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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成29年4月21日(金曜日))

 
 
【冒頭発言】
大臣)

 本日は、G20、及び国際通貨金融委員会いわゆるIMFCに参加したほか、バイの会談をいくつか行っております。午前中に開催されたG20では、「アフリカとのコンパクト(Compact with Africa)」、「金融セクター」等の議論が行われております。アフリカとのコンパクト(Compact with Africa)」のセッションでは、アフリカの持続的成長には、投資環境の整備、及び民間投資の促進が不可欠であり、民間の投資対象として成り立つインフラ整備というものを推進する観点から、「質の高いインフラ」の整備が必要である旨発言しております。
 「金融セクターの発展と規制」のセッションでは、技術革新というものを活用しつつそのリスクに対応していくためには、国際的な協力の強化とか、民間セクターとの密接な連携が必要なのであって、また、G20/OECDコーポレートガバナンスの原則の実施も同時に重要である旨発言をしております。
 IMFCの方では、午後開かれましたけれども、世界経済の動向等について議論が行われております。私の方からは、世界経済の見通しが先進国を中心に足下で上向いていることは歓迎できる一方で、足下のリスクとして、米国、中国等の経済政策に関する不確実性というものが存在している、更に中期的には、潜在成長率の引上げ、ぜい弱性の解消、包摂性の実現等、構造的な課題が残っている、従って、各国が決して現状に慢心することなく、金融、財政及び構造改革を個別にまた総合的に用いて、引き続き、各国が考える各々の課題に対処すべきであって、日本もその例外でない旨、申し上げております。また、最近のよく出ている格差問題への対応と称して、一部で内向きな政策が見られることに関しては、包摂性の実現と称して自由貿易に逆行すべきではないことを主張しております。
 足下の日本経済の状況に関しては、実質GDPの伸び、労働市場がタイトなことにより失業率が3%を切っている実情、設備投資の面でのアベノミクスの成果が着実に上がってきていること、また、少子高齢化を乗り越え潜在成長率を高めていくことが重要課題であって、女性や高齢者の雇用促進等につながる「働き方改革」を強力に進めていることを説明しております。
 また、先月、2017年度の政府予算が成立したことを紹介し、「経済再生」と「財政健全化」というものを両立させるべく、歳出を優先順位付けして、潜在成長率の向上や経済再生に直結する支出に重点化するとともに、社会保障制度改革等の歳出改革努力も継続していることを説明しております。
 次に、バイ面会ですが、フランスのサパン財務大臣とは、英国のEU離脱やフランスの大統領選を含めた幅広いテーマで意見交換を行っております。インドネシアのスリ=ムルヤニ財務大臣とは、アジアにおける金融協力などいろいろ意見交換を行わせていただきました。世界銀行のキム総裁とは、WHOの国際保健などの分野でパンデミックな話等、世界銀行と引き続き、協力をしていくことを確認しております。私の方からは以上です。

【質疑応答】
問)

 サパン財務相とバイ会談でフランスの大統領選挙について話されたとのことだったのですけれども、大臣からはどのようなことを申し上げたのでしょうか。二つ目ですが、G20に関してですが、昨日の会見で為替市場の過度な変動などは経済には悪影響だと、バーデン=バーデンで確認できたことは大きな成果だったと伝えたとのことだったのですけれども、今回のG20でも広くそこは再確認されたという御認識でしょうか。三つ目に、自由貿易の重要性についてです。昨日も大臣は触れられておりましたけれども、各国がこれについて重要性を認めているのであれば、保護主義に対抗するという文言が復活してもいいのではないかと思うのですけれども、G20サミットでは、これまで杭州サミット、アンタルヤでも保護主義を拒否するとか、保護主義措置を停止し後退させるという文言が入っております。サミットでは、こうした保護主義に関する強い拒否の姿勢が継続されるとお考えでしょうか。
 フランス大統領選挙において、二人の候補者のEU離脱派が優勢になった場合は、市場が混乱するという見方もあります。市場への影響という面で懸念される点は何でしょうか。また、昨日のG20前の会見で物価は力強さに欠けるとおっしゃっていました。直近の展望レポートでは、今年度の物価上昇率は1.5%、来年度は1.7%となっておりますけれども、次の金融政策決定会合では、下方修正もやむを得ないとお考えでしょうか。

