このページの本文へ移動

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要(令和3年10月4日(月曜日))

【質疑応答】

問)本日、岸田新内閣が発足することになります。大臣、2012年に財務金融担当大臣に就任されてから9年近くたちました。前回の会見でも質問が出ましたけれども、在任期間中を振り返られて、この間の財務金融行政についてご自身でどのように評価されるのか、課題と新大臣への期待と併せてお聞かせください。

答)今の話ですけれども、2012年ということは平成24年12月に政権交代をさせていただいたんですが、12月ですから、とにかく予算編成は各省の概算要求からやり直し、予算の組替えをやりましたので、最初に補正予算をやりましたので、審議に入ったのは2月末ぐらいだったですかね。あれから予算編成を、スタートからそれでしたので、予算編成9回、補正予算が14回やらせていただいて、合計8年9カ月、3,205日とか言っていましたね、3,205日連続してやらせていただきましたので、大分いろいろこの間に随分事情、国際情勢、いろいろなものが大きく変わったと思います。それに対応しなければいけませんでしたが、やはり消費税率を2回上げています。普通、消費税率は1回上げると竹下内閣、橋本内閣、いずれも倒閣ということになりましたので、2回上げて支持率が上がったんですから、いろいろ新聞の予想とはえらい違ったことになりました。予算の当初ベースで言えば、この間、新規国債発行を、12兆円の新規国債発行額を減額できたというのは私としては、何となく新規国債がじゃんじゃん出ていくというイメージじゃなくて、きちっとそういった減らしたというのはよかったのではないかと思っています。
 また、経済の面で最初、アコードをやるべきだと。すっかりその単語が躍っていましたけど、私は自動車のセールスマンをやるつもりはないから、共同声明に変えろって、共同声明という名前に変えてもらいました。あれが最初のとき、結構まだ政権がスタートしたばかりでごちゃごちゃしていたのですけど、アコード、アコード、結構言っていました、何か。それを共同声明で、日本銀行と話をして、緊縮財政、金融は徹底してというやり方、当時、白川さんが総裁だったのですが、それをやめてもらって、金融は緩和、財政の方も財政緊縮一本やりではなくて、財政も機能的に機動的に出動させます、財政投融資、使いますというようなことを言って、いわゆる設備投資等、いろいろなものをやらないといけない。これまで丸々止まっていましたから、とにかく公共工事は悪というイメージでしたから。同じようなことでしたけれども、北海道から出られたので、コンクリートから人へとかという標語だったですな、あのときは。前任者がセメント屋だから、セメント屋に対するいやみと思いながら聞いていた記憶がありますよ、あれは。結果として、八ッ場ダムをやめるの何のかんのって、わあわあやっていたじゃないですか。とんでもないと思っていましたから、そういったもののインフラはきっちりやらんと、こういう台風の多い国はとんでもありませんよということで、あれを戻し始めて、傍らインフラ整備をきちんとやります、生産性が上がるものなら積極的にやりますなんていうのをやらせていただいて、成長指向に向けた法人税改革というのに変更するというのをやって、投資の拡大をやると同時に、ベースアップなんていう言葉が出て、当時ベアなんて言葉が通じませんでしたから、ベアって書いて熊と間違えましたと言った若い新聞記者がいたので、俺はこの人、正直ないい人だなと思いました。ベースアップを文字ってベアというのは昭和30年代は最も使われていた言葉だったのですけれども、全くベアなんていうものがなくなって、下がっていった時代がずっと続きましたから、企業もこれだけ上げられたのであれば給料上げられたらどうですなんていう交渉を、経団連に交渉したのは自由民主党、安倍内閣で交渉を開始しました。経団連にベースアップを要求した内閣なんていうのは過去ないと思いますけれども、会う度ごとにこれをやらせていただきましたけれども、間違いなくベースアップが2%前後いくことにはなりましたけれども、ほかの国の賃金の伸びに比べて日本は労働分配率は下がったし、いろいろな意味でなかなかそういったものは、伸びた伸びたと言うけど、確かにマイナスじゃなかったですけど、もっと伸びてもおかしくなかったのではないかなと思っております。
