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特集:昭和24年に発足 財務局70年の歴史と果たしてきた役割

昭和24年6月1日、大蔵省設置法施行により大蔵省の総合出先機関として財務部が発足してから令和元年に70周年を迎えた。財務局は、国(財務省)の出先機関として財政・金融政策の執行に携わると同時に、中央の諸施策を地域に浸透させ、また、地域の要望や意見などを中央に伝える役割を担ってきた。本特集ではこの機会に改めて財務局発足の経緯や財務局の役割について紹介する。

写真 発足当時の北海道財務局。明治34年に建築された木造2階建ての建物を利用していた。

写真 発足当時の近畿財務局。大阪陸軍造兵廠跡を利用していた。

財務局発足70周年に当たり

財務局発足70周年に当たり、一言挨拶申し上げます。

財務局は昭和24年6月1日に大蔵省の総合出先機関として発足しました。

財務局発足当時は、戦争により我が国の国土は荒廃し、経済も疲弊しており、国民生活も大変厳しい状況にありました。その後も、我が国は戦後70年余の間に様々な試練や課題に直面してまいりましたが、財務局では発足当時から現在に至るまで、各々の時代の要請の中で地域とつながり、地域経済エコシステムの形成に貢献することで、地域を財務省・金融庁へとつなぐ結節点として、積極的に財務行政に取り組んできたところであります。

また、財務局では、従来の財務行政のみならず、財政、金融、国有財産、経済調査等の業務を通じて、地域の企業・金融機関や地方公共団体等が行う地方創生を支援してまいりました。

今後とも一人一人が財務省の職員であるという自覚と誇りを持って地域の各主体と連携し、地域の強みを最大限引き出すことができるような取組や、地域の方々に向けた情報発信に努めていただきたいと思います。

令和への時代の幕開けとともに、より国民の役に立つ財務局の新たな歴史が築かれることを期待します。

併せて職員諸君の一層の活躍と健康を祈念し、挨拶といたします。

令和元年12月

財務大臣 麻生太郎

財務局を取り巻く歴史

大蔵省の総合出先機関として発足

財務局は、財務省の総合出先機関であり、現在、全国10か所に9財務局(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州)及び1財務支局(福岡)が設置されている。

また、財務局及び財務支局にはその所掌事務を分掌させるための出先機関として、全国主要の地(財務局及び財務支局所在地を除く都府県庁所在地並びに北海道の主要の地)に40の財務事務所が、更に、主として国有財産関係の事務を一部分担させるため、全国に13の出張所が設置されている。

(1)財務局の成り立ち

財務局の歴史は明治時代に遡る。現在、財務局が担っている地方における財務行政の一部は、明治29年に大蔵省の地方出先機関として設置された税務管理局(35年に税務監督局となる)と、その下部組織である税務署が行っていた。

税務監督局・税務署の業務は、内国税に関する事務であったが、大正11年の国有財産法施行にともない、雑種財産の管理処分が税務監督局と税務署へ委任され、これが大蔵省の地方支分部局における国有財産行政の第一歩となった。

昭和に入り、財政投融資の前身である預金部の業務が税務監督局・税務署に加わり、これにより、低利資金を市町村に提供するため、預金部資金の市町村への直接貸付が実施されることとなった。

やがて戦時下において金融統制が進む中、昭和15年に会社経理統制令が定められ、役職員の給与が大蔵大臣の許認可を要することになり、税務署がこの事務の執行機関となった。

その後、昭和16年に税務監督局が廃止(税務署は維持)され、大蔵省の総合出先機関として財務局を設置し、預金部資金の運用、会社経理統制、国有財産管理を担当する財務局出張所が新たに設置されることとなった。

昭和20年5月には本省に金融局が設置されたことにより、財務局の所管事務も見直され、金融機関の検査・監督が財務局の業務に加えられた。

終戦後、旧陸海軍所属の膨大な国有財産の扱いが問題となり、昭和20年8月22日に「戦争終結に伴う国有財産の処理に関する件」の閣議決定が行われ、同年9月に本省に臨時国有財産部、財務局に国有財産部が設置された。また、従来からある出張所に加え、旧陸海軍から引き継いだ財産を管理するために管財支所、管財出張所が設置された。これ以降、いわゆる戦後期においては、旧軍財産の処理が財務局における国有財産行政の主要課題となった。

