カナダにおける財政連邦主義と公共サービスの供給

Jean-Francois Tremblay

オタワ大学経済学部
200 Wilbrod St.
Ottawa, ON
Canada, K1N 6N5

2006年6月

日本財務省の依頼により作成


はじめに

本稿は、カナダにおいて各階層の政府へどのようにして税財源が配分され、支出の役割分担がなされているのかを概観し、どの政府が公共サービスの財源を賄い、サービスを提供しているのかについて論じる。その際、本稿では、戦後はもとより近年におけるカナダ連邦の幾つかの大きな特徴およびその変化に注目している。カナダでは過去50年間において州政府の歳入と歳出の重要度が高まっていること、そして近年、州政府の権限を地方政府に委譲していることから、カナダ連邦では分権化の度合いが比較的高く、そしてその度合いもますます高まっていることに焦点を当てながら論じることとしたい。本稿はまた、3つの階層の政府間で課税権限と支出責任がかなり重複していることを明らかにする。

本稿は5つの節に分かれている。第1節では憲法が各階層の政府の権限をどのように割り当てているのかについて概略する。第2節では各階層ごとの歳入と歳出の推移、および戦後期における政府間移転について考察する。第3節では歳入を検討している。第4節では各行政分野における支出の役割分担を俯瞰し、どのようにして主な公共サービスの財源が調達され、そのサービスが提供されているのかを論じる。最後の節では市町村の財政運営を簡潔に論じ、加えて近年のオンタリオ州における州から市町村への権限の委譲について概観しながら、市町村の役割について検討する。

1 憲法条項

カナダは10の州と3つの準州から構成され、3階層の政府によって統治されている:連邦政府、州政府、地方政府である。連邦政府と州政府の権限は、当初、1867年憲法(Constitution Act)に規定された。その後、憲法は幾度か改正されているが、特に顕著なのが1982年の改正である。準州政府には憲法上の地位はないものの、準州の支出責任および財源調達能力は連邦政府から委譲されており、連邦政府は州よりも準州において公共サービスの供給について重要な役割を発揮している。

連邦政府の権限は憲法第91条に列挙されている。連邦政府の権限には以下が含まれる:公共の負債と資産;通商貿易規定;防衛;陸軍・海軍;刑法;失業保険;資金・銀行業務;特許権・著作権;郵便業務;国勢調査・統計;何らかの課税形態または税制による資金調達が挙げられる。

第92条では州の管轄事項を以下のように列挙している:財産権・市民権;病院;公有地の管理と売却;司法行政;地方自治体機関・制度;地方の自然に関するあらゆる事項;各州内での直接課税がある。第92A条は、再生不能である天然資源・林業・電力に対する独占的管轄権を各州に与えている。第93条は教育に対する州の管轄権を、第94A条と第95条は公的年金・農業・移民に関する連邦と州の共同管轄権を規定している。

憲法は地方政府に一切の権限を与えておらず、州政府が地方政府に関する全ての権限を有する。したがって、各州の裁量によって州政府が持ついくつかの支出責任と課税権限を地方政府に委譲することができる。そのため、地方政府は州政府に大きく依存することとなり、後に述べるように、地方政府の権限とその歳入の太宗は州政府から委譲されていることが分かる。しかしながら、近年、アルバータ州、オンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州を含む多くの州で、市町村の裁量性を向上させ、自治権を付与することを企図した法案が可決された。しかし、この目的が達成されたかは不明である(McAllister, 2004)。地方政府には、市町村、教育委員会のほか多様な機関が含まれる。通常、これらの機関全体が以下に挙げる広範な支出責任を負っている:治安;交通システム;教育;一部の州では保健・社会福祉;水道・下水;ゴミ収集その他がある。しかしながら、地方政府への支出責任の委譲の範囲や地方政府の構成は州によって大きく異なっている。

