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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(令和元年5月2日(木曜日))

【冒頭発言】

大臣)まず最初にお断りしておきますけれども、他国の発言は対外的に言及しないということになっていますということを申し上げておきます。

本日は午前中、日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議に出席しております。午後はASEAN諸国の自然災害に対する財政強靭性向上を目的とする保険ファシリティというもので、SEADRIFというものがあるのですが、このSEADRIFの大臣会合を主催したのに続いて、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁、これも20年ぐらいやっていますけれども、これに出席しております。また、バイの会談では、インドネシア共和国のスリ・ムルヤニ財務大臣、中国の劉財務部長とバイ会談を行っております。

まず、午前に開催された日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議では、私の方から日本経済について足元の経済状況に加えて、今年10月に需要変動を乗り越える十二分の財政処置を講じて消費税の8%から10%への引き上げを実施するということによって少子化問題を克服しつつ、高齢化社会への対応を見据えた持続可能な社会保障制度を確保していくということについて説明をしております。中国及び韓国からもそれぞれ自国経済情勢や政策についての説明があっております。地域経済協力については、チェンマイ・イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブなど、ASEAN+3で進めている様々な取組みについて意見交換をさせてもらい、3か国が引き続き緊密に協力する、その考え方で一致をしております。

SEADRIFの大臣会合ですが、本日昼に参加国による大臣会合を主催しておりますが、大臣会合ではフィリピンが新たにSEADRIFに参加するということを歓迎するとともに、私の方からはラオス、ミャンマーを対象とした災害保険の2019年中の開始を目指すこと、また、近年、頻繁に起きます自然災害の発生を踏まえてSEADRIFの具体的取組を他のASEAN諸国に拡大していく議論を先導していくことの2点を述べた上で、日本としても積極的な支援を継続していくということを表明しております。

ASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議ですが、これは本日の午後、域内の経済状況と地域金融協力について意見交換を行っております。具体的な内容につきましては、これは共同ステートメントを参照していただきたいと思いますけれども、AMROにつきましては、財務省顧問である土井俊範が次期所長に選出されたことなどを歓迎したところです。

CMIM、チェンマイ・イニシアティブについては、2010年のマルチ化後では初となります包括的な契約書の見直しというものを、最終案を合意しております。私からは改定契約書の早期発効に向けて各国が署名手続きを速やかに完了するということの重要性について発言をしております。

アジア債券市場育成イニシアティブについては、新しいロードマップを承認するとともに、私から現地通貨建債券の信用補完機関であるCGIFの増資を多くの出資者が受け入れたことなど、その取組みが着実に進展していることを評価する発言を行っております。

また、開始から20年を迎えますASEAN+3の財務プロセスについては、今後の方向性を議論し、ビジョン文書を採択させていただいております。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)今回のお話の中で出てきた共同声明のアネックスで、ローカルカレンシーの活用に関してはチェンマイ・イニシアティブ強化も選択肢の1つになるかもしれないという文言が入ったので、ここはポイントの1つなのだと考えております。これはドルだけでなく、日本円も中国元も融通し合うようになる可能性があるという理解でよろしいでしょうか。それらの御見解や意義について御見解をお願いいたします。

大臣)基本はローカルカレンシーというのは例えば人民元とか、円とか、いろいろありますけれども、そういったものの通貨というもので現地の金というのは動きますから、そういったものに関して通貨危機というものが起きたときに、短期で流動性の支援が行われるということがすごく大事なところなのですけれども、そういったときにドルがいきなりドッと引きあげられてなくなったらとか、よくこれまでもありましたので、そういった意味で域内貿易とか、それから取引等において現地通貨建の決済が着実に増えていくということになると、そういった非常時とか通貨危機におけるときの対応としては安心してやれることになるというので、選択肢が広がるということになります。円建てでとか、いろいろな話は前にフィリピンとかいろいろやらせていただいたのですが、そういった検討を行う際には、大事なことは支援の要請を行っている国が任意に受け取る国の通貨を選択できるようにするのがミソだからね。一方的に、はい、円でいいだろうというわけじゃないから、人民元を押しつけられても、人民元をまたドルに換えたって意味がないのだから、ちゃんと換えられる通貨というものできちんと支援を要請する国がお金を選べるようにするというのが大事なところだと思いますけどね。

問)大臣は前の記者会見のときにも中国との関係性についておっしゃっていたかと思うのですが、借り手としていつまでもやっていくのではなくて、きちんと責任のある貸し手の方に今後回っていくべきではないかというお考えを示されていましたが、実際今回はバイ会談なども含めて、大臣からはいかがだったのでしょうか。

