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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和3年11月5日(金曜日))

【質疑応答】

問)岸田総理は1日の会見で賃上げの取り組みについて、賃上げ税制の抜本的な強化に加えて、補助金の要件に賃上げを求めるなど具体的なアクションプランをまとめる考えを示しました。一方で中小企業の多くは法人税を納めていない中で税という手段でどこまで賃上げを促すことができるのかという指摘もあります。抜本的な強化というのをどう行うのか、また税では届かない企業に対してアクションプランではどういった手を打つべきか、大臣のお考えをお聞かせください。

答)賃上げに向けた税制につきましては総理から私の方にもご指示がございまして、関係大臣と協力をして追加的な税制支援を行うようにというお話でございました。今後、詳細につきましては総理の考えを受けまして与党の税制調査会等の場でご議論をいただきまして、その結果を踏まえて対応いたしたいと、こういうふうに思っております。またアクションプランでございますが、先程申し上げました賃上げ税制の抜本的強化、あるいは補助金の要件として賃上げを求めることで企業による賃上げを強力に促すことなどが考えられるところでございますが、具体的な内容につきましては今後関係省庁とも連携をいたしまして予算編成過程において検討していきたいと、こういうふうに思っております。

問)続いて、昨夜行われたOPECプラスの閣僚会合による追加増産の見送りについてになります。原油高による物価上昇はコロナ禍からの景気回復に水をさすという見方もありますけれども、今回のOPECプラスの決定というのが日本経済の先行きにどういった影響を与えると見ていらっしゃいますでしょうか。

答)OPECプラスの閣僚会合におきまして、さらなる増産が見送られたということは承知をいたしております。原油価格につきましては国際的な需給バランス、あるいは為替レートによって、様々な要因によって変動するものと承知をいたしております。原油価格、これは光熱費等を通じて日本の実体経済に影響を与え得るところでありまして、その動向、それから日本経済に及ぼす影響などにつきまして引き続き注視をしていかなければならないと、こういうふうに思っています。

問)今朝、一部報道で本日政府・与党が18歳以下の子どもや若者に一律10万円を支給する方針を固めたという報道がありました。先般、矢野財務次官は雑誌への寄稿の中で、こうしたいわゆるバラマキと言われるような一律の給付や、またその効果について懐疑的な意見を述べられていましたが、大臣ご自身はこの現金給付についてどのようにお考えでしょうか。

答)今朝の朝刊でそういうふうな報道がなされたということは私も読みましたし、承知をしているところでございますが、具体的な対応策につきましては経済対策の検討を進める中で与党とも調整しながら、まさに今後決めていくことでございまして、検討をこれからも続けていきたいと、継続してですね、そう思っています。

問)後段の質問ですね、財務次官がいわゆるバラマキと言われるような現金給付の効果について懐疑的な寄稿を寄せられていますけれども、これについて大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。

答)たびたび私も矢野次官の寄稿の折にもお話をいたしましたが、やはり財政規律をしっかり守っていく、財政というものが市場での信認を受けなければならないわけで、そのためにも財政規律が重要であって、具体的には骨太の方針2021にございますとおりに2025年度中のプライマリーバランスの黒字化というものを目指してしっかりと進めていくということでありまして、バラマキという言葉を使うのがいいかどうかわかりませんけれども、必要なところにはしっかりと予算をつけるけれども、メリハリをつけてやらなければならないと、こうした財政規律のことは片時も脇に置かないでこれから進める必要があるんだと、こういうふうに思っています。

問)そうしますと、その手法について再考を促すといったことも考えていらっしゃいますか。

答)まさにこれからそういうことも考えながら経済対策を決める中で決めていくということです。

問)今の質問にも関連するんですけれども、仮に18歳以下の給付、一律で行った場合、財源は幾ら必要で、そこにどうお金をつけていくのか、この点に関してはいかがでしょうか。

答)まさに先程申し上げましたとおりに、これから経済対策を決める中において検討していくと。その中でどういうことを導入するかということによってどれぐらいの財源が必要になってくるかということが決まってくるわけでありまして、まだその骨格といいますか、どういう制度にするか、仕組みにするか、それはまだこれから検討ということであります。

