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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(平成30年12月1日(土曜日))

 

 
【冒頭発言】

 それでは、今回のサミットの所感ということですけれども、会議については外務省の方からやることになりますので、私の方から申し上げることはありませんが、基本的には貿易とか気候変動とか幾つかの問題があるのは、もう毎度のことですが各国の首脳が率直な意見交換を行った上で、力強いメッセージが出るためにG20が首脳宣言というものを採択したということには価値があるのだと思っています。
 今後、いわゆるG20というもので、これは財務大臣・中央銀行総裁会議というのに向けて、G20の議長国を、12月1日ですから今日から、日本は議長国ということになるのですが、これについての考え方を、まず申し述べておきたいと思います。
 今の世界経済とか国際金融とかいうのは、ご存じのように国際金融危機という、リーマンブラーズの破綻に始まったような状況から10年が経過しているのですが、これは間違いなくあのころの状況とは変わって、安定性を維持しているとは思いますけれども、近年の経済成長というものは、これは鈍化してきていますので、金融の脆弱性も高まっているなどの様々な下方リスクが存在しているのだと思っており、それで将来の危機に備えて色々警戒を強化していくというのが、我々は10年前に習った教訓の一つだと思いますので、強化していく必要があるというのが大事なところです。
 加えて今世界というのは、国によってまちまちですけれども、高齢化社会への対応、途上国におけるインフラとか、社会保障制度の整備とか気候変動対策など色々数多くの伝統的な課題というのは、依然としてこういうのははっきりしているわけです。
 また色々な意味で急速な技術革新、フィンテック等、そういった経済技術の発展によって経済の生産性が向上する一方で金融サービスというものやら、雇用のあり方が劇的に変化することになります。技術の進歩によって。
 技術革新に伴う大きな変化への対応というのは、これは新たな課題として、これは顕在化していくことになる。金融に関する技術が分かっていないと金の引き下ろしが出来るの、出来ないの等、色々な話が今からいっぱい出てきますから、それに対応出来る技術というのが分かっていないと、なかなか難しいということになってくるのだと思いますね。
 こういった状況の中で経済成長の果実というものの分配というのが、そういった技術を分かる人、分からない人の間に不均衡というのが出てくる。結果として、いわゆる国民の不満が高まるということになりますので、これまでの世界に平和とか繁栄とかをもたらしてきた国際経済秩序とか国際協調といった価値が危機に瀕するということになりかねないということです。このままでは国際社会は色々な形で分かる人・分からない人に分断されてみたり、色々な形で各国がいよいよ閉鎖的となってみたり、また経済の悪化と社会の不安定化というものが悪循環というものを起こすということになりかねないのだと思っています。
 振り返ってみれば、日本は第二次世界大戦後、日本とドイツですかね、敗戦国としては、いわゆる国際経済秩序とか自由貿易体制とか国際協調ということ、そういう事実によって最も多くの恩恵を受けた国の一つであることは間違いないと思いますね。なかんずく日本、ドイツ、次どこだと思いますか。国土が大幅に減って経済が1番だ、2番だ、3番だとのし上がったのですから、そういった意味では、先進国として日本というものがこれらの秩序のおかげでのし上がったということになるのだと思いますが。従って恩恵にあずかったことは間違いないと思いますが、その協調の価値というものを守っていくためにはG20の議長として、こういった機会を積極的に利用してG20という世界経済の役割、今80%ぐらいはこのG20で押さえていることになるのだと思いますが、世界経済の課題に各国と連携して取り組んでいく、そういった場としては、それをきちんとして再活性化する責務というのを担っているのだと思っています。
 G20の役割として、日本の議長で色々プライオリティーを考えなければいけないところになると思いますが、今申し上げたような観点からG20の役割というものの見直しは、先程言いましたように、G20のサミットの、特に財務大臣対話とかそういったものを始めた10年前、正確には2009年ですけれども、あれはリーマンブラーズの破綻等によって、金融収縮というクレジット・クランチと言われるようなものが起きる、そういった状況に合わせて、これは危機対応というのが求められた当時とは、今置かれている状況というのは大きく異なっています。
 今G20に求められている役割というものは、これは世界経済の持続可能で、いわゆる包摂的な成長というものの実現のための基盤づくりということになるのだと思っています。従ってG20は今の国際社会において求められていることが色々あるのだと思いますが、そういったものに集中してその役割を果たさなければならないという感じだと思います。
 こうした世界経済というものの持続可能で包摂的な成長というものを実現する基盤づくりといった観点から、日本の議長国下においては、3つのテーマで注力したいと思っています。
 1つ目が世界経済のリスクという課題を整理することです。2つ目、成長力を強化するための具体的な取り組み。3つ目が技術革新、グローバル化というものがもたらした経済社会の構造変化への対応、これは良くも悪くも考えなければいけないところだと思っています。
 1つ目の世界経済の、いわゆるサーベイランスというものを通じて、世界経済の主なリスクというものをモニターして、経済危機とか金融危機の芽を事前に摘むというものは、これは世界経済の約80%を占めるG20の最も重要な任務だろうと思っています。
 併せて持続可能でバランスのとれた経済成長、バランスがとれないと持続可能でなくなるのですけれども、過度な経済収支不均衡というものの原因とか、対応の方向性はこれを議論する、経常収支の不均衡というものは二国間の貿易上の措置ではなくて、マクロ経済に関する国際協力というものを通じた貯蓄とか投資のバランス、そういったものの適正化によって対処する必要があるのだと思っています。このため更に、企業の過度な貯蓄、内部留保とも言うのですけれども、過度の貯蓄とか人口の高齢化とか、いわゆる貯蓄と投資のバランスに影響を与える構造要因の理解というものも必須だろうと思っています。
 また高齢化というのは、あらゆる国に遅かれ早かれ直面する重要な課題なのだと思いますが、マクロ経済の与える影響、労働供給の減少への対応、これは少子高齢化ということで、そういうもので高齢化とそれに関連する先程言った金融包摂という問題があって、高齢者が対応出来ないとか色々なことが今からいっぱい出てくるのですが、そういった様々な政策課題について議論をしたいと思っています。
 2番目、成長力強化のための具体的な取り組みというものを取り上げます。まずは質の高いインフラ投資を促進するということですが、インフラ整備というものは生産性を向上させるためには極めて重要なのですが、インフラそのものの物理的価値というものを超えて、これは長期的な社会経済への波及効果、スピルオーバーという言葉をよく使っていますけれども、波及効果もこれは極めて重要なところです。質の高いインフラ投資というものは、民間資金の動員というものを通じたインフラ投資の量の増加のための取り組みというものを強化するだけじゃなくて、雇用創出とか能力の構築とか技術移転とか、そういう持続可能な成長の基盤となるのだと思っています。また、災害のリスクファイナンスなどの自然災害に対する財政の強靱性を強化する取り組みというものは、そういった基盤を一層強固にするのだと思っています。
 また、物的インフラへの投資だけではなくて、人的インフラの投資も極めて重要だと思っています。この観点から途上国における、例えば、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた持続可能なファイナンスの実現も、これは成長力の強化のための不可欠なものだと考えています。
 更に低所得国においては、これは債務が累積して債務の脆弱性が高まっている問題というのも、これは極めて大きな問題なのであって、この問題にも対応していかなければならないと思っています。これは借り手だけの話ではなくて、官民の貸手の双方が債務の透明性の向上とか、また債務の持続可能性の確保というものに取り組むことが不可欠なのだと考えております。
 3番目に技術革新、グローバル化がもたらす、これは経済社会の構造変化への対応というものを取り上げなければいけないと思っています。急激に進んでいるデジタル化などの技術革新とか、グローバル化と言われるものは、これは世界の社会・経済構造とかビジネスモデルとか、そういったものをこれは大きく変化させてきたということは間違いないと思うのですね。これを健全な成長につなげていかないといけないところで、国際経済システムの分断というのを避けつつも、政策面の対応を行っていくということは、これは1カ国で出来る話ではありませんから、そういった意味では先進国、途上国を問わず、直面する喫緊の課題なのだと思っています。
 加えて国際租税というものがついてくるのですが、これはデジタル化に伴う課税原則の見直しについて、これは議論をする。必ずやらなければいけませんし、また租税の回避・脱税への対応というものに引き続き取り組んでいくことになります。
 いわゆる金融という分野においても、金融市場というものの分断回避に向けた取り組みというものを進めていくのは当然なのですが、暗号資産、クリプトアセットと言うのですが、暗号資産への対応とか分散型台帳技術の技術革新、ブロックチェーンの話です。そういう技術革新がもたらす機会とリスクの両面への取り組みを進めることになろうと思います。
 G20というものが、こうした役割を効果的に果たしていくためには、G20のプロセスの効率化が必要なのだと思うのですね。G20の本会合というのは、戦略的に重要なアジェンダに焦点を絞って議論して、また国際機関の場等で議論される重要な、いわゆるグローバルな課題に政治的なモメンタムを与えると。G20としての作業は、国際機関等の専門的知識、これを活用しながらやっていかなければいけないのは当然のことなのであって、作業部会では成果を重視して効率的な議論を行いたいものだと考えています。
 最後になりますけれども、これはG20の財務大臣とか中央銀行の総裁というものは、世界経済の行く末に責任を持っているのだと思うので、従ってG20の場というものを活用して、これら持続可能で包摂的な経済成長というものの基盤づくりに向けた色々なテーマについて、活発で建設的な議論というものを行っていくということを、我々としては期待したいと考えております。
 G20のサミットに当たって、私共が今後考えていかなければいけない問題に関しては、今申し上げたとおりです。私の方からは以上です。