憲法で各政府の役割分担を規定しているにもかかわらず、連邦政府は自身の支出権限を行使することで、州政府の専管事項においても支出することができる。連邦政府の支出権限は憲法内に明記されていないが、憲法のいくつかの条項がこれを正当化するために引き合いに出されており、実際、幾つかの連邦政府の支出および州政府に与えられる特定補助金はこの支出権限によって事実上,正当化されていることから、連邦政府の支出権限の重要性は決して無視できない。

2 政府階層別の歳入・歳出・補助金の概要

連邦と州において、歳入と歳出両面で注目に値する分権化の長期トレンドが観察されている。図1は、1945年から2004年までの間のGDPに占める各政府レベル別の自主財源(他レベルの政府からの移転は除外した歳入)の割合の推移を示している。下に示す全ての数字に関するデータは「付録」に記載している。GDPに占める連邦政府の自主財源の割合は、当該期間全体を通じて15%から20%の間で変動しているのに対して、州政府の自主財源については、第二次世界大戦後の約5%から、2004年の17%へと着実に上昇し、連邦政府の自主財源をわずかに超えた。これとは対照的に、地方政府の自主財源がGDPに占める割合は、当該期間中、約5%と非常に安定していた。

図1:政府階層別のGDPに占める自主財源の割合(%)
(1945年−2004年)

グラフ:政府階層別のGDPに占める自主財源の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、380-0022、384-0001、384-0004、384-0011、384-0014、384-0023)を使用した著者の計算

政府の歳出から移転支出を除いた一般歳出(他の政府レベルへの移転を除く歳出合計)でも同様の傾向が見られる。図2は図1と同じ期間のGDPに占める一般歳出の割合を示したものである。連邦政府レベルでは、歳出は第二次世界大戦後すぐに低下し、その後、1960年代半ばまで、GDPの約11%から16%の間を変動した。連邦政府の一般歳出は、1990年に最高記録の19%に至るまで上昇傾向にあった。その後は、13年間連続して急速かつ着実に下落した。2004年にはGDPの12%を少し上回る位置に留まっている。GDPに占める州政府および地方政府の一般歳出の合計の割合も1945年から1990年代初頭までの間は上昇傾向にあるなか、1960年代後半からは州の一般歳出の割合の上昇傾向が強くなった。州政府の一般歳出は1990年代には伸び悩んだが、1990年代初頭までには連邦政府の歳出を上回った。特に医療の分野で州政府の支出が大きく伸びていることから、州と連邦の一般歳出の格差が広がると予想される。

図2:政府階層別のGDPに占める一般歳出の割合(%)
(1945年−2004年)

グラフ:政府階層別のGDPに占める一般歳出の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、380-0022、384-0001、384-0004、384-0011、384-0014、384-0023)を使用した著者の計算

カナダにおける政府間財政移転は、連邦政府・州政府間、州政府・地方政府間の両方においてかなりの規模となっている。連邦から州への補助金には大きく2つの種類がある:1つが平衡交付金、もう1つが医療・高等教育・社会扶助の分野の州歳出に充てられる補助金である。前者については、平等化の原則は憲法内に明記されており、すべての州政府が同等の課税水準の州住民には同等水準のサービスの提供を可能にすることを保証するため、連邦政府から州政府への補助が求められている。平衡交付金は、財政力が平均未満であるすべての州に提供され、現在、オンタリオ州とアルバータ州を除くすべての州が受け取っている。大まかに述べると、平衡交付金を受領する特定の州への交付額は次の算定方式に基づいて決められる。それは、各税目ごとに交付金の受領州が全国の平均税率で課税したときに得られる税収と、代表的な5つの州が平均税率で課税したとしたときに得られる税収との差額を計算し,それを補うかたちで決められる。補助金のもう1つの種類は、特に保健・高等教育・公的扶助・社会福祉にかかる支出を負担することを目的とするもので、現在、1人当たりの額を基準として各州に提供されている。この補助金はさらに2つに細分される:CHT(Canada Health Transfer)とCST(Canada Social Transfer)である。