大臣)基本的には少なくともアジア開発銀行の中で見れば、少なくとも中国はアジア開銀のルールではもう卒業をする対象の所得の国であって、少なくとも中国という国はいわゆるお金を借りる側ではなくて貸す側のような立場になっているのではないですかと。だからそういった意味では、都合のいいときに何となく発展途上国みたいな顔をし、都合のいいときは別の顔というふうな調子いいことは駄目よという話を、簡単なことを言えばそういうことを言っておるのですけれども、そういった話は今回もアジア開発銀行の中ではっきり話が出ましたから、総会の中でもいろいろ言っておられましたので、私の方からもきちんと、ちゃんと卒業するのをやらないかんということになっているので、正確に言うと、ADBによる支援は所得の低い発展途上国に重点的にやるのですよ、ADBの卒業所得基準だったかな、を超えた所得の高い国は、支援は量から質へと大胆に転換すべき、これは決められた話でしょうがと。それから、ADBは昨年確か「戦略2030」というのをつくっていますので、それにおいて移行期間におけるADBの支援というものは、いきなり今日もう駄目よというわけにいかないだろうから、移行期間が要るでしょうから、その期間は基本的には卒業につながる分野に重点的に配分するという方針を決めたので、こうした方針はきちんとやってもらうということで、国別の支援戦略に基づいてちゃんとやってもらいますという話は中国にはバイの会談でも言いましたし、会議のときにもその話をしています。

問)今回こうやってADBの毎年の議論をやる中で、黒田総裁もかつてADB総裁を務められて、これまで9代連続でずっと日本人が1966年から務めていますが、黒田総裁は著書の中でアジア金融危機が起こったときのIMFの対応がまずかったと指摘されていらっしゃいます。一方で、現在ですとAIIBとの競合というものが出てきていますが、IMFにさらに改革を求めて、例えばデリンクポーションをさらに増やしていくといったようなことがASEAN+3で必要になっていくのか、あるいはもっとAIIBであったり、中国の財務当局とのやりとりの方が今後の課題になっていくのか、そういった観点でお考えをお聞きしたいのですが。

総裁)いくつかの論点が重なって出てきています。まずは、1997年、1998年のアジア通貨危機の時のIMFの対応が、必ずしもアジア諸国の財政・金融・経済情勢を十分反映していなかったのではないか。これは実はIMFの独立評価局自身も、その後、そういう評価をしています。ですから、それ自体が私の個人的な意見というよりも、やはり振り返ってみても、1997年、1998年のIMFの対応の中には十分でないものがあったということは、IMF自身も認めていることですし、私もそうだったと思います。

それと別な話としては、そういうことを通じて、チェンマイ・イニシアティブという地域の中で相互扶助的に、通貨危機のようなことが起こった場合に支援をすると、それはIMFの支援と矛盾するものではなく、IMFの支援と相互補完的にやろうということを20年前から議論して、規模も今や2,400億ドルになり、バイのスワップではなく、マルチの仕組みにしました。それから、チェンマイ・イニシアティブの改善についての今回の文書を見ていただくと分かるように、IMFと協調して融資するときに、その融資の期間などをIMFの支援と合わせて、より効果的にやっていこうということをしています。

3つ目の論点は、いわゆるIMFプログラムでの融資と協調してやるものとは離れて、ごく短期の流動性の問題のときに、IMFの支援無しに、その国が引き出せる額の30%まではチェンマイ・イニシアティブで支援できることになっています。IMFの支援は、あくまでも国際収支の不均衡や、あるいは金融システムが正常に機能していないなど、マクロ経済が不均衡に陥っているときのもので、その代わりにマクロ経済の不均衡を是正することを条件に支援します。IMFは、無条件あるいはごく軽い条件で貸すということはしていません。チェンマイ・イニシアティブのほうは、マクロ経済は問題ないけれども、短期の流動性不足に陥った国がある場合に、要請に応じて引出可能額の30%まではIMFのコンディショナリティ無しに出せるというのが、非常にユニークな点です。IMFとチェンマイ・イニシアティブの協調は進んでいますが、短期の流動性の支援では、IMFの厳しいコンディショナリティとは別に、短期に融資する独自のシステムがあるということです。

ADBがAIIBと協力する、協力しないというのは、これは通貨危機とは全く関係なく、開発金融や開発融資についてどう協調していくかという話です。AIIBの発足以来、ADBはAIIBと協調しています。AIIBの多くの融資は、実際はADBとの協調融資です。そういう形で協調して、アジアにおけるインフラ整備を進めているということです。ADBとAIIBとの間に、何か対立とか矛盾といったものがあるとは全く思っていません。

問)麻生大臣に2つ質問があります。まず共同声明にも書かれたと思うのですけれども、保護主義への対抗というところ、昨年に引き続き打ち出されていたと思うのですけれども、その後のバイの日中での会談で、より米国との貿易交渉などで厳しい交渉に臨まれている両国だと思うのですけれども、そのあたりの連携や協力について話があったのかどうかということが1点と、G20を見据えて債務の持続可能性というところも1つテーマになってきていると思うのですけれども、それについて中国に対して大臣の方からお話しされたことがあれば教えてください。