 あとはコロナが大きな影響を与えたことは確かだと思います。この結果、我々としては資金繰りがつかないからというので資金繰り支援に始まり、納税の日にちの繰り延べとか、繰り延べても延滞金利はつけないとか、いろいろな形で資金繰り支援というのをやらせていただいたと思っていますけれども、結果としては今でもまだコロナの影響というのがあるのは確かですけれども、少なくとも私が総理大臣のとき、リーマン・ブラザーズの破綻がありましたとき、あのときに比べたら間違いなく倒産件数も3分の1ぐらいかな、失業率も2.8%ぐらいですから、あの頃は5.5%ぐらいいっていたと思いますので、そういった意味では影響をかなり低く抑えられることができた。補正予算も3回、あの頃の補正予算、やらせていただいた経験があったからこれができたのだと思っていますけれども、結果としてGDPも伸びましたし、企業収益もちろん、過去最高になりました。税収も42兆円でスタートしたのが60兆円まで来ましたから、企業収益が上がったので税収の総トータルも60兆円を超えるというところまで、過去最高ということになりまして、減る減ると書いてありましたけれども、結果としては増えました。そういったのでありますし、有効求人倍率も100%というか、1を超えて、あれは高知新聞だったか、高知新聞に求人広告が出たといって高知の代議士が教えてくれたので、何の話ですかって聞いたら、高知新聞に地元の企業の求人広告が出たのは初めてというほど就職が難しいところなんだそうです。それが1を超えるということまでいきましたので、そういった意味では全都道府県で1倍を超えたというのは初めてというようなところまでよくなったのだと思いますが、人口がご存じのように減少していっているという中でもありますので、それにもかかわらず働かれる方々の就職というのは政権交代のときに比べて400万人増えました、数字としては。そういった意味では春闘で継続して年2%ずつという前後のものが上げられていったというのも大きかったのではないでしょうか。結果ですから、こういったようなものは。そういった成果を出すことができたのだと思っています。
 また今、財務省というのは昔と違って国際金融というものが非常に大きな要素を占めるような時代になりました。したがって、いわゆるデジタルとかそういったものの技術の進歩のおかげで、少なくとも従来の課税の哲学というか、基本では捕捉できないものが出てきたということが事実だと思いますの。バッキンガムシャーで8年前でしたか、何年か前にとにかく国際課税というものの見直しをやらんと私達の国民から頂戴した税金で港を造り、飛行場を造り、道路を造り、インフラ整備して、それを外国の人が使いたい放題使って、1円もこちらには税金を納めることはないというこの状態はどう考えてもおかしいのではないかと。少なくともそういったものに対してしかるべき課税がなされない限りはというような話を言ったり、法人税の引下げ競争というのを先進国でやっていったら、その分はどこかでといえば所得税にはね返ったり、消費税にはね返ったりしますよと。したがって法人税引下げ競争をやめたらというような話を提起したのが8年前の5月のバッキンガムシャーというところのG7の財務大臣・中央銀行総裁会議だったのですが、あのとき、シーンとして、賛成したのは唯一ドイツのショイブレ1人でしたけども、みんな黙っていた。それがずっと言い続けて、まずは40カ国ぐらいで日本が主催して会議を開いたのが最初で、次にこの7月、130カ国に至るまで、アメリカも全部、イギリスもフランスも、もめにもめたところでしたけれども賛成ということになって、G20で中国も賛成というところまで来ることができたというところは大きな成功だったと思いますし、これがこの10月、正式に決まるのだと思いますが、少なくとも課税自主権に対する介入ですから、これは歴史的な合意と言われると、外国の新聞は歴史的な合意と書いてありましたけれども、そういったところだと思っています。
