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特集:令和2年度政府経済見通しについて

内閣府政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(経済見通し担当)補佐 永田 光

「令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(以下「政府経済見通し」という。)が令和2年1月20日に閣議決定された。政府経済見通しは、翌年度の経済財政運営に当たって、政府がどのような基本的態度をとるのか、及び、それを踏まえて経済はどのような姿になるのか、という点について示したものである。

今回の政府経済見通しでは、外需がマイナスに寄与する一方、民需、公需はともにプラスに寄与し、令和2年度の実質GDP成長率は1.4%程度、名目GDP成長率は2.1%程度になると見込んでいる。令和2年度の我が国経済は、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(以下「総合経済対策」という。)の政策効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。

以下、令和2年度政府経済見通しの具体的な内容について紹介する。なお、GDPの内訳項目等の詳細な見通しについては、文末の表を参照されたい。

1.令和元年度の経済動向

令和元年度の我が国経済は、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、雇用・所得環境の改善等により、内需を中心に緩やかに回復している。令和元年10月に実施した消費税率の引上げに当たっては、経済の回復基調に影響を及ぼさないといった観点から、軽減税率制度や臨時・特別の措置など各種の対応策を実施している。

今後についても、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、消費税率引上げ後の経済動向を引き続き注視するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取組を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある。

こうした中、政府は、「15か月予算」の考え方で、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を柱とし策定された総合経済対策に基づき、予備費を含めた令和元年度予算、令和元年度補正予算及び令和2年度の臨時・特別の措置を適切に組み合わせることにより、機動的かつ万全の対策を講じ、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長の実現につなげていくこととしている。

物価の動向をみると、原油価格の下落の影響等により、消費者物価(総合)は前年比で伸びが低下している。

この結果、令和元年度の実質GDP成長率は0.9%程度、名目GDP成長率は1.8%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は0.6%程度の上昇と見込まれる。

2.令和2年度の経済財政運営の基本的態度

今後の経済財政運営に当たっては、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組み、2020年頃の名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標の達成を目指す。

総合経済対策の円滑かつ着実な実施により、自然災害からの復旧・復興を加速するとともに、経済の下振れリスクを確実に乗り越え、我が国経済の生産性の向上や成長力の強化を通じて民需中心の持続的な経済成長の実現につなげていく。

潜在成長率の引上げによる成長力の強化を目指し、Society 5.0時代に向けた人材・技術などへの投資やイノベーションを企業の現預金も活用して喚起し、生産性の飛躍的向上に取り組む。

また、成長と分配の好循環の拡大に向け、企業収益を拡大しつつ、下請中小企業の取引適正化等を進め、賃上げの流れを継続して消費の拡大を図るとともに、外需の取り込みを進める。

さらに、少子高齢化に真正面から立ち向かい、若者も高齢者も女性も障害や難病のある方も皆が生きがいを持ち活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組む。このため、希望出生率1.8、介護離職ゼロ、「人づくり革命」及び「働き方改革」のための対策を推進しつつ、就職氷河期世代の人々の社会への参画機会を拡大していく。全世代型社会保障の構築に向け、社会保障全般にわたる持続可能な改革を進める。

加えて、自然災害からの復興や国土強靱化、観光・農林水産業をはじめとした地方創生、地球温暖化などSDGsへの対応を含むグローバル経済社会との連携など重要課題への取組を行う。

財政健全化に向けては、「新経済・財政再生計画」に沿って着実に取組を進め、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す。同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。令和2年度予算については、「経済財政運営と改革の基本方針2018」及び「経済財政運営と改革の基本方針2019」に基づき、歳出改革等に着実に取り組む。

日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。

3.令和2年度の経済見通し

(1)令和2年度の経済の姿

令和2年度については、総合経済対策を円滑かつ着実に実施するなど、各種政策の効果もあいまって、我が国経済は、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。

物価については、景気回復により、需給が引き締まる中で緩やかに上昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。

この結果、令和2年度の実質GDP成長率は1.4%程度、名目GDP成長率は2.1%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は0.8%程度の上昇と見込まれる。

なお、先行きのリスクとして、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域を巡る情勢等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

(2)各項目の見通し

(ア)実質国内総生産(実質GDP)

(i)民間最終消費支出

雇用・所得環境の改善が進む中、総合経済対策の効果もあって、増加する(対前年度比1.0%程度の増)。

(ii)民間住宅投資

貸家着工の減少傾向の継続により、減少する(対前年度比1.9%程度の減)。

(iii)民間企業設備投資

総合経済対策の効果や人手不足への対応等もあって、増加する(対前年度比2.7%程度の増)。

(iv)政府支出

総合経済対策に伴う公共事業関係費や、社会保障関係費の増加等により、増加する(対前年度比1.8%程度の増)。

(v)外需(財貨・サービスの純輸出)

世界経済の緩やかな回復に伴い輸出が増加する一方、国内需要を反映して輸入が増加することにより、おおむね横ばいとなる(実質GDP成長率に対する外需の寄与度▲0.1%程度)。

(イ)実質国民総所得(実質GNI)

実質国民総所得(実質GNI)は実質GDP成長率と同程度の伸びとなる(対前年度比1.3%程度の増)。

(ウ)労働・雇用

雇用環境の改善が続く中で、女性や高齢者等を中心とした労働参加の拡大もあり、雇用者数は増加する(対前年度比0.6%程度の増)。完全失業率は横ばいで推移する(2.3%程度)。

(エ)鉱工業生産

国内需要や輸出が増加すること等から、増加する(対前年度比2.1%程度の増)。

(オ)物価

消費者物価(総合)上昇率は景気回復による需給の引き締まりの中で0.8%程度となる。こうした中でGDPデフレーターは上昇する(対前年度比0.8%程度の上昇)。

(カ)国際収支

所得収支の黒字が続く中、経常収支の黒字はおおむね横ばいで推移する(経常収支対名目GDP比3.3%程度)。

主要経済指標

(参考)主な経済指標

1.国内総生産

2.実質成長率と寄与度

3.物価関係指数の変化率

4.完全失業率と雇用者数