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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和3年4月30日(金曜日))

【冒頭発言】

本日の閣議において、新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用を決定しております。具体的には緊急事態宣言の発出によって人の流れが減少して、経済活動に影響が全国的に生じているという状況を踏まえて、都道府県が地域の実情に応じた事業者支援を行えますよう、地方創生臨時交付金に「事業者支援分」として5,000億円を措置することといたしております。新型コロナ感染症への対応は今後またいろいろ何か出てくるかもしれませんけれども、引き続き万全を期してまいりたいと思っております。

【質疑応答】

問)5月3日~5日にオンラインで行われるADB総会とそれにあわせて行われる日中韓、ASEAN+3の財務相会合についてお伺いします。

答)ADBは毎年ゴールデンウィークの間に開かれているんですけれども、今回の場合は特にアジア太平洋地域においての新型コロナからの復興に向けるというか、そういったものへの課題としてUHC、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとか、気候問題の対応とか、質の高いインフラ設備の話とか、国内資金の動員とか、債務の透明性、その債務の持続可能性等、こういったものを確保しなければいけないといった分野が重要であるといったことをこれまでいろいろな電話会談等でやらせていただいておりますけれども、そういったことが重要であるということを指摘するということだろうと考えています。その上でアジア開発銀行が浅川総裁のもとでこうした分野に対する取組というのを継続的にやっていってくれることに期待を表明したいものだと思っています。
 それからASEAN+3、これは財務大臣・中央銀行総裁会議の中において新型コロナウイルス感染症の対応も踏まえというか、影響も踏まえて域内のマクロ経済政策とか情勢とかそういったものへの政策対応とか、この地域における地域金融協力について意見交換が行われることになるだろうと思っています。私の方からは日本経済情勢を説明するとか足元の環境変化を踏まえてチェンマイ・イニシアティブ・マルチラテラリゼーションですか、CMIMをはじめとした地域金融協力をさらに強化していくということが重要であるということを主張していきたいと考えておるんですけれども、アジア太平洋諸国というのを密接に連携をとりながら域内経済とか金融の安定等には貢献をしていきたいものだと思っております。

問)予備費の関連で1点お伺いさせてください。緊急事態宣言が発出されるなどしているので機動的な支援策というのは欠かせないということは十分理解できています。ただ、感染収束のメドが立たない中で歳出圧力というのがやはり強まりやすい状況にあるのかなと。一方で財務省としては既定経費の活用などを使って歳出改革というのは進めていらっしゃるとは思うんですけれども、今回のコロナ予備費5,000億というのは一般の災害時に出ている通常の予備費5,000億とほぼ同額で大きな予備費の金額にはなっているんだと思うんです。そういった中で機動的な支出と財政悪化への歯止めという、これはバランスも難しいとは思うんですけれども、改めて麻生さんの考えを聞かせてください。

答)いい質問ですね。これはすごく大事なところです。本当にこれが何となく今、すぐ予備費が5兆円とか、何とかのあれに1兆円とか簡単に言うけれども、でかい額だからね。何となくそういった面で感性が狂ってきている状態にあるかもしれませんから、そういった意味ではこういった新型コロナというのは各国、ドイツですら財政出動をやるような事態になっているという事態を踏まえてやらないといけないですけれども、借金ですからね、基本的には。だからそういった意味では国が借金していることによって財政というものに対するマーケットからの信用というものが、財政健全化というものをきちんと踏まえておかないと財政健全化に対する信頼が失われるということになって、結果として将来世代に不安を残す、影響を残すということになるということなんだと思います。間違いなく日本の財政というのはもともと厳しかった上にもうイーハンついたみたいな形になっていますから、そういった意味では厳しさが増していることは事実ですよ。したがって我々としてはそういったもともと厳しいところに少子高齢化という中長期的には国難と言えるべき大きな問題だと思うんですが、バランスを考えていかないといけないということは確かです。ただ、経済が再生しないと財政も健全化してこないと思っていますので、まずはきちんと経済を立て直すということで、縮小再生産というのではなくて、拡大再生産みたいな形でやっていかないといけないというのが基本だと思います。少なくとも足元においてコロナの予備費というのをやりながら、日本の場合は先進国の中では死亡者率が圧倒的に少ないという状況になっていますので、そういったものはそれなりの成功をしているんだと思いますが、同時に我々としてはそれの対応をするためにかなりの借金を、何十兆という借金を新たにして、これまで新規国債発行額だけで比較すれば8年間で減らしてきたものが、一挙にここで大きくまた膨らんだ形になりましたので、そういった意味では幸いにして今のところ日本の姿勢がマーケットから評価をされ、為替も大きく変動していることはありませんし、また金利が大幅に上昇して国債金利が暴騰するとかそういったようなこともなく、それなりの対応ができているんだとは思いますけれども。いずれにしても高齢者が、これから団塊の世代が75歳というのに入ってきますので、その人達が入ることで急激に社会保障の負担の部分が増えてきますから、そういったものを考えたときには今のままではいけないということでいろいろお願いをさせていただいて、75歳以上の方でもそれなりの払える年収のある方は医療費窓口負担の2割負担に応じていただきたいとか、また高齢化による増加分の範囲内で社会保障の伸びを抑えるとかというようなことをやらせていただいて、今2025年前後でプライマリー・バランスというものを、まずは赤字を止めると、バランスさせるということを目的として今やっています。それまでの間きちんとした方向でそれなりに向いていたんですけれども、この1年間で大きく歳出がコロナ対策で膨れ上がっていますので、それをきちんと対応して、引き続ききちんと財政をやっていくという姿勢は持ち続けないと、ある日信用がなくなりますと早い話が国債発行金利が暴騰するとかということになりかねず、えらいことになりますので、そういうことにならないようにするというところが大事だと思っています。ものすごく大事なところですよ、これは。

(以上)