問)重ねての質問で恐縮なんですが、いわゆる18歳以下の子どもに所得制限なしで10万円を一律で支給するということ、これはバラマキではないかと私は思うんですけれども、大臣ご自身はこのような給付の在り方はバラマキではないというふうにお考えなんでしょうか。

答)いろいろなお考えがあると思います。まさにこれは各党がそれぞれ選挙のときに公約で述べられたことがございますが、予算を編成する過程において1つの案に収れんしていかなくちゃならないと思ってございます。そうした先程来ありますお話のような財政規律をしっかり守るという観点も入れて、今後与党内でまずは調整が進んでいくのではないかと、そういうふうに思っています。

問)東京証券取引所が取引時間を30分間延長する方針を決めました。大臣の受け止めについて、また、国際金融競争力強化の観点から国際金融センターの実現に向けての期待などがありましたらお聞かせください。

答)ご指摘のとおりに東京証券取引所は証券取引のグローバル化など市場をめぐる環境変化に対応するとともに、昨年10月システム障害によって取引が終日停止した反省を踏まえ、万一取引が一時的に停止した場合でも、その日のうちに取引を再開できる可能性を高める観点から2024年度中に取引時間を30分間延長する前提で準備を進めていく旨、公表されたということを承知いたしております。国内外の資金を呼び込み、国際競争力を高めていくためにもこうした取り組みが市場機能の強化につながること、このことを期待いたしているところでございます。

問)特別会計から一般会計が借り入れている借金が四半世紀たってもいまだに返されていないことについて、大臣はそもそもそれをご存じでしょうかということと、今年度どういうふうな対処をしていくつもりがあるかということです。

答)大臣に就任いたしましてからいろいろレクチャーを受けている中で、その中でこういうことがあるということを承知をした次第でありまして、就任前は大変申し訳ございませんが承知をしておりませんでした。説明を受けたわけでありますけれども、令和3年度当初予算におきましては、事故の被害者やそのご家族の不安の声を踏まえまして一般会計から自動車安全特別会計に対し前年度比7億円増となります47億円を繰り戻すということともに、一般病院におけます病床の拡充など事故被害者の対策の充実にも対応してきたということでございます。来年度の話でございますが、令和4年度予算における繰り戻し額につきましては、平成29年の国土交通大臣との合意に基づきまして被害者保護にかかる事業が安定的・継続的に実施されるよう留意をしつつ、また、一般会計の財政事情も踏まえながら予算編成過程におきまして引き続き真摯に協議をしてまいりたいと思ってございます。

問)年間必要なお金というのは190兆あまりだと言われています。ごめんなさい、140億なんですが、返ってくるお金というのは50億程度、令和9年には国交省の持っている特別会計のお金が1,000億を割り込むのではないかという試算が出ております。今、歳出が膨らむような形になっていますので保険料が上がる方向に議論が進んでいます。返済が滞ることによって保険料が上がるというようなことにはならないんでしょうか。

答)今のご指摘のようなことも踏まえまして、29年の国交大臣との合意というものが基本にございますので、それに沿ってまずは被害者保護にかかる事業が安定的・継続的に実施されるよう十分留意すると、先程おっしゃられた事情も踏まえてですね。そしてまた一方において、やはり一般会計の財政事情もございますので、それを踏まえながら予算編成過程で協議をしていくわけでありますけれども、真摯に協議を進めたいと思っています。

問)給付金についてなんですけれども、前回の一律の給付金をめぐっては貯蓄に回ってしまったという反省点が財務省としてはあったかと思います。今回こうした反省点をどう生かされようと考えていますでしょうか。どういう給付の仕方が適切だと大臣自身、今考えていますでしょうか。

答)前回の特別給付金のことについての評価はいろいろあると思います。そういうような評価も踏まえて、これから制度設計をしていくことになるんだと、こういうことでございますが、総理がご発言しておりますのは新型コロナの影響によりまして苦しんでおられます非正規、それから子育て世帯など、お困りの方々に対して、いわゆるプッシュ型によりできるだけ早く給付を行うこと、これが重要であると考えてございますので、こうした総理の基本的考え方に沿って、先程ご指摘になられたようないろいろ評価がございますが、そういうものも勘案をして制度をきちんと、その制度設計をしていくと、そういうことだと考えております。

(以上)