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コラム経済トレンド51:若者の消費動向

大臣官房総合政策課 調査員 山下 裕介/杉山 渉/檜山 直稔

本稿では、若者(主に20代〜30代前半の人)の消費動向について考察した。

若者世帯の消費性向

・世帯主の年齢階級別に消費性向の推移をみてみると、シニア世帯(60-64歳・65-69歳)では上昇傾向にあり全年齢平均を上回るようになった一方、若者世帯(25歳未満・25-29歳)では全年齢平均を上回っていたものの足下ではそれを下回っている(図表1 世帯主の年齢別消費性向の推移)。

・世帯主の年齢別世帯数の推移から分かるように、シニア世帯が増加している一方で若者世帯は減少傾向にある。少子高齢化の進行から若者世帯の数は今後も減少していくことが予想されるが、次代を担う若者の動向は日本経済の先行きを見通す上で重要であるため、本稿では若者に焦点を当てることとする(図表2 世帯主の年齢別世帯数の推移)。

可処分所得と貯蓄現在高

・若者世帯の可処分所得は1989年以降緩やかに増加し、貯蓄現在高も増加基調にある(図表3 若者世帯の可処分所得・貯蓄額)。

・若者の将来不安について、内閣府が実施している世論調査をみると、「老後の生活設計」を不安に感じる者の割合は若者・全年代共に増加する一方で、「今後の収入や資産の見通し」を不安に感じる者の割合は若者世代で大きく増加していることがわかる。これらより、若者の将来の収入や資産に対する不安が増大し、貯蓄への意識が強まっている様子が窺える(図表4 将来不安に関する世論調査)。

・若者の「今後の収入や資産の見通し」を不安に感じている理由の1つとして、若者世代における非正規雇用比率の上昇が考えられる。非正規雇用は相対的に収入水準が低く、雇用も安定しにくいことから若者の将来不安が増大している可能性がある(図表5 非正規雇用比率)。

消費支出の変化

・若者の消費動向には、消費支出の内訳の変化も関係していると考えられる。

・そこで、若者(30歳未満)の消費支出の変化について、全年代との比較を行うと、「住居」等が大きく増加し、「食料」や「被服及び履物」の減少幅が大きいことが分かる。このうち「住居」については長らく続いた景気低迷等を背景に、企業が社宅を手放したり住宅補助制度を縮小したことの影響が指摘されている(図表6 消費支出額の変化)。

・「食料」では、「外食費」において減少が顕著である一方、「調理食品」の消費額が増加している(図表7 若者の品目別平均支出額(食料))。

・「被服及び履物」については、「洋服」への支出が、男女とも長期的にみて減少傾向にある。この背景としては、

ファストファッション等の、お金をかけなくてもオシャレを楽しめるようなファッショントレンドを取り込んでいる可能性が考えられる(図表8 若者の品目別平均支出額(洋服))。

SNS等の流行による消費行動の変化

・近年の若者の消費動向については、SNS等の流行が影響を与えていると考えられる。

・SNSをきっかけとした商品購入やサービス利用の経験の有無について尋ねた調査では、20代以下の若者世代を中心に他世代に比べて高くなっている(図表9 SNSの情報を参考に購買した経験)。

・一方で、SNSへの投稿を目的とする外食や買物といった消費行動も盛んであることが確認でき、情報の受け手としての消費と情報発信者としての消費という2側面でSNSが影響を与えていることが分かる(図表10 SNSに写真や動画をアップするためにした行動)。

・また、例えば音楽業界では、ネット上のストリーミングサービスが興隆する中、そのサービス利用をきっかけに実際のライブステージへ人を誘引すること等によりライブ市場も拡大しており、ネットとリアルをうまく組み合わせたビジネスが成長しつつある(図表11 ライブ市場規模の推移)。

・このようなSNS等の流行による若者の消費行動の変化を踏まえ、各企業は、インスタ映えと呼ばれるようなSNS受けや、ネットでの体験をリアルでの消費に繋げていくようなマーケティング・製品開発を行っていくことが予想される。

(出典)総務省「全国消費実態調査」「国勢調査」「労働力調査」、内閣府「国民生活に関する世論調査」、消費者庁「消費生活に関する意識調査」、ライブ・エンタテインメント調査委員会「ライブ・エンタテインメント市場規模」

(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。

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