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令和2年度補正予算(第1号及び第2号)の概要について

主計局総務課主計官 寺岡 光博

1.令和2年度補正予算(第2号)成立までの経緯

(1)背景

新型コロナウイルス感染症は、昨年末に中国湖北省武漢において確認されて以来、中国を中心に感染が国際的に広がりを見せ、本年1月30日には世界保健機関により、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されるに至った。

このような状況下、日本政府は、政府としての対策を総合的かつ強力に推進するため、1月30日に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置することとし、新型コロナウイルス感染症の「指定感染症」への指定、滞在歴による外国人等の上陸拒否などの措置を講じた。

(2)緊急対応策第1弾、第2弾による対応

当初、財政措置を伴うものとして、政府は予備費及び令和元年度予算の未執行分を活用し、新型コロナウイルス感染症に関して2回の緊急対応策を実行してきた。具体的には、

・第1弾として、政府チャーター機による帰国者の生活支援やワクチン等の研究開発の加速などを盛り込んだ、予備費103億円を含む総額153億円の対応策を2月13日にとりまとめ、

・第2弾として、新たな助成金など学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応や、雇用調整助成金の特例措置の拡大などを盛り込んだ、予備費2,715億円を含む総額4,308億円の対応策を3月10日に取りまとめた。

・さらに、上記の財政措置に加えて、資金繰り支援として、第1弾では日本政策金融公庫等での緊急貸付・保証枠の確保に5,000億円、第2弾では特別貸付制度創設など1.6兆円の金融措置を講じることとした。

このように、政府としては、新型コロナウイルス感染症に関して、国内感染拡大防止対策、雇用の維持と事業の継続の対応を中心に、財政・金融措置をもって速やかに対応してきた。

(3)総理による経済対策の策定指示及び令和2年度補正予算(第1号)の編成指示

こうした対応を進めてきたが、新型コロナウイルス感染症は国内においても感染拡大し、また、感染拡大による世界全体での経済活動縮小の影響も受け、日本経済は甚大な影響を被ることとなった。この国難とも言える状況を乗り越えるため、3月28日に安倍総理より、緊急経済対策を速やかに策定するよう指示がなされた。そこでは、26兆円の「総合経済対策」等に加え、新たに補正予算を編成し、財政・金融・税制を総動員した前例にとらわれない経済対策を講じることとされ、以下の方針が示された。

1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発

2)雇用の維持と事業の継続

3)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復

4)強靱な経済構造の構築

5)今後の備え

こうした方針の下策定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」は、令和2年度補正予算(第1号)(以下、「第1次補正予算」)と昨年の「総合経済対策」の今後効果が発現することが見込まれるもの等を併せて総額117.1兆円、財政支出48.4兆円の規模となった。緊急経済対策の実行のために編成された第1次補正予算は、4月7日の概算閣議決定、4月20日の概算決定の変更閣議決定を経て、4月27日に国会へ提出された。その後、国会での審議を経て、4月30日に成立することとなった。

一方で、国内の感染状況は拡大を続け、第1次補正予算の編成のさなか、4月7日に首都圏などで緊急事態宣言が発動された後、4月16日には対象地域が全国に拡大されることとなった。

(4)総理による令和2年度補正予算(第2号)の編成指示

緊急事態宣言が4月16日に全国対象となった後、5月14日に安倍総理より、8つの特定警戒都道府県を除いて緊急事態宣言が解除された。この解除と併せて、「コロナ時代の『新たな日常』」を取り戻すために、上述の第1次補正予算を強化するため、以下5つの柱を中心として、さらに令和2年度補正予算(第2号)(以下、「第2次補正予算」)の編成が指示された。

1)休業を余儀なくされた国民の暮らしを守るための、雇用調整助成金の抜本的な拡充及び新制度の創設

2)中小・小規模事業者のための新たな家賃支援制度

3)アルバイト収入の激減等を受けた学生のための新たな支援

4)医療体制に関する包括支援交付金の全額国費負担と積み増し及び医療現場の課題解決のための強力な支援

5)中小企業、中堅・大企業の資金繰り支援のための金融機能の強化

第2次補正予算は、この指示に基づき、第1次補正予算を強化するために編成され、5月27日の概算閣議決定を経て、6月8日に国会へ提出された。その後、国会での審議を経て、6月12日に成立することとなった。

上述の経緯にて編成された緊急経済対策(第1次補正予算等)及び第2次補正予算等は、あわせて総額230兆円を超える事業規模となり、事業と雇用を守り抜き、100年に1度の危機と呼ばれる状況を乗り越えるための空前絶後の規模だといえる。

2.第1次補正予算の概要

(1)歳出

本補正予算は、上述の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の実行等のために編成され、新型コロナウイルス感染症等の感染拡大防止や、雇用の維持に必要な経費を計上するとともに、新型コロナウイルス終息後を見据えた経済構造の構築も念頭に置いている。その具体的内容は以下の通りである。

1)新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費(25兆5,655億円)

(ア)感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円)

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など医療提供体制の強化等のための経費1兆3,314億円、マスク・消毒液等の確保のための経費1,730億円などを計上している。