【質疑応答】
問)

 今プライオリティーについてご説明いただいたのですけれども、議長国を引き継ぐに当たって、今貿易摩擦をはじめとした世界経済のリスク、高まっている中で引き継ぐという形になったと思うのですが、議長としての抱負と財務大臣会合で大臣としては最も達成したいこと、意気込みなど教えてください。

答)

 先程3つ申し上げましたけど、その3つが主たる内容なのであって、これのどれがと言われても、その状況によって色々違ってくるのだと思いますが、先程3つ申し上げたのが一番我々としてやらなければいけないところだと思っていますが、やっぱりどういったことが起きてくるかというのが、このG20で集まってよく会話していけば、今それぞれの国が抱えている今から起きそうな話というのが結構見えてくるはずだと思っていますので、この会合を密接にやっていくというのが最も大切なところだと思っていますけどね。

問)

 大臣の最初の冒頭の発言の中で、力強いメッセージを出すために首脳宣言を採択したので価値があるという、首脳宣言に触れられたのですけれども、今回「保護主義と闘う」という文言が盛り込まれなかったのですが、その点についても価値があるというふうに、それでも価値が。

答)

 ありますよ。メッセージがまとまらずに出せなかったのに比べれば、はるかに値打ちがあります。 

問)

 その「保護主義と闘う」という文言が盛り込まれなかった点についてはどう受け止めていらっしゃいますか。

答)

 保護主義というもの全体に関しては、前提が色々つくから。その前提について色々各国によって意見が違うということで保護主義だけで言えば、別にまとまったのでしょうけど、それには色々前提がつきますからね。その前提が一番問題になるところだと思います。

(以上)