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財務局70周年~これからの財務局のあるべき姿~

大臣官房地方課

財務局発足70周年に寄せて~昭和から平成、令和へ、そして未来へ~

大臣官房地方課長 谷口 眞司

昨年6月1日をもって財務局は発足70周年を迎えました。これまで財務局で勤務された諸先輩方、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

財務局は、地域に根差した財務省の出先機関として、社会の変化に対応し地域貢献に努めてきておりますが、特に最近では急激な社会の変化に直面しています。ICTの進展等により様々な格差の原因となっていた情報の非対称性が解消されつつあります。また、Digital Disruptionによりシェアリングエコノミー、異業種間の提携等の新たなビジネスモデルが次々に誕生してきており、業態の垣根が失われつつあります。職務環境に関しても、ハラスメントの根絶、ワークライフバランスの充実等が課題となってきています。

こうした変化は、即座に全国津々浦々まで波及し、各地域は各々創意工夫をこらして吸収し発展させていきます。それとともに財務局をはじめ行政に対するニーズや期待も複雑化・高度化してきますので、こうした地域の声にしっかりと応えてくことが求められています。

財務局は、発足以来、戦後の混乱期、戦後復興、高度経済成長期、バブル経済の崩壊、デフレ経済、等々と環境が目まぐるしく変化する中で、地域に存在する行政機関として、多くの困難に直面しながらも常に地域に寄り添い地域とともに歩んできました。未来永劫この姿勢が変わることはありません。財務局の良き伝統を守りながら、これからも社会常識の変化、地域のニーズの高度化・多様化・複雑化に応じて絶えず挑戦、自己変革を続けていく必要があります。一方で、いつの時代であっても変わらず大切なものもあります。その一つが、全職員が内に秘めている熱い志です。財務局の使命や組織理念を心に刻み、何かあれば振り返りながらブレることなく地域貢献を進化していかなければなりません。こうした財務局の発展を少しでも支えていけるような地方課でなければならないことは言うまでもありません。


財務局の使命と今後の役割について~地域に根差した総合出先機関~

中国財務局長 橋本 徹

財務局が発足して70周年を迎えましたが、財務局は、昭和、平成、令和に至る時代の大きな流れの中で、社会経済情勢の変化に対応しつつ、財務省の総合出先機関としての役割を果たしてきました。

私自身は、昭和59年に財務局に入局し30有余年が経ちました。財務局が辿ってきた長い年月の半分にすぎませんが、財務局発足70周年を迎え、これまでの勤務を通じて感じたことを振り返りつつ、財務局の使命と今後の役割について考えてみたいと思います。

振り返ってみますと、30有余年のうち、本省、財務局、造幣局などの執行機関にそれぞれ3分の1ずつ勤務しましたが、本省でも国有財産行政に長く携わるなど、財務省を現場から支える財務局のことを常に念頭に置きつつ仕事をしてまいりました。

入局当時は、高度成長期が終焉を迎える中、財政再建が謳われ始め、三公社の民営化が進められるなど、世の中が大きく変わろうとしていた時代でありました。その後、昭和から平成に変わる中で、バブルの時代が終焉を迎え、社会経済が大きく混乱することになりました。

その中で、財務局では、不良債権の急増により立ちいかなくなった金融機関の破綻処理を進め、また膨大な物納財産を引き受け、管理処分を進めていく必要がありましたが、こうした処理を円滑に進めなければ、社会や経済に大きな混乱を招くことになるとの強い危機感から、財務局職員は怯むことなく、前例のない困難な業務に懸命に取り組みました。

財務局は、当時も、職員が現場を駆け回り、地域の実情を把握しつつ、本省と一体となり、こうした困難な課題を乗り越えていきましたが、まさに地域に根差した総合出先機関としての本領を発揮したものと言えます。

この10年を振り返りますと、リーマン・ショックという大きな波に襲われた後、疲弊した地域の経済や企業の再生に向けた取り組みを続ける中で、財務局は、従来以上に地域との関係を深めていくことになります。

私が携わった国有財産行政を例に挙げると、国民共有の財産である国有地の地域における有効活用策について、財務局が地方公共団体と幾度に亘り協議し、中には、密接な連携の下、国有地の活用を通じて、街を人々が集い、行き交う拠点に再生させた事例もありました。東日本大震災が発生した際も、速やかに国有地や宿舎のリストを地方公共団体に提供し、被災地の方々からの様々な相談に真摯に耳を傾ける財務局職員の姿勢には感銘を受けました。

