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海外ウォッチャー/「ファイナンス」令和3年1月号

英国と日本の関係強化~イノベーションと公共政策のあいだ、ウィズコロナ時代の英国政府の意外な7点~

在英国大使館 一等書記官 片岡 修平

0.【はじめに】

こんにちは、H24年(2012年)経験者採用の片岡修平です。以前は経営戦略コンサルや投資ファンドの前線で働いていましたがそこでは触れにくい(利益が上がりにくい、民間資金が流れにくい)分野でも積極的にパブリック側から支援していきたいという思いで財務省に来て早9年目(係長2年→補佐7年目)。財政金融担当の外交官を拝命し英国ロンドンに来てから2年半が過ぎました。本稿では、こちらで飛び回り出会った方々(Before Covid-19,最初の1年半で名刺1,500枚)や接点開拓の取り組み、主な出来事(日英EPA、Covid-19対応)の概要と所感、歳出に力を入れる教育や、興味深い公務員の世界の日英の違いと所感、などをご紹介したいと思います。

1.【日英EPAのイチオシポイントが、デジタル&データはどういうこと?】

日英EPA(経済連携協定)の影響で意外と見ておくべきところに、デジタル&データの話があり、ここには「イギリスと日本の間でテック企業が相互に進出しやすくなる」というトレンドが眠っていると感じています。

12月には日本でも国会で批准された(※執筆時点では不明)の日英EPA(経済連携協定)*1、これって「関税の話が多いな」と思ってみていませんでしょうか。たしかに日本の報道では、そのような印象も受けるのですが、意外と、英国の視点は異なります。

(1)英国の売り出す視点

まずは駐日英国大使館のツイート「日英EPA成果まとめ」のURL*2をご覧ください。まず第一に「デジタル&データ」が出てきていていいな、こちらの方が実感にあうなと思って見ていました。第二に金融サービス。第三に英国産ニットとビスケット。この辺にお国柄を少し感じられてほっこりします。

進出しやすくなるとはどういうことでしょうか。具体的には、もし日本のテック企業がEUに進出する場合、そこで相手方政府から「ようこそ。では、貴社のサービスのアルゴリズムをこちらに開示してくださいね」と言われてしまう。

テック企業側としては「え、いやいや、それは当社の事業のコアであり、そうやすやすと開示はできないのですけど・・・」と思いますよね。

EUを離脱したイギリスと日本との間で近々結ばれる、経済連携協定によってそのような心配がなくなるのです。

日本とイギリスの経済連携協定のルール分野の中で、ソースコード開示要求の禁止の対象にアルゴリズムを追加、とされているのが、日本とEUの間での経済連携協定との違いであり、テック企業が英日間で進出しやすくなる、ということに繋がっていきます。

(2)なぜ、英国とEUでデジタル&データの扱いが異なってしまったのだろう

日本とEUでの経済連携協定では、ブレクジット前の締結を焦るあまり、突っ込んだデジタル規定や国家訴訟規定が外されています。日本側は入れたかったんですけど、欧州へのモノの輸出(特に自動車部品)を最優先した感じです。

(というのも、TPPにタイが入れば、日EU EPAとの同等性原則により、タイから無税で欧州へ自動車部品を出せるようになるからです。ここに日本政府がタイをTPPに入れたい思惑も透けて見えるなと思います。それはさておき)

一方、EUはフランスを筆頭に大手テック企業のGAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)やマイクロソフトに比肩するプラットフォーマーが国内に居ないので、なるべく彼らをEU内需市場から排除したい論理があります。

最近、米欧データ移転に対しブラッセル(ベルギー、EUの本拠地)が訴訟を起こしたり、アイルランド、アムステルダム(オランダ)、エストニアの租税協定に対し噛みついているのはこのためです。

また、直近12月10日には、グーグル(Google)が、フランスのデータ保護機関CNIL(情報処理・自由全国委員会)から、1億ユーロ(約120億円)の制裁金(米国Googleと欧州Googleで6対4の割合で支払)を科されました*3。これはデータ保護関連の罰金で過去最高額を更新、なかば懲罰的とも言えます。

欧州Google本社がウェブサイトの閲覧履歴データであるCookie(クッキー)の利用規則の違反をしたと主張する、フランスのCNILにはEU内のGoogleに制裁を科す権利はないと主張したものの、当局はこれを退けたとのこと。この一件からも、EU及びフランスのGAFA嫌い(プラットフォーマーを排除したい思考)が透けて見えます。

(3)英国に流入するテック企業大手の動き

今後、英国が12月31日にEU離脱を果たせば(この原稿を書いている時点ではわかっていません)、相当程度に、イギリスはデジタル規則を緩めてくるでしょう。

それを見越しての動きかはわかりませんが、(ロンドンにおけるパリやブラッセルとの高速列車の発車地点である)キングスクロス駅の北側に、Googleが4000人入る新本社を建設しています。

これまで法人税の安さ(アイルランドの法人税はR&D拠点を置けば6.25%程度)によって、欧州本社を置いていたダブリンやアムステルダムから、GAFAやテック企業は本社をイギリスに移していくのではないかと見ています。

英米EPAもおそらくデジタル協定においては日英EPAと同程度でしょうから、これからグローバル展開していく企業も、既存で英国にいる日系企業にとっても、データ管理は、EU側ではなく、5EYES(英米加豪NZ)側に入った方が楽な気もします。

2.【デジタルってそんなに大事?資源の最適化、英国の地方発の例】

本稿をお読みいただいている方の中には、デジタルってそんなに大事なことか?民間の話で政府とは関係ないのでは?と思われる読者の方も多いかと思います。私見では、(日本や英国をはじめどの国でも似ています)変化の大きい情勢下、人数も給与も増やせない行政機構の資源配分には限界があり、国民ひとりひとりの心身健康のケアから経済対策まで、やることなすこと幅広い中、どうやって資源の最適化をしていくか、その手法としてのDX(デジタライゼーション)は、無視して通れる話ではないのではないか、と考えています。

(1)英王室領ジャージー政府の象徴的な例:小国の生き残り策、資源の最適化、歳出抑制、GDPよりWell-Being

ロンドンから南に飛行機で70分ほど飛んだところに、英王室領ジャージー政府(ジャージー代官管轄区)というところがあります。人口はわずか10万人。温暖で風光明媚、自然豊か、都市国家っぽさはまるでない。しかし一人あたりGDPは6万ポンド超、イギリスや日本の1.5倍、シンガポールや米国に比肩する水準、経済的に成功をおさめている国・地域です。

女王を君主として外交や防衛を英国に頼るものの、英国の国内法上、連合王国(United Kingdom)には含まれない。独自の議会と政府を持ち、内政に関して英国議会の支配を受けない。独自の法を制定し、税制も独自、海外領土や植民地と異なり、高度の自治権を有している。EUにも加盟していない。ロンドンにいわゆる大使館機能(ジャージー政府ロンドン事務所、8名ほど)を置いていて、ほぼ独立国家という状況です。

写真2-1:ジャージー島、セントブリレーズベイの光景

ここの渉外担当ブラッドリーさん、在英企業の友人をきっかけとして知り合い、DX(デジタライゼーション)の話をした際に意気投合、うちはまさに危機感もってそういう点に取り組んでいる、観光でもいいところだからぜひ来てくれ、政府関係者も紹介するよ。ということで自腹で休暇をとって、ものは試しと行ってみたのが始まりでした(2019年9月)。

