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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和2年4月3日(金曜日))

【冒頭発言】

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算、監査等の連絡協議会について話をしますけれども、3月決算企業の監査法人による監査とか決算作業が今から本格化していくのですが、今朝の新聞だったかな、店舗・工場の減損見送りと書いてあるけれども間違い。中身は合っている。この見出しが間違い。後のところは弾力化、こっちは正しい。新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くの上場企業において大幅な売上げの減少とか将来の業績の見通しが立てられない状況というのが出てきているのだと思っていますので、終息時期が不明だから立てられないということになっているのだと思います。こうした企業による倒産というようなことを防ぐため、今2月と3月が駄目だから4月、5月、6月、いつまでと誰も見通していないのだから、5月になったら終わっているかもしれないし、6月になったら終わっているかもしれない、わからない全然。したがって、今後の決算の作業とか監査法人による監査とか、いろいろやるのだけれども、こういったのは新型コロナの感染症による影響だけではなくて、今から4月の半ばぐらいに出てくる政府の緊急経済対策等の予定などを入れた上で、これは柔軟に判断しようということで、企業情報の開示、オープンを適切に行っていただくということが重要なんだと思っていますので、したがって金融庁としては、公認会計士協会、東証、経団連とか全銀協等の関係者間で現状の認識とか対応のあり方を共有するという場が必要なんだということで、連絡協議会を設けることにします。今日夕刻に第1回会合を電話会談でする予定でありますので、詳しい内容は事務方から聞いてください。それから、金融機関において貸出条件などのコベナンツ、金を貸したりするときの財務制限条項、これをコベナンツと言うのですけれども、例えば、今期欠損が出たらこれまでの借入金を一括返済してください、これコベナンツね。このコベナンツというのは、債務者がそういうときにそれに引っかかっているからということになったからといって、これまでだったら、コベナンツに違反しているんだからといって一括引き上げますということは別に法律違反でも何でもない。しかし、今回こういう事態だから、機械的にみんな同じですというふうに形式的に取り扱うのではなくて、借りている人側の方の事情というのはこういった事情なのだから、コロナというような異常事態になっているのだから、それに便宜を図るとか、変更するとか、猶予するとかというようなことを関係者にきちんと要請をしておかないと、一律にやられるとということになります。なぜなら、一律にやっていないんじゃないかと金融庁に言われると貸している方も今度しんどくなりますから、そういうことはしませんと。これは企業の存亡に関わる話ですし、金を貸している方も借りている方も両方とも存亡に関わりますので、先ほど言ったように減損見送りとかという話じゃなくて、そういったルールを弾力的に運用します。なぜなら減損会計規定というのは国際規約だから、日本だけやめますなんてわけにいかないのだから。そういった意味ではルールを弾力的にやりますということを言っているということで、2次見出しのルールの弾力化は正しいんだけれども、減損見送りと言われるとちょっと違うよということです。 

【質疑応答】

問)政府が来週にもとりまとめる緊急経済対策に関連しての質問です。安倍総理は事業規模が56兆円、財政支出が15兆円に上ったリーマンショック後の対策を上回る規模という方針を示されています。対策と併せて編成する補正予算案では財源が課題となると思いますが、どのように確保していくお考えでしょうか。また、巨額の財政出動となりますとプライマリーバランスを2025年度で黒字化する目標に影響が出るおそれがあると思うのですが、これについての大臣のご所見を伺いたいと思います。

答)先月28日の対策本部で総理から感染拡大の防止とか重症化の防止が最優先と、その後、日本経済が回復して確かな成長軌道というものにさせていかなければいけないわけなので、企業が倒れていたら底が抜けていますから回復のしようがありませんから、そういったことのないようにまずは感染防止を最大にして、その次に企業に対する当面の資金繰り等の話をされたのだと思いますが、こういったようなちょっと今までにないような大きな話になっていますので、そういった意味では、マグニチュードという言葉を使われていましたけれども、震度の大きさに合わせて強大な経済対策を打たねばならないので、昨年度やりました総合経済対策26兆円のほかに思い切った措置を講じるというご指示があったところなので、例の5つの柱に沿って施策を積み上げて、一般会計、特別会計、財政投融資等いろいろありますけれども、それぞれの施策に応じて適切な対応をしていくということになるんだと思いますが、「経済再生なくして財政健全化なし」という認識は今までも変わらなく申し上げてきていますので、財政健全化の目標というものを実現するためにも終わった後の経済成長というものをきちんとしておかなければならない、これは不可欠な条件なので、今回の対策によって経済というのは再び確かな成長軌道に回復させていかなければいけないということだと思っています。今5つの柱というのは、例の雇用の維持とか事業の継続とか、いろいろありましたけれども、この5つの柱に沿った施策を積み上げていって、その上で一般会計とか財投とか特別会計とか、いろいろありますけれども、そういったものをそれぞれの施策に応じて、これはいろいろ適切な財源を検討していくことになるんだと思いますが、その際、赤字公債の発行も含めて検討していくということだと思います。