大臣)

 サパン財務大臣の話に関しては、フランスで大統領選挙によって、例えば今の大統領の候補者の中で、今までの流れと全然違う傾向の人が勝つ可能性が出てきたとなった場合、それは少なくともフランスの中において、自由貿易等の話、またBrexitの話等にどういった影響が与えられることになるのかというのが一番の我々の関心。向こうが何を言ったかは話すつもりはありません。
 二つ目の質問は、この前のG20からまだ一月しか経っていませんから、今回の共同声明が出なかったのかと言えば、前回共同声明を出してから一月しか経っていませんから、出さないと議長国のドイツが決めたという理解です。
 三つ目は、サミットに向けて自由貿易に関して言えば、引き続き自由貿易に関して、これを保護貿易にすべきだと言っている国はありませんので、そういった意味では自由貿易という形は維持されると。アメリカは基本的には自国の国益というものを一番に考えているという話であって、それが直ちに自由貿易を否定につながっていく考え方はアメリカにもないと思います。

総裁)

 フランス大統領選挙の影響云々というのは、大統領選挙はまだ行われていませんし、選挙について私から何か申し上げるのは僭越ですので、答は控えさせて頂きます。また、展望レポートで示す物価見通しについては、次の金融政策決定会合において色々な議論が行われ、そこで経済成長とか物価の動向についての、その時点での政策委員会の結論が出されてくるわけですので、今私から特別なことを申し上げることは適当でないと思います。

問)

 先ほどG20の議長国ドイツのショイブレ財務相の会見で、拡張的な金融政策を正常化に向けて準備をする必要があるという風に発言をされたのですけれども、そういった議論がG20の中で実際にあったのでしょうか。また、その発言に対してのお考えを伺えますでしょうか。

総裁) 

 ショイブレ大臣の発言が何を指しておられるのか分かりませんが、恐らく欧州の中央銀行の金融政策についてその会見でおっしゃったのではないかと思います。もっとも、私はG20の議論の中でその点について何か議論があったとは聞いておりません。ただ、ご承知のように、米国はすでに金融政策正常化のプロセスを始めているわけです。それはすでにFOMCで決定したところ、さらにその議事要旨等によって紹介されております。

問)

 自由貿易に逆行すべきではないというところで、包摂的な成長に向けての実現という課題とともに、保護主義に対応することも必要な施策の一つに入ってくるのではないかと思うのですが、次回以降のサミットで、例えば、前回抜け落ちた保護主義に対応するという文言だとか前回のバーデン=バーデンで新しくなった文言をさらに強化するとか、そういった考えを麻生大臣の方から求めていくとかそういうお考えが今のところあるのかどうかお聞かせください。

大臣) 

 これ以上話がさらに自由貿易から保護貿易の方に流れが強まってくるという感じを今私は持っているわけではありませんので、そういう話が出てきたら、日本としては、従来どおり自由貿易というものがこれだけ多くの国々の経済を強めてきたという過去の歴史、少なくとも第二次世界大戦が終わって71年経ちますけれども、それまでの間、自由貿易という基本的な流れが結果として世界の経済というものをこれだけ大きくしてしたというのは歴史的事実を考えれば、自由貿易という流れを微調整する形で自由貿易の基本を維持していく流れを、きちんと推し進めていきたいと考えております。

問)

 いろいろ保護主義が取り沙汰される反対側として、中国の経済改革がなかなか進んでいない、中国はやるとは言っているけれども、という状況があると思うのですが、中国の改革のスピード感について、麻生大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

大臣)

