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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(令和2年2月23日(日曜日))

【冒頭発言】

本日のG20では、金融における強靱性と開発、インフラ投資、国際租税、金融規制などについて議論が行われております。私の発言を紹介、その後、バイの会談についてお話をします。原則として他国の発言というのは話ができませんので、お断りしておきます。
 まず最初の金融における強靱性と開発のセッションですけれども、債務の透明性とか持続可能性に関して日本の議長のもとで出た成果があります、昨年までの成果がありますので、引き続きそれを進めてほしいという話をしております。
 インフラ投資のセッションでは、世銀等の国際開発金融機関をはじめとする関係者が、「質の高いインフラ投資に関するG20の原則」を着実に実践していくことが必要、この結果、より多くの国が質の高いインフラ投資を実施することによって実利を見出すことが重要と、このように申し上げております。
 次に国際租税のセッションでは、経済のデジタル化への対応について昨年のG20福岡会合において承認された作業計画に沿って、1月末に「制度の大枠」などが公表されたということを大いに歓迎する旨を申し述べ、日本は今出ております第1の柱及び第2の柱の双方に基づく解決策を、国際協調のもとで早急に見出すことが重要であると考えております。セーフハーバーの米国提案につきましては、日本は強い懸念を有しているということを申し述べております。7月の主要事項についての合意及び2020年末の最終合意というのが予定されていますけれども、G20の強いコミットメントを示す必要があると、このように申し上げております。
 次に金融セクター関連のセッションでは、デジタル通貨について、昨年10月のG20のプレスリリースに則ってマネーロンダリングとか消費者・投資家保護等の規制上のリスクが生じないように事前に制度の枠組みを整えておくということだけではなくて、グローバルに普及した場合、金融安定や国際通貨システム上の課題にも十分備えるべきであると、このように申し上げております。
 バイの会談ですけれども、本日はアメリカのムニューシン財務長官とのバイの会談を行っておりまして、世界経済に関する幅広いテーマに関連して意見交換を行ったということです。 

【質疑応答】

問)共同宣言でコロナウイルスを含めてグローバルな監視リスクを強化するということと、さらなる行動をとる用意があるということが採択されたわけですけれども、日本は感染が今広がっていて、日本としてのこの先の取り組みは何を優先してやっていかれるのでしょうか。経済を止めても感染を止めるということで進めていくのか、どのようにお考えでしょうか。

大臣)感染、これは我々の生命、そういった安全というものが優先するということが当然のことだと思いますけれども。

問)今回の新型肺炎の影響を受けてIMFも中国及び世界経済の見通しをさらに下方修正しています。そういった懸念が各国で広がる中、現在の日本経済についての日銀の見通しにどう影響を及ぼし得るのか、まだ4月の展望レポートまでは時間があるとはいえ、民間の予測をみても、今年度、来年度、0%台及び0%台半ばぐらいの成長見通しを置いているところが多いので、日銀の見通しとかなり既に乖離していると思うのですが、そのあたりをお願いします。

総裁)昨日、IMFが、新型コロナウイルスが中国及び世界経済に与える影響の見込みについて公表しています。すなわち、中国において、現在予定されている各種の政策対応が実施され、本年第2四半期に、中国の経済活動が通常の状態に復するというベースラインシナリオのもとで、2020年の成長率見通しについて、中国については1月時点の6.0%という見通しから0.4%ポイント低い5.6%、そして、世界経済全体としては1月時点の3.3%から0.1%ポイント低い3.2%になるという見通しを示しています。
 もちろんIMF自身も言っていますように、今後、中国及び世界経済の見通しについては、当然この新型コロナウイルスの感染がどの程度の期間で終息するかなどにも依存しますので、不確実性が大きいと思います。
 日本経済につきましては、昨年の10−12月のマイナス成長というのは、消費税増税の影響もありましたが、2つの大きな台風や暖冬の影響などがあって、消費が伸びなかったということもあります。こういった一時的な要因は、剥げ落ちていきます。他方、省力化投資や研究開発投資など短期的な景気の変動にあまり影響されにくい設備投資が根強く趨勢的に続いていますし、消費の根本に雇用者所得が実質でもずっと伸び続けているということもありますので、基本的に日本経済が緩やかな成長を続けるという見通しに大きな変化があるとは思っていません。IMFの見通しでも世界経済が2020年全体でマイナス0.1%ポイント下がるというぐらいの見通しになっていますので、日本経済についても大きな影響があるとは今のところはみていません。ただ、新型コロナウイルスを巡るこういった状況が長く続きますと、どうしてもサプライチェーンへの影響から日本のみならず世界経済全体に大きな影響が出てくるおそれもありますので、やはり世界経済に与える影響、今後の金融市場の動向は注意深くみていく必要があると思っています。