 あと、金融庁の方は何といっても、できた経緯からして金融処分庁というイメージがものすごい強い役所でした。金融育成庁に変えてもらおうと。イメージを変えないと話になりませんよということを申し上げて、とにかく安定的な資産の形成というものに、そういったものに資する金融行政というものをやっていかないと駄目ですよということで、特に昨年以降、コロナで影響が出ていましたので、事業者が仕事を継続できるような金融支援というものをやる必要があるのではないかということで、納税の繰延べとか資金繰り支援とか、これは政府系の金融機関も動員して大いにやってもらって、いろいろやってもらった。おかげさまでそれなりの成果が上がったと思っております。
 ただ、この金融行政というのは国際的なことになっているので、ファイナンシャルテクノロジー、通称フィンテックという部門なんかが猛烈な勢いで伸びていますので、これを取り巻く、金融というもの自体を取り巻く環境というのがものすごく変わったと思います。それはコインに限らず、いろいろな形ですごく変わったんだと思いますので、我々としてはこれにまず対応しなければならない。傍ら日本という国だけを見れば、政治が安泰していたり、治安も経済もそこそこ安定しているせいもあるのだと思いますけれども、個人金融資産、家計の金融資本資産というのが1,992兆円かな、大体約2,000兆円ですよ、今年年末には。そして、その中でキャッシュ、現預金で持っている方が1,070兆円、今年1,072兆円ですな、これも。2,000兆円の個人金融資産、現預金が1,072兆円、とてもじゃないけど信じがたい。金利は0.001%ですよ。だから何回も言うけど、10億円預金して初めて1万円の利率がつくということですから、分離課税がつきますから12億円ないと1万円の預金がたまらない。どう考えても、こういうふうな状況にもかかわらず現預金の比率が高いというのはなかなか理解ができないのですけれども、とにかく家計の資産というものが増えていかないと、フローではお金が増えているかもしれませんけど、ストックでは全然増えてませんから、これじゃ金持ちになりませんから、みんな。そういった意味のことをやるためには、NISA、NISAというのはニッポン・インディビジュアル・セービング・アカウントか、通称NISAというのをスタートさせていただいて、とにかく資産に、もっと現預金をこの資産にという話を申し上げてやらせていただいて、口座数が1,500万口を超えていますから、そういった意味ではいろいろなものが少しずつご理解いただけるような、そういったものをいろいろしていますけれども、なかなか資産を、健全な資産を形成ということを我々はさらに進めていかないといけないのだと思っています。
 あとは引き続きコロナ対策というのも、まだ継続していかないといけない部分が幾つもあるのだと思いますし、経済というものを、コロナが一応収束して、今から経済の方に、みんな景気の気の部分が動いてこないと、GDPは個人消費が一番ですから、その個人消費が伸びない限りはGDPが大きく伸びることはないということですし、民間の設備投資というものも、海外ではなく国内で民間の設備投資等が起きることを重点的にやっていくということをやっていかないと、少なくとも今後、経済の再生とか財政の健全化とかというものがなかなかできないんじゃないかと思っています。
 金融分野でこれだけ、国際金融の世界で大きな存在位置を占めるようになった日本ですから、この仲介機能というものをうまく使って、国内外にそういった資金の循環が起きないと、じっとしているわけですから、2,000兆円が。これが動かないのが問題。したがって金融システムというものがうまく動いていく、そういった金融のサービスですかね、そういったようなものをいろいろ考えていかないといけないと思いますので、少なくとも金がなくてではなく、銀行は金が余って貸出先がなくて困っている、そんな状況になったことは、少なくとも敗戦この方、70何年間1回もありませんから、そういう状態になっているんですよ、今。金がないんじゃない。貸出先がないって言っているのだから。こういう状況に対応した経験者は残念ながら日本にはいません。世界でもほとんどいないと思います。ここがいつも一番問題になるところで、ぜひそういったものは、これまでにない新しい課題が今どんどん出ていますので、それにどう対応していくか。
 長くしゃべりましたけど、大体9年間をまとめるとそんなもんだろう。消費税2回上げて倒れなかった、そして支持率は上がったんだから。消費税を2度上げて倒れず、支持率が増えたということに関しての見解は。

