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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要(令和3年11月26日(金曜日))

【冒頭発言】

冒頭、私から2件お話をさせていただきたいと思います。本日、定例閣議におきまして、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」の使用を決定いたしました。具体的には「子育て世帯に対する給付」に必要な経費として7,311億円を措置するものであります。
 また、令和3年度補正予算の概算につきまして、本日の臨時閣議で決定しましたので、その概要について申し上げます。今回の補正予算は、先週19日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」等を実行するためのものです。具体的には、一般会計予算の補正として「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」に18.6兆円、「『ウィズコロナ』下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」に1.8兆円、「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」に8.3兆円、「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」に2.9兆円で、合計31.6兆円を計上しております。経済対策実行のための歳出とは別に地方特例交付金や国際分担金等の追加財政需要として0.2兆円を計上しております。また、公債等の償還財源に充てるための国債整理基金特会へ2.3兆円繰り入れを行うとともに交付税財源の増加分として3.5兆円を交付税特会に繰り入れることとしております。これらを賄うための財源につきましては、所得税収や法人税収等の増加、国債費など既定経費の減額、税外収入の確保、前年度剰余金の受け入れ、公債発行の追加によって対応することとしております。本日の閣議決定を踏まえ、今後速やかに補正予算の提出に向けて作業を進めてまいります。
 また、臨時閣議において総理から、いわゆる「16カ月予算」の考え方の下、補正予算と一体として編成する令和4年度予算について、デフレ脱却に加え「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義の実現を図るとともに、「骨太の方針2021」における令和4年度予算編成に向けた考え方に基づいて新型コロナの状況を踏まえつつ、メリハリの効いた予算とするよう基本方針が示されました。令和4年度予算につきましても、総理からご指示いただいた基本方針に基づいて、引き続き予算編成に取り組んでまいります。
 次に、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について申し上げます。みずほ銀行は本年2月から9月に合計8回のシステム障害を発生させ、個人、法人の利用者に大きな影響を及ぼしました。これらに関し金融庁が実施してきた検査による全般的な検証を通じて、システム面、ガバナンス面の課題に加え経営陣のシステムリスクや専門性の軽視、顧客影響への感度の欠如といった、一連のシステム障害の真因と考えられる課題が認められました。そのため、金融庁は本日、銀行法に基づき、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対し、システム障害に係る再発防止策の策定や経営責任の明確化等を求める業務改善命令を発出いたしました。また、みずほ銀行は8回目の障害発生時に、取引関係者に経済制裁対象者がいないことを事前に確認する外為法上の義務を履行せずに外国送金を実行していました。これを受け、財務省で検査等を実施した結果、役職員の外為法令の知識不足、関係部署間のコミュニケーション・連携不足、脆弱なシステム管理体制といった問題が認められました。そのため財務省では本日、みずほ銀行に対し外為法に基づく是正措置命令を発出し、実効性のある改善、再発防止策の策定や監査態勢の整備等を求めたところです。金融庁及び財務省によるこれらの処分の詳細につきましては、後刻、事務方から説明させていただきますが、金融担当大臣・財務大臣として、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループには強い危機意識を持って再発防止に万全を期していただきたいと考えております。
 私からの発言は以上でございます。

【質疑応答】

問)みずほに対する業務改善命令について、改めて金融担当大臣として再発防止に向けてどう監督を強化していくのか、お考えを詳しくお聞かせください。
 また、財務省による外為法上の是正措置命令というのは異例のことと思いますけれども、こうした事態となったことについて大臣の受け止めをお願いいたします。