 中国の場合は、過剰生産、過剰投資等いろんなものが過剰なために、世界経済に混乱を与えているというのは事実だと思います。一番わかりやすいのは鉄鋼だと思いますけれども、中国の生産能力が12億トンで、中国の需要が約8億トンですから、日本は1億トンの能力があり、インドにしてもフランスにしてもそれぞれ生産しているところ、中国一か国で12億トンも作れる生産能力を持っているがために、それを売るために、結果としてダンピングという形になっているという状況は、自由といえば自由ですけど、それには自ずと限度というものがあるということだと思いますので、過剰生産によって中国自身も極めて厳しい状況になってきているのが事実なのだと思います。もう一つ言えば、中国の中でシャドーバンキングなんて言葉が作られましたけれども、過剰融資等とかを招いているという今の状況というのは、バブルというのが出来ているわけですから、それによって少なくとも中国の金融が極めて脆弱であるということもはっきりしていますので、そういった意味では中国政府も、取り締まりや何やらを強化しようとしているけれども、その結果として中国経済の経済成長が落ちる、事実落ちていますけれど、それをカバーするために、政府が介入して、政府の支出によって、政府が財政出動することによってそのGDPの落ち方を少なくとも止めようとしている結果は、さらに政府の支出が増えるということですから、そういう意味ではなかなか進めにくい、進もうという意思があってもなかなか進んでいかないというのが中国のおかれている現状だと思います。そういった意味では、今中国として、どうやってハンドリングするか、厳しい状況にあるだと理解しています。

問)

 自由貿易のところで、ショイブレ議長が会見で全体的なムードは自由貿易は重要だという方向に向かっているとの発言があったのですが、前回のバーデン=バーデンの時には、アメリカの政策の不透明感が保護主義的な政策に走るのではないかとの懸念があったのかと思うのですけれども、一か月経ってアメリカ側からの色んな説明を聞かれて、全体の雰囲気または大臣としてアメリカの政策への懸念というのは和らいできたのかどうか、もしあれば教えてください。

大臣)

 少なくとも、スティーブン・ムニューシンという新しい財務長官は、前のジェイコブ・ルーの経歴と違って、前の方は予算のプロでしたけれども、この人の場合は、ゴールドマンサックスというところにいた人で、金融とか経済とか実務を含めてそういったものが分かっている方だと、3回くらいしかまだ会談していませんけれども、話を聞いていれば、大統領に対しても直接話ができるところが前の財務長官とだいぶ違う立ち位置、大統領との関係が近く、そういった意味では、自由貿易や経済というものに関しては、前の方よりは判断できて分かっておられる。したがって、大統領の話からマスコミには騒ぎになっていましたけれども、話してみた結果そういった感じはしない。前回のバーデン=バーデンの時に初めて世界的な会議に出てきた人もあった中、ずいぶんと固かったような感じでしたけれども、今回2、3度会いましたけれども、前回に比べれば発言の内容も極めて普通な発言だったと思ってますので、流れとしてはアメリカの国益を考えて、自由貿易というのはアメリカにとってもいい話ですから、流れとしてきちんと理解されつつあると私はそう感じます。

問)

 麻生大臣あての質問です。先週大臣は、ペンス副大統領とお会いになっています。そのあと、日本の政府としてはTPP11か国でやってもいいんじゃないかと、その件についてオープンに考えてもいいというような発言が聞かれます。日本としてはどちらの方を目指しているのでしょうか。日本における貿易の今後ということで、アメリカを対象にしてバイでやられるのか、それともTPP11でまずやれるところまでやるのか、TPPの方がより魅力的とお考えなのでしょうか。どちらでしょうか。

大臣)