州政府もまた、かなりの金額を地方政府に補助金を交付している。実際、これらの補助金総額は連邦政府から州政府への補助金総額とほぼ同程度である。しかし、州政府から地方政府への補助金の約20%が一般補助金であるのに対して、連邦から州への補助金の30%以上が一般補助金である(Treff and Perry, 2005)。州から地方政府への補助金の大半は、社会サービス、道路の建設と維持管理、公共輸送、水処理、水供給、および公営住宅へ支出することを条件としている。これらの補助金の細かな形態は州によって異なるものの、州政府から地方政府への補助金の一部は平準化の要素を有している。(Boadway and Hobson, 1993; Kitchen, 2002)。連邦から州への平衡交付金と同様に、これらの補助金は財政力が平均未満の市町村をある程度支援することを目的としている。一部の州では財政需要も考慮され(Kitchen, 2002; Slack and Bird, 2006)、補助金の支給額は農村部の市町村と都市部の市町村によって異なる場合がある(Slack and Bird, 2006)。

図3は、1945年から2004年の期間における州政府と地方政府の歳入および歳出に占める補助金収入の割合を示している。地方政府の歳入および歳出に占める補助金の割合は、1945年から1970年末までの期間は着実に上昇し、16-17%程度から45%を超えるほどに増大した。1980年代には次第にゆっくりと下降しはじめ、2004年には約40%の水準となった。この展開は州では大きく異なっている。州の歳入および歳出に占める補助金の割合は、1940年代末から1960年代初頭の間にかなり急速に増大し、1959年には歳出の約35%とピークに達している。しかしその後、2004年まではほぼ一貫して低下し、同年における補助金の割合は、歳入および歳出の約16%しかなかった。このように、現在、歳入を補助金にあまり依存していない州政府と比べ、地方政府は補助金にかなりの程度依存していることがわかる。

図3:歳入および歳出に占める補助金の割合(%)
(1945年−2004年)

グラフ:歳入および歳出に占める補助金の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、380-0022、384-0001、384-0004、384-0011、384-0014、384-0023)を使用した著者の計算

1945年から2004年までの各政府の財政収支を図4に示している。1945年の第二次世界大戦終結時には、連邦政府の財政赤字はGDPの15%に相当したが、軍事費の減少によって急速に解消された。その後10年ほど、かなりの黒字額が累積された。その後は、長期に及ぶ巨額の財政赤字が計上され始める1970年代半ばまで、連邦政府の財政収支はゼロ近辺のかなり狭い幅で変動した。1985年には連邦政府の赤字額はGDPのほぼ8%に達した。その後、連邦政府の財政収支は徐々に改善し、GDPの2%未満ではあるものの、1996年にプラスに転じ、2004年までプラスを維持した。

州では、財政収支はより安定しており、1980年代初頭までゼロ周辺を変動していた。州政府の財政赤字は連邦政府の財政赤字と比べてかなり少なかったが、連邦政府と同様に、その後、州政府は1980年代と1990年代の大部分を通じて赤字に落ち込んだ。州政府の財政赤字のピークは、1992年における対GDP比4%であった。1992年以降、収支は徐々に改善しつつあるが、州政府の財政収支は、1999年と2000年を除いて毎年赤字を維持し、1997年から2004年の間の各年で、連邦の財政収支よりもはるかに低水準であった。

図4:政府階層別のGDPに占める財政収支の割合(%)
(1945年−2004年)

グラフ:政府階層別のGDPに占める財政収支の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算。完全な発生主義会計の導入後に系列が断絶したため、1983-84年度にスタートした連邦政府のデータは、それ以前の年度と直接比較できない。

地方政府の財政収支は長年かなり安定し、その水準はゼロに近かった。これはすべての州において州政府が地方政府の財政に重要な制限を課したこと―地方政府の財政赤字と負債に対する制約など(Kitchen, 2002; Slack and Bird, 2006―を反映している(kitchen, 2002; Emery, 2003; Bird and Tassonyi, 2002)。通常、地方政府は資本投資の財源を賄うためにのみ借入をすることができる。地方政府の財政に課された制限については、後の5.1節で詳しく述べることとする。

