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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成30年7月22日(日曜日))

 
 
【冒頭発言】
大臣)

 本日のG20では金融規制や国際課税、また国際金融アーキテクチャ及び金融包摂等についての議論が行われております。本日のセッションでの私の発言を紹介し、その後、コミュニケに沿って主な合意内容を説明し、最後にバイ会談についてお話をします。
 まず金融セクターにおけるテクノロジーのセッションでは黒田総裁よりご発言がありました。国際課税のセッションでは、まずG20が政治的機運の維持に引き続き大きな役割を果たすべきであることを主張しております。次に電子経済に対する課税上の課題につきましては、2020年までに長期的解決策を求めることとされていて、時間も限られていることを踏まえて対象を絞って検討を進めることが有用であるという旨、発言しております。次に税の透明性に関しては、非協力的法域を特定するための基準の強化について、新基準に基づくリスト作成プロセスを通じて各国における税の透明性向上の取組みを促すことが重要である旨、発言しております。
 次に、BEPSプロジェクトに関しては、より多くの国が合意事項を適時に一貫した形で実施することの重要性を改めて強調するとともに、その関連で国別報告書を公表することは問題であるということを重ねて申し上げております。最後に、こうした課題に国際社会が協調して取り組むためにも、発展途上国の能力構築支援が重要であるということを発言しております。
 次に、国際金融アーキテクチャのセッションでまず資本フローの管理政策の適否を整理したIMFの作業を歓迎し、さらなる事例の蓄積を期待する旨、発言をしております。また、IMFのクォータ改革については、借入資金の果たす重要な役割を反映すべきという日本の立場を主張した上で、加盟国間の意見に隔たりが残っていることからIMFで議論を継続していくべき旨を発言しております。さらに、低所得国における債務の積み上がりに懸念を示し、債務の透明性向上を通じた持続可能性確保のためには、借り手、貸し手、相互の取り組みが不可欠であると述べております。具体的には全てのG20諸国によるG20持続可能な貸付に係る実務指針の着実な実施が重要であること、また、民間債権者に対し、その貸付行動に関する指針の策定をG20として促すべきこと、また、借り手側の能力強化のため技術支援の強化が重要なことなどを申し上げております。
 セッション7、いわゆる金融包摂、テロ資金供与対策等のところですが、このセッションでは私がリードスピーカーを務めております。まず金融包摂は、経済成長、金融の安定性、格差の縮小のため、G20が取り組むべき重要な課題であるということを申し上げ、その上でG20の専門家グループであるGPFI、いわゆるグローバル・パートナーシップ・フォー・ファイナンシャル・インクルージョン、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップというのでGPFIと言うのですが、これが取りまとめたデジタル技術を用いた金融包摂に関する報告書を支持しております。また、GPFIは高齢者を金融包摂が必要な対象としており、我が国における課題を紹介するとともに、今後この点に関して議論を深めていくことへの期待を表明しております。同時にGPFIがG20の優先課題や主要テーマに即した議論を効率的・効果的に行うため、組織の整理、合理化を行うことを支持する旨を発言しております。加えてテロ資金供与対策については、4月にフランスが主催した国際会議の成功を歓迎するとともに、FATFの新たな議長、米国が大量破壊兵器の拡散金融リスクへの対応を優先課題として位置づけたことを歓迎しております。
 次に、お配りしておりますコミュニケの主な内容を紹介します。
 まず、成長の実現のため、あらゆる政策手段を総動員し続けるとのこれまでのコミットメント及び本年3月のコミュニケにおける為替相場のコミットメントが再確認されております。
 貿易に関しては、ハンブルクサミットでの首脳の合意を再確認するとともに、リスクを緩和し、信認を高めるための対話と行動を強化する必要性が認識されております。
 金融規制については、金融システムが引き続き、開かれ、強靱で、成長を支えなければならないことや金融危機後の規制改革の完全、適時かつ整合的な実施及び最終化と、その影響評価を行うとともに、引き続きコミットしていくということが盛り込まれております。
 また、技術革新は金融システム及び広く経済に重要な便益をもたらし得るとする一方で、暗号資産、今まで仮想通貨と呼んでいる部分ですけれども、クリプト・アセット、暗号資産に関しては消費者及び投資家保護、市場の健全性、脱税、マネロン・テロ資金供与などに関する問題や金融システムの安定への潜在的なリスクを考えて、FSBなどの基準設定主体に対してリスクを監視し、多国間での対応について評価するため、さらなる作業を期待するとともに、FATFに対して今年10月にFATF基準がどのように適用されるか明確にすることを求めております。
 国際課税に関しては、BEPSパッケージを世界的に実施することの重要性を確認するとともに、電子経済への課税上の対応について、2019年に進捗を報告し、2020年までに合意に基づく解決策を示すために引き続き検討を進めていくこと、税の透明性について、非協力的法域を特定するための基準の強化を支持することなどが盛り込まれています。
 金融包摂に関してはGPFIの作業を合理化し、優先順位づけができる部分を検討するよう求めることが盛り込まれております。
 最後にマネーロンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器拡散への資金供与との戦いを継続し、完全、効果的かつ迅速なFATF勧告の履行を求める旨が盛り込まれております。
 次にバイ会談、本日、キム世銀総裁、アメリカのムニューシン財務長官とのバイ会談を行っております。キム総裁との面会では、世銀グループの増資パッケージで合意されたいろいろな改革の着実な実施等についての意見交換を行っております。ムニューシン長官との面会では、世界経済など幅広いテーマに関して意見交換を行っております。貿易については、鉄鋼・アルミニウムへの関税措置及び自動車に関する調査については日本の立場を伝達し、また米国の制裁再適用について、日本の企業への影響も含め、日本の懸念が払拭されることを期待していることを伝達しております。

