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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和3年10月12日(火曜日))

【質疑応答】

問)国際課税について伺います。先日OECDの会合で国際課税の新ルールに136カ国・地域が最終合意しました。法人税の最低税率15%の導入など国際課税のルールの大幅な見直しとなります。改めてですけれども、最終合意への受け止めと今後G20などもありますけれども、どう臨んでいくか、大臣のお考えをお聞かせください。

答)さきに談話を私も出させていただきましたけれども、OECD、G20のBEPS包摂的枠組みにおきまして経済のデジタル化に伴う課税上の対応について歴史的な合意が実現できたということを強く歓迎するところでございます。日本政府がBEPSプロジェクトの立ち上げ時から国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたことにも麻生前財務大臣がイニシアチブを持ってこの議論を進めてきたという経緯もございますので、100年来続いてまいりました国際課税原則の見直しが合意されたことは本当に高く評価をしたいと思います。今後ですけれども、合意内容の実施に向けまして引き続き各国と協力をして取り組んでまいりたいと思っています。

問)先週もちょっとお聞きしたんですが、矢野事務次官の寄稿についてはお読みになられたでしょうか。その中には、ばらまき批判というのがあるんですけれども、与野党の恐らく選挙公約とか自民党総裁選の内容を指しているんだろうと思うんですけれども、それについての受け止めを改めて教えてください。

答)私も矢野次官の投稿した文書については読ませていただきました。私の印象ですけれども、今回の寄稿は財政健全化に向けた一般的な政策論として寄稿にもありますとおり矢野次官個人の意見を述べたものだと、そういうふうに承知をしております。また、手続面におきましても何か講演とか寄稿するとか職務上に関わるときは上司の了解を得るということになっているそうですけれども、事前に麻生前大臣の了解をとって行われたものでありますし、また寄稿を行うことにつきましては私につきましても出版前に報告がありまして、手続面においても問題はないんだと、こういうふうに思います。寄稿の内容については今までの政府の方針に基本の部分において反するようなものではないと、そういうふうに受け止めております。総理もいろいろな議論はあっても最後は一致して事に当たってほしいと、こういう趣旨の発言をされておられますので、いずれ今後、経済対策、補正予算の編成がございますが、先週の総理のご指示を踏まえて与党とも連携をしながら一体となってその取りまとめに向けて作業を進めていきたいと、こういうふうに思っています。

問)今の質問に関連するんですけれども、問題はなかったということなんですが、財政健全化の立場から知見のある官僚の方が意見を出すということ自体がそんなに悪くないことなのかなと思っていて、あまり強い批判があると、それが前例となって意見表明しないみたいな、萎縮するみたいなことになるおそれもあるのかなと思うんですが、その点をどう考えるのかというのが1点と、もう1点は批判の中にはMMTの考え方を前提にした批判というのもあると思うんですが、矢野さんへの批判というのがMMTの理論を前提にしたものもあると思うんですけれども、MMTに対しては大臣はどのようなお考えがあるかというのをお聞かせください。

答)先程申し上げましたとおり、矢野さんの寄稿された中身は今までの政府の考えとは、反するようなものではないと、こういうふうに思っております。財政健全化というものはとても大切なものでありますので、私としては先程申し上げたような受け止めをしております。MMTについてはいろいろご議論はあると思いますが、私個人の考えではやっぱり日本を壮大な実験場にするわけにはいかないと、そういうふうに思っております。

問)IMFのゲオルギエバ専務理事が世銀の総裁時代にドゥーイングビジネスというレポートで改ざんに関与したのではないかという懸念が取り沙汰されていますけれども、改めましてこの件に関する日本のスタンスを教えてください。

答)そのことについては承知をしています。中国のランクのことに関してのお話だと思います。世界銀行のドゥーイングビジネスのデータ不正に関する問題であると思いますが、現在IMFの理事会においてゲオルギエバIMF専務理事の関与にかかる事実関係の検証等を行っているところと承知をしておりまして、今まだその検証を行っているさなかでありますので、詳細についてのコメントは差し控えたいと思います。なお、日本の立場ですが、理事会において客観的検証が行われること、それが重要であるという、そういう立場をとってきたところであります。一部で報道されているような専務理事の解任を求めている、そういう事実は全くないということもこの際申し上げておきたいと思います。

問)総理の所信表明でも言及がございました年度内に10兆円を達成するという大学ファンドに関連してお伺いしたいんですが、昨年末の補正予算で一般会計と財投で合わせて4.5兆円措置されていまして、残りの財源について大臣はどのようにお考えかというところと、併せて大学自身が資金獲得の手段をしっかりと強化する取り組みが必要であるという言及も財務省の方からされているとは思うんですけれども、現状の各大学の取り組みについて今ご認識等あればお教えいただけますでしょうか。

答)大学ファンドにつきましては世界のトップレベルの研究大学を実現するための大学改革の制度設計等を踏まえたものにすることが重要であるというのが我々の立場でございます。昨年8月、総合科学技術・イノベーション会議におきましても麻生前大臣から、世界トップレベルの研究大学は運用益を受ける立場の当事者であるからファンドへの資金拠出を含めて当事者としてしっかり関与させるような仕組みとすべきであるとの発言があったと聞いております。これは公的な財源だけではなくて、こうした研究大学自身も寄附を募ってファンドに貢献するような努力も必要だということだと理解をしております。具体的にはこれまでの閣議決定、先日の総理の所信表明を踏まえまして、今後の予算編成の過程において検討をしてまいりたいと思っております。

問)岸田総理が昨日テレビ東京の番組に出演されまして、金融所得課税の見直しについて来年度の税制改正では取り上げないという考えを示されております。これについて大臣、問題意識をお持ちだったと思うんですが、どれぐらいのスパンで話し合われるべき問題だとお考えでしょうか。

答)分配政策について様々なことをやらなければいけないということも総理は述べられましたが、まずは賃上げに向けた税制の強化、それから下請対策の強化、これがまずは、順番的に言えばやるべきことだというふうに総理は述べられたと承知をしております。総理のそのお考えを踏まえて、まずは賃上げに向けた税制の強化でありますとか下請対策の強化などに取り組んでいくことになると、そういうふうに考えております。当面、いつ頃のスパンでというようなお話でございましたが、まずは先程申し上げましたとおりに、やるべきものが先にありますので、それをまずは始めていきたいということで、いつから次のそうした金融所得課税の方に手をつけるかというのは、やるべき順番の前の段階を済ませてからということになるんだと思います。

(以上)