問)予想できなかったことだと思います。

答)代表して聞いているってことを忘れないでよ。想像できなかったというのはみんな同じですか。

問)確かに消費税を2回上げて、一時的な支持率は下がりましたけども、私も想像はできませんでした。

答)想像できなかった、そう。想像した新聞社、おたくにはいたよ、1人だけ。上がるって言ったんだ。そうかよって言ったんだけど、上がりますからって言って、事実上がったんだよね。あの記者は大したもんだね。経済ってあんまり詳しくない人だけど、やっぱり経済をわかっている人の方が駄目だったね。全体のことをぱっと大局的に見ている人の方がきちっと読み切っていたな。

問)今月は国際課税の大きな山場を迎えるのと、大臣がこれまで取り組んできた1つの成果といいますか、そういうタイミングだったと思うのですが、8年9カ月の在任ではありましたけれども、このタイミングでの退任となることについて率直にお気持ちをお聞かせ願えますでしょうか。

答)少なくとも今の段階で、代表質問がいつになる。

問)恐らく週明けかと思いますが。

答)11日~13日か、何かその辺になるのかな。そこにちょうどこれが重なるということになりますから、要は誰か代表を送らないといけないことだとは思います。ちょっとまだカナダのところがもめていたり、幾つかもめているところがありますので、これは最後にきちんとやっていきたいとは思いますけど、これはタイミングの問題ですから、そういっためぐり合わせということだと思っています。

問)組閣は今日が正式に発表されるということですけれども、これまでの自民党の人事、党役員の人事などを見ますと、安倍前総理や、あるいは麻生大臣への配慮がにじみ出た人事だという指摘もあります。これからは党の副総裁として重鎮としてなられるわけですけれども、今後どのように政権を支えていきたいというふうにお考えでしょうか。

答)この人事の評価を聞いているわけ。新聞のとおりにあんまり人事がなったという記憶がないので、こんなもの正式に発表されないとなかなかいま一つ信用しないのですが。老壮青、うまくバランスとれているような感じはしますので、今の新聞のとおりだというのが前提ですけれども、そのとおりだとすれば、いろいろな諸課題があります中で対応していくのに形のいいものになっているのではないかという感じはします。

問)長きにわたる在任期間、お疲れさまでした。コロナ禍以降、大きな財政出動が相次いで、財政規律の緩みが非常に大きなものになっております。次の大臣に期待されること、そしてお立場が変わりまして党の方に行かれるわけですけれども、大臣ご自身が今後どのようにこうした財政政策に関わっていかれるおつもりか、お聞かせください。

答)さっき言ったように新規国債発行、8年かけて12兆円減らした分がコロナで一挙に出たので、財政のバランス、いわゆるプライマリーバランスというものに関しては悪くなったのは事実だとは思いますが、日本の場合、もともと悪いのですけれども、長い歴史の中で1905年、日露戦争の戦時公債、あれをずっと金利5%だ6%だ払って返し続けた。結果として、戦前に発行した外債を1988年に返し終わっていますから。その間、戦争で負けたにもかかわらず払った。その間、負けた間ずっと金利をつけて返していますから、日本というのは金を貸したら必ず返してくれる国という、国際的なこの業界での評価を得た最大の力はあれです。それをやった人が高橋是清という人です。知っていた人。勉強ぐらいしておいた方がいいよ。88年だからね、返し終わったのが。80年かけて金を返し終わっているわけよ。だからそういうのが歴史ですから、やはりお金を今、500兆円のGDPに対して1,000兆円の国債等をきちんと返していっているという姿勢が大切なのであって、プライマリーバランスをまずは回復という姿勢をとり続けていないと、マーケットの信頼があるから今、金利もゼロコンマで安定していますし、為替も110円前後でずーっと安定している、最大の背景はマーケットの信用だと思いますね。その信用を維持し続けていくという姿勢は、財政再生、財政再建というものをきっちりやり続けていこうとしている政府の態度が非常に大きいと思いますし、これまでのご先祖様の信用もある、その両方がかかっているんだと思いますから、これはきちんとこの態度を維持していかないと為替やマーケットがえらい影響を受ける。それは経済、商売に直でつながりますから、そういったものをやっていかなといけないところじゃないでしょうか。