こうしたDNAが引き継がれ、現在、財務局は、所管する業務にとどまらず、様々な地域の課題に向き合い、関係者との連携を通じて、その解決に向けて取り組んでいます。財務局がハブになり、様々な関係者が課題解決に向けて議論し、連携する場を創造する、若い職員が地域活性化に向けた施策作りのお手伝いをするなど、各地域において地域に根差した様々な取り組みが進められています。

財務局は、財務省の総合出先機関でありますが、地域の一員でもあります。地域の方々とお会いする際に、必ず申し上げる言葉です。財務省の施策を地域で説明し、地域の実情を本省に報告するだけにとどまらず、地域で双方向の議論を展開し、自らも地域の課題解決に取り組む。令和の時代においても、こうしたDNAを適切に引き継ぎ、財務省の総合出先機関として、地域から信頼される財務局であり続けられるよう、弛まぬ努力を続けていくことが大事であると考えます。


財務局職員による座談会

大臣官房地方課

写真 上段(左から)

亀井智子 (大臣官房地方課)

前田大武 (福岡財務支局管財部管財総括第一課)

松下正憲 (四国財務局総務部経済調査課)

金子将大 (中国財務局岡山財務事務所総務課)

伊藤康次 (東海財務局岐阜財務事務所財務課)

寺嶋愛加 (東北財務局理財部金融監督第一課)

下段(左から)

平田真紀乃(沖縄総合事務局財務部八重山財務出張所)

原聡一朗 (九州財務局理財部金融監督第一課)

片山昌俊 (近畿財務局大津財務事務所総務課)

川田恵嗣 (北陸財務局福井財務事務所総務課)

下園麻梨江(関東財務局甲府財務事務所総務課)

細川慶和 (北海道財務局理財部特別主計実地監査官)

財務局発足70周年記念座談会(前編)

~地域のための財務局~

○司会 令和元年6月に、財務局が発足70周年を迎えました。この場では、今後の財務局を担う世代の皆様にお集まりいただき、「今の財務局が抱えている課題」、「地域社会に対して果たす役割」、「課題解決のために今できること」という3つのテーマについて意見交換を行いたいと思います。

まず、今の財務局が抱えている課題や、果たすべき役割についてご発言いただければと思います。

○前田(福岡) 財務局が従来から行ってきた業務は、それ自体が各地域に貢献するためのものだと思います。地域連携や地域貢献という言葉を意識したときに、もちろん、新たなことにチャレンジする姿勢も大切ですが、今ある業務に真摯に取り組んでいくことが、果たすべき役割の根底にあると思います。

○寺嶋(東北) 金融行政では従来の監督業務という柱がある一方で、ここ数年、金融仲介に関連する業務が重要視されてきています。金融仲介の関連業務のボリュームも増える中で、従来の業務もおろかにできない状況に複雑な思いもあります。

○伊藤(東海) 財務局行政は時代に合わせて変わっていかなければならないとは思いますが、同時に、その変化のスピードに現場がついて行けるのかということも課題の一つだと思います。そういった課題に向き合わなければ、財務局は社会から取り残されてしまうのではないでしょうか。

○金子(中国) 時代とともに変化するためには、個々の業務においてもスクラップアンドビルドを行っていく必要がありますが、従来の業務をスクラップすることはハードルが高いですよね。もちろん、それぞれの業務がなぜ必要なのかという点は常に検討されていると思うんですけど、絶対に必要ないと言い切ることは難しいと思います。真に必要な業務なのかどうか、その検討方法も課題だと感じます。

○司会 財務局が抱えている課題について、いくつか挙げていただきましたが、財務局が果たすべき役割についても、ご意見をいただければと思います。

○松下(四国) 経済調査業務に携わっていると、地元の企業から各種制度に関する様々な意見を聞くことがよくあります。そのような地域の声を、財務局長会議や定例報告を通して本省へ届け、各種制度の企画立案に役立ててもらうことが財務局の果たすべき役割だと思います。それが地域貢献、地域連携に繋がっていると思います。