GDPに占める債務残高の割合を、連邦政府は1961年以降、州政府および準州は1983年以降の推移を図5に示している。当然ながら、1980年代と1990年代における長期間の赤字は、債務残高・GDP比率の急速な上昇につながり、連邦政府は1995年に74%、州政府は1999年に29%にまで達した。しかし、1990年代後半以降のGDPの急速な伸びと財政収支の改善は債務残高・GDP比率の急速な低下につながり、2004年には連邦と州でそれぞれ43%と22%へと下落した。

図5:政府階層別のGDPに占める債務残高の割合(%)
(1961年−2004年)

グラフ:政府階層別のGDPに占める債務残高の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算

最後に、図6では1983年から2004年の期間における各州のGDPに占める債務残高の割合を示している。州によって大きな開きがあり、2004年にはアルバータ州ではGDP比で−8%のマイナスの負債を示す一方、ニュー・ファンドランド州の債務残高・GDP比率は60%を超えた。2004年のオンタリオ州とケベック州はこれらの中間にあり、債務残高・GDP比率がそれぞれ27.5%と32%となっている。

図6:各州の純負債のGDPに占める割合(%)
(1983年−2004年)

グラフ:各州の純負債のGDPに占める割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算。会計方式の変更に伴い系列が断絶したため、次の年度の後のデータは、それ以前の年度と直接比較できない:ニュー・ファンドランド(1993-94年度)、ケベック(1997-98年度)、オンタリオ(1999-2000年度)、ブリティッシュ・コロンビア(2000-01年度)

3 各政府の歳入構成

歳入の構成は政府階層によって大きく異なる。表1には連邦政府、州政府、地方政府および教育委員会別の歳入構成比が示されている。ここでいくつか注目に値する点がある。第一に、所得課税は連邦政府と州政府によってのみ占められ、連邦歳入の60%超、州歳入の30%程度を占めている。第二に、消費課税もまた、連邦政府と州政府によってほぼ独占的に課されており、ともに歳入の20%程度に相当する。第三に、固定資産税は地方政府および教育委員会の自主財源の太宗を占める。固定資産税は、地方政府の自主財源の約3分の2、教育委員会の自主財源の80%超に達する。しかし、自主財源は地方政府の歳入のわずか約60%、教育委員会の歳入の30%未満であることに注意しなければならない。最後に、社会保障に対する拠出金は連邦歳入の約10%を占め、一方、財・サービス収入は地方政府の歳入の15%を占める。

表1:各政府階層の歳入の構成比(%)

連邦地方教育委員会
20012005200120052001200420012004
自主財源99.799.785.281.460.560.428.027.8
所得課税62.061.231.429.4
消費課税19.721.722.323.10.10.1
固定資産関連税4.03.940.240.423.022.8
その他の税0.30.36.46.60.70.7
健康保険料1.01.3
社会保障への拠出金11.49.72.83.1
財・サービス収入2.33.14.32.615.515.54.74.7
投資収益3.63.012.811.23.12.70.20.2
その他の自主財源0.40.50.20.20.90.90.10.1
補助金0.30.314.818.639.539.672.072.2
一般補助金0.30.312.210.61.61.7
特定補助金0.00.02.78.037.937.9

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0001、385-0002、385-0003、385-0009)を使用した著者の計算

歳入の構成は、州間で州および地方の両方に大きな違いが見られる。表2と表3は、州政府と地方政府における歳入の構成比を示している。州では次の点が興味深い。第一に、自主財源の比率は州政府間で大きく異なり、ニュー・ファンドランド州の57%から、最も裕福なアルバータ州の89%と幅がある。第二に、オンタリオ州とケベック州はその他の州よりも所得課税への依存度が高い。一方で、アルバータ州を除き、消費課税のウェイトは各州で同程度である。