総裁)

 「金融セクターにおけるテクノロジー」のセッションでは、私から、分散型台帳等の技術革新が経済・社会を大きく変革していく中で、金融セクターも、経済・社会に貢献する道を模索するべきであること、その中で、我が国においても、フィンテック実証実験や、海外当局との連携等の促進に取り組んでいることについて言及しました。
 同時に、新技術がもたらすリスクを適切にコントロールすることが重要であること、特に、暗号資産について、国際的に協調して対処すべき規制のギャップがないか評価を行っていくべきであること、マネロンやテロ資金供与対策については、拘束力のないガイダンスではなく、FATF基準が適用されるよう、FATFが見直しを進めることが重要であることを述べました。
 また、これまで日本が主唱してきた金融規制改革の影響評価については、今般、FSBが中小企業金融への影響評価を開始したことを歓迎し、精力的な作業を期待している旨発言しました。

【質疑応答】
問)

 麻生大臣にお伺いいたします。米国との関係で2点、ムニューシン財務長官との会談で日本側が懸念払拭を願っているということを伝達したことをお伺いしましたけれども、これに対して財務長官の方からどのような意見があったのかということが1点、もう1点が国際課税についてはアメリカの反対もかなりあったかと思われますが、今回議論が進んだことに対してどのような反対意見があった、ですとか、あるいは日本の立場、欧州の立場、それぞれの主張がどのように交わったのかという点についてお伺いしたいと思います。

大臣)

 この種の話は、この種の記者会見にこれまで出てきておられるのだと思いますけれども、相手がどのようなことを言ったかということに関しては言わないことになっていますので、その点に関して、他国がどのように言ったかということを私の方から言うことはありません。その上でアメリカの場合は、少なくとも今の内容、我々が申し上げた内容はよくこれまでも総理からもいろいろな形でアメリカ側には伝わっている話を重ねて私の方から言っておりますので、そういった意味では向こうの反応というのはこれまでの反応と同じように、きちんとした対応というのをやっていきたいというので、アメリカとして今後検討したいということをきちんとした形で言ってきたというのは従来と変わっていないと思いました。あとは、海外では、ほかのところがどう言ったかという点に関しては、日本とほぼ同じような形の意見が多く出ていたと思います。

問)

 麻生大臣にお聞きします。貿易のことなのですけれども、共同声明の中では下方リスクの1つとして貿易の問題を取り上げ、対話と行動を強化するということが書かれていると思うのですけれども、これは前回3月の共同声明とおおむね同じような内容かと思うのですけれども、今回のG20での決定が現在の貿易をめぐる緊張の緩和に実際に役立てることができるか、どのようにお考えなのかということと、これからの貿易大臣会合だとかサミットでの状況緩和に向けた期待についてお聞かせください。

大臣) 

 少なくとも今回の話は、前回のものと比べてこのコミュニケを見たらわかると思うけれども、まず短くなりました。今回2ページちょっとです。英語で約2枚、えらい字が小さくて、とても高齢者向けにはできていませんが、無理して2枚にしたのか何か知らないけど2枚で、これは明らかに今までとはやり方を変えてきているというように言い方も、アルゼンチンがやった大きな功績の1つかねと思わないでもないですけれども、それと内容が少しずつ少しずつ煮詰まってきているから少なくても済んでいるのだというように理解していますけれどもね。ですから、きちんとした方向で、騒いで、わーっとなったような感じから少し落ち着いてきているのだと思いますけれどもね。

問)

 麻生大臣にお伺いします。今回為替も議論の焦点になったと思うのですが、為替について日本側からどのように説明されたのかということと、今回のコミュニケで3月の合意が再確認されたというところで麻生大臣の評価をお伺いしたいと思います。

大臣) 

 最初の質問の方にも、同じ質問だったので申し上げたと思いますけれども、他国がどう言ったかということに関しては言及しないことになっていますので、個別具体的な議論の内容については、コメントは、為替については差し控えさせていただきます。

問)

 今年リーマンショックから、2008年から10年で、G20のサミットができて10年なのですけれども、貿易戦争と言われるようなことになって結構世の中大変なことになっていると思うのですけれども、G20として機能を果たせたかどうかということについて、麻生大臣のご意見をお伺いできますでしょうか。