元々は一次産業が強く、日本でも有名な濃いジャージー牛乳の発祥地、世界中のジャージー牛の血統は元をたどると全てこのジャージー島にあるのだそう。まずバター、オイスター(牡蠣)、そしてジャガイモを筆頭とした野菜類のEU圏への輸出(今もロンドンの高級スーパー・ウェイトローズで見かけます)が昔から今でも主力の一つです。

数十年前に、金融・資産運用業を国の産業の軸にしようと、法人税を下げて(法人税0パーセント、銀行・資産運用業は10%)、政府担当者自ら、ロンドンの金融街に営業をかけて銀行・資産運用業を三十数社誘致してきました。その結果、名だたる機関はだいたい拠点があります。

しかしながら、英国からの居住には制限を設けました。10年以上ジャージー島で生活した経験がないと土地建物を買えないようにしたのです。するとシンガポールのような都市国家の発展とは対照的に、自然を非常に多く残しながら、ロンドンで財をなした富裕層(主に金融関係者)の老後の住まいとして、ゆっくりとしかしGDPを大きく伸ばしながら発展をしてきたのです。

しかし近年は新たな問題が発生しています、若者の流入は少なく、富裕層を審査して受け入れてきた背景から、英国本土以上に、高齢化は進み、地縁・血縁のない方々も少なくないことから高齢者の孤独が社会問題化してきました。当然、島に病院はありますが、各個人宅で発生する体調不良を早期発見するほどのリソースはなく、運ばれてきたときには重症化しており医療費も増大傾向に歯止めが効かない、少子高齢化の進むどこかの国でも聞いたことのある社会課題です。

ここにも素早く取り組んだジャージー政府、組み合わせたのは「スタートアップ」、「郵便局員」と「病院」でした。地域ケアにまわるケアワーカーさんのリソースは全く足りない。しかし郵便配達員は毎日のように各戸を訪問している、それならば!と。

ジャージー島発のスタートアップ企業が作ったアプリをダウンロードしたiPadを郵便局員に持って回ってもらう試行を政府は協働で始めました。そのアプリはとても簡単。毎日、島民にYes/Noのクローズドな5質問をして入力(昨日は眠れましたか、3食ごはんたべましたか、痛いところはないか、他の人と会話をしましたか、など)。郵便局員の手間はそれを聞く30秒のみ。もし回答でNoが続く場合は、島の総合病院にアラートが届き、優先順位を決めた上で、あらためてケアワーカーさんがやってくるという構図です。

これを政府の補助金でやっているわけではありません。スタートアップ企業が元々想定していた毎月7ポンド(約1000円)の費用を利用者が払い、病院にある医療データとの接続・二次利用に承諾した島民だけの民間サービスを用いた試行です。ここで政府の重要な役割はスタートアップ企業の信用補完(いわゆるお墨付き)および、病院・郵便局などパブリックセクターとの調整、速やかな試行スタートを後押しすることにあると私は考えています。

結果として、郵便局員との会話機会がふえることで、孤独で鬱病に陥る高齢者の数は減り、重症で運ばれる高齢者の数も減ったのだそうです。

かつてタックスヘイブンと揶揄されながらも金融・資産運用業を誘致して、高いGDP成長を誇ってきた政府が、いま、(歳出の抑制も兼ねつつ)島民のWell-Being(ウェルビーイング)に舵を切ってきて成功し始めている点、非常に興味深いです。彼らは今後、英国本土の他地域への輸出も考えているとのこと。

写真2-2:郵便局員が島内の高齢者を戸別訪問する様子。

税率が低いからフェアではないという声もありそうですが、彼らはタックスヘイブンと呼ばれることを嫌がります、世界に売って出られる強い自国産業を持っているのだと。このほかにも決済関連では、世界中(146カ国・126通貨)で広く普及している小売店のクレジットカード読み取り端末WorldPay、(今は買収されて米系企業ですが)これもジャージー出身起業家による企業(1997年創業Nick Ogden氏)で、地元の誇りとなっているほか*4。輸出関連では、郵便事業を元に国際物流及び物流のデジタル化支援と多角展開するJersey Post*5という企業も世界的な規模になっていて大変大きい存在感です。

(2)英国政府の例:新型コロナ下で、800件の地方発ビジネスの後押しコンペ

新型コロナウイルスが猛威をふるった第一波とその辛いロックダウン(3/23―7/4)の中、一時帰休など大型の経済対策の合間に、4月3日及び5月20日に、小さくとも民間スタートアップ企業の力を借りて政府が後押しする動きもありました。それが、英政府とInnovateUK(革新的技術を持つ企業の英業界団体)が協働して投資する「Fast Start Competition」(4000万ポンド、約56億円)*6です。

これは自力でVC(ベンチャーキャピタル)から調達できるようなピカピカな最先端技術というよりは、データを活用して低廉・遠隔で、中小の事業性融資検討、低廉な映画館宣伝支援、医学部生の実技練習支援、牧場の肉類直販支援など、このコロナ下でも地域経済や中小企業を支えられる筋の良いビジネスアイデアへ1件700万円前後の初期投資という側面が強い印象のもの。

・GFA Exchange–英バーミンガム発フィンテック企業の同社は、銀行/消費者金融が自前で融資判断を行うのが難しい、コロナの影響下の中堅中小企業を、機械学習技術を駆使して分析。「どこを見て、どこまで貸せるのか」資金供給の課題に直面する銀行/融資企業の判断能力向上を支援するデータインテリジェンスを開発・提供。https://www.gfaexchange.com

・Screen Moguls–映画の宣伝マーケティング専門家である同社は、コロナの影響下で苦境の単館・独立系映画館の「小規模予算であっても」洗練されたデジタル・マーケティングのキャンペーンを可能にする”GO.CINEMA”という商品を開発・提供。https://screenmoguls.com

・Drink Tech Limited–地域のコンビニエンスストアのためのオンライン上のマーケットプレイスとデリバリープラットフォームの開発と構築。(2017年設立、スコットランド登記済、企業HPなし)

・I3d Robotics–医学生が遠隔で技能を向上させること、そしてシミュレーションで手術を実施することを可能とするための、VR(仮想現実)のトレーニング・教育プラットフォームを構築。http://i3drobotics.com

・Volunteero Ltd–地域のコミュニティを繋げるソーシャルメディアのアプリを開発し、ボランティアの人々が、近所で最も援護を必要としている人々に支援を向けることができるようにする。(2020年4月設立、イングランド登記済、企業HPなし)

・Elchies Estates Limited–COVID-19により閉鎖を余儀なくされた昔ながらの直売市の代替になる新たなバーチャル農産物直売市を構築し、地域のビジネスや農家が農産物を販売できるプラットフォームを提供。具体的には、アルパカ・ヤギ・ヒツジの牧場が、その皮革製品・肉類を直売するローカルビジネスを支援。http://www.elchies.co.uk

この「Fast Start Competition」には8,600件以上の応募があり、800件以上のプロジェクトに投資配分がありました。その企業例はロンドンに限らず地方発も非常に多く、あれだけロックダウンが大変であった4月5月に、迅速にアイデアを募集して、よいものを発掘し、投資を決定したこの動きは、非常に優れていると感じています。

(3)日本への示唆:新型コロナ下で資源の最適化・30代以下が4週間で360件を届ける

上記のような潮流は、英国だからできるという特殊なものでは決してなく、日本でもその萌芽は出てきているように感じます。注目して見ているのは、30代以下が迅速に動いた、ミレニアル世代を軸としたシンクタンク・一般社団法人Public Meets Innovationの「新型コロナ危機をアップデート機会に変えるアイデア・提言」*7プロジェクトです。

