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特集:令和2年度財政投融資計画について

理財局財政投融資総括課長 湯下 敦史

1.令和2年度財政投融資計画の基本的考え方

昨年12月5日に、(1)災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、(2)経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、(3)未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を柱とする「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」が閣議決定された。この経済対策においては、現下の低金利状況を活かして財政投融資の手法を積極的に活用し、インフラ整備に対する超長期の資金供給を行うなど、成長への投資を活性化させる政策が盛り込まれている。また、海外発の経済下方リスクが顕在化する場合に備え、日本企業の海外展開を後押しする観点から、日本企業による海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等及び質の高いインフラ整備を支援することとなっている。(資料1 経済対策における財政投融資の概要<img style="vertical-align: text-top" src="../../../../common/images/no01.gif" alt="マル1" height="13" width="13"> 経済対策における財政投融資の概要<img style="vertical-align: text-top" src="../../../../common/images/no02.gif" alt="マル2" height="13" width="13">)

これを受けて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構による、生産性向上のための新名神高速道路の6車線化整備の加速や、株式会社日本政策投資銀行による、無電柱化を含む送配電網整備といった安全・安心のためのインフラ強化や生産性向上に向けた取組、企業の海外リスク対応に必要な資金需要への対応等、総額14,503億円の財政投融資計画を、令和元年度補正予算において追加することとし、その政府案が12月13日に閣議提出された。

続いて、令和2年度財政投融資計画(以下、「2年度計画」という。)も、12月20日に予算政府案とあわせ、閣議提出された。これは令和元年8月末に要求を受けた後、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」も踏まえつつ、財政制度等審議会財政投融資分科会(以下、「財投分科会」という。)において審議を行ったものである。

2.令和2年度財政投融資計画の規模

2年度計画の総額は、13兆2,195億円である。このうち、リスクマネー供給等を行う産業投資の規模は4,510億円と過去最大となっている。

この中では、成長力強化のための重点投資として、現下の低金利状況を活かした高速道路の整備及び成田国際空港滑走路の新設・延伸や、日本企業の海外展開支援などに取り組むこととしている。

3.令和2年度財政投融資計画の概要(資料2 令和2年度財政投融資計画のポイント)

(1)成長力強化のための重点投資

2年度計画においては、成長力強化のための重点投資等に計画全体の50%超にあたる約7.2兆円を配分した。具体的には、低金利を活用したインフラ整備の加速と産業投資を呼び水とした民間からのリスクマネー供給促進等に取り組むこととしている。

(ア)インフラ整備の加速等

現下の低金利状況を活かして、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構において、今後発行を予定している政府保証債の一部を予め財政融資資金に置き換え、将来にわたる金利負担を補正計画と合わせて約1兆円軽減することにより、安全性・信頼性等の向上のための高速道路の暫定2車線の4車線化等を行うこととするほか、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社において、高速道路の更新事業等を行うこととしている。このほか、成田国際空港株式会社において、2030年の訪日外国人旅行者6,000万人目標に向けて、成田国際空港の機能強化(B滑走路の延伸及びC滑走路の新設)をはじめとした空港機能の向上を実現することとしている。

(イ)企業の成長力強化

「経済財政運営と改革の基本方針2019」等を踏まえ、民間金融機関等と連携して、成長段階ごとのボトルネックに対応した資金を供給するため、オープン・イノベーションの促進や先端技術の事業化をはじめ、大型投資など民間資金が供給されにくい領域に産業投資を活用していくことが重要である。こうした状況を踏まえ、株式会社日本政策投資銀行及び株式会社産業革新投資機構において、産業投資を呼び水とした民間リスクマネー供給の促進を行うこととしている。

(2)日本企業の海外展開支援等

株式会社国際協力銀行において、日本企業の海外M&A、グローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援や、質の高いインフラ整備等を行うとともに、独立行政法人国際協力機構、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構において、日本企業によるインフラ海外展開への支援等を行うこととしている。

(3)教育・福祉・医療

独立行政法人日本学生支援機構において、進学意欲のある学生等に対し、貸付規模として所要の額を確保することとしているほか、独立行政法人福祉医療機構において、福祉医療サービスの基盤強化を行うこととしている。

(4)地方

地方公共団体向けについては、地方債計画に基づき、社会資本整備や災害復旧を中心に、地方公共団体の円滑な資金調達に貢献する観点から、必要な資金需要に的確に対応することとしている。

4.官民ファンドへの対応状況

官民ファンドは、現在、我が国では民間資金がリスクマネーとして十分に供給されていない状況にある中、政府の成長戦略の実現や地域活性化への貢献等の政策的意義があるものに限定して、民業補完を原則とし、民間で取ることが難しいリスクを取ることによって民間投資を喚起するものであり、民間主導の経済成長を実現することを目的としている。官民ファンド全体においては、各機構創設以降の累積での実投融資額約1.9兆円(平成31年3月末時点)に対して、これまで誘発された民間の投融資額(呼び水効果)は約4.4兆円(平成31年3月末時点)、累積損益は約5,800億円のプラス(平成31年3月末時点)となっており、一定の成果が出ているものの、一部の官民ファンドでは累積損失を計上している。

平成31年4月、累積損失の大きい4ファンド(農林漁業成長産業化支援機構、海外需要開拓支援機構、海外交通・都市開発事業支援機構、海外通信・放送・郵便事業支援機構)については、「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」(平成30年12月経済財政諮問会議決定)に基づき、各官民ファンド及び監督官庁が、累積損失解消に向けた投資計画を策定・公表し、財投分科会においても報告した。また、財投分科会の報告書「今後の産業投資について」(令和元年6月)等を踏まえ、令和元年11月、当該4ファンドの投資計画をフォローアップしたところ、農林漁業成長産業化支援機構は計画未達となった一方、その他の3ファンドは計画を達成した。こうした状況を踏まえ、農林水産省は、農林漁業成長産業化支援機構に係る令和2年度の財投要求を取り下げ、令和3年度以降は新たな出資の決定を行わず、可能な限り速やかに解散するとの方針を示した。計画を達成した3ファンドについても、各官民ファンド及び監督官庁において、引き続き、毎年度、計画の進捗状況の検証を重ねつつ、仮に改善が見られない場合には、事業や組織の抜本的見直しも含めた業務運営の徹底した見直しを行う方針である。

(参考資料)令和元年12月18日 財政制度等審議会財政投融資分科会資料

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/proceedings/material/zaitoa011218.htm