大臣)

 10年前からこのメンバーにずっといる人というのは、ほかにおられなくなりましたからね、あの頃、総理していたのですかね、あのときはブッシュ大統領から電話をもらって、G7だか何とかやるという話だったので、いや、全然意味がないと。今そういう時代じゃありませんよと言って、あのときは確か中国と韓国と日本を足したGDPが英・独・仏のGDPより大きいという事実を知っていますかと言ったら、ノーと言うからイエスと言って、どうすればいいんだという話が出たので、少なくともアジアから例えば中国とかインドとか韓国とか、あとはオーストラリアとかというのを加えて会議をしないと意味がないということを言って、結果的に20になったのですけれども、これで大体GDPでいくと、世界のGDPの約8割弱をカバーしているのだと思いますけれども、あのときの話と今とは主題の内容が、クレジット・クランチ、金融収縮、あのときはクレジット・クランチの話だったのが今はそういう話はなくなって、話の内容の主題が金融から貿易みたいなものに移っている面というのは大きいと思いますね。最近、為替が少し上がったり下がったり、アメリカ大統領の発言によって上がったり下がったりしている部分がないわけじゃありませんけれども、その部分の話よりは貿易摩擦の話の方が大きくなってきているので、この財務大臣会合じゃなくて、むしろ経済産業省、貿易担当の話の部分の方が、少なくとも今の段階では大きいような気がしますけれども、いずれにしてもG20のメンバーの中でこういったものが主にやれるので、我々が担当する金融とか経済というのではなくて、貿易とか通商とかそういったところの大臣でできますので、G20という枠組みとしてはそれなりに対応できるようになっているのだと思いますけれどもね。

問)

 麻生大臣にお伺いしたいのですけれども、これまでの貿易摩擦とか通商問題が起きているときというのは、大体においては経済があまりよくないときとか、不況の国がそういう問題を提起しやすいと思うのですが、今回アメリカ経済が力強い中でこういう通商問題が起きていて、この後、何をきっかけにこの問題が解決に向かうのか、なかなか想像しにくいところもあるかと思うのですが、そういう中での方向性とか、G20が果たす役割をどういうふうにお考えなのか、お考えを教えてください。

大臣)

 少なくとも保護貿易というようなイメージにつくってあるけれども、そうですかね。保護貿易という形になっているのかといえば、アメリカが主張しているのは、アメリカの貿易赤字の約50%が中国、アメリカ全体としてはずっと貿易収支は赤ですから、この貿易収支がずっと赤のままでいるのは耐えられないということを言って、しかるべき対応を何とかしろと。今から30年ぐらい前の1980年代を比べてみれば、あの頃のアメリカの貿易赤字の47%は日本。結果として今、その日本の赤は9%前後になっていますね、アメリカの貿易赤字の全体の中で占める量ですよ。日本、メキシコ、ドイツかな、その3国ぐらいが大体9%前後で、あとはアメリカの貿易赤字で一番でかいのは中国の約50%、当時の日本より大きなものになっているのだと思いますから、その意味では基本的にいつまでも赤のままでずっといられないというのは、言っている言い分は正しい、しかるべき対応で何とかしたいというのはわかりますけれども、その二国間だけで対応できるかねといえば、なかなかそんな簡単にいく話じゃないので、全ての国とバイで全部やっていって、全部黒にするなんてことは考えられないので、全体でマルチに話をしないとできないのだという形は基本的な考え方としてみんな持っているのだと思いますし、また自由貿易というものを日本が主張してこれまで来ましたし、それなりに日本は貿易を黒字にするまで長い時間かけてやってきて、当時、自動車障壁とかいろいろなことを日本はそれなりにやって、日本もいろいろ貿易を黒にするために日本の産業を保護する等のことはやってきた、その結果として我々は競争力を高めてきた上でだんだん貿易を自由化していくという、我々にとっては少なくとも日本が貿易として生き抜いていくためにはきちんとした手続きを、いろいろ80年代からアメリカとの間で延々と通商交渉をやってきて今日がある。じゃあ中国はこれから同じような努力をするのかというところが今一番問題なのですよ。当時のアメリカに対する自動車の輸出というものに比べて、今はアメリカの国内でつくっている日本製の、日本人がつくったアメリカ製の車、アメリカ製トヨタとかアメリカ製日産とか、そういったものがアメリカからトヨタとして日産として輸出している車の数等が猛烈に増えて、アメリカの貿易にえらい貢献しているというような構造改革を全部やってきていますので、それと同じように中国もこれからやっていくのかどうかというのがこれからのアメリカと中国との間の交渉なのであって、それが今から行われるというような形になっているのであって、決して悲観しているわけでも何でもないので、中国がそういった努力を今後されていかないと中国だけの黒字というのが延々と続くということは、それは期待しない方がいいですなということだと思います。

 

(以上)