彼らは、国家公務員、弁護士、イノベーター等が協働しイノベーションに特化した政策を社会に発信するのを本分としているのですが、情報共有サイトを参加者と創り上げようと言い出してからというものあっという間に、施策の出口となる賛同団体(渋谷区、神戸市、福岡市、徳島市などの自治体)のほか、賛同企業(Global shapers Community TOKYO、PLUG AND PLAY JAPANなどのアクセラレーターほか多数)まで多様なステークホルダーと連携を決めていました。素晴らしい巻き込み力です。

写真2-3:賛助団体(新型コロナ危機をアップデート、PMI)

さらに毎日のように投稿数が伸びている。具体策をグーグル・スプレッドシート*8を用いて、公開しながら集めていくのを見て、このような動きが日本でも若手発でできているのかと、心強く感じました。

霞が関の中だけで、「各府省庁への作業依頼」を行うだけでは見られない効率の良さの要点として、上記のような、「関係者の巻き込み力」「公開ツールの使い分け」のほか、「依頼時の類型化・整理学の巧さ」も挙げられます。

●個人を構成する5分野(仕事、生活、娯楽、教育、医療)

●3つの時間軸(AGAINST コロナ=自粛要請期、WITHコロナ=コロナの存在を前提にしつつ長期的に再拡大防止に配慮して生活や経済活動を継続する状態、AFTERコロナ=コロナが収束した後の社会への提案)

●3つの手段(Policy=制度やルールで解決、Tech=技術で解決、Culture=慣習や文化を変える必要)、などの型を提示することで、提言が集まりやすくなる点も勉強になりました。

この結果、英国と同様に日本も感染拡大で大変であった4月13日~5月15日の約4週間で360件の事業アイデア*9が集まると同時に随時公開、精査した案も公表し、特に地方自治体とスタートアップ企業の繋ぎ手となったのだそうです。

写真2-4:投稿アイデアサマリー(国の個人口座、受診前相談)
写真2-5:投稿アイデアサマリー(国会図書館デジタルコレクション活用、有事の際の個人スキル共有)

前述の、ジャージー政府とスタートアップ企業の結びつきで資源の最適化を行った例や、英国政府が地域発ビジネスを発掘・後押ししたコンペティションの例のように、こうしたクイックな動きが、地域の社会課題を解決する方向に進んでいけば良いなと切に願っています。

3.【そんな事までパブコメ?官民の距離感が柔軟な英国政府】

(1)外資投資規制

11月11日、潜在的に国の安全に脅威となる海外からの直接投資(FDI)に対する政府の調査及び介入の権限を強化する国家安全保障及び投資法案*10を提出したのですが、ここの今後定義するというところの考え方が興味深いところがありました。

そのポイントは、

●ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)内に投資安全保障ユニットを置き、監督する。投資家・企業は政府の専門ユニットに対して専用のデジタル・ポータルを通じて取引を通知しなければならない。BEISはこれを30日以内に審査する。

●通知を義務付けられるのは通信ほか17部門に関する取引*11。どのようなタイプの取引に関して通知を義務付けるかは今後定義する。土地や有形動産、知財なども法案が対象とする資産になる。

●取得株式数の制限や情報へのアクセスの制限、特定の場所や業務へのアクセスの制限などに踏み切ることがある。制裁は罰金(世界の売上高の最大5%か1千万ポンドのうち大きい方)や最大5年の禁固刑。

というものでしたが、「どのようなタイプの取引に通知を義務づけるか」という結構コアなところを、今後のパブリック・コメントを経て決めていくのだと公表していました*12。一応安全保障の目的でやっていることだけど、こういうコアに見えるところも官民の対話で調整していくことがあるのかと感慨深く感じられました。

また、こうした政府による変更がある場合、日本では大事のように報じられることも少なくないものの、当地の反応は冷静沈着といった様子です。報道で大きく長期間取り上げられることもなく、経済金融を所掌とする在ロンドンの外交官の知人に聞いた感触でも「本国(EU代表部)は見ているだろうが、心配をする話ではないと考えている。私としても何か情報収集に動こうという位置付けではない。(企業や投資家にとって)政府へ通知する手間は少し増えるだろうが、実際に政府に干渉され止められてしまう案件はごく僅かだからだ。」、「本国(カナダ)は年金基金を通じて英国に多額の投資をして存在感を示してきているため、実はこの投資スクリーニングについての話はだいぶ前から聞いていた。心配をする話ではないと考えている。投資と国家安全保障のバランスを取る必要性は私たちの視点からも理解できる。」などという感触でした。

(2)デジタル課税

思い返すと、デジタル課税の線引きも素晴らしく、2018年秋季予算の公表時に「デジタル課税を英国でやる」と決まってからの動きが早かったです。たしか年明けた2019年冬頃に、縁あって英財務省の税担当と話す機会があった際に、尋ねてみたことがあります。

当方 『英国のデジタルサービス課税(以下、DSTという)、って、まぁ対象として考えている事業は書いているとおり、(Googleとかの)サーチエンジン、(Facebookとかの)ソーシャルメディアサービス、(AmazonやAppleとかの)オンラインマーケットプレイスとか*13、いわゆる大手テックファームを対象としたい話であって、英国内で成長中のテクノロジースタートアップとかから取りたいわけではないよね』

先方「そうだね」

当方「私は結構、英オカド*14も使っているのだけど、こうした英小売業もマーケットプレイスに当たるかわからないが、ここからも多分取りたいわけではないよね。」

先方「わかる。そこも線を引かないといけないと思う。」

当方「あくまで私見だけど、DSTの対象として考えられるのは、外資の大手テックファームとかせいぜい30社とかそれくらい?」

先方「まぁ、そんな感じになるだろうね。多くはないよ。いずれにしてもConsulting(いわゆるパブリック・コメント)してからだ。今はなんともわからないよ。」と。

こういって、2020年3月に公表された草案*15は、いよいよ4月1日から実施しますということとともに、DST(デジタルサービス税)は、英国のユーザーにソーシャルメディア、検索エンジン、オンラインマーケットプレイスを提供しているグループが、「グローバル全体での収益が5億ポンドを超え、うち2,500万ポンド以上が英国のユーザーからの収益である場合」に、グループの収益がこれらの閾値を超えた場合、英国のユーザーからの収益は2%の税率でDSTが課税されることになっていました。

これは結果として、英国のテックスタートアップの殆どが当てはまらない収益水準の線引き*16。官民できちんと対話してよい水準を作るのはどの国でもしていることと思うものの、個人的には一層の好感触でした。

(3)シェアエコVAT課税

12月9日、英国財務省がシェアリング・エコノミーに関するVAT(付加価値税)の課税上の課題について、Public Consultationを開始*17しました。これも実に柔軟なパブコメです。今回、英政府の考える主要5分野(Uberの提供する旅客運送やAirBnBの提供する短期宿泊滞在ほか)の事業規模拡大に伴い、付加価値税(VAT)の課税ベースが侵食され、競合となる従来型の事業者(タクシーやホテル業界ほか)との競争条件が歪められ、海外に本拠を置くデジタル・プラットフォーム・サービスの提供者が国内の同様の事業者に比して非合理的に競争上有利になる、と問題意識を背景に行われるものです。質問項目が、政府推計以外の市場規模や、政府が見落としているビジネスモデルや売上げ規模の階層について実態を尋ねる形式でわかりやすく、回答期限は2021年3月3日まで、まさに英国の事業者の意見を取り込もうという意欲が伺えます。

