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第148次製造貨幣大試験について

理財局国庫課長 金森 敬/国庫課通貨企画調整室長 谷内 二郎

令和元年10月21日、独立行政法人造幣局(大阪市北区)において、遠山財務副大臣を執行官として、宮島財務大臣政務官御出席の下、第148次製造貨幣大試験が行われた。

1.製造貨幣大試験の意義

貨幣は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づいて、財務省の発注により造幣局が製造している。人々が貨幣を日常的な買い物などで日々安心して使うためには、貨幣に対する信頼の維持が不可欠であり、そのためには、一つ一つの貨幣の品質が一定していること、また、容易に偽造できないものであることが必要である*1。

このため、造幣局では一般に流通している1円から500円までの通常貨幣のほか、皇室の御慶事や国際的な行事などを記念して発行する記念貨幣の製造工程の中で、これらの貨幣の量目(りょうめ)(重さのこと)・品位・直径・厚さについて厳重なチェック(検査)を行っている。これに加え、発注者である財務省は、貨幣に対する信頼維持の観点から、毎年1回、通常貨幣及び記念貨幣の量目が「製造貨幣大試験要領」*2に定めた公差の範囲内にあるかどうかを検査しており、これを製造貨幣大試験(以下「大試験」)と呼んでいる。

2.大試験の歴史

大試験の歴史は古く、大蔵省(現在の財務省)のもとで造幣寮(現在の造幣局)が操業を開始した翌年の明治5年(1872年)に初めて開催された。明治維新直後の当時、市中には徳川期に発行された量目や品位がまちまちな貨幣や地方の藩札、さらには外国貨幣などが流通し、国内における安定的な経済活動を阻害していたことから、これらを整理し、統一的な貨幣制度を整えることは明治新政府の喫緊の課題であった。このため、政府は、明治4年(1871年)に「新貨条例」を制定し、新通貨の呼称を「円」とすることや1円=金1.5グラムとすることを定めた*3。そして、この新たな貨幣に対する信頼を確保するため、造幣寮において日々行われる検査とは別に、貨幣が定められた基準のとおりに製造されていることを公に示す場として大試験が行われることとなった。

写真 第72次製造貨幣大試験 執行官:賀屋 興宣(かや おきのり)大蔵大臣(昭和18年12月)

※当時の大試験実施場所は正廳(せいちょう、現在の大会議室)。

3.大試験の実施方法

(1)対象貨幣の選定

造幣局では、日々の製造枚数に応じて、種類ごとに一定割合(例:500円通常貨幣の場合、30,000枚又はその端数につき1枚の割合)の貨幣を選取し、袋に封入・保管しており、大試験の当日、この袋を開封し、試験を実施する。

第148次大試験において秤量(ひょうりょう)試験を受けた貨幣は、前回の大試験実施以降に製造された通常貨幣(1円から500円までの6種類)及び記念貨幣(資料1の9種類)である。記念貨幣の一部については、遠山財務副大臣及び宮島財務大臣政務官が、大試験の会場で当日、選取した貨幣の入った袋を直接開封し、その中から種類ごとに定められた枚数を試験用として選定した。

(2)大試験貨幣の秤量

秤量試験は、貨幣の種類に応じて、大型の両皿天秤により一定枚数の貨幣の重さを量る集合秤量と、電子天秤により1枚ごとの重さを量る個別秤量で行う。

それぞれの秤量によって計測された量目と法定量目との差が、定められた公差の範囲内(例:法定量目が1枚あたり7グラムの500円通常貨幣の場合、1,000枚を集合秤量し、法定量目7,000グラムとの差が±13グラムの範囲内)にあるかどうかを確認する。

秤量結果が公差の範囲内にあることが確認されれば、前回の大試験の実施以降に製造された貨幣は、すべて適正であったと認めることができる。

写真 執行官による対象貨幣の選定

写真 両皿天秤による秤量

写真 電子天秤による秤量

写真 執行結果確認宣言

4.大試験の結果(確認宣言)

第148次大試験においては、10,000円金貨幣と1,000円銀貨幣について個別秤量を行うとともに、それ以外の通常貨幣などを集合秤量によって計測したところ、法定量目との差が個別秤量で最大0.03グラム、集合秤量で最大1グラムであったため、すべての貨種が基準を満たし「適正」と認められた。

この結果を受けて、執行官である遠山財務副大臣が執行結果確認宣言を行い、第148次の大試験は終了した。

図表 【資料1:第148次製造貨幣大試験の対象(記念貨幣)】

図表 【資料2:製造貨幣大試験年表】

*1) 容易に偽造されないよう、貨幣には、たとえば角度を変えると数字が見えたり隠れたりする加工技術(潜像加工)など、様々な偽造防止技術が採用されている。さらに、造幣局では偽造防止技術の一層の向上のための研究等も行っている。現在の貨幣に採用されている偽造防止技術の具体的内容については造幣局ホームページをご覧いただきたい。(https://www.mint.go.jp/operations/production/technology/technology_index.html)

*2) 財務省と造幣局は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第4条第2項」に基づき、毎年度貨幣の製造に関する事務に係る契約を締結しており、その仕様書において、同要領を規定している。

*3) 明治政府は、旧貨幣等と円との交換レートを定める布告も発布した。金札については1両=1円とし、旧貨幣については、慶長小判、享保小判、天保小判といった種類ごとに、金や銀の含有量(品位)を基準として個別に定めた。

※ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機運を醸成するため、平成30年11月頃から大会開催直前(令和2年7月)にかけて、10,000円金貨幣、1,000円銀貨幣及びその他貨幣(500円・100円)合わせて37種類を4回に分けて発行予定。そのうち、今回の対象貨幣になったのは、第二次発行分の10種類(1,000円銀貨幣について造幣局における通信販売の申込期間は終了。100円クラッド貨幣は令和元年7月24日から全国の取扱金融機関において額面による引換を実施)。