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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和2年11月20日(金曜日))

【質疑応答】

問)国土強靱化の3か年緊急対策が今年度末に終了することを受けまして、政府・与党内で新たな計画に関する議論が進んでおります。与党側は21年度から5年間にわたり15兆円の事業規模を求めておりますけれども、防災減災対策の進め方や事業規模につきまして、大臣はどのようにあるべきだとお考えでしょうか。

答)3か年計画の後の話ですね。ご存じのように災害がこのところ、温暖化のせいもあるのかどうかは別にして、いわゆる激甚化しているとか頻発に起きるとか一点集中、この地域に特に多いとか、いろいろな問題が起きていることは確かです。また、加えて日本の場合はよく言われる南海トラフの話とか、大規模な地震の発生がいろいろ言われているのはご存じのとおりです。したがって国民の生命・財産を守るという立場に立ちますと国土強靱化というものに対する取組をさらに進めていく、これは重要なものであることは間違いないと思っています。したがって政府において「3か年緊急対策」後の取組については、「骨太の方針2020」の中で中長期的な視点に立って計画的に取り組むため、国土強靱化基本計画によって対策を進めることにしているので、それがまず基本です。先日総理からも経済対策の取りまとめの指示があって、3つありました中の1つに「防災・減災、国土強靱化の推進等の安全・安心の確保」が盛り込まれておりましたので、政府の方針とか、また総理の指示というものを踏まえて、引き続き災害に屈しないような、そういった国土づくりを進めていけるように今後検討をさらに進めていかなければということだと思います。

問)金融担当大臣としてお伺いしますけれども、仙台や山形に地盤を持つじもとホールディングスにSBIが出資するという報道が流れております。基本的には金融機関の個社の判断ということは重々承知しておりますけれども、受止めを可能な範囲でお願いできればと思うのと、併せて最近、地方銀行で経営統合や買収に限らず、システムの共同化など緩やかな提携を模索する動きも出ておりますけれども、これについての評価もお願いできればと思います。

答)今の仙台等の話は知っていますけれども、毎回言っていますように金融機関が自分で判断する話が基本ですから、それをどうのこうのというつもりはありません。一般論として申し上げれば、いわゆる経営判断の話ですから、今の人口減少とか、また高齢化とか、少子化とか、いろいろな表現があるんでしょうけれども、そういった状況は地域によって差がありますから、そういった状況になって少なくとも経営が破綻することになって金融機能というものがその地域から支店がなくなるとか、そういった形になると地域の企業というものがなかなか存続しにくくなるというような形になりますので、地域金融機関と地域企業は極めて密接に関係がありますので、地域振興のためにも地域銀行の存在、地域金融機関と言うのが正確ですかね、というものの存在は極めて大きなものだと思っています。そういった意味ではいろいろな形で今の状況に合わせて経営を模索するのは経営者として当然の話なのであって、今のままじっとしておいたら金を借りに来る人が黙ってくるという時代ではなくなってきたというのは確かだと思います。

問)昨日IMFとG20でレポートを出されています。感染拡大による行動制限が世界経済の回復軌道を外れる可能性があって、ワクチン期待で今、資産価格が上昇していますけれども、それと実体経済との乖離が示唆されていまして、金融の安定に脅威をもたらす可能性があるという警鐘を鳴らしました。それを受けて専務理事は各国ともに財政支出の拡大余地があるというようなご見解を述べていらっしゃったんですけれども、これを受けて金融市場の安定化において各国の経済対策の果たす役割についてどう見ていらっしゃいますでしょうか。

答)今、金融政策というのは基本的には各国の中央銀行に委ねられているというのが基本なんだと思いますけれども、そういった意味では日本の場合は中央銀行との連携は財務省としては、比較対象かもしれませんけれども、かなりうまく連携ができている国の1つだと思っています。いろいろな意味でこれから財政が出動していくに当たって金融と別の方向になるというようなことにならないようにしておかないと少なくとも、どこかの国では大統領が金利引下げと言ったら、片方の中銀総裁は金利は引き上げます、全く別の話をしておられる国があるでしょう。そういったことにならないようにしておかないといけません。私共としては各国の対応を見ながら、近年財政出動というのを全くやったことがないと言えるぐらいのドイツも財政出動という形で決めましたでしょう。日本としても少なくともリーマンのときと違って、コロナによって人の移動がなくなる、物の移動が激減する等によって経済の中の消費という部分が大幅に減るという形になるとGDPが大きく引き下がるということになりますので、財政で景気の気の部分をうまく刺激するとかいろいろなことを考えなければいけないというのはこれまでやってきているところではあります。コロナの間で伸びた企業、産業、業種というのもありますから、全部が全部マイナスなわけではありませんし、そういった意味では業種によって違うし、地域によっても違うというのはよくよく目配りしておかないと、一律にやるというような話とは少し違うんじゃないかなという感じはしています。他方、人口減と高齢化というのは日本にとって大きな問題ですから、生産性を上げるということにつながっていくような設備投資、そういったものには政府として、例えば財政投融資を使わせてもらうとか、いろいろな形で刺激、もしくは維持するということを考えておかないと長期的にだんだんインフラが老朽化するとか、それは同時に生産性が下がるということにもなりますので、そういったことも考えて対応していかなければいけないところだと思って、その点は各国意外と同じような認識を財務大臣クラスは持っているなという感じが最近します。