○司会 地域連携というのは特別な業務じゃなくて、普段の業務の延長線上にあるものですよね。それは経済調査に限らず、金融行政や国有財産行政など、財務局のすべての業務に共通することだと思います。

○金子 日々の業務の中で、企業や金融機関、自治体などの声を聴いて、地域のニーズをしっかりと把握し、組織全体で地域の声に応えていく必要があると思います。

○司会 ここまで、様々なご意見をいただきましたが、本省からの視点で何かご意見はありますか。

○亀井(本省) 財務局は、地域にとってはなくてはならない組織です。本省では持てない目線を持ち、それでいて本省との距離は近い。ただ、本省と財務局とのコミュニケーションが不足すると、例えば本省から財務局に依頼される業務が何のために必要なものなのか曖昧になってしまう恐れがあります。国民や地域のために必要な業務でも、その目的が分からないまま日々の業務に追われてしまうと、財務局の業務って本当に地域貢献に繋がっているのかなと不安になると思います。

財務局のパンフレットでよく目にする「国と地域をつなぐ」という言葉があるように、地域社会に近い存在である財務局から声をあげていただき、本省は財務局を通して地域にアプローチする。その継続が、地域社会における財務局のプレゼンスを向上させるんじゃないかなと思います。

○寺嶋 それでもやっぱり、目の前の業務に追われて、なかなか地域連携や財務局の役割を意識できない時があるのも、正直なところです。

○前田 後から振り返って、あの時のあの業務は地域の人の役に立てたんじゃないかなって思うこともありますよね。直接的ではないにしても、その地域の経済や秩序といった側面から見ると、自分たちがやったことが少なからず良い影響を与えたのかなって。

○伊藤 制度の面で話をすると、柔軟性、機動性に欠けているなと感じるものもあります。自治体が事業開始当初に利用し始めた制度が、年月の経過とともに地域のニーズに合わなくなり、事業計画の変更または中止を余儀なくされるといったこともあります。財務局としては、何かいい案はないかと考えるのですが、「現行の制度に基づくと難しい」という結論に至ることが多いように感じます。

○司会 本来は自治体や地域のための制度であることを考えると、自治体などにとって使い勝手の良い制度にしていくことが必要ですね。そのためには、財務局から日々声を上げていき、本省は財務局の意見を聞きとっていく。それは、財務省再生プロジェクトとリンクしていて、財務省全体で地域社会の課題解決に貢献することが大切だと思います。

財務局発足70周年座談会(後編)

~これからの財務局のあるべき姿~

○司会 ここからはメンバーを変えて、「これからの財務局のあるべき姿」をテーマに意見を交わしていきたいと思います。

まず初めに、日々の業務を行う中で地域貢献に対して思うことをお聞かせください。

○細川(北海道) 日ごろ業務を行う中で感じることは、財政について地域の方々に知ってもらうことが重要だということです。ここ数年、財務局職員が学校へ出向いて授業をする財政教育プログラムが全国で実施されていますが、小中高生にとって財政について触れる機会はなかなかないので、若い世代に財政に興味を持ってもらうためには、こういった活動を継続していくことが大事だと思います。

○片山(近畿) 地域社会に対して貢献していくには、それぞれの地域のことを常に把握しておくことが重要だと思います。つい前例踏襲してしまいそうなことも、今のその地域には本当に必要なことなのか、より良い手段があるのではないか、という視点で日々の業務を行うことが大切になるのではないでしょうか。

○司会 確かに、地域貢献のためには地域の実状を的確に把握することが重要ですね。特に沖縄は地域の特殊性が大きく表れる県ではないかと思います。本島と離島で文化も違う中で、地域社会とのかかわりについて取り組んでいることはありますか。

○平田(沖縄) 沖縄総合事務局管内においては、同じ沖縄県内であっても、本局・各出張所によって業務の内容や規模が異なるため、本局と出張所の間で情報共有を図り、限られたリソースをうまく活用しながら業務を行っています。

八重山財務出張所が管轄する石垣市では、平成25年の「南ぬ島 石垣空港」開港に伴い旧石垣空港の機能が廃止され、国有地を含む広大な未利用地が生まれました。この旧石垣空港の跡地の利用については、地元自治体と連携しながら八重山圏域の発展のための有効活用を検討し、周辺地域を含めたエリアマネジメントによるまちづくりを進めています。

