このページの本文へ移動

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和2年5月29日(金曜日))

【質疑応答】

問)今朝方発表されました経済指標では労働力調査で非正規労働者の下落幅が過去最大となり、鉱工業生産指数も現行基準では最低を記録するなど企業活動や雇用環境が急速に悪化しています。政府は事業規模230兆円を超えますコロナ対策で事業と雇用を守る姿勢を鮮明にしましたが、執行のスピードが遅く、必要とする人に必要なお金が行き届いていないという不満感が根強くあります。この解消に向けて今後どのような対策が必要になるでしょうか、お考えをお願いします。

答)今言われた話で今日、有効求人倍率、失業率とかいろいろな数字が出たということで、有効求人倍率が1.32倍だと思いますが、沖縄が1を切ったという話がありますけれども、沖縄以外は今でもまだ1以上になっていますし、全体で1.32となると引き続き求人が求職より上回っていると、1以上というのはそういうことですから、4月の完全失業率も2.6%ですから、2.5を上回ったというのは2、3年ぶりぐらいだと思いますけれども、確実にそういった影響が出てきていることは確かだと思いますね。5月になるともう少し悪くなった数字が出てくるかなと思ってはいますけれども、アメリカで新たに失業給付を申請したのが4,000万人、4,000万人といったらアメリカの労働力人口の4分の1ぐらいが失業したということでしょうから、これは結構な数字、大きいなと思ったのですけれども、日本としては今のところ、今申し上げたような数字になっています。いずれにしてもこの対策を、給付10万円の話とか100万円の話とか雇用調整助成金とか、いろいろやらせていただいて、今の段階で初めてのことでもあるので少々手間がかかっているという感じは私も否めない事実だと思っていますけれども、やっと今日本1,741市区町村あるんだと思いますけれども、その市町村の中で少なくとも給付を開始したというところが99.9%ぐらいいっていると思いますので、一応そういったものができ始めた。支給、受給で99.9%いっていますから受付は開始したというところまでは来たのだと思っています。雇用調整助成金も申請件数のうちの50%には既に支給決定されているという数字が上がっていますし、また持続化給付金も25日だったか、120万件の申請に対して46万件、約6,000億円お届けということになっていますので話が進み始めましたし、そういったものをもう少し幅広くサポートする会場が少ないという話をして、5月20何日までで300ヵ所ぐらいだったのが、5月末までには465ヵ所までにするという話になっていますから、そちらの方も少しずつではあるけれども確実に広まってきている感じになっていると思っています。いずれにしても迅速な対応を進めるというのでやっていかないと2次補正に関しましてもそういったものに関してさらなる強化をするということで金額を増やしたりさせていただいて、雇用の維持とか、事業の継続とかそういった生活の下支えというものをきちんとやっていって、5月の末で全面解除ということになりましたのでさらに下がっていくというのを止めなければいけないというところだと思っていますので、少し時間がかかっている方もおられるとは思いますけれども、そういったところに対しての対応が今少しずつではありますけれども確実にでき上がりつつあると思っています。

問)27日に閣議決定された20年度の第2次補正予算案について伺います。今回追加歳出が32兆円ということで全額を国債の発行で賄うということになっていますが、20年度については新規国債の発行額が当初と1次補正を合わせて90兆円というところに膨らんでいます。国債依存度が56.3%ということで、リーマン後の09年度51.5%を上回るということで、今回の新型コロナウイルスが収束した後、増税などによって財政規律を取り戻していく必要があると、そのあたりどのようにお考えでしょうか。

答)今言われた話は、楽観的な話をしているのだけれども、さらに税収が落ちることも計算に入れておかないといけない。税収は63.5兆円で予算は組んであるわけだけれども、ご存じのように繰延べというのを認めていますから、それがどれくらい出てくるか今わからないから、1年延ばしてもらっても別に資金繰りに困っているわけじゃないから払いますよという方もおられますので、そういった方がどれぐらい減るのかわかりませんけれども、収入減ということも予想しておかなければいけないということだと思いますので、これがいつわかるかというのはもうしばらくかかりますけれども、今言われた数字よりもっと公債依存度が高くなる、すなわち悪くなるということは考えておかなければいけないと思っています。私共としてはこれによって効果が出てきて企業が倒産しないとか解雇にならないとかという形で、底が抜けるようなことがないようにしておいたことによってV字回復を目指すということなんでしょうけれども、その回復をして税収をまた元に戻して増やしていくということになると同時に、景気が回復しないと経済が活性化しないと財政の改善もできないということになりますので、我々としては税収増というものを増税に頼るというのではなくて景気回復によって税収が伸びるということを目指すというのがまず第一だと思いますけれども。

問)それに関連して、今回非常事態であるということを理由として財政のことを気にしている場合ではないというような話をよく聞くわけですけれども、リーマンショック後の2009年4月に策定された経済対策を見てみますと世界金融危機であるとか世界同時不況であるという、その状況の厳しさを指摘しつつも財政の持続可能性を確保することを留意するというふうな表現がなされています。当時の報道を見ますと、政治の場でも財政規律に関する議論が活発に行われたというふうに拝見するんですけれども、今回そうした議論があまり起こっていないように感じるのですが、このあたり当時と現在の違いというのはどのように見ていらっしゃいますか。

答)一番の違いは、あのときは金融ですから。金融システムが破壊される、崩壊するという話で、人・物・金でいけば金の部分が止まったんですよね。マーケットから全くキャッシュがなくなりましたから。一晩の金利が5%、6%、オーバーナイトコールが5%、6%とはね上がった時代でしたから今とは全く違います。今は変わらず0%でやっているわけですから。金融が破壊された話と今回みたいに人の動きがなくなる、物の動きがなくなるという話は全然条件が違いますので、これがだんだんそのままいくと金の方に波及していきますから、そういった意味ではまずは人・物が動くようなことにしていなければいけないというのが最初。それが回復しない限りは先には行けませんということでやっていますので、それに伴って各国一斉に皆同じように、ドイツですら財政出動というのに踏み切りましたから、これが一番今回では大きなことになっているんだと思いますけれども、我々としてはそういったものも十分に踏まえてきちんと対応していかないと、今はマーケットの信頼をこの7~8年積んできていますから、少なくともマーケットにおいて日本の債券を売るとか円を売るとかという動きになっていないということにつながっているのだと思います。引き続きそういったことはきちんと対応していかなければいけないという姿勢を持ち続けなければいけないところでしょう。

(以上)