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平成31年度概算要求基準の概要

主計局総務課主計官 寺岡 光博

1.平成31年度概算要求基準の基本的な考え方

我が国の経済にとって、人口減少・少子高齢化や、生産性の向上、地方の活性化といった喫緊の諸課題への対応が求められる一方、財政については公的債務残高がGDPの2倍程度に累積するなど極めて厳しい状況にあり、経済再生と財政健全化の両立が急務となっている。

こうした状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下「基本方針2018」という。)で示された、「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、引き続き手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組んでいく。このような基本的な考え方の下、「平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(以下「平成31年度概算要求基準」という。)が本年7月10日に閣議了解されたところである。

平成31年度概算要求基準は、安倍内閣発足後の5年間の仕組みと基本的に同様としつつ、「新経済・財政再生計画」の内容を踏まえたものとしており、具体的には、

1)昨年までと同様、予算の総額について、概算要求基準において決定するのではなく、予算編成過程において、「新経済・財政再生計画」を踏まえて決定する仕組みとしている。

2)要求・要望においては、裁量的経費について、前年度予算よりも削減した額を要求することとしつつ、「基本方針2018」などを踏まえた諸課題に対応するため、「新しい日本のための優先課題推進枠」として別途要望を可能とする等、弾力的な仕組みとしている。

3)予算編成過程においては、歳出全般にわたり、これまでの安倍内閣の取組を基調とした効率化を行い、施策の優先順位を洗い直し無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化していくこととしている。平成31年度概算要求基準のイメージは下図のとおりであり、その具体的内容については2以降で説明する。

2.要求・要望について

(1)年金・医療等

年金・医療等に係る経費については、平成30年度予算額に、高齢化等に伴ういわゆる自然増(6,000億円)を加算した範囲内で要求することとしている(本増加額については、経済再生やこれまでの改革等の効果を引き続き適切に見込んでいる)。

年金・医療等に係る経費について、「経済・財政再生計画 改革工程表」に沿って着実に改革を実行していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組み、「新経済・財政再生計画」において示された「社会保障関係費については、経済・財政再生計画において、2020年度に向けてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、2019年度以降、その方針を2021年度まで継続する」との考え方を踏まえつつ、その結果を平成31年度予算に反映させることとしている。

(2)地方交付税交付金等

地方交付税交付金等については、「新経済・財政再生計画」との整合性に留意しつつ要求することとしている。

(3)義務的経費

義務的経費については、平成30年度予算額の範囲内で要求することとしている。その上で、聖域を設けることなく抜本的な見直しを行い、可能な限り歳出の抑制を図ることとしている。

なお、各省が義務的経費を要求段階で削減した場合には、その同額を裁量的経費に振り替えられる仕組みとしている。

(4)その他の経費(裁量的経費)

その他の経費(裁量的経費)については、平成30年度当初予算額の90%(「要望基礎額」)の範囲内で要求することとしている。

(5)新しい日本のための優先課題推進枠

予算の重点化を進めるため、「基本方針2018」及び「未来投資戦略2018」(平成30年6月15日閣議決定)等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、各省は上記要望基礎額に、裁量的経費・義務的経費の双方について前年度予算額からの削減額*1の3倍を加えた合計額の範囲内で要望できる仕組みとしている。

3.予算編成過程における検討事項

平成31年度概算要求基準においては、予算編成過程において、施策・制度の抜本的見直しや各経費間の優先順位の厳しい選択を行うことにより、これまでの安倍内閣の歳出改革の取組を基調とした効率化を行う。「新しい日本のための優先課題推進枠」において要望された経費については、「新経済・財政再生計画」における歳出改革の取組を継続するとの方針を踏まえ措置する。

「新経済・財政再生計画」で示された「真に必要な財政需要の増加に対応するため、制度改革により恒久的な歳入増を確保する場合、歳出改革の取組に当たって考慮する」との方針を踏まえた対応については予算編成過程で検討することとしている。

消費税率引き上げとあわせ行う増(これまで定められていた社会保障の充実、「新しい経済パッケージ」で示された「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保」等)その他社会保障・税一体改革と一体的な経費については、前年度当初予算の例に基づき要求するものとし、その対前年度からの増加分については、予算編成過程で検討することとしている。

また、「基本方針2018」で示された「2019年10月1日における消費税率引上げに伴う需要変動に対して機動的な対応を図る観点から、歳出改革の取組を継続するとの方針とは別途、臨時・特別の措置を2019・2020年度当初予算において、講ずることとする。」との方針を踏まえた対応についても、予算編成過程で検討することとしている。

4.要求とりまとめ結果

上記の要求基準を踏まえ、期限である8月末日までに各省庁から提出された平成31年度一般会計概算要求・要望の総額は、約102.8兆円となり、5年連続で100兆円を超えることとなった。平成30年度予算額と比較すると約5.1兆円(5.2%)の増となり、過去最大の水準となっている。また、「新しい日本のための優先課題枠」による要望については、約4.3兆円となった。

平成31年度予算は、「新経済・財政再生計画」の枠組みの下に編成する初年度の予算であり、経済再生と財政健全化に向けて、計画に沿った歳出改革等に確実に取り組むとともに、来年秋の消費税率の10%への引上げを控え、「新しい経済パッケージ」で示された教育負担の軽減の具体化や消費税率引上げに伴う需要変動への対応等について、予算編成過程においてしっかりと検討し、万全の対策を講じていく。

以下には、「平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」の本文及び「平成31年度一般会計概算要求・要望額」を添付する。

図表 平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について

図表 平成31年度一般会計概算要求・要望額

*1) 裁量的経費については、本年度予算の▲10%

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