4.【“官民の回転扉キャリア”、“若い幹部”、“98%遠隔”英国公務員の世界】

(1)官民の回転扉キャリア

ここ2年半の中で、私のカウンターパートとなる英国財務省の日本アジアを見る担当(Policy Adviser,Global Economics)は3世代目に代わっています。一世代目はオックスブリッジ卒で新卒すぐ、1年ほどで金融部局に別のポストを見つけて異動。2世代目は二人、英国のある地域大学を出てGap yearとして商工会議所/国際NGOでインターン後に新卒入省、彼らも金融部局に別のポストを見つけて異動、現在の3世代目の担当とは新型コロナ下での交代だったので仕事はお願いしつつもまだ会えていない状況。(コロナ前までは積極的に、当方主催レセプション機会(日本を知ってもらう場)を作って、招待して近況交換をしていました。)

英国財務省は、日本の財務省と似ていて、本省が1300名程度の定員、新卒FastStream採用で毎年20~30人前後入っているようです。応募の前提は新卒も経験者も、英国かEEA欧州経済領域か英国のコモンウェルスの国籍保持者で大卒以上、あとは個別のJob Descriptionsによります。

Policy Advisor(日本の係員/係長級のイメージ)として入って、初任給は年28,500ポンド(約395万円)、1年半後に評価が満足いく水準であれば年32,320ポンド(約448万円)、3年後には37,900ポンド(約526万円)という昇級イメージ*18を提示しています。

しかしながら近年、公務員人気の低下傾向もあるというところまで日本と似ています。よいUnder Graduateをよい成績で出て入るのが大勢で、オックスブリッジ卒が多くを占めていたのですが、いまは新卒のFastStream採用でも経験者採用でも幹部においても非オックスブリッジ卒が増えていると(財務省や内閣府のみならずイングランド銀行でも)聞くところ。英国でシンクタンクに転じた国家公務員から、英国公務はますます優秀な人材を獲得できなくなっている原因について尋ねてみると、「何より給与の問題がある」とのことです。

現在、Fast Streamで英国公務に入った場合、初年度の年収は3万2千ポンド程度であるが、商法を専門とする弁護士であれば5万ポンドを超える。また、この給与差は、最終ポストでさらに圧倒的な違いとなる。現在、事務次官の年収は16万ポンド程度(約2233万円)だが、民間企業のトップはこの10倍どころではない給与をもらっている。近年、この官民の格差がどんどん広がっている、このため、例えば、デジタルや金融といった分野で専門人材を国家公務員として採用しようと思っても、意中の人材は、その上司となる国家公務員の何倍も民間で稼いでおり、生活水準が異なるため、そもそも勧誘するためにランチに誘うことすら難しくなりかねないという状況があるのだそうです。

日本と決定的に異なるのは、(終身雇用ではないのは知っていましたが)、年次という概念がほぼない点。「能力あると評価されればFast Streamじゃなくてもどんどん偉くなるし、能力がないと思われればFast Streamでも偉くならない。」、「自分でキャリアをつくっていくのは非常にシビアな面もあるが、やりたいこと・行きたい方向に進める」ということを複数の公務員から聞きました。国際機関のように空席補充の公募を経てキャリアアップしていく仕組みには醍醐味がある一方で、色々な職種がやってみたい等、まだ確たる自分のやりたい分野を定めておらず、日本におけるジェネラリスト・総合職のような動き方を求める人には厳しい環境と言えるかもしれません。

(2)若い幹部、多様な出身

調べてみると事務次官がとても若いです。年次の概念がないなと感じます。

●英国政府の事務次官の年齢(2020年11月現在)*19
内閣府事務次官:52歳
財務省事務次官:51歳
外務・開発省事務次官:57歳
内務省事務次官:52歳
国防省事務次官:53歳
ビジネス・エネルギー・産業戦略省事務次官:38歳
環境・食糧・農村省事務次官:53歳
国際貿易省事務次官:46歳
運輸省事務次官:56歳
雇用年金省事務次官:51歳
保健社会省事務次官:52歳
住宅・コミュニティ・自治省事務次官:47歳
北アイルランド省事務次官:55歳

あと、財務省の組織図を作っていて気がついたのですが、とても1ポストが長い。そして事務次官手前のDirector General(総局長級)の主要な4人のうち2人は他省庁出身、1人は民間出身だったりと幹部でも多様なことにもなかなか驚きました。女性も多い。

・トム・スカラー財務事務次官は現職を約7年、その前は副財務次官を約5年、国際金融審議官1年、首相秘書官1年、ワシントン6年(IMF・駐米英大)など。

・チャールズ・ロックスボー副財務次官は現職で約4年、その前は金融局長を約3年

・キャサリン・ブラディック金融局長*20は現職で約6年、その前はイングランド銀行内の健全性監督機構:PRAでプルデンシャル政策担当Directorを2年、その前は金融行為規制機構:FCAで11年(環境省出身、英国保険協会を経て2001年にFCAへ)。

・マーク・ボウマン国際局長は現職を約7年、その前は国際開発省の人道・安全保障・紛争・国際金融担当局長を約2年(財務省出身)。

・ベス・ラッセル税厚生局長*21は現職を3年、その前は、所得税・年金課長4年、財務大臣秘書官2年(雇用年金省出身)

・キャット・リトル予算局長*22は、現職は着任したばかり、その前は国防省の総合財政Director 3年、法務省の財政パフォーマンスDirector 4年(大手会計事務所PwCの出身、2013年に英政府へ)

公表ベースでその待遇は、財務事務次官は年185,000ポンド、副財務次官は155,000ポンド、他局長が130,000ポンドほどと*23公表されているものの、少なくとも最近の人事では、金融局長経験が副財務次官・財務次官への流れになっているように見えるのもまた興味深い。

前述のシンクタンクの人いわく、こうした幹部ポストも英国国家公務員内外への公募となってはいますが、次官や副次官になるにはその前の局長級の経験が必要、局長になるにはその前の課長級以上の経験が必要となるため、あまりシニアな幹部で突然外部から公務まったくの未経験者が来ることはさすがにあまりないのだそう。リボルビングドア(回転扉)のような英国公務員の世界ですが、様々な方の経歴を見聞きする中で、補佐級から課長手前までが実質的に出入りがおきるところの上限なのかなとも思います。

最近、英財務省から募集があり、Shuheiも受けたらどうだと知人から薦められた(※国籍要件に入りません)日本の課長補佐級に当たるSenior Policy AdvisorのPayment and FinTechは、年52,500–57,500ポンドというところ(約729万円~798万円)でした。

英国で普及する決済周りの金融テクノロジーの規制の策定と業の促進に携わるということで、公務員の割には、民間で裾野の広い分野ゆえなかなか人気がありました。このように専門性一本釣り経験者採用で入るのが英国政府全体で約半分程度はいるとのこと、省庁間を跨いだ転職も一般的であり、外務省などを除けば、最初の入省時の省庁も最近はあまり意味がなくなってきているようです。

(3)98%が在宅勤務、コミュニケーションの度合は、情報格差はあるのか

英国家統計局によれば依然98%の職員が在宅勤務をしており、コミュニケーションの99%がオンラインである。しかし「情報格差」は一切ないという統計も出ていました。英財務省や英外務省にそれとなく在宅率を尋ねても、「もう本当にオフィスには行かない」、「正確に数えてないけど、出ているのは、警備の人と、大臣に説明するときだけシニアな幹部くらいではないか」と言うのである(なお、その幹部への若手からのレクはオンラインである。付き合って出勤している者はいない。)

英国公務員はなぜそんなにできるのだろう、一つの仮説は、終身雇用ではない、わりとすぐ民間転出あるし、出戻りも他省庁ポスト転職もある、ゆえに過度に気を遣わないでよいという点がありそうです。