問)そうした日本経済の緩やかな回復という見通しに変化がない限りは、さらなる金融緩和というのは必要ないということでよろしいのでしょうか。

総裁)新型コロナウイルスの問題がわが国の経済・物価、あるいは今後の金融市場に与える影響等については、やはり最大限の注意を払っていく必要があると思いますし、今回のG20をはじめ様々な国際会議の場なども活用しながらしっかり情報収集を行い、必要なときには必要な措置がとれるように、万全を期して参る所存です。現時点で金融政策面からの対応について具体的に議論する段階にはないと考えていますが、これまでも申し上げているとおり、必要があれば、躊躇なく、追加的な措置を講じる考えです。

問)麻生大臣にお伺いします。今回コロナウイルスの影響が世界経済に影を落とす中でのG20財務相・中央銀行総裁会議だったわけですが、終えてみて、こうした新たな下方リスクが出ていく中で今回の会議をどのように総括されているかということをお伺いできればと思います。

大臣)コロナウイルスの話については、どれぐらいのものになってくるかというのは、まだよく見えていませんから、また中国の言っている話というのは何となく、あの国の数字はよくわからないところですからね、よく知っているとおりに。したがって、どれぐらい本当なのかよくわからないというのが正直なところですね。そういった意味では、これが4月か5月ぐらいになれば何となく落ち着くさ、と思っている人もいっぱいおられるのは事実ですし、各企業に個別に聞いても対応策というのは、日本でそういったものをつくれないわけではありませんから、自動車の部品でも。その部品はサプライチェーンとして自動車部品で3万点ぐらいありますかね、そのうち1点でも欠けたら車はできない、完成車になりませんから、そういった意味では1つ欠けてもというのであれば、その分は日本の場合は幸いにして国内でつくれる技術がありますから、そういったもので補えるという対応をいかにすくい上げるかということが当然各社、既にしておられますので、今工場が一部止まったりしているところもあるのは事実ですけれども、それを日本でつくれるという形、つくり上げるというものは、その分コストは上がりますけれども、つくれないわけではありませんから。そういった意味ではどれくらい長く影響するのか、というのが見えていない段階で何とも言えませんけれども、基本的には今、世界経済を見ているIMFにしても黒田総裁が言われたような形の対応をしていますので、私共として今の段階で取り急ぎこれによって経済が急激にどうするこうするというようなことを今考えているわけではありません。

問)2点お聞かせください。今のお話にもありましたが、新型コロナウイルスについて、中国の言っている数字というのはちょっとわからない部分があるという大臣のご発言でしたけれども、今回中国は財政部と中銀の総裁を見送っての参加となったと思いますが、その中で新型コロナウイルスについてコミュニケには反映されましたが、議論自体は深まったと、危機の共有等もできたと総括されるのか、さらに具体的な対応策も含めて議論が深まったと総括されるのか否かというのをお願いいたします。

大臣)この問題については、ほぼ主要国みんなそれぞれ中国のこの話についての懸念を表明された上でこのコミュニケができ上がっているというように理解してもらったらいいのだと思います。実際どれくらいの情報があるかということに関しては、中国は駐サウジアラビアの大使が出席をしておられたりしていましたので、当然大丈夫ですと言うよね、そりゃあ。それをそのまま信用するほどみんな人よくはないからね。だから大丈夫かと思いながら、その人は初めて見た人ですからね、みんな。だからよくわからない人の話、あなた大丈夫と言うわけにもいかないし、何となく大丈夫かねと思いながらも、それ以上詰めたところで中国に今いるわけじゃないし、この人は。本国からの訓令に基づいてしゃべっている人に問い詰めても話になりませんから、そういった意味では何となく大丈夫かねと思っているとはいえ、先程申し上げたようにみんな懸念を示しつつも常識的なところで、ウイルスなんてものは4月か5月になれば落ち着いていくであろうと。感染力は広いようですけれども、致死量が逆に少ないという、感染力が強いものは致死量が少ない、逆に致死量が高いものは感染力が弱い、感染症についての基本的な知識としては皆それぐらいのことは知っていますから、そういった意味では今言われたように急激にこれによって、というようなことを想像しているわけではないというように思いますので、そこらのところについてはコミュニケの中においても書かれているとおりなところで話がまとまったということだと思いますね。

問)もう1点、先程セーフハーバーについて懸念を表明されたという言葉がありましたけれども、具体的な懸念の内容としてどういったことをお伝えになったのか、今お考えになっているのかをお聞かせください。

大臣)セーフハーバーについては、こういうものをやれば企業はよりよい選択をする、というアメリカの意見ですけれども、これは各国、そういうことをやるということは、いわゆる規制としては効果が著しく激減しますから、そういった意味ではいかがなものかということに関してはいろいろな国、それぞれ懸念を表明しておられましたので、アメリカとの意見は違うことになるのでしょうけれども、アメリカ対その他ということが今後詰めていく、事務レベルというか、大臣というよりはその次のランクのところでその話は詰めていくということになりますので、アメリカもこれにしつこくこだわって、どうしてもこれだけは絶対と言っているような感じでもありませんから、そういった意味では落ち着くところに落ち着くかなとは思ってはいますけれどもね。

問)まず大臣に1問お伺いしたいのですが、先程のデジタル通貨のところなのですが、これは中央銀行のデジタル通貨をご念頭にお持ちで、おっしゃった発言の中には中国が人民元のデジタル通貨を今年発行する予定というのも念頭に置かれて発言されていらっしゃるのでしょうか。

