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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和3年2月12日(金曜日))

【冒頭発言】

先程までリシ・スナク、新しいイギリスの財務大臣の議長のもとでG7の財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されて、日本からは私と黒田日銀総裁とで出席をしております。会議においてはマクロ経済政策のあり方、低所得国への支援等について議論を行っておりまして、以下、私の発言を紹介させていただきます。
 まず、マクロ経済政策の議論において、私からは今後の経済回復の道筋を見据えた政策対応が必要である、具体的な政策は各国固有の状況や構造的な課題というものに則して実施していくべきということを申し上げております。国によって事情が違いますから。日本については他国に比べて感染が比較的抑制されております。死者数は日本の場合は100万人当たり50人、ほかの国ですと500人とか1,500人とかというレベルになりますので、そういった意味では比較的抑制されているという点を申し上げて、また第3次の補正予算と来年度の予算、足元の支援はもとよりですけれども、グリーン投資という話とかデジタルといったコロナの後、ポストコロナの経済構造転換のための政策も盛り込んでいるということを申し上げております。あわせてコロナの前から抱えている構造的な問題、特に日本においては少子高齢化という問題がありますので、この諸課題にもしっかり取り組む必要があるということを申し上げております。
 次に低所得国の支援については、私からワクチンの分配の加速、国によって違うと思いますね。IMF・世銀のいわゆる譲許的な資金の活用というのがあります。また、SDR、特別引出権、スペシャル・ドローイング・ライツの新規の配分の話とか、債務の削減といった政策のオプションについて今後議論をしていくということが重要であるということも申し上げております。こうした支援というのは特定のドナー国を利するということではなくて、本当に途上国の利益になるということが必要です。スペシャル・ドローイング・ライツで借りたはいいけど、それをそのまま、そこに返しちゃったらその国の利益になって、低開発国の利益になりませんから、このため世銀とかIMFは、特に中国の国家開発銀行、チャイナ・ディベロップメント・バンク、いわゆるCDBのことですけれども、国家開発銀行の債権の実態というものをしっかり見つめてほしい。なぜならここはプライベートバンクだと自分で称しているわけですから、プライベートバンクになると我々としてはそれに対して関与するということができませんから、IMFとか世界銀行というものがそういうのをしっかり把握すべきという点を申し上げております。

【質疑応答】

問)前の会見で国際課税について日本からも主張したいというふうにおっしゃっていましたけれども、トランプ政権のときは一時交渉を中断させてほしいというふうな状況になりましてイエレン政権に変わりました。この件について日本からの発言、議論等、お伺いできるでしょうか。

答)いい質問だね。この種の話でこの質問をした人は初めてだから。今までこれはなかなか、8年ぐらい前に日本が提案した話でスタートした、いわゆるBEPS、ベース・エロージョン・プロフィット・シフティング、BEPSと言うんですけれども、このBEPSの話は主にEU側、特にフランス、こっち側はアメリカというので、やり方に関してかなり手法に差があって、それぞれその手法にこだわっていたという感じがあったんですけれども、この数カ月で随分変わってきて、両国とも、双方とも妥協してきて、ずっと話が建設的になりつつある。だからゴールが去年の終わりで切ってあったんですけれども、何となく次の春ぐらいにもう1回G7やりますけれども、そのときまでには少なくとももうちょっと目に見えるような形になってきている可能性が出てきたかなという感じがちょっと雑感的に、楽観的過ぎるのかもしれませんけれども、今日の会話を見ていた感じではそうです。

問)先日の会見で大臣は気候変動対策、G7の優先順位として掲げられているとおっしゃっていましたが、財務トラックとしてこの気候変動対策についてどのように議論を深めていきたいとお考えでしょうか。

答)気候変動対策についてはそれぞれ皆さん意見を述べておられましたので、関心は結構高いんだなという感じはしました。

(以上)