また、昭和21年には財産税が施行され、これに伴う物納財産の管理処分という新たな業務が加わるとともに、「金融緊急措置令」の施行事務、戦時補償打切りに伴う企業再建整備関係事務及び主計局の予算決算事務の一部を財務局が新たに分掌することとなった。

昭和21年11月には、各県庁所在地に財務局地方部が設置され、税務署に併設されていた出張所の所掌事務は旧軍財産以外の普通財産の管理処分とされた。

前述のとおり、財務局は税を含めた大蔵省の総合的出先機関となっていたが、昭和23年6月には「昭和23年度租税収入確保対策要綱」が閣議決定され、財務局から徴税部門を独立させて地方税務局を設置するという案が固められた。

その後、昭和24年6月に大蔵省設置法が修正され、国税局を設置し、財務局の内国税の賦課徴収に関する事務を移管し、財務局はそれ以外に行政を担当することとなり、名称を財務部として現在の財務局が発足した(10財務部、42財務部支部、92出張所、33管財支所)。

写真 大蔵省福岡財務部(当時)の旧軍用財産・物納財産の管轄区域を示した掲示物。

図表 財務局発足当初の庁舎の状況

図表 現在の財務局・財務支局の管轄区域一覧

(2)昭和の財務局の役割

昭和24年6月に発足した財務部は、翌25年に財務局に昇格し、財務部支部は財務部に改称された。財務局発足時は戦災復興の真っ最中であり、戦災を免れた老朽の旧軍財産や民間等からの借り上げによる建物を庁舎として利用していた。

戦後インフレを克服し、サンフランシスコ講和条約の発行とその後の高度成長を迎える中、財務局では昭和35年から理財部に証券課が設置され、証券会社の経営の安定確保や投資者保護に資するため、証券会社の個別指導を行うこととなった。同じく、経済調査課が設置され、大蔵省の触角として地方経済等に関する調査を充実し、地域経済の動向に即した機動的な財政金融政策を展開しうる体制が整えられた。

その後、昭和40年代前半まで続いた高度経済成長も終焉を迎え、2度のオイル・ショックがもたらした異常なインフレや不況によって、我が国経済は大きな混乱に陥った。このような経済社会の構造変化や混乱を背景に地域経済の安定がそれまで以上に重要な課題となり、財務局においても、例えば財政金融関係を所掌する理財部門では、主計、金融、証券、企業財務、地方財政、経済調査などにおいて、その守備範囲が急速に拡大していった。

昭和49年には、財務局に財務広報官が設置され、50年代には財政の現状について広く国民に理解を得るための財政再建キャンペーン、次いで、60年代には税制改革の必要性等について国民各層の理解を深めるためのキャンペーンが行われた。

国際金融の分野では、昭和48年2月に円の変動相場制への移行、同年7月には相互銀行の外国為替業務が開始された。財務局においては、49年から理財部理財課で外国為替検査を実施することとなった。

その後、昭和61年、有価証券投資が増大する中、健全な投資顧問業へのニーズが拡大したことを背景に、投資顧問業に関する法律が施行され、財務局においては、投資顧問業者の登録・検査が開始された。また、この時期の財政運営においては、税の直間比率の見直しも計画され、所得税等の減税に合わせて平成元年に消費税が導入された。

写真 発足当初の北九州財務局の建物。旧軍財産を移築して利用していた。

(3)平成の財務局の役割

平成に入り、バブル経済崩壊を契機として、社会全体に閉塞感が広がり、また、アジア通貨危機等の外的ショックに加え、国内金融機関が相次いで破綻したことにより、金融システムへの信頼が著しく低下した。こうした中、金融行政機構の改革が行われ、10年6月には総理府の外局として金融監督庁、12月には同庁を改組して金融再生委員会が発足した。財務局においては、これらの機関の委任を受けて民間金融機関等の検査・監督を行うこととなった。