問)経済対策に関連して1点伺います。今朝の一部の報道で所得の急減に対応した現金給付、1世帯当たり20万円、自己申告制で給付するという一部報道がありましたが、この報道に関する真偽と、もしこの報道どおりだとすると自己申告制だとすると、どうやって所得が減少したかとか、もともとの所得があったかとかということを確認するかというところが課題になるかと思うのですが、その点について大臣のご所見を伺いたいと思います。

答)国民向けの現金給付については「新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対し、生活維持のために必要な資金を迅速に交付する新しい給付金制度を創設する」というご指示が総理からあったということだと思いますので、この制度の詳細について今から早急に検討を進めることになりますので、いろいろなやり方が考えられますけれども、今の段階で正確なことを言える段階ではありません。基本的には個別にノベタンでやるということはしないということです。麻生内閣のときのああいった、リーマンのときの話をよく例に引いているけれども、ああいうことはしないということです。あのときは1人幾ら配ったか覚えている。ほとんど覚えていないということは意味がないんだって。そういったものが役に立ったと思っている人がいないのだから。えっ、何だったっけ、みんなそんな程度ですよ。だからやった本人としてみれば、そのとき河村さんが官房長官だった、2人であのとき、私達はあれに反対したんだけれども、残念ながらいろいろな方のご意見をとってあれをとったけれども、結果的に誰も覚えていないぜという話になって、2人であれは失敗だったと、つくづく自分達で反省していますから、また同じことをやったら、何だ、学習効果がないじゃないかと書かれたくはないからね。

問)新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける大企業への支援について伺います。米欧では政府が航空会社についての支援に乗り出していますけれども、日本政府としては航空会社の支援についてどのようなスタンスで臨まれるのかをお聞かせください。

答)この経済対策については現在政府の方でいろいろ検討しているところなのですが、具体的な内容についてコメントすることはできませんけれども、今言われた航空機産業というのは、いわゆる地域経済とか、インバウンド、そういったものを支える日本経済にとっての屋台骨、日本は島国ですから特に他国から車で入ってくるわけじゃないので、船か飛行機かという時代ですから、そこがバタッと世界何十カ国との間の移動が制限される、止められるということになって、航空機の物流、人の輸送じゃなくて物の輸送だけではとてもじゃないので、資金繰りがとてももちませんから、資金繰りがもたないというか、金が入ってこないということになりますので、そういった意味では私共としては民間金融と連携をしつつ、政府系の政投銀等で危機対応融資というのを活用する等万全を期したいというふうに思っています。詳細等、今いろいろ言われていますけれども、まだコメントを外に出せるほどの段階ではありませんけれども、私共としては危機対応融資等を活用して万全を期したいということを思っています。LCCとか大きいぜ。固定費が高いんだな。なぜなら飛行機を借りているから。借りていると、自分が持っているのと違うからね、そうするとその分だけ固定費がそのまま残って、使わなくても固定費はかかるからというのが大きいんですよ。LCCの方が結構しんどいんだと、私にはそう見えますけれどもね。

問)現金給付のところで追加で質問させていただきたいのですが、麻生大臣、当初から首相時代にされた一律1万2,000円の給付の件を引き合いに出されて、効果がなかったということで一律給付には否定的な考えを当初から示されていたと思います。一方で自民党内でもこうした異常事態なので一律給付をすることによって経済に活力を与えるべきであるとか、そういった意見もあったと思います。今、足元の情勢を見ていますと、所得が減った人に対して対象を絞ってやるべきだというふうな意見が浸透してきているように思うのですが、ここはやっぱりそういったやり方が効果的であるというような考えというのは、麻生大臣としてもいろいろな方に説得をされてきた結果、今このような状況になっているということなのでしょうか。そのあたりをどのように見ておられるかということを伺えますでしょうか。

答)どうでしょうね、あのときの効果というのを、河村官房長官の話じゃありませんけれども、あのとき絶対1万円を配れと言った人は閣内にもおられたんですよ。あのときは与謝野財務大臣だったかな、あの方やら何やら、公明党もそうだったかな。結構多かったんですよ、1万円。それでわあわあ、これは絶対効果がありませんよといって、あのときやることになったんですけれども、記者会見で聞いたのは、麻生さんも1万円もらったわけでしょうと。何に使ったんですかというのが質問。みんなでやっている話に、あなたがその1万円は何に使ったのかというのが質問だったんですよ。私は正直びっくりして、これはそんなためにやっているんじゃないと言って、別に困っていませんから使いませんよと言ったら、金持ちぶっている。そういうことになりますから、少なくとも必要な人はいるんですよ、急に仕事がなくなって、子どもの学校も休校になっちゃって、休校させるために子どもの面倒を見てくれる人がいなければ自分でやらなければしようがない。会社を休むといったら会社にばっさり切られちゃうといった途端に収入がバタッとなくなります。これはえらいことになりますよ、その家は。そういったような人達を基本的に対応しないとどうにもならんということなんだと私にはそう見えるのですけれどもね。貯金がある方とかそういう人は別の話です。企業も460兆円からの内部留保があるのだから、企業だっていろいろですよ、それは。

(以上)