○司会 管財業務においては、エリアマネジメントが地域貢献のための一つのキーワードとなっているんですね。他方、金融業務と地域貢献の関連についてはどうお考えですか。

○原(九州) ここ数年で、金融行政は様変わりしています。これまでは、いわゆる金融検査マニュアルに基づいた金融機関の検査を行っていましたが、現在では、金融機関が地域社会に求められるために財務局として何ができるのかという視点から、金融機関との対話に焦点を当てた業務の比重が高くなってきています。

地域社会の問題は個別具体的なので、個々の解決策を促すなど、地域社会に対するミクロな貢献を重要視するようになってきています。

○川田(北陸) どの業務においても、地域貢献のためには地域性を重要視しなければならないと思います。北陸財務局は管轄区域が3県と比較的小さいですが、それでも地域によって課題はそれぞれ違います。

北陸新幹線の金沢駅開業5周年を迎えましたが、福井県はまだその恩恵にあずかれていません。そのため福井県では、令和5年に予定されている北陸新幹線の敦賀延伸に向けての機運が高まってきています。地域連携の業務に携わる中で、我々財務局が持つそれぞれの地域に対するイメージと、地元の自治体や地域住民が持つイメージにはズレがあることを感じるので、社会が多様化する中でどうやってニーズを把握していくのか、地域とのコミュニケーション力や企画力を持つ職員を育成していかなければならないと思います。

○下園(関東) 甲府市でもリニアに対する期待値が少なからずあります。ただ、リニア駅の建設予定地が甲府駅から離れているので、2次交通の問題を心配する人たちがいるのも事実です。

甲府財務事務所では、先日、県内の金融機関の若手職員と地域の課題について意見交換を行いました。金融機関の職員は地元出身の方が多く、地域に根付いた方と意見交換をすると新しい発見がたくさん生まれ、非常に有意義なものでした。

○司会 皆さん、各地域でいろんな声をつぶさに拾っていらっしゃるんですね。では、様々な声を拾ってこられた中で、「財務局ができること」という観点から、具体的に実施したことはありますか。

○平田 沖縄総合事務局では、他省庁の出先機関に当たる他部と連携した地域貢献を行っています。自治体との意見交換の場で聞いた国に対する要望を、適宜他部へ情報共有しており、例えば、ソーシャルインパクトボンドを活用した事業を行いたい自治体と経済産業部をつなぐなど、地域のハブとしての役割を果たしています。

○川田 事業に対する国の補助制度は多岐にわたるので、自治体からすると全てを把握するのはなかなか大変ですよね。

北陸財務局では、各省庁の補助金等の制度をまとめて説明できるような相談会を行っています。また、管財部門では、国公有財産の有効活用を目的として、民間企業・金融機関等も交えたワークショップを行っています。

○司会 今の財務局にとっては、そういった場を提供することも、重要な仕事の一つとなっているんですね。

○片山 地域住民と直に触れ合う機会は、非常に重要だと思います。

金融機関や自治体から得られる情報はたくさんありますが、地域住民との関わりは間接的になりがちです。ここ数年は若年層や子育て世代向けの講座などで地域住民と直に接する機会が増えているので、そういった場でのコミュニケーションをこれまで以上に意識し、地域の課題解決のために何が必要なのかを考えることが大事になると思います。

○細川 「まずは聴く」という姿勢は大事ですよね。そのうえで、世の中の大きな流れや国の方向性などをある程度意識し、考えることが必要だと思います。

○川田 さらに言えば、信頼関係の構築ですよね。信頼関係がなければ、本音を話していただけません。そういった点では、ここ数年の小さな成果の積み重ねで、地域の方々との信頼関係を徐々に築けているのかなっていう実感はあります。

そういった積み重ねの結果、自治体の方が困ったときに拠り所としてくれるような財務局になることが理想なのかなと思います。そうすることで地域社会に対する財務局のプレゼンスも自然と高まってくると思います。

○司会 確かに、今は地域社会に対する財務局のプレゼンスの向上期だと感じます。職員一人一人がそれぞれの業務を組織全体の一員として取り組むことにより地域貢献を果たしていくことで、国民の信頼に応えることにつながり、「財務局=国と地域を繋げてくれる組織」という認識が地域に浸透していくのではないかと思います。

様々なご意見をいただき、ありがとうございました。