをベースとする産業です。今は人の手間がかかりすぎ、儲からないと思われていますが、AI・IoTによって自動化・効率化が進めば自然の恵が自動的にお金に変わるようになります。一度も農場に行かずにお米が育ち、収穫され、自動で販売され通帳にお金が入る。自動航行する無人ロボット漁船が港を出て、魚を収穫して完全自動で帰ってくる。そんな未来は近く必ずやきます。その際に最も豊かになっているのは自然恵み溢れるDX地方です。

そんな未来を築くためオプティムは日本企業ならではのアプローチを使い、日本が第4次産業革命の先進国となる一端を担っていきたいです。