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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成30年6月2日(土曜日))

 
 
【冒頭発言】
大臣)

 本日は、金融セクターにおけるサイバーリスクへの対処と税の公平性の促進についての議論を行っております。
 まず、金融セクターにおけるサイバーリスクへの対処のセッションは、これは私から発言しておりませんが、黒田総裁が主に発言されておりますので後程黒田総裁の方に聞いてください。税の公平性のセッションでは、これはBEPSプロジェクトや共通の報告基準等の情報交換の強化というものは、これは国際協調という意味では非常に大きな成功例なのであって、G7が政治的機運の維持に引き続き大きな役割を果たすべきであることを、改めて主張しております。
 次に、電子経済に対する課税上の課題については、これは長期的解決策の2020年までの取りまとめに向けて、なるべく早い時期に具体的な方向性を見出す必要があるという旨を発言しております。その着実な進展のためには、OECDの中間報告書がありますので、それを踏まえて電子化の価値創造における貢献・役割、それから2つの重要な国際課税原則であるネクサスの原則及び利益配分・利得配分等のルールの見直しの方向性、これについて、G7が共同歩調をとって議論をリードすべきであると発言しております。
 また、租税回避や脱税への対応に対して、BEPSプロジェクトを合意どおりに実施することや情報交換の更なる強化の重要性も併せて指摘しております。
 最後に、こうした課題に国際社会が協調して取り組むためにも、発展途上国の能力の構築・支援というのは重要であると発言しております。

総裁)

 「金融セクターにおけるサイバーリスクへの対処」のセッションでは、私から、サイバーリスクへの対応として、サイバー事案の発生時には、実態把握とタイムリーかつ円滑な対外コミュニケーションが重要であることと、国際的な協調の枠組みが、金融システムや金融市場、ひいては、広く人々の不安の抑制につながり得ることを指摘しました。

【質疑応答】
問)

 麻生大臣と黒田総裁それぞれに質問があるのですけれども、麻生大臣には、先程出たG7の共同議長のサマリーは、アメリカが課した関税措置に対して強い懸念が表明されています。こういう貿易をめぐる対立は、来週のサミットで解消されるような指摘を今回の会議で受けたのか。また、こういうG7の結束力に疑問符がつく中でG7が、例えば市場のリスクで対応する能力というものを失われるのではないか、その辺をお願いします。

大臣)

 まず、少なくとも今この自由貿易の基調が壊される可能性を高めている原因の大きな理由は中国です。その中国が国際ルールとか慣習とかいうものをこれまで無視して、いろいろな形で補助金が出たり等をいろいろやっていることははっきりしていますので、そういったルールをきちんと守るようにしてもらわねばならんということをG7で協調していくべき時に、その中でアメリカでG7のルールを違反してWTOのルールに違反しているような行為をしているということによって、中国を利することになるわけでしょう。おかしいっていうのが当たり前、ということを我々が言っただけであって、それを全員が一致したということで、アメリカもそれに関してはなかなか反論ができなくて、まあ、長いことこういうのに出た人の中で、これだけ全会一致してアメリカにということになった例は、過去にあんまりないと思います。

問)

 日本の経済について伺います。足許の物価指数に弱さがみられることに加えて、欧州諸国をはじめ先進国の経済も、好調とはいえ少し成長に天井感も出てきています。そうした中で、日銀の今年度の物価の見通しが既に楽観的すぎるのではないかという指摘がありますが、その点についてどう考えていますでしょうか。
 また、今回話題になった貿易摩擦を巡る不透明性が世界経済のリスクであると思いますが、これが日本の経済をみるうえで、日銀の見通しにどのような影響を及ぼし得るのか、お願いします。

総裁) 

 まず、わが国の景気は緩やかに拡大している、との見方に変わりはありません。ご指摘のような海外経済の動向については、いくつかの不確実性があることは事実であり、特に最近の保護主義的な通商政策の影響には注意を要するとは思いますが、現時点でそれらがわが国の経済に影響を及ぼしているという状況にはなっていないと思います。他方、物価面では、ご指摘の通り、最近やや弱めの動きがみられますが、これには、為替相場の変動、あるいは宿泊料など一部の項目の振れがあり、一時的な要因が下押ししている面もあります。私どもとしては、マクロ的な需給ギャップの改善を背景に、引き続き、2%に向けたモメンタムは維持されていると考えています。ただ、先行きの経済・物価見通しについては、今後とも、それぞれの時点で利用可能なデータに基づいて、金融政策決定会合において、しっかりと点検していくことになります。
 2点目の貿易を巡る不透明性については今お答えした通りです。

問)

 今回、議長国サマリーも含めて、アメリカの関税措置に対する懸念というものが6カ国から出る形で、フランスの財務大臣なんかはG6プラス1なんていう言葉を使って、ちょっとアメリカが孤立しているような状況という見方も出来ると思うのですけれども、それに対して今後日本としてG7の中でも、アメリカを議論に引き戻すじゃないですけれども、そういった中で日本としての役割、期待されていることというのはどのように考えていますか。