今は新型コロナ下で、オンライン面会のみなので、課長が外部と意見交換するときにメンバーを5人くらい聞かせておいているという例もありました。

他方で、1を聴いて先を読んで10の行動が出来る優秀な人がいるのが日本の霞が関。これは凄い。コミュニケーションの密度は圧倒的。私は入省直後に、上司の電話を近傍の席で聞き耳を立てるのもキャリア若手の仕事のひとつ、トイレ以外は席を立つな、などと言われていました(今はどうなのでしょう)。

在宅勤務だと情報格差があるのかないのかは受け手の基準にもより、日本人の完璧主義に対応できるほどの密度ではない、が英国政府としてはそれで回っているし困っていない、ということなのかもしれません。

5.【アントレプレナーシップの育成(企業支援か、個人の生業支援か)】

アントレプレナーシップ(起業家精神)の育成は、英政府で省庁横断の大きなテーマになっています。新産業の育成は大事、国内で選抜・育成という思考のみならず、海外からも呼び込むという思考。またキラキラ優秀なスタートアップ支援のみならず、地域コミュニティにおける(例えば飲食サービス業などの)小さな創業も意識しています。これは、大企業における雇用の余力が落ちてきている中、普通の人でもきちんと稼いでいける仕組みの構築を国として後押ししていく必要があるということなのではないかと思います。国のGDPをどう成長させるかよりも、個人のWellBeing、企業向け支援もさることながら雇用創出そのもの、個人の創業支援にもフォーカスしていく、そんな方向性が、今後の他国の政府においても出てくるのではないでしょうか。

(1)民間の有力VCと連携した起業家ビザ*24、海外拠点も使う英政府の無料相談所

これは英DIT(国際貿易省)の所管ですが、英国における有力なVC(ベンチャーキャピタル)と連携して、彼らも目利きにかなって5万ポンド以上の出資を受けた者に英国入国のためのTier 1(起業家)ビザ申請をサポートするという、特定のシード・コンペを承認しています。海外からの呼び込みも含めて、英国はG20の中でも法人税率が最も低い国の一つで、48時間以内に会社を登録することができ、労働力はヨーロッパで2番目に大きい等の特徴を謳いつつ、もう340社を誘致支援した、1,000名以上の雇用創出効果があったというDITが相当親身になって事業者の英国進出相談に乗ります。DITの中にはヘルスケアテックやフィンテック(金融テクノロジー)など産業毎の担当や国別担当がいてマーケティングと支援に熱心。日本においても、駐日在英国大使館の中にFCDO(外務開発省)からのスタッフのほかDIT(国際貿易省)のスタッフが常駐しており、テクノロジー企業の英国進出については無料でかなり密な相談に乗ってくれる仕組みがあり、ここで支援を受けたという企業の方にロンドンでお目に掛かることもたびたびありました。省庁横断で在外公館の機能をも使って英国への呼び込みを強化しているよい事例だなと感じます。そうした動きを少しでもトレースできないかと、英国政府のこうした方々や英国の金融テクノロジー企業(日本に関心を持ちそうな社)を招いて当館にて、英国の先端的金融テクノロジー(フィンテック)企業・英国政府向け 日本の新事業促進政策セミナー及び英日投資連携ネットワーキング~(英国)*25を、企画・運営したところ、大変好評で、強い需要を感じることができました。この取り組みは、大使館としてこれまでなかった接点を多く獲得した点などで、2019年の外務省経済局グッドプラクティス表彰を受賞しています。

写真5:英国の先端的金融テクノロジー(フィンテック)企業・英国政府向け 日本の新事業促進政策セミナー及び英日投資連携ネットワーキング~の様子

(2)財務省による若者(現場系)雇用支援や、地域コミュニティ創業支援

英国政府が力を入れるのはスタートアップ支援ばかりではありません、こうしてできあがる新たな産業については創業する人たちばかりではなく、雇用されて働く若手も大変重要です。また、大卒ホワイトカラーのみならず、建築や製造業をはじめとした現場系の職業につく若手の職業機会をつくることも重要で、英国財務省が11月12日にリリースしていたのは若手雇用支援のキックスタートスキーム*26です。これは、16歳から24歳の若者を対象に、29人以下の求人を提供する小規模企業向けの雇用支援策。政府は、年齢に応じた全国最低賃金、国民保険料、週25時間分の年金保険料を100%負担(雇用主へ支払い)。6ヶ月の間、若者は定期的な賃金を得ながら、職場での自信と経験を積むことができるもの。キックスタートに参加した若者は、就職支援や訓練を追加で受けることができ、雇用主はこの訓練やその他入社費用を賄うために1,500ポンドを受け取ることができる。このスキームでは、英国全土の雇用主から4,359件の応募があり、技術、建設、通信、フィットネス、メディアなど幅広い分野の仕事が募集されていて開始から1週間で19,000人以上の雇用を支援できたというさい先の良いスタートを切っている政策です。

また、これまでのように都会の大企業中心に十分な雇用を生み出せない中、地域コミュニティにおける創業も重要視されています。例えば、ロンドン南部にはPoP Brixton*27という、よく入れ替わる個性的なお店(飲食・物販)が長屋のように連なり陽気な音楽の流れるエリアがあります。新進気鋭の飲食店の登竜門のような存在で、お客さんは場の力で多いからクイックに挑戦・失敗できる。ロンドンの中心部では賃料が高くて創業失敗して撤退するときに借金を背負ってしまいがちですが、ここであればスモールスタートできる、ラーメン屋を一つはじめるにしてもどんなものがウケるのか、肌身にお客さんとのやりとりを通じて学び取れる。ここを卒業して英国に何店舗も進出できるようになった飲食店も多数あります。こうした分野では地方自治体への資金供給を通じて、支援しているようです。地域のスター店舗を生み出すコミュニティ作りに他の自治体も注目している例です。

6.【英国の“グリーン”への執念~自転車道強化、ガソリン車禁止~】

最近、11月18日、突然、2030年から燃料車(ガソリン車・ディーゼル車)の新車販売禁止*28というずいぶん踏み込んだ、首相発言がありました。

これを読むと、燃料エンジンのみを搭載した乗用車や商用車の新車販売は2030年から禁止、ハイブリッドモデルは「排気ガスなしでかなりの距離を運転することができる」場合に限りさらに5年間(2035年まで)販売することができる*29、とジョンソン首相が述べています。その「かなりの距離」がどの程度になるのかはまだわかっていないところ。これを素直に解すれば、「一定の条件を満たさないハイブリッドは2030年で禁止」というように読めます。詳しい条件が不明なものの、記者の感触を聞いても「おそらくプラグインハイブリッドのようなものしか認められないのではないか」。「せいぜい英国で製造しているトヨタのハイブリッドまでで、マイルドハイブリッドは対象外になるのではないか」というところ。業界とも調整した上で発表しているようですが、いずれにせよ、各国の情勢と横比較しても英国はかなり厳しい規制なのは間違いないという印象です。

投資ファンド関係者と話した際に、これまでも自動車部品などの製造業のうち、エンジンなど燃料車に特有なものの株価は伸び悩み、窓ガラスや軽量素材など電気自動車でも共通のものの株価は上がるという動きがあり、今後もその傾向は続くだろう。自動車産業に関連する、保険テクノロジー(InsTech)にも少なからず影響が出てくる話かと思います。