表2:各州の歳入の構成比(%)(2005年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
自主財源57.361.167.263.283.484.769.378.389.383.3
所得課税18.418.125.718.933.036.424.218.923.721.3
消費課税23.225.325.520.922.228.721.922.110.724.5
固定資産関連税0.25.11.26.23.13.23.94.14.27.6
その他の税4.72.62.42.110.47.85.36.13.62.1
健康保険料0.21.23.14.7
社会保障への拠出金3.52.32.52.13.33.51.61.93.13.4
財・サービス収入3.14.74.52.63.12.31.94.31.62.5
投資収益4.23.15.310.26.72.710.420.639.216.9
その他の自主財源0.20.10.10.20.30.20.20.30.10.3
一般補助金32.335.724.232.811.25.620.910.14.38.3
特定補助金10.43.28.64.05.49.79.811.56.48.4

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002)を使用した著者の計算。州は東部から西部に次の順で記載されている:ニュー・ファンドランド(NFLD)、プリンス・エドワード・アイランド(PEI)、ノバ・スコシア(NS)、ニュー・ブランズウィック(NB)、ケベック(QUE)、オンタリオ(ONT)、マニトバ(MAN)、サスカチュワン(SASK)、アルバータ(ALB)、ブリティッシュ・コロンビア(BC)

地方政府の歳入の構成にはさらに相違が見られる。特に自主財源の割合は、プリンス・エドワード・アイランドの25%とニュー・ファンドランドの30%から、サスカチュワンとニュー・ブランズウィックにおけるそれぞれ71%と86%とさまざまである。したがって、地方政府への補助金のウェイトには大きな開きがある。地方政府の歳入に占める補助金の割合は、ニュー・ブランズウィックの4.5%から、ニュー・ファンドランドとプリンス・エドワード・アイランドのそれぞれ68%と74%と幅がある。自主財源の構成比ほどの違いは見られないが、歳入に占める固定資産税の割合も州によって大きく異なっていることが分かる。

表3:州別の地方政府歳入の構成比(%)(2004年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
自主財源29.624.955.186.258.064.556.771.054.856.2
所得課税0.00.10.72.40.1
固定資産関連税20.818.242.758.041.845.738.251.827.429.7
その他の税0.40.10.30.60.20.80.50.31.11.6
財・サービス収入7.56.010.326.313.915.312.912.619.718.1
投資収益0.60.21.30.81.02.03.63.35.66.3
その他の自主財源0.30.50.40.41.20.90.70.51.10.4
一般補助金2.10.81.89.31.61.76.52.40.30.6
特定補助金68.374.243.14.540.433.736.826.644.943.2

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0003)を使用した著者の計算。この表内の地方政府の歳入には教育委員会の歳入が含まれる。

4 歳出:役割分担およびサービスの供給

4.1 機能別および政府階層別の歳出の役割分担の概要

3つの階層の政府がほぼすべての分野にある程度関与しているものの、1つの政府に支出が集中する傾向がある。表4は、2001年と2005年(地方政府については2004年)において機能別の歳出の役割分担を政府階層別に示している。社会福祉の分野は連邦政府で断然最大の歳出領域である。この分野は連邦歳出の36%に相当し、これは失業保険プログラムと公的年金プランが含まれることに起因する。2005年には、住民と財産の保護・医療・一般補助金の交付・公債費)はそれぞれ、連邦歳出の約10%を占める。歳出に占める利払費の割合は、2001年から2005年の間に歳出の17%から11%へと低下した。

州について見てみると、医療・教育・社会福祉全体で2005年の歳出の約70%を占め、医療だけで歳出の3分の1を構成しており、この割合は次第に上昇している。連邦ほどではないが、州政府の利払費もまた、歳出の約14%から11%へとかなり低下した。