大臣)デジタル通貨の、ステーブルコインとかクリプトアセットとか、いろいろな名前が使われていますけれども、今話題のところは、リブラでスタートしたみたいなものですけれども、個別でやられるものとCBDCと称する中央銀行が発行するデジタル通貨というものと2通りあると思います。少なくともそれをやった場合に、例えばこれがどういう使われ方をするかといったときに、よほどきちんと網をかぶせておかないとマネロンに使われるということが我々は心配しておかなければいけないところですから、そういった意味ではこういったものを、規制をよほどきちんとしたものでない限りは危険が大きい。国が発行するとなったら桁が大きくなりますからね。これが出てきた背景というのはみんな知っているように送金するに当たって小さな金であっても手数料がやたら高い、だったら手数料が下がればこういったものを発行する必要がないじゃないかというようなことがみんなよく言うところです。そういった意味ではいろいろなことを考えなければいけないとは思いますけれども、少なくとも今の段階で政府発行のCBDCが出てくるということになると、ちょっと待ってくださいと。それはいろいろな問題があるんじゃないですかという点。それが中国ということになると、中国国内だけで使われるというものの、14億のマーケットがあるということですから、それは大きいのですけれども、同時にそれが一帯一路の話になるというようなことになっていくと話が大きくなってきますし、そういったときにマネロンの話はどうして保証してくれるのといったときに、全然それができていない。また、中国でやったときにある日突然にそれがパタと止まったといったときにどうしようもなくなって、世界経済が混乱をするということは断固避けなければいけませんから。そういった意味でアメリカがステーブルコインをやるという、それはまたドルがやるのですから、それはまた話が別ですよ。だけど、いろいろなことを考えて詰める前にこれが流通し始めた後で追っかけてそういったものを後から規制しましょうということになると、それは順番が逆で、そういった混乱が起きないように最初からしておいた上でやらないとできませんよ、という話だと思いますね、基本的には。

問)先程、世界経済の先行きについてご説明していただきました。中国の経済が0.4%ポイント下がるというのは、日本経済にも、世界経済にも大きな影響があると思います。総裁は、従来、大体年央ぐらいに世界経済は持ち直してくるだろうという見通しをおっしゃっていたことがあると思いますが、その見通しについて今どのようにお考えになっていらっしゃるのですか。

総裁)世界経済については、特にIMFがどのように考えているかに非常に関心があるところですが、今回IMFが公表したように、一定の前提を置いて今の時点の見通しをとれば、世界経済に通年で、2020年全体としては0.1%ポイントぐらい引き下げる影響があるということです。その結果、1月時点の世界経済見通しで3.3%と見ていたのが3.2%ぐらいになるということです。去年が2.9%ぐらいとちょっと低く、そこから回復していくということです。基本的にIMFの見通しは、第2四半期には中国の経済活動は通常の状態に復するとみており、第1四半期だけ低くなるということですので、世界経済にとっても0.1%ポイントぐらいの引き下げで、恐らく世界経済全体が年央に上方に転じていくという考え方はあまり変わっていないのではないかと思います。私自身も、IMFのそういう考え方を踏まえれば、日本経済も含めてこれまでのベースラインの考え方が大きく転換して、まだどんどん下がっていくとか、回復の時期がどんどん先送りになるということは今の時点ではないと考えていいと思いますが、ただ、そこは不確実性があるということだと思います。

問)デジタル通貨の議論を今回どのように受け止めていらっしゃったのか、また、総裁として何か発言されたことがあれば教えてください。

総裁)日本銀行としては、中銀デジタル通貨についてしっかり調査研究を行っていくという考えに変わりがありません。現時点で中銀デジタル通貨を発行する計画はありませんが、技術革新のスピードが速いし、決済を巡る環境の変化などから、中銀デジタル通貨に対する社会のニーズが急速に高まる可能性も考えられるわけですので、そうした事態が仮に発生しても的確に対応できるよう中央銀行としてしっかりした備えをしていくことが必要だと思っています。

問)先程の新型コロナウイルスの中国に対して、情報が信用できるかなと思いながら、それ以上は詰めなかったというお話でしたけれども、実際会議の場では、例えば中国に対して情報の透明性とかそういったことの声が上がったりしたのでしょうか。

大臣)他国が何と言ったかというのは発言しない、これはこの業界の暗黙のルールだから、他国がそれに何を言ったかという話をすることはありません。

問)すみません、麻生大臣の方から声を上げたりされたのでしょうか。

大臣)中国の話に関しては、今いる人に聞いてもしようがないじゃないですかと。わかっている人が来ていないのだから、聞きようがないんじゃないですか。最初にそう言えば、みんな意味はわかりますから。財務・金融で飯食っている人がいきなり外務省の駐サウジアラビア大使の話を聞いてもどうしようもない。言われたとおりにしか言わないのだから、みんなその一言で、それ以上のことはありませんでしたね。

(以上)