グリーンといえば関連して、3月23日から続いていた英国の初回ロックダウン、その後7月4日に店舗が開くまで外出が制限され非常に苦しい期間でしたが、このような中でも5月9日に、一部緩和見込に関連して、英国政府が、自転車と徒歩を交通政策の中心に据えた20億ポンド(約2,647億円)の交通インフラ整備パッケージを打ち出していました*30。

詳細は後ほどとしつつも、2025年までに自転車の利用を2倍にするとともに徒歩での移動を増加させる方向性と、まず250万ポンドを投じて自転車や徒歩移動の安全性を向上させる緊急措置(自転車レーンの整備、歩道の拡張、自転車及びバス専用道の整備など)を打ち出していました。その後7月27日に、イングランドの自転車・徒歩交通計画Cycling and walking plan for England*31としてリリースしていました。

公立小学校が再開となった6月9日から、平日毎朝自転車で子供を学校まで送っていたのですが、自転車専用道の整備はめざましいものがありました。車道をまるまる一車線つぶして自転車専用道にしていくので、テムズ川に掛かる元から4-5車線あった太い橋でもちょっと朝夕は交通渋滞、排気ガスもくもく気味な状況です。

写真6-1:自転車専用道の様子

元から道が狭い金融街シティでは、95%近くが在宅勤務でオフィス需要なく飲食店もしまってゴーストタウンのようになっていますが、ここも車道が狭くなっています。健康診断に久々にシティに移動したある日、配車サービスUberのドライバーが「住居も少なく自転車通勤需要もないこんな中心地域にまで自転車専用道を作るなんて、狭いし混むしいいことがない」と言っていたのが印象的です。何かをやるときは必ず軋轢は生じるもの。とにかく、やると決めたら突き進む、特に環境に関する執念はすさまじいものを感じます。

自転車専用信号もあり、青になったら往来4車線を斜め横断するという少し大胆な仕組みもありました。

写真6-2:自転車専用信号

7.【英国の初等教育~8割ノンネイティブの世界、宿題に時間をつぎ込む親たち~】

写真7-1:小学生も中学生も子供の世話にかかる時間が1日2時間越え、40年前と比べて倍増している

(1)8割ノンネイティブ、読み書き算数1日2時間

10月3日付のエコノミスト誌*32における「英国における母親が小学生の子の世話につぎ込む時間が1日2時間超」というグラフを見て、「わかる!」、うなずきすぎて首がもげそうになりました。公立小学校ながら、とにかく宿題が多く、真面目にやるとたしかに毎日、計2時間ほどかかります(毎日異なる絵本1冊音読、感想4行英作文、単語テストの書き取り練習、算数プリント、算数のオンライン自習サイトを週100問以上進めるなど)。

私の場合、子が4歳の9月から、家から近いロンドン・ウエストミンスター区のある公立小学校(State school)の準備学級(いわゆる小学校付属の幼稚園)、5歳の9月からYear1(小学1年生)、6歳の9月からYear2(小学2年生)へと通ってきました。ほかに、欧州ジョージアからの外交官の子や、イタリアからの外交官の子もいます。担任の先生に聞くとノンネイティブの子が8割を超えるのだという。登下校の付き添いは12歳までは必須であるため、自分は朝の送りを毎日と、定時で帰れる時に宿題対応をしています。

写真7-2:朝の様子

同記事には、イギリスでは、Year1(小学1年生)すべての子供たちは、10年前よりもフォニックステスト(Phonics:綴り字と発音の規則性を明示する単語の学習法)*33でより良い学びを得ている、とあるとおり、入学当初は先生の言う指示の理解もよくわからない子たちがメキメキと読んで喋れるようになっている背景には、学校側のカリキュラムとそれを補わせる家庭の宿題の影響が大きい(ただし宿題を完遂する親子は2割ほどでほぼ手付かずの親子が多数派、クラス内での学力差にはバラつきが見られる)と考えています。

写真7-3:そもそも見にくい時間割。縦軸が曜日で、横軸が科目の時系列。毎日フォニックスはある

(2)1年6学期、定期テストはなく週次で進捗を見る

英国の学校は1年で6学期(6 terms)に分かれ、夏休み、冬休みと、10月、2月、4月に1週刊ずつハーフタームと呼ばれる休みがあります。そして中間テストや期末テストのような定期テストがない。その代わり上述のとおり宿題が多くなっています。

約3,700人を対象としたある調査では、大学受験資格を持っていない親の30%がロックダウン中に在宅学習を手伝って1日に少なくとも2時間を費やした一方で、その割合は、大学の学位を持つ親の28%よりも少し高いだけで大きな差がないことがわかった(両親は誇張して調査に回答した可能性もあるが)。

英国の2人の社会学者Sait Bayrakdar氏とAyse Guveli氏による別の研究では、子どもたちがどれだけ宿題をしたかに最も大きな影響を与えたパラメータのは、両親の教育水準(大卒か否か)ではなく、そもそも学校がどれだけの宿題を割り当てたかであることを発見したとある。

宿題が多いことには一定の合理性があるのかもしれません*34。余談ですが、英国公務員らしく回転扉のように、先生方はよく入れ替わります。12月の冬休み前には、半数ほどの先生が(求めるキャリアに近いポスト等で)転校するお知らせが保護者に届きます。直近7月の夏休み前には、校長先生の交代と同時に十数名いた先生方がまるっと総入れ替え(でも熱意あるいい人)で驚きました。1年生当時の担任の先生は、夫がLSEの研究者で、ザンビアで数か月滞在後、今はニュージーランドに転じて教師をしていると聞きます(コロナ下でも凄い移動距離!)。

(3)カリキュラムに各校の裁量

医療と並んで教育への予算は、英国民の注目度も高いです。2019年のSpending Round*35では、総額だけではなく、すべての子どもに素晴らしい教育を提供するために、学校に対して資金を供給。この結果、2020-21年までにすべての中学校に生徒1人あたり最低5,000ポンド、2021-22年までにすべての小学校に生徒1人あたり最低4,000ポンドが割り当てられることとなる、などの国民向けのわかりやすいブリーフィングをしています。こうして子供の人数に応じてある資金をどのように使うかは学校の裁量であり、民間のNPO団体と上手く連携して、出張教室・出張先生を呼び込むなどをしている。私の見た範囲では、バイオリンの先生を週1招いて希望者に指導(及び莫大な宿題レッスン)のほか、楽しめる科学教室でフルーツに電極を指すなどをしている授業もありました。新型コロナウイルスの影響以降、授業参観のようなものはなくなったが、学校側はTwitterでの授業の様子投稿や、定期レター、歌や劇の発表会はDVD化して配布など、コミュニケーションが減らないよう努めている様子がうかがえます。

写真7-4:小学校のツイッター(Twitter)投稿の様子。顔が映らない範囲で授業の様子を公表。多くの学校が実施している。
写真7-5:フルーツに電極を刺す(出張科学教室)様子
写真7-6:コロナ下のオンライン授業の様子を学校ウェブサイトでも発信

おわりに【自分を売り込み、縁と縁を繋ぐ、愛嬌と少しの厚かましさ】

なぜ、そんな希有な(日本語メディアに載っていない)例を知っているのかと、時折問い合わせをいただきます。赴任してからまず最初に行ったのは、英国政府への挨拶回りでしたが、折角の機会、英国と日本の繋ぎ手になりきろうと思い、着任1年で1,100人、着任1年半で1,500人に会って情報収集と関係性構築に取り組んできました。