平成13年1月には、省庁再編が行われ、明治2年以来続いた大蔵省は財務省となった。また、金融再生委員会の改組とともに内閣府の外局として新たに設置された金融庁が金融に関するすべての事務を担うこととされ、その事務を地方において行うものについては財務局に委任されることとなった。

財務局では、地域に密着した経済官庁としての機能をより一層発揮するため、平成13年に理財部におかれていた経済調査課を各部の情報が集中する総務部等に移管し、財務広報相談室(官)との連携を強化することにより、情報の受発信機能を強化し、各種広報活動の更なる充実を図ることとした。

また、「地方分権一括法」の施行を受けた地方分権改革の推進により、平成12年に都道府県知事から信用協同組合の検査・監督、17年に法定外公共物の直接管理が移管された。更に、予算執行調査、地方公共団体の財務状況把握、庁舎の使用調整、外国為替証拠金取引業者の監督、少額短期保険業者の監督などの新規業務を担うこととなった。

(4)近年の財務局の役割

近年では、特定の財務局の所管地域を越えて業務を展開する事業者(仮想通貨交換業者、高速取引行為者、電子決済等代行業者等)が監督対象となるなど、業務量の増加とともに、業務内容も高度化・専門化している。

また、平成23年に発生した東日本大震災の教訓、反省を踏まえ、大規模広域災害や原子力災害の対策を強化するため、中央防災会議において決定された「防災基本計画」において、防災に関する諸活動の推進に当たっては、国有財産の有効活用を図ることとされた。これにより、災害応急対策等への備えとして避難場所、避難施設、備蓄など、防災に関する諸活動の推進に配慮することとされた。

更に主計部門においては、東日本大震災をはじめ、その後発生した平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などの大規模災害における災害査定立会業務を、部門や各財務局の管轄区域を越えて、財務局一体となって対応している。

このように、財務局は、地方分権、規制改革など、行政改革を促す大きな流れの中で、業務内容にも変革が求められることとなり、その時々における経済社会情勢の変化に呼応した行政需要に積極的に対応している。

財務局の果たすべき使命

持続可能な経済社会を目指して

(1)組織として目指す姿

財務省は、令和元年6月に「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ。」という使命を実現するため、今後10年、20年という時間軸の中で、組織として目指す姿を明確化・明文化した。

この中では、多くの職員が執行に関わる財務局においては、国民、納税者、更には、将来世代の視点に立って、広く社会の持続可能性を追求し、適正・公平な行政を行うこととされている。

また、少子高齢化や経済のデジタル化など社会が変化する現代において、希望ある社会を実現するため、財務局が持つネットワークを活用し、地域の実情を的確に把握することにより、地域社会の課題解決に貢献することとされている。

財務局の使命

財務局は、財務省の総合出先機関として、また、金融庁からの事務委任を受け、財政、国有財産や金融等に関する施策を実施します。さらに、財務省及び金融庁の施策を地域に広報するとともに、地域の意見・要望や地域経済の実態を財務省及び金融庁に的確かつ迅速に伝達し、効果的な施策の形成に寄与します。また、地域の特性を踏まえた施策の実施を通じて、地域貢献に努めます。

以上により、金融機能の安定や通貨の信認を確保し国民の資産を守るなど国民生活の安定・向上と我が国経済の発展に貢献します。

(2)財務局の使命と求められる職員像

これまで述べたように、財務局は、財務省の総合出先機関として、また金融庁の事務委任を受け、時代に応じて様々な業務を担ってきた。このような中、財務局のアイデンティティーの確立と一体感を醸成することを目的として、平成22年6月に「財務局の使命と求められる職員像」を策定した。これにより、財務局における共通の目標・使命が明確化された。

求められる職員像

1.国民全体の奉仕者たる自覚と国家公務員としての使命感、責任感を持って、職務を遂行するとともに、国の予算の財源は国民の税金であることを自覚し、常にコスト意識を持ち、効率的・効果的な業務運営に努めます。