問)先月26日の財政審の歳出改革部会で出された文科省関係の少人数学級の部分について伺いたいと思います。財務省は少人数学級について最近の新しいデータを使った研究ほど学級規模の縮小の効果はないか、あっても小さいことを示している研究が多いなどと否定的ですが、財務省は出典となる文献からそのまま引用しただけと聞いています。また、財務省は特別支援学校・特別支援学級に通う生徒数の増加を考慮していなかったり、いわゆる学級担任外教員に育休中の教員を入れて試算をした上で、生徒1人当たりの学級外担任教員が多いと指摘しています。このような試算のやり方は少々乱暴だと思うんですけれども、財務省としてどれだけの裏付け調査を行ったのか、まずこれを1点目教えてください。

答)質問する相手が違うんじゃないかと思うけれども、まあいいです。今の話ですけれども、これはいろいろな話があって、少なくとも教員は減って、人口は減っているんだから教員は増えて、20万人ぐらい増えているだろう、トータルで。その数字はつかんでいますね。学生は何万人減ったんだね。先生は増えたけれども学生は減っていますよね。

問)減ってはいますけれども、文科省の。

答)減っている数字だけ教えて下さい。

問)文科省の試算では児童40人当たりの教職員が、その2%くらいしか増えていないと。特別支援学校・特別支援学級に通っている生徒さんが増えているということを前提に伺っているんですけれども。

答)加配教員はどれくらい計算していますか、その中で。まず今の話、今やっている話は令和2年度の補正予算においていろいろな形で加配の措置とか、学習指導員の追加配置を随分した。そういったものをいろいろやるに当たって、感染症対策の支援経費とか、家庭において学習するために教材の購入が必要だとか、また特別支援スクールというのでバスなんかにおいて感染症対策支援などというものをやらせてもらってきているんですが、少人数学級による取決めというものはきめ細やかな指導体制というのが計画的にやっていかないとできないのであって、新しい時代の学びの環境整備等について、関係各所で丁寧に今やらせていただきつつあります。財政審で紹介した論文で「最近の新しいデータを使った研究ほど学級規模の縮小は効果がないか、あっても小さいことを示している研究が多い。」という記述があるというのは確かです。また、担当部局が幾つか論文を確認したところですが、学級規模の縮小の効果はないか、あっても小さいということを示している研究効果があったことも確かです。今言われた指導の話ですけれども、1989年度と教職員の定数は同水準とした場合の試算で計算しているんだと思いますが、特別支援学校とか特別支援学級に通う児童生徒の増加というのは確かに増えていますけれども、それを考慮しても実質的な教職員の定数は大幅に増加しておりまして、12万5,000人、それを勘案しても12万5,000人ぐらい増えていませんかという資料です。多分あなたのデータの元は、OECDの資料を使われている、OECDの資料を使っていない、何の資料を元にしてしゃべっていますか。

問)財務省が公表されている財政審の資料。

答)財務省の財政審議会の資料において教員1人当たりの児童生徒数、国際比較というのをよく使っているんだと思うけれども、OECD作成の資料の中で育休中の教員が含まれているとか含まれていないという話をあなたのところにいる人たちはしているでしょう。育休の話も。していない。そんな細かいことを知っているんだったら育休の話を知らないはずがないと思うけれどもな。

問)1人当たりの学級担任外教員が多いというふうな国際的な比較でもって出されているものについて、1人当たりの学級担任外教員の定義の部分で、どういう人たちが学級担任外教員に入っているんですかということを事前に財務省の担当の方にメールで聞いたら、育休の教員も入っているというふうな回答があったんですね。それでもってお聞きしているというところです。

答)OECDも育休教員入っているから、その比較の中においてはOECDで比較したらほとんど変わらないから、その質問は意味がないですね。育休中の教員も入れているOECDの各国比較と同じです。

(以上)