問)デフレ脱却で先日の会見でも、もはやデフレではない状況に至ったというご発言がありましたけれども、政府としてデフレ脱却宣言を発するには至らなかったということかと思います。2012年以降あれだけの政策を打って、それでもデフレ脱却を宣言するに至らなかったという、これは何が足りなかったというふうにお考えでしょうか。

答)直接一番大きかったのは石油だな。バレル幾らだった。120ドルぐらいだったな。それが30ドルまで下がった。4分の1。あれは大きかったね、正直。これは、ちょっと2%はいかないと思いました。今75ドルぐらいまで戻ってきていると思いますけれども、やっぱりこういったようなものは極めて大きくて、企業の設備投資というものが国内ではなくて海外で設備投資という方向に流れが移っていって、結果的に海外で工場を造り、海外で会社を買い、得た利益、海外に設備投資、海外に資本投資等をしたいわゆるリターンで日本の国の収支というものはGDPの収支よりGNI、グロス・ナショナル・インカムという国民総所得の収支の方がでかくなった、今は。だから日本経済を貿易立国なんて書いているのは間違っている。今は金融立国になっていますよね、はっきり言って。そっちの方が大きいのだから。そういう意味では貿易というより金融収支の方が大きくなっているというようなことは今までの、日本は今までアメリカにずっと追いつけ追い越せだったものが、いつの間にか追いつかれる、ほかの国から追いつかれるような被追尾国に、よく言えば格上げになったのでしょうけれども、それは同時に経済構造を変えます。したがって国で作っていたものを海外で作って、逆に。自動車もかつて340万台輸出していたのが今、アメリカで300何十万台作っていますから、それが現実。加えて日本から170万台ぐらい輸出していますけれども、そういったような現実というのは、やはり今の、インフレというもので言えば海外から安いものが入ってくるのだから、それに合わせてというので、まずは人件費ということを経営者はやったんですけども、それが結果として人件費のマイナスに、労働分配率の低下につながり、結果としてそれが購買力の低下につながっている、そういった面もありますので、これはなかなか、こちらがいくら言っても労働分配率が上がらない、これは我々は介入する統制経済をやっているのではありませんから。そういった意味では給料は上がらないというような形は明らかにそれは民間の話なので、そういった意味では、そこの購買力が上がらない限りは物価が上がるということもありませんから、そういった意味ではなかなか、金融をいかに緩め、これだけ金融を緩めても物価は上がらないということになってきているというので、これはなかなか今までにない状況に陥っているので、引き続き日銀なりに努力していただかないといけないところでしょうけれども、これは日銀だけの責任か、金融だけでやれるかというと、できないと思います。財政がきちんと一緒についていかないと、どうにもならないと思っていますから、それは今後とも財政と一緒にやっていかないといけない大事なところだと思います。物価が低いといって文句を言う人っていないんですよ。上がったら文句を言う。日本経済も、下がったからって文句を言った記事はない。だからなかなか、経済はそっちの方向じゃなかなか上がってこないということだと思います。

問)先程在任期間についてお話しされていました、戦後で最長の在任期間となったわけですけれども、大臣ご自身として長かった、短かった、何かができて、期間の面でどういうふうなことができて、できなかったかについてお話しいただけると。在任期間が長かった上で、できたこと、できなかったことということについてお話を伺えればと思います。