(1)まず「得意」を伝えにまわる、政策営業、伝道師、愛嬌と厚かましさ

着任直後からは、直近まで企画立案を担当していた職務「イノベーション促進のための、規制のサンドボックス制度*36」について、英語解説スライド(概念図、日英ほか各国政府機関での進捗比較、日本進出時の使い方チャートほか)を作成して、英国政府関係に自己紹介しつつ回りながら、民間の事業者団体、英国のアクセラレーター、英国のVC、(紹介を受けた)英テックスタートアップなどを足繁く回りました。

まずは会う。英国政府の日本アジア担当などは彼らのカバー範囲に自分が入るので肩書だけで会ってくれる場合が多いが、民間となると、多少なりとも相手に役立つ要素を入れないとアポ自体が、成立しにくい。会議のアジェンダなしで“着任ご挨拶”のような面会は、時間泥棒と言われてしまいます。(日本だと許されることが多いのですが)。

著名なアクセラレーター(Level39など)に話しに行った際は、「日本からの視察で来る人々の多くは、なんのために来ているのか理解不能だ。投資までは至らずとも業務提携の話すら、今はいい、と言って具体な中身のある会話をしないで見学だけ。」などと、愚痴をこぼされたこともありました。

自己紹介がてら、得意分野(自分が役に立てること:英日連携、イノベーション政策の解説と使い方、実際の利用開始までの助言は誰よりも詳しい(はず))を軸に自己紹介し、そして、現在のカバー範囲を説明する、相手によって自分ができそうなことを使い分けることを心掛けています。

忙しい売れっ子の相手には、初回のメールから、(1)私は何者であるか=CV添付(Linkedin上の英文プロフィールを精緻に作っておきURL貼ると楽です)、(2)会うと何かいいことあるのか=自分のプレゼンテーションから得られることをポイント書き、(3)いつ会えるのか=自分の往訪可能日時候補、までの3点セットでメールしてみています。

返信がなくてもいちいち落ち込まない。数打って改善すれば物凄くアポ率は向上する。金曜の3時以降は送らない(相手は仕事モードになっていない)

昔、経営戦略コンサルティングファームにいた縁もあって、BCGロンドンオフィスのネットワーキングにて知り合った初対面の先輩には、英語のスライドを見てくれないか(厚かましく)頼み、短時間で、「違う、この表現は、with Blockchainではなくて、based on Blockchainだ、わかるか?あと、このスライドはこの順序にした方がストーリーが解かりやすいではないか。」などと、焼いてもらう(=合理的な修正意見をもらう)こともやってみました。

(2)「代打」からでも機会をつかむ。自腹ですぐ「行動」。個人的に仲良くなることを目指す。

前述の1のように、得意分野をもって何ができるかを自己紹介しつつ回っている時折、「代打」の機会も降ってきます*37。アイルランド財務省・投資庁の行うフィンテックカンファレンスがあり日本からの登壇者に都合重複が出たというときにその代打を引き受け、休暇を取ってダブリンに飛んでパネルディスカッションに登壇してきました。

写真8:アイルランドのフィンテックカンファレンス登壇風景

このときに知り合ったアイルランド財務省の金融チームのヘッドが大変よい人で、ギネスビールを飲みながら、政府の一員でもイノベーション促進の動向を学び続ける必要性などについて意気投合し、その後、ロンドンに赴任している後輩(在英アイルランド大使館の書記官)を紹介してもらい以後もよくお互いの国のトピックについて何かあればクイックに感触を聞きあえるような関係を維持しています。

外部セミナーについても自分のレベルで申し込めるものも沢山あります。行った場合、よかった登壇者に対してはその場で「あのご発言には非常に共感しました」などと挨拶を申し込む。声を掛けにくいときや忙しいときもフルネームがわかるのであればLinkedinから本名検索して、すぐお礼メールをしておく。よく見かける参加者はだいたい自分と似た関心なので顔を合わせる度に挨拶していく。受付登録をしてくれるシンクタンクなど主催側の事務方にもメールでお礼をしておくと、会員制イベントのときに、空き席あれば呼んでほしいと交渉して入れてもらうなど厚かましいお願いもできるようになってきます。

(3)「機会」を作ってお誘いする、在英外交官との「未来逆算」内部勉強会を主催。お礼返しで英国政府の会合にいれてもらう。

前述のレセプションのほか、各セミナーでよく顔を見た関心の似たメンバー(在英の各国大使館の経済金融担当外交官15名くらい)に声かけした内部勉強会を企画し、日時場所を決めて、Word1枚に写真1枚のせて招待状(Invitation)を作って送るなどの機会創出を行ってきた結果、コロナ下になって会えなくても、オンラインでラウンドテーブル会合を実施、あとは個別にクイックミーティング(15分とかでもさくっとこれどう思う?と訊けるもの)、全体に参考資料を共有、などの関係性を持続できています。

税関についても前提知識はほぼないものの、たまたま出会った英国税関(国境庁)のおじさんによかったら内部勉強会やらないかと誘ったところ、じゃあうちの会合に加わる?となり、ひょんな縁から、UKBF税関出身外交官会合に年6回ほど定期参加できるようになったりもありました。彼らには、日本のSMART税関構想なども紹介済です。

機会を創る、お礼返し、を意識していると、イベントなどの連絡をいれたとき、「連絡ありがとう、今回は出られないけど、そういえばshuheiちなみに近々これやるんだけど来る?」と相手方イベントのお誘いをくれることもあります。Cambridgeだったり、Tech UKだったり、在英スイス大使館だったり、マメに連絡するほど広がります。テーマはBrexitなどその時追っているテーマも聞きますが、内部勉強会としてより面白く、関係性も続きやすいのが、「未来逆算で、10年後50年後を見据え、例えば「歳入増」の議論はどう始めるべきかなど私見をぶつけ考える場」ではないかなと思っています。彼らとは帰国後も、よい関係性を築いて維持していければと考えております。

引き続きご指導の程よろしくお願いいたします。

*1)日英EPA外務省公表資料 (総論。経緯と意義に力点。ルール分野の中に、ソースコード開示要求の禁止の対象にアルゴリズムを追加、との記載)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100092224.pdf

◯農林水産省(農畜産物品目ごとの関税、→日本とEUの経済連携協定との比較に力点)https://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/uk/jpuk_epa.html

◯経済産業省(鉱工業品の関税)→うちの所管物資は100%関税を撤廃してる旨に力点https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/file/kokogyouhin-kanzei-ari.pdf

◯財務省(酒、たばこ、塩の関税)→日EUの経済連携協定と同内容維持ですが、日本ワインの輸出規制撤廃や、酒類GIは、地味に大事で力点。https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/international/epa/20200911_1.pdf

*2)駐日英国大使館による日英EPAまとめhttps://twitter.com/UKinJapan/status/1304335906325827584

*3)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10BHQ0Q0A211C2000000?unlock=1

*4)https://www.digital.je/techweek/

https://www.forbes.com/sites/lawrencewintermeyer/2019/03/22/he-founded-a-fintech-worth-43-billion-worldpay-entrepreneur-nick-ogden/?sh=49706e437677

*5)https://jerseypost.com/about-us/jersey-post/

*6)https://www.gov.uk/government/news/40m-boost-for-cutting-edge-start-ups

*7)最速で関係者を巻き込んでリリースhttps://note.com/pmi/n/nea7a25e6247b

*8)新型コロナ下でアイデアを集め続けた「整理学」に注目のスプレッドシートhttps://docs.google.com/spreadsheets/d/17Smpka5nDULYc5HQQ47XXmu_-zWt17TEBNfDHOGmlB0/edit#gid=0

*9)https://note.com/pmi/n/n2abc15606802

*10)国家安全保障・投資法案の関連文書 https://www.gov.uk/government/collections/national-security-and-investment-bill#bill-documents