大臣) 

 日本が期待されている役割、それはアメリカにおいて、通商拡大法232条の一連のああいったことを強烈に主張している人は大統領、それに対してスティーブン・ムニューシン長官等はそれに対しては懐疑的なところがありますから、そういった発言をしたりしているぐらい、なかなかまとまっていないという状況は、これはみんな知っていますから、そういった中では日本の役割としてはトランプ大統領と最も近い首脳、これは安倍晋三総理ということになりますから、安倍総理のトランプ大統領に対する話というのが一番期待されているところ、日本で一番期待されているというのは、それだと思いますけど。

問)

 先程おっしゃった中国の関係でもう少し伺いたいのですけれども、今回まさにロスさんが中国に行かれている最中で、これからアメリカにとっても重要な対中通商交渉のまさに渦中にある時に、このような欧州とかカナダのような非常に重要な同盟国に対して、このような措置をしたというのが非常に戦略的に懸念が生じるというのは麻生さんがおっしゃったとおりだと思うのですけれども、日本はTPPをアメリカが脱退した時からずっと、麻生さんが先程おっしゃったようなことをアメリカ側に伝えてきていると思うのですが、それがなぜここまで、アメリカで是正されずにですね、更にその戦略性の欠如みたいなものが拍車がかかっているような状況になっているのですが、それに対してそれはなぜなのか。あと、それに対して日本はどう働きかけていくのか。

大臣)

 なぜなのか。それはトランプ大統領の優先順位の一番が貿易の赤字、これにほとんど頭が集中しておられるのだと思います。貿易赤字を解消するための手段として、いわゆるアメリカの貿易赤字の中に占める比率は、中国の50%、メキシコ、ドイツ、日本が9%前後、今そんなものでしょうか。9%か10%かそんなものです。そういった貿易収支からいくと、赤字の中国は優先順位の一番、その他はメキシコ、9%前後のところだと思いますけど、そこを解消するための手っ取り早い方法としていろいろな形が起きていると。しかし、それは長期的にどうなのかという話は、まあ、TPPに残るべきだとかつて主張したウィルバー・ロス長官にしても、それからスティーブン・ムニューシン長官にしても、そういったような人たちはいずれも長期的に見ているのに対し、短期的にみて摩擦が起きるだけだからという主張等、いろいろな意見があの中にはあるので、当たり前のこと反論が起きているのだと思いますけど、その中で今のところ大統領の意見が通っているということなのでしょうか。大体そんなところだと思います、今の段階で。
 従って先程どうすればいいのかと日本に聞きたいという話だったが、それはどうすればいいかといえば、それは今一番近いところは世界中で一番近いのは安倍総理とトランプ大統領ということになっていますから、その2人の間で話をしてもらうというのが一番説得力を持つのではないか、これはアメリカもほぼ同じ意見です。

問)

 今回の議論の中で、中央銀行のデジタル通貨についての議論も出たと聞いていますが、どういったところが各国の議論としてあったのかということと、改めて、日銀も発行する計画はないと以前からおっしゃっていると思いますが、見解を教えて下さい。

総裁)

 デジタル通貨の議論もありましたが、これはいわゆる暗号通貨の話です。中央銀行のデジタル通貨の話は殆どありませんでした。むしろ、暗号通貨の現在の問題点、つまり、マネロンなどに使われているのではないか、あるいは消費者保護、投資家保護の観点から問題があるのではないか、といったことを考えると、適切な規制を検討すべきではないか、ということです。こうした点については、既にG20において、マネロンなどはFATF(金融活動作業部会)に、消費者保護や投資家保護の点はIOSCO(証券監督者国際機構)に、早急な検討を依頼しており、その検討結果を踏まえて、G7やG20のベースでできるだけハーモナイズした形でやっていくことになっています。中央銀行のデジタル通貨に言及する方もいましたが、どの方も発行しようという趣旨で言っているのではありませんし、日本銀行も発行する予定はありません。ただ、ご案内のように、日銀ネットという形で銀行間の決済をするところは既にコンピューターでやっており、いわばホールセールではデジタル通貨になっています。これは、米国はFedwireですし、各国ともそうです。一般の個人や企業に対して中央銀行がデジタル通貨を発行しているところはなく、私のみるところ、G7の中央銀行でそうしたことを検討しているところはないと思いますし、少なくとも日本銀行ではその予定はありません。

問)

 財務省の文書の改ざんの話なのですけど、早ければ明日にでも処分について発表されると思うのですが、一部報道で20人ほど処分になるというような報道が出ていたりしますが、以前から大臣は個人の責任によるところが大きいというふうにおっしゃっていますが、改めてその辺の見解を教えていただけますか。

大臣)