答)システム障害に係る再発防止策などをしっかり実行していただくこと、これは当然のことでありますけれども、今般の一連のシステム障害の真因として指摘された課題が、過去の大規模システム障害にも通底するものであることを踏まえると、自浄作用を十分に機能させることが必要であると考えております。こうした点を踏まえまして、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループにおいて組織的行動力の強化や社内の意識変革などの具体的な取組みを進めていただくことが重要であり、金融庁としてそうした取組みが着実に実行されるようにしっかりとフォローアップをさせていただきたいと考えております。
 また、みずほ銀行が取引関係者に経済制裁対象者がいないことを事前に確認する外為法上の義務を履行せずに外国送金を実行していたことは誠に遺憾であります。国際的にもテロや大量破壊兵器の拡散を防止することが喫緊の課題となっている中、外為法に基づく銀行の確認義務は経済制裁措置の実効性を確保する上で極めて重要なものであります。改善・再発防止策の実行など、みずほ銀行の対応につきまして財務省といたしましてもしっかりとしたフォローアップをしてまいりたいと思っています。

問)続いて補正予算案につきまして、改めて期待する効果や狙いをお聞かせください。また、これから来年度、令和4年度の予算編成が本格化するというお話が冒頭にございましたけれども、様々コロナや社会保障費の増大など、課題がございますけれども、大臣としてどのような予算にしていきたいか、詳しくご所見を伺います。

答)冒頭申し上げましたが、先程の臨時閣議におきまして令和3年度補正予算の概算について決定をいたしました。この補正予算は新型コロナ対策に万全を期し、コロナ禍で厳しい影響を受けた方々に寄り添って万全の支援を行うとともに、科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった成長戦略と「人」への投資の強化、公的価格のあり方の見直しなど、分配戦略を車の両輪に「新しい資本主義」を起動し、成長と分配の好循環を生み出していくためのものであります。これを活用することによりコロナ後の新たな社会が築かれていくことを期待いたしております。そして、令和4年度予算につきましては総理のご指示を踏まえ、引き続き社会保障を持続可能とするための改革等を進めながら新型コロナの状況を踏まえつつ、メリハリの効いた予算とするように取り組んでいきたいと思っています。

問)みずほの問題で、過去の平成14年ですか、過去の14年と23年だと思うんですけれども、問題と通底する問題が今回もみずほに見られたというお話しありましたが、そうなると過去にも、みずほというのはそれを変えていこうという動きがあったと思いますし、金融庁もそれを厳しく監督していたんじゃないかと思うんですけれども、今回の命令で、それが改善するのかどうか、経営陣の刷新というのがあると思うんですけれども、どういう金融庁との関係で、あるいはみずほにはどう自律的に改善をしてもらいたいのかというのを、20年なかなか変わらない問題をどうこれから変えていくのかというのを、ちょっとお考えがあれば教えてください。

答)やはり今回の原因というものをしっかりと我々としてもまた踏まえて、そして改善命令を出したわけでございますから、その後のみずほのこの行動をしっかりフォローアップしていくということであると思います。先程も申し上げましたけれども、一連のシステム障害の真因といたしましては、経営陣について、システムに関するリスクや専門性の軽視、IT現場の実態の軽視、また銀行本部等において顧客影響への感度の欠如、営業現場の実態軽視、さらに企業風土として言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢があったものと認識をいたしてございます。こうした真因を踏まえまして、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループにおいて、組織的行動力の強化や社内の意識変革など、具体的な取組みを進めていただきたいわけでありますが、こうしたことが再度起こることがないように、こうしたみずほの変革、そういうものについてしっかりと我々も注視をし、フォローアップをしていきたいと思っています。

問)今回の補正予算についてお伺いします。今回当初の見込みから上振れた税収6.4兆円ですとか、剰余金を活用しても歳入の6割以上を新規国債で賄う必要があり、国債残高が膨らんでいく一方だというふうに思われます。これは大臣にとっては、健全な日本の財政の姿というふうにお考えでしょうか。

答)ご承知のとおり、今、日本の国、新型コロナという危機に、その最中にありまして、今般の経済対策、補正予算につきましては、必要な財政支出については躊躇なく行っていくという考えに基づきまして、取りまとめを行いました。他方、これまでの新型コロナ対応や今回の経済対策を受けた補正予算の編成によりまして、足元の財政状況がより一層厳しさを増すことはご指摘のとおりであると受け止めております。
 財政というものは国の信頼のこの礎でございますので、引き続き社会保障を持続可能なものにするための改革、こうしたものをしっかり行うなど、歳出歳入両面の改革の取組みを続けていくことが重要でございます。つまりは、財政健全化についての取組みをこれからも堅持してまいりたいと思っています。