(イ)雇用の維持と事業の継続(19兆4,905億円)

特別定額給付金など生活に困っている人々への支援のための経費13兆1,274億円、持続化給付金など事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援のための経費2兆4,293億円を計上しているほか、資金繰り対策として3兆8,380億円を計上している。

(ウ)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復(1兆8,482億円)

観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメント事業等に対する支援として1兆6,794億円や地域経済の活性化のための経費として1,687億円などを計上している。

(エ)強靭な経済構造の構築(9,172億円)

リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速のための経費3,592億円や海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援のための経費3,014億円などを計上している。

(オ)新型コロナウイルス感染症対策予備費(1兆5,000億円)

今後の新型コロナウイルス感染症の状況や経済動向を踏まえ、必要な対策を講じるための十二分の備えとして、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」を1兆5,000億円計上している。

2)国債整理基金特別会計への繰入(1,259億円)

公債の発行予定額の増加に伴う公債利子及び財務省証券の発行の最高額引き上げに伴う財務省証券利子等の支払財源に充てるための経費として計上している。

(2)歳入

これらについては、特例公債23兆3,624億円、建設公債2兆3,290億円の発行により対応する。

図:令和2年度一般会計補正予算(第1号)フレーム
図:令和2年度補正予算(第1号)の概要

3.第2次補正予算の概要

(1)歳出

本補正予算は、上述の第1次補正予算を強化するために編成され、緊急事態宣言解除と併せて、「新たな日常」を取り戻していくことを目標としている。その具体的内容は以下の通りである。

1)新型コロナウイルス感染症対策関係経費(31兆8,171億円)

(ア)雇用調整助成金の拡充等(4,519億円)

雇用調整助成金の上限引き上げやその遡及適用など、雇用調整助成金の抜本的拡充に必要な経費として2,808億円、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(仮称)の新設に伴う経費として1,711億円を計上している。

(イ)資金繰り対応の強化(11兆6,390億円)

中小・小規模事業者向けの融資として8兆8,174億円、中堅・大企業向けの融資として4,521億円、資本性資金の活用のための経費として、2兆3,692億円などを計上している。

(ウ)家賃支援給付金の創設(2兆242億円)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中堅・中小・小規模事業者、個人事業主に対し、固定費としての家賃負担の軽減により事業継続を下支えするための新たな給付金制度の創設に係る経費を計上している。

(エ)医療提供体制等の強化(2兆9,892億円)

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金として2兆2,370億円、医療用マスク等の医療機関等への配布のための経費として4,379億円、ワクチン・治療薬の開発等の経費として2,055億円などを計上している。

(オ)その他の支援(4兆7,127億円)

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充のための経費2兆円、低所得のひとり親世帯への追加的な給付のための経費1,365億円、持続化給付金の対応強化のための経費1兆9,400億円などを計上している。

(カ)新型コロナウイルス感染症対策予備費(10兆円)

新型コロナウイルス感染症の第2、3波の可能性が排除できない中、今後の長期戦を見据え、事態の急変に対して臨機応変に対応するための万全の備えとして、新型コロナウイルス感染症対策予備費に追加的に10兆円を計上している。

2)国債整理基金特別会計への繰入(963億円)

公債の発行予定額の増加に伴う公債利子及び財務省証券の発行の最高額引き上げに伴う財務省証券利子等の支払財源に充てるための経費として計上している。

3)既定経費の減額(▲20億円)

議員歳費の減額として、▲20億円を計上している。

(2)歳入

これらについては、特例公債22兆6,124億円、建設公債9兆2,990億円の発行により対応する。成立した本補正予算について、政府としては、第1次補正予算の執行のさらなる強化と併せ、雇用と事業を守り抜いていくため、迅速な執行に努めている。

(3)令和2年度補正後予算の全体

これら2つの補正予算を受け、令和2年度一般会計補正予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに、第1次補正予算によって25兆6,914億円、第2次補正予算によって31兆9,114億円増加し、補正後予算の総額は160兆2,607億円となった。

一方で、それを賄う歳入面では、公債金の総額が当初予算における税収見込み額を大きく上回る90兆1,589億円となり、公債金が歳入総額に占める割合である公債依存度は56.3%と、財政状況はさらに厳しいものとなった。

図:令和2年度一般会計補正予算(第2号)フレーム
図:令和2年度補正予算(第2号)の概要
図:令和2年度2次補正予算後の予算の全体フレーム

4.結び

これまで述べたように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び経済への影響を受け、政府は緊急経済対策(第1次補正予算)及び第2次補正予算をもって雇用と事業の維持、経済回復のため万全の財政措置をとることとし、その迅速な成立と執行に努めてきた。

この結果、我が国の財政状況はかつてない厳しいものとなったが、まずはこの大規模な対策をもって100年に1度の危機から一刻も早く脱出することを目指す一方、中長期的には、急速な少子高齢化により、社会保障に要する費用のさらなる増加が見込まれる中、将来世代への責任を念頭に置いて、今後の財政の在り方を見つめ直していかなければならないと考える。

財務省の政策