 文書の改ざん・書き換えの話については、これは一連のものに関しては大阪地検で不起訴というのが5月31日に出ていますので、それに伴って一応のいわゆる捜査というのは、これは終結したことになりますからそれを受けて我々としてのこれまで調査したものと併せて、これに関連した人たちを処分するということになります。これは最初から言っているように、財務省が日常的に全体的にやっていたわけではありませんから、いわゆる理財局の国有資産というところの局の中の一課のところが主たる人たちなのですが、そこで関わった人が何人か出てくるということになりますので、それ以外の人は全く関係なかった人たちがほとんどです。そういった意味ではそこのところの処分をきちんとすること。そしてそれが起きた背景というのを、もうちょっとよく調べてみなきゃわからんところだとは思いますが、もう一点は再発防止という点をきちんとやっていかなきゃいかんのですが、電子決裁とかいろいろなことをやりますけど、また電子決裁を書き換える技術がまだ進んだりするかもしれないでしょう。そういった意味では、そんな簡単な話ではないのだと思っていますけど、とにかくいろいろな意味で、こういった再発防止というのを考えていかなきゃいかんという感じがしますね。

問)

 20人ぐらいというのをぱっと聞いた印象だと、多いなというか組織全体の問題ではないのかもしれないのですけども。

大臣)

 多いなってどういう意味でしょうか。

問)

 要するに、個人の責任とはちょっと言い難いのではないかという気がするのです。

大臣) 

 個人の。

問) 

 個人の問題ですね。言い難い気がするのですけど、その辺はいかがですか。

大臣) 

 個人の問題という意味は、言葉尻だけとらえて引っかけようとして聞いているわけですか。どういう意味ですか。意図を言っていただけますか。もう少し意図を遠回しではなくて、こっちもばさっと答えることはないですよ。

問) 

 20人というのは普通だと個人の問題では片づけられないのではないかとか、組織としてやっぱりちょっと問題があったのではないかと思うのですけど。

大臣) 

 いわゆる、組織というのは、私たち財務省という組織という全体の組織、その中で日常的に行われているわけではないという意味では組織的ではないのです。はっきりしているでしょう、そこのところは。ただ、それが財務省の中の理財局、またその中の国有資産を担当している課の、しかもそれを担当した人ということになると、かなり人数が限られてくるからそういった意味では、それが個人的と思うか、それを組織的と言いたいあなたの立場とか、会社の都合とかいろいろあるのでしょう。いろいろ言い方はあるのだと思いますけど、私の考え方として、財務省全体でやっていたわけではないというところは強調したいところです。組織って私は財務省ですから。

問) 

 2点伺いたいのですけれども、1点目は今の質問に少し関連になるのですけども、一昨日来空席の今の事務次官の人事について、星野主税局長を充てることになっているこの事実関係について、大臣のお考えとしてどうなのかということを確認させていただきたいということが1点目です。
 あと2点目ですけれども、今日のテーマになったG7の国際課税についてですけれども、これはアマゾンなりグーグルなり巨大な企業に対する課税というあり方という意味においては、アメリカと欧州とでやっぱり考え方の違いというのもあろうと思うのですけれども、この点について、本日の議論ではどのような状況があったのでしょうか教えてください。2点です。

大臣) 

 細目は浅川財務官から聞いた方がいいと思いますが、最初の点について財務省の次官の人事が空席になって一月ぐらい経ちますので、そういった異常事態というのは早急に解決しなくちゃいけないのですが、その人事をどうするかというような話をここで答えることはありません。
 それから2つ目の話は、少なくとも5年前イギリスのバッキンガムシャーというところでBEPSの話を日本が提案して黒田総裁と一緒にこの話を持ち出したのですけれども、以来5年かかったのですが少なくとも最初に六十何カ国参加して、会議をやれるというところまで数年で来たというのは、成果としてはこれほどいくとは思っていませんでしたけども、それに乗ってきて今百何カ国まで増えて、そしてこれはそれぞれの国が今、議会でその承認を得るべく各国手続きをとりつつあるところなのです。この中では大きなところで言えばアマゾンだ、グーグルだ、いろいろなのが出てきているのは事実ですが、それによって税収が失われると思うのはアメリカもでしょうけれども、今どの道払ってない、今は1円とは言わないけれど取れていないとすると、どこに持っていっているかというと、ケイマンアイランドやそういったところに行っているわけだから。それがきちんとした形になって、アメリカで少なくともその半分が取れれば、少なくともゼロから見れば、増えることになるのでは。それは、ただアメリカの中においてその業界から政治家に対する圧力、いろいろ財務省に対する圧力等いっぱいあるのは、それは想像に難くないですけれども、しかしそういったようなものを比べても、これは額としては大きいものになるだろうなというのは、それはアメリカがわかっていますから、そういった意味では、今アメリカの中でも他の国との関係で他の国がどんどんどんどん進んでいけば、それはえらいことになりますから、そこの国が税金をかけるということになって、アメリカはそちらに全部取られて自分たちはゼロというのでは、それはとても割が合わんという形にはなり得るとは思います。

 

(以上)

財務省の政策