問)関連して補正予算についてですが、これはちょっと繰越額が過去最大になった昨年度の予算を踏まえて質問したいんですけれども、大規模な補正予算を3回組んだ2020年度、これについては執行の遅れが重なって、繰越額が30.7兆円になりました。今回は必要なものを積み上げた結果の大規模補正ということであれば、今年度予算の繰越額というのは大きくならないんだろうとは思うんですけど、この補正予算が仮に国会審議を通過したなら、予算の執行に当たって、どのような点に留意してほしいというふうにお考えでしょうか。

答)国会審議に関わることですから国会審議次第でありますけれども、私どもとしては早く成立をさせて、そして今コロナの状況の中で大変に困難に陥っておられます事業者の方、国民の方おられますので、早くスピード感を持ってこれをお届けしていくということが、私は一番大切なことであると思います。それと同時に、先程来申し上げておりますとおり「16カ月予算」ということでありますので、来年度予算も同様に、年度内成立を目指して、そして切れ目なくこのコロナに対する様々な課題、それにはもちろん医療提供体制の確保とか、そういうものも含まれますけれども、そうしたものを切れ目なく実行していきたいと思っています。

問)重ねて恐縮なんですが、予算を執行するに当たっては、やはり繰り越すということがないようにしていって、適切にスピード感を持って届けていく必要があるというお考えでしょうか。

答)そのとおりです。特に我々として必要不可欠なものを積み上げて予算を計上しているわけですから、コロナの状況にもこれはよると思います。今足元では非常に感染者の数は減っておりますけれども、外国の事例を見ると、第6波が訪れたりしているわけですから、我々としてはある程度そうしたことが来ても対応できるようなことも考えつつ、この予算を組んでございます。コロナ感染症がこのままぐっと収束すれば、ある程度はそれは余剰金が出ることになると思いますが、そういうようなコロナという特別な事情で、ある程度状況に対して対応できる、即応できる、そういうような予算を組まなければならないという、そういうことも是非ご理解をいただきたいと思います。

問)みずほへの行政処分について追加なんですけれども、今回フィナンシャルグループの坂井社長、あと銀行の藤原頭取を含めて、首脳陣の辞任も発表されたわけですけれども、新しい経営陣に対して4月以降立ち上がると思うんですけれども、先程おっしゃった企業風土の改善とか、その辺りの改革について期待すること、どういうふうにみずほ銀行に変わっていってほしいのかということを伺えますでしょうか。

答)まず、人事については、これは私どもの業務改善命令を受けて、みずほ銀行、みずほフィナンシャルグループが自主的に自ら考えたことでございますので、人事そのものについては自主的なご判断であると、そういうふうに思います。そして今後のことでありますけれども、システム障害に係る再発防止策などをしっかり実行していただくということはもう当然のことでありますけれども、先程来申し上げましたとおり、今般の一連のシステム障害の真因として、先程も幾つか指摘させていただきましたが、そういうものを踏まえて自浄作用を十分に機能させることが必要であるということを考えております。みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループにおいて、組織的行動力の強化や社内意識の変革など、具体的な取り組みを進めていただきたい、そういうふうに強く思っております。

問)また、みずほの関係なんですけれども、どうしてみずほばかり障害を繰り返して、業務改善命令も繰り返されるのか。他行にはないみずほ特有なものは何だとお考えか教えてください。

答)先程幾つも要因を申し上げました。複合的なことが重なっているということでありますが、まさにそういうことがみずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行においてあったということでありまして、他行と比べて、比較してどうのこうのということではなくて、こうしたようなシステム障害が起こったということに対して、私どもとして十分にこれを調査した上で指摘させていただいているということです。

(以上)