 報道によるととしか言いようがありませんけれど、アメリカ側からは二国間の貿易とかいわゆる投資関係を重視するとの考えが示されたことは確かです。いずれにしても、日米経済対話の中でどのような枠組みというものが、日本とアメリカの経済関係にとって一番いいのかということを考えて、今後建設的な話をしていかなければいけないと思っています。ペンス副大統領との間では、3日ほど前にお目にかかりましたけれども、日米間のエコノミックダイヤログというものを立ち上げるという話を日米の首脳同士の会談の結果、我々がそれを委託されてその話をスタートする第一回目が3日前にあったのですけれども、両方の持つ基本的な考え方は我々としては、TPPというものの方がアメリカにとっても日本にとってもいい制度だと思っていますけれども、バイの方がいいというお考えが前からある話ですから、バイの考えを実行したいというお気持ちがあるのは伺いましたけれども、バイにした方がTPPの時より、より良い条件がアメリカにとって取れる保証はありません。したがって、この話についてはどちらの方がよりアメリカにとって、日本にとっていいのかという点を考えて話をさせていただかないといけないということだと思っています。具体的に言えば、12か国でやっているからアメリカは日本から取れたけれども、バイとなったら日本はアメリカに譲ったところを、どこか他のところから取ってくる相手がいませんから、そういった意味ではアメリカにとってTPPで得られた条件よりさらに悪くなる条件の方になりうる可能性も考えなければならないわけで、そういったことについても十分に話し合いをしたいと思っています。11か国の話については、今後、今からいろいろ11か国の中でやろうという国もありますので、そういった国々との間でいろんな話題が出てくるのであって、対応して我々は拒否する必要はありませんので、行った方がいいのか、更にチョイスもありますので、チョイスの中の一つと思って検討していくことになるんだと思っています。

問)

 麻生大臣に質問です。TPPを11か国で行うことについては、今度5月のAPECの貿易担当大臣会合がありますので、その時に11か国だけでTPP11の進め方ということについての共同宣言を出すと、それについて参加国が署名するといったようなことも言われているのですけれども、これについてどうお考えでしょうか。もう一つ、そうはいっても共同宣言の内容はできるだけ柔軟性を残していく、それはいずれアメリカが入ってほしいからといったようなことも出ているのですが、やはり最後はアメリカにも入って欲しいというのがご希望でしょうか。

大臣)

 APECで11か国が集まるというのは5月に開催されるのだと思うのですけれども、その際、今の話が出る可能はあると思います。それが、貿易担当大臣の間でFIXされたとは聞いておりませんので、そこのところはよく知りません。共同宣言の話を言われましたけれども、アメリカとの間で、我々としては12か国でやった方が少なくとも40%のGDPをカバーできますので、より大きい経済圏を確保できる、中で自由に取引できるということを意味しますから、アメリカが入った方がいい、より望ましいことははっきりしていますけれども、そういった状況をアメリカがどう判断するかという話であって、これは我々の判断ではなく、アメリカの判断になるんだという感じがします。

問)

 麻生大臣に。ペンス副大統領の話し合いを通じて、貿易以外の経済の政策で、これからトランプ政権と話し合いを進めて成果を出せそうだという分野は特にありましたら教えてください。

大臣)

 直ちに出るようなものがあるのかといわれると思いつきませんけれども、エネルギーの分野ではLNGの話がありうるでしょうし、ダラス=ヒューストンとの間で新幹線を作ろうとしたり、ニューヨーク=ワシントンDCの間にマグレブを使って高速鉄道をやろうとしているプロジェクトがいくつか動いていますので、そういったものに関しては双方で直ちに答えが出しやすいものもあると思っています。土地の買収がアメリカの方で進んでいますから、そういった技術的なものプラスそれに対していくら日本の資本参加をするかなど、我々というよりはむしろ国土交通省の範囲の話なるんだと思いますけれども、そういった分野とか経産省の分野とかいくつかあると思いますけれども、そういったものはそれぞれの担当者を決めてやるというということも、ペンス副大統領との間で決めていますから、そういったところの話をさせていただけるというのが意外と早く出てくる答えかなという感じがします。

 

(以上)

財務省の政策