*11)英政府は、下記の17分野の取引の一部が義務的な通報の対象となると想定しておりこれらの分野のどの部分を網羅すべきかについては協議していく。(1)民間原子力(2)通信(3)データ・インフラ(4)防衛(5)エネルギー(6)運輸(7)AI(8)自律ロボット工学(9)コンピューター・ハードウェア(10)暗号認証(11)先端材料(12)量子技術(13)工学生物学(14)政府に不可欠な物品又はサービスの提供を行う者(15)緊急サービスに不可欠な物品又はサービスの提供を行う者(16)軍事または軍民共用の技術(17)衛星及び宇宙技術

*12)国家安全保障・投資法案の政府発表 https://www.gov.uk/government/news/new-powers-to-protect-uk-from-malicious-investment-and-strengthen-economic-resilience

*13)2018年予算公表時のデジタルサービス課税案https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/752172/DST_web.pdf

*14)https://www.ocado.com/webshop/startWebshop.do Ocadoとは2000年英国創業のオンライン食材小売大手、ウエイトローズなど他社スーパー製品もまとめて冷蔵・冷凍で個別宅配送可。英国なのに、きちんと時間指定で届くのが凄い。)

*15)2020年3月公表(4月施行目前)でのデジタルサービス課税案https://www.gov.uk/government/publications/introduction-of-the-digital-services-tax/digital-services-tax#detailed-proposal

*16)事業内容はDSTの要件に直接該当しないものの、収益規模の一例として、英国で規模の大きいデジタルバンクでの大手で著名なMonzo社でも年間の収益は6-7億ポンドほどである。このことから多くのテックスタートアップ企業は(収益非開示先が多いものの)これ以下の収益水準でありDSTの対象から外れていると推察している。最近のデジタル課税担当いわく、(パブコメの意見、収益水準の線引きの直接の因果関係について言及はないものの)、DSTに関してはこれまで2回もパブリックコメントを実施して、業界の意見を聞いて反映してきているのでもう反発はなく調整済(と認識している)とのことであった。

*17)出所:https://www.gov.uk/government/publications/vat-and-the-sharing-economy-call-for-evidence?utm_source=a8c2ef20-3888-4167-b36b-459035cee4b1&utm_medium=email&utm_campaign=govuk-notifications&utm_content=immediate

*18)https://www.hmtreasurycareers.co.uk/rewards-benefits/

*19)政府サイトのほか講演時の略歴、Linkedinなどを駆使して、大学卒業年などから推計しているものも含む。極端に若い人というのは、公開プロフィールを直近3ポストまでとか、直近20年までとか、絞り込んでいて精緻に出しておらず、あまり見くびられないように気をつけている傾向もあるのだとか。

*20)http://www.women.co.jp/conf/speakers/detail-e-braddick_katharine_.html

*21)https://www.linkedin.com/in/beth-russell-66a17a7b/?originalSubdomain=uk

*22)https://www.gov.uk/government/people/cat-little

*23)https://data.gov.uk/dataset/a5ffd07c-e31e-47c8-b343-1bcd9b5e3fe1/organogram-of-staff-roles-salaries/datafile/bb6232db-2fdc-46ee-9e8e-22e32f238699/preview

*24)国際貿易省の起業家支援https://www.gov.uk/government/publications/entrepreneurs-setting-up-in-the-uk/entrepreneurs-setting-up-in-the-uk

*25)英国の先端的金融テクノロジー(フィンテック)企業・英国政府向け 日本の新事業促進政策セミナー及び英日投資連携ネットワーキング~(英国)開催概要、令和元年度外務省経済局グッドプラクティスhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100005547.pdf

*26)https://www.gov.uk/government/news/more-than-19000-jobs-created-by-kickstart-scheme-so-far

*27)https://www.popbrixton.org/

*28)英政府発表 https://www.gov.uk/government/news/pm-outlines-his-ten-point-plan-for-a-green-industrial-revolution-for-250000-jobs?utm_source=7c9c51ce-0057-40ac-9f3c-7097c168d4b9&utm_medium=email&utm_campaign=govuk-notifications&utm_content=immediate 報道https://www.tellerreport.com/tech/2020-11-18-no-more-new-fuel-cars-allowed-in-the-uk-after-2030.HkGoE1OMqv.html

*29)英政府発表中段のこのあたり「Electric vehicles:Following extensive consultation with car manufacturers and sellers, the Prime Minister has confirmed that the UK will end the sale of new petrol and diesel cars and vans by 2030, ten years earlier than planned. However we will allow the sale of hybrid cars and vans that can drive a significant distance with no carbon coming out of the tailpipe until 2035.」

*30)https://www.gov.uk/government/news/2-billion-package-to-create-new-era-for-cycling-and-walking

*31)https://www.gov.uk/government/publications/cycling-and-walking-plan-for-england

*32)https://www.economist.com/international/2020/10/03/working-class-parents-are-becoming-more-like-middle-class-ones (Economist 2020年10月3日)

*33)フォニックス(綴り字と発音の規則性)とは、例えば、「F」=「ッフッ」、「igh」=「ァィ」「t」=「ットゥッ」のように綴りと発音の規則性をせる英語学習法でネイティブの子もここ10数年は行っている手法なのだそう。これにより「Fight」という単語を絵本で初めて見ても「ファイットゥッ」というように発音し、読み進められる(単語の意味は絵本の絵でなんとなく覚えたり、大人が都度フォローする)。同じ「ァィ」という発音でも1文字なら「i」2文字なら「ie」、3文字ながら「igh」だねなどとセットで先生から学び、長期休暇では宿題として紙束で渡され、家でも読み上げて復習する。なお絵本は毎日1冊渡されるため1年で100冊ほど読むことになる(真面目に宿題をした場合)

*34)文部科学省によると、欧米との比較でも日本のような定期テストがある国は少ないらしい。最終的に大学入学試験に受かるところで帳尻があえばよいのかもしれない。中高校生相当の年次では解答に至る考えを論理的に説明する訓練を重ねていると聞く。また近年は日本でも、丸暗記によらない週次の進捗確認を重視する動きが一部の公立で出てきたようだ。11月には「中学の定期テスト改革 ノート持ち込み可、暗記減らす」と題した記事で特集されていた。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66265510W0A111C2KNTP00/ 日本経済新聞2020年11月19日

*35)https://www.gov.uk/government/news/spending-round-2019-what-you-need-to-know?utm_source=a4c284d3-88c2-41cd-a6ec-acb26fc8dd8b&utm_medium=email&utm_campaign=govuk-notifications&utm_content=immediate

*36)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/regulatorysandbox.html 企画立案から運用開始直後には、特設ウェブサイトひな型の作成から、対外説明会の講師まで何でもした。

*37)「代打」の機会が「芋づる式」に繋がることも時々あります。英日法律協会において英国法の弁護士さんが、ブロックチェーン技術を用いたビジネスモデル例とルールメイキングの例を学びたいという場に登壇・解説をしたところ(2018年10月)。共同登壇者だった、刑法と会社法におけるブロックチェーン技術の活用を研究するジョー教授(グラスゴー大学)と意気投合。彼がキプロス共和国の会場で主催する多国間教授陣ネットワーキング(金融法・会社法)の場に招待いただき、休暇で往訪して参加・登壇・意見交換(2019年4月)。その場で知り合った学術誌の編集者ヴァージニアさんと意気投合。ここまでの学びを英語論文にて寄稿・出版物(Banking and Finance Law Review)に載せてもらうことに至ったということもありました。