大臣)まず最初の保護主義に関しては、共同声明の中にはもちろんのこと、いろいろなところで我々はASEAN+3の中では少なくとも保護主義とか全然関係なく、全く自由で公正なルールのもとでというのをきちんとやっていく、これははっきりしています。中国とその話を特に今回の中でという話を、向こうとの話の間に出たか出ないかという話ですけれども、話の内容はしないということになっていますので、それを言うことはありません。もう1点は何だっけ。

問)債務の持続可能性について。

大臣)これはいわゆる、借りた金を使っていろいろなものをつくる、つくったらそれによって少なくとも、高速道路をつくったらその料金をもとに、その金を回収して借りた人に返していくという、返済計画というのをきちんと物をつくると同時に、幾ら自己資本があって、幾ら金を借りて、そのうち外国から借りているのは幾らで、それに関わる金利が幾らで、したがって返すのが長ければ長くなるほど金利がかかる等、そういったようなものの計算ができて金を借りているというのが常識なのだけど、そういう常識のない、もしくはそういった知識がない、常識があっても知識がないというところで、このままでいいのですよといううまい話に乗せられて、後で気がついたら金利がえらい高いものだったり何かして、気がついたら今どき金利がえらい安い、超低金利の時代の中にあってえらい高い金利になっていたり何かすれば、早い話が返せなくなりますと。又貸ししてくれますなんていうので膨れ上がったら多重債務みたいな話だな、早い話がサラ金の多重債務と言ったらわかりやすいのかな。あれと同じことが国でも起きるということですよ。それで気がついたら払えなくなりました、じゃあいいですよ、しようがないからその港を99年間租借しますというような形になられる可能性というのはあるわけですから、事実なった国があるわけだから、そういったようなことはいかがなものかという話がいろいろある中で、「質の高いインフラ投資」という考え方の中で、開放性、透明性、お金の借り方の透明性とか、そういったものに関してもきちんと述べていくということです。これは結構いろいろもめたところでありますけれども、だんだん落ち着いてきたのではないですかね、この話は。ずっと言っていましたから。

問)中国と今回そのお話をされたということでよろしいのですか。

大臣)(大臣、頷く)。

問)大臣に2点あります。先ほどお話でもありましたが、債券の、IIPのところで、インフラの債券を使った、ポンドを使った取り組みのところでお伺いしたいのですが、今回その項目がステートメントにも入ってきたと思うのですが、その意義というのを今後やっていく上でどのように考えるかということを、実際に行っていくという段階に入る上での課題をどのようにとらえているのかというのを1点お願いします。

大臣)それは基本的に現地通貨建てで金を借りるということをやっていくのですけれども、少なくとも現地の通貨建てでやるというのは、それに対して金を貸すというときに当たっても同様に、どうやって返す、いつ返す、金利は幾ら等のものをきちんとやっていかないと、ドルでやっても何だって同じことになりますから、そういったようなことにならないようにあらかじめよく計画を、双方で打ち合わせをしておかないとなかなかできないということなのだということだと思いますけれどもね、その話は。そんな難しい話をしているわけでも何でもないのだと思いますが。

問)今回インフラの部分についてそれが活用できるようになるというのが入ってきたところが1つの意義だと思うのですけれども、そのインフラに活用するというのの今後の利点というのをどのようにとらえていらっしゃるか。

大臣)インフラをというのは、かなりな、膨大な需要というのが、アジア地域にインフラに対する需要があるのだと思いますけれども、それに対してどれだけの支援をできるだけの資金的余裕がADBにあるか、IMFにあるか、もしくは世銀にあるかということを考えたときに、その内情、状況は極めて厳しいという状況になってきたときに、その国がどうしても欲しければプライベート・ファイナンス・イニシアティブでやるとか、そういったようないろいろなものが出てくるのだと思いますが、その中の1つとして今言ったような現地通貨建てで人民元でやります、円でやります、そういったようなことは十分に起きるのだと思いますよ。それができやすくしてあるということだと思いますから。ただ、そのときにきちんと対応を考えておかないと、先ほど言ったような多重債務とか焦げつくとか、いろいろなことが起きやすい可能性がありますから、みんなでそこのところは、大きなプロジェクトができたときにはしかるべき詳しい人がいるわけだから、ちゃんとそういったものを相談される相手として、例えばそこはADBだったり、例えば日本だったりするわけですよ。知っているかどうか知らないが、日本という国だけだからね、借りた金で1回もその金を返さなかったとか、踏み倒したとか、そういったことを1回もやったことのない国というのは世界で日本だけだと思うがね。日露戦争で借りた金を一体いつ返したか、調べたことがあるか。

問)ないです。

大臣)ないだろうね。

(以上)