答)先程述べたので、長かった人は戦前は松方正義、初代大蔵卿。高橋是清、元日銀から1929年、ニューディールの前の対策をやった方が高橋是清という方ですけれども、こういった方々の時代というのは何だかんだ言いながら日露戦争があったり、いろいろな激動の時代を過ごされた方で、大変だったろうと思います、あの頃は。今の日本と違った意味でえらい大変な時期を過ごされた方だと思いますけれども、私の場合、長かったからできたとするのなら、国際課税が仮にこの10月にできたとすれば、国際課税は大きかった。長くいなければできませんでした、これは。そう思います。消費税等、これも、どうでしょうね、内閣が倒れずというのは、やはり安倍内閣全体に支持率が高かったからできたので、支持率が低い状況で増税というのはなかなか難しいんだと思います。長かったからできたことだとは思いますけれども、残念ながら先程質問があった、2%にしたいというのを黒田総裁とやり始めたときから、総裁には石油がこれだけ下がったら2%はなかなかいきませんよと。だからどこかで引き下げないとと言ったのですが、いや、目標としてとにかくできるだけ、やれるだけやってみますというふうな方だということで言われたんですけど、なかなか2%というのにはいかなかった。長かったけどいかなかったということですかね。そういったような感じかな、今は。よくわからない。そんなところですかね。これはもうちょっと冷めて、時間をかけて検証してみないといけないところでしょう。

問)ご自身としては長かったですか。9年弱。8年9カ月。

答)あんた、朝の9時ら5時までずっと、質問もないのに2カ月間座っている自信があるか。新聞記者にはできないだろう。じっと、質問もないのに2月、3月、予算委員会に座っている。やってごらん、自分で。部屋でもいい。それがわからないうちは財務省の質問なんか、とてもできない。長いに決まっている。

問)次に財務相になる方が鈴木俊一氏だと言われておりますが、鈴木さんについてどのようにお考えでしょうか。

答)鈴木俊一、私みたいに新聞から嫌われるということはない人なんじゃない、あの人の場合は。総務会長をやっていたときの答弁を聞いていて、あなたみたいな若い人じゃなくて、長くやっている、番をやっている現場の記者がすごいって。聞いていたらわかるよ。それしかほかに感想はありません。いろいろ経験もありますし、答弁もわかりやすく丁寧に説明される方じゃないですか、あちらの場合は。

問)大臣が在任中の大きな出来事として森友学園をめぐる土地取引の問題と、その後の公文書改ざん事件があるかと思います。これについて退任する今の時点でどう総括されているのかというのと、財務省は再生プロジェクトを進められていて、組織風土改革を行っておりますけれども、これまでに財務省はどのように変わったとお考えですか。

答)森友学園についてはあなた以外にもたびたび質問を受けることがありましたので、同じように答えています。目新しい答弁があるわけではありません。その上で、これは会計検査院の検査が終わって、また検察庁という強制権を持った当局の捜査が進められて、結果として検察当局の捜査においては不起訴ということになったと理解をしています。これ以上、検察権を使って捜査したものに対して、結論が出た話ですから、それをもう1回というような話を、再調査とかというような話をするつもりはありません。これもたびたび申し上げていることですし、したがいまして私共としては財務省の調査に基づいて担当、関係、そういった職員の処分等も終わりましたし、そういった意味ではその後こういったようなことが二度と起きないようにということで、秋池先生に参与をお願いして、いろいろな形でやらせていただいた。また、財務省の組織として抱える問題等がいろいろ抽出され、上級職、次官、局長、官房長含めて秋池さんとの、何回となく出席を義務づけてやらせていただく等、組織風土の改革というのをやらせていただいたりしているというところだと思いますので、そういったものが少しずつ根づいていくんだと思いますが、急激に一朝一夕で変わるわけではないので、新聞社の体質も変わらないのと同じですよ。
 長い間ありがとうございました。

(以上)