2.職務に必要な財政、金融、経済、資産管理等の財務に関する専門知識の習得に努めるとともに、現場に足を運んで地域の実情及びニーズを的確に把握し、地域への貢献を通じて、住民の信頼に応えます。

図表 財務局のシンボルマーク

デザインについて

財務局シンボルマークの2つの球体は、「地域と国」を、財務局を中心とした円は、「効果的な施策」を表現している。地域と国を表現している2つの球体を財務局を中心とした円で繋ぐことによって、国の施策を地域に広報するとともに、地域の意見・要望や地域経済の実態を国に的確かつ迅速に伝達することによって、効果的な施策の形成に寄与するという財務局の使命をイメージしている。

(3)財務局の機能強化と地域連携の推進

平成25年6月の「財務局の機能強化と地域連携の推進」において、財務省は、財務本省だけでなく、財務局等があって初めて財務省となるとの認識のもと、中央のネットワークを活かし施策の企画・立案を行うのが本省庁であれば、実際に施策をツールとして地域への貢献を行うのは財務局・財務事務所・出張所であると位置づけた。そのうえで、単に施策を説明するだけでなく、双方向の議論を行うなど、地域の声・実情を汲み取る努力をして、地域の理解を十分に得ていき、更に総合出先機関として「実施」「広報」「伝達」の機能を相互に密接に関連させながら強化しつつ、地域の実情に応じて適切に行うことを通じて「地域貢献」する必要があると整理した。

各地域において財務局が有するネットワークは、本省庁にとっても大きな財産であり、財務局が地域社会と第一線で接点を持ち、財政から国際金融にわたる本省庁の幅広い課題について、絶えず情報を地域に発信できる大きな価値のあるプラットフォーム形成の起点となっている。

そしてこのネットワークやプラットフォームを活用し、近年では各財務局で地域の課題解決や価値創造に向けた取組も厚みを増している。

全国財務局の地域連携の具体的な取組については、年度毎に作成している「地域連携事例集」を参照いただきたい。

地域連携事例集

https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/renkei/index.htm

財務局においては、地域連携を強化することにより、一方的な関係ではなく、双方向の関係とし、各部門・各課が、それぞれ所掌事務にとらわれることなく組織全体として何ができるかを考え、取り組む意識を持ち、本省・財務局が一体となって役割を果たし、それぞれのネットワークを深化・拡大させていくことが必要である。

図表 地域との連携強化

図表 財務局の地域連携(イメージ図)

(4)若年層への広報

財務局では地元経済界等を中心とした様々なネットワークを通じ、若者、女性、子育て世代、高齢者等に対して、それぞれに合わせた情報発信を意識して取り組んでいる。

こうした中、ここ数年の取組みとして、教育機関との連携により小学生、中学生、高校生を対象とした若年層への広報ツールの一つとして、「財政教育プログラム」を積極的に実施している。

これは、主権者教育の一環として、児童や生徒に日本の財政に興味を持ってもらい、財政を自分たちに関わる問題としてとらえ、日本の将来について考え、判断できる知識を育んでもらうことをねらいとして実施している。授業では、財務局の若手職員が講師となり、小学生、中学生、高校生それぞれのレベルに合わせたオリジナルの教材により、タブレット端末等ICT機器を活用し、アクティブラーニング型の授業を行っている。

取組み当初は、国立大学の附属学校の生徒を対象に実施していたが、現在では公立校や私立校などからも実施依頼が寄せられるまでになり、これまでに延べ400を超える学校で約37,000人の生徒を対象に実施している。

(5)おわりに

このように、70年に及ぶ長い歴史の中で、財務局は、経済社会の変化に迅速かつ適切に対応し、また、そのために必要な機構・業務内容等の充実に努めてきた経緯がある。

その中で、職員一人一人が、それぞれの業務を組織全体の一員として取り組んできたことにより、国民の役に立つ財務局を作り上げてきた。

今後も高齢化と人口減少が急速に進行する我が国において、地域に活力と安全・安心をもたらすための財務局の役割は極めて重要であり、引き続き地域の経済社会に密着した財務行政の遂行が求められている。