地方政府に教育委員会が含まれていることから、地方歳出の40%超が教育分野に対する支出である。交通・通信、住民と財産の保護、環境への支出はそれぞれ歳出の約10%を占めている。他の大きな支出項目としてはレクリエーション・文化(7%)、社会福祉(6%)、住宅(2%)がある。2004年の利払費は、地方政府の歳出のわずか3%に過ぎず、地方政府の負債は比較的低水準であることを反映している。

表4:政府階層別の歳出の構成比

連邦地方
200120052001200520012004
政府の一般サービス4.73.61.71.95.35.1
住民と財産の保護10.011.43.94.09.49.7
交通・通信1.11.14.14.211.111.3
医療1.910.730.533.61.41.4
社会福祉36.236.416.615.96.35.9
教育2.72.419.719.942.341.2
資源保全・産業振興3.63.84.34.61.21.1
環境0.80.90.70.88.810.6
レクリエーション・文化1.82.01.11.17.17.2
労働・雇用・移民1.31.30.40.4
住宅1.01.01.30.82.12.2
外交・国際支援2.42.4
地域計画・開発0.20.30.50.51.01.1
研究施設1.01.30.20.3
一般補助金13.810.50.70.7
利払費17.310.813.810.73.73.1
その他の歳出0.10.00.70.50.10.1
合計100.0100.0100.0100.0100.0100.0

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0001、385-0002、385-0003、385-0009)を使用した著者の計算

表5では2005年における州政府歳出の役割分担を州ごとに示している。医療に充当される歳出の割合は、オンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア州で37%を超え最大であるのに対して、ケベック州が最低(28%)である。興味深いことに、州予算における教育歳出のウェイトは、アルバータ州(24.5%)とニュー・ファンドランド州(23%)において最も高かった。利払費は、ノバ・スコシア州とニュー・ブランズウィック州で最も高く、実際、社会サービスのウェイトよりも高くなっている。

表5:各州の歳出の構成比(%)(2005年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
政府の一般サービス2.05.10.91.72.21.51.91.71.51.8
住民と財産の保護4.63.24.03.53.64.44.15.03.04.6
交通・通信7.17.83.66.23.93.83.44.25.44.1
医療30.229.735.231.328.237.433.032.433.637.6
社会福祉12.610.012.011.417.616.715.513.516.013.7
教育23.219.219.420.119.318.717.415.824.522.0
資源保全・産業振興3.39.43.53.84.92.83.910.38.25.0
環境1.63.20.60.90.80.60.61.40.80.7
レクリエーション・文化1.51.41.00.91.50.71.21.51.41.0
労働・雇用・移民0.20.40.20.71.00.10.30.20.40.2
住宅1.00.51.51.10.60.80.91.70.50.5
地域計画・開発0.50.50.60.60.70.41.40.50.20.4
研究施設0.00.70.10.00.10.40.0
一般補助金0.90.40.81.71.30.12.81.10.30.3
利払費11.39.516.916.113.810.713.710.52.78.2
その他の歳出1.21.2

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002)を使用した著者の計算

表6は、2004年における地方政府の歳出に占める各支出の割合を州別に示している。多くの支出項目において州ごとに違いが見られ、最も顕著なのが、住民と財産の保護、交通・通信、教育である。なお、ニュー・ブランズウィック州には教育委員会が存在しないため、同州の教育費は、州政府が全額を直接負担していることに注意が必要である。

表6:州別の地方政府歳出の構成比(%)(2004年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
政府の一般サービス6.74.28.17.97.53.18.06.46.15.6
住民と財産の保護2.26.410.720.79.310.08.58.29.011.0
交通・通信8.85.98.223.612.210.312.315.914.09.5
医療0.00.10.10.20.12.71.20.21.00.5
社会サービス0.10.02.00.412.60.20.21.00.1
教育x72.945.40.043.837.849.751.144.741.4
資源保全・産業振興0.30.40.62.01.41.01.21.21.60.7
環境9.44.517.027.49.110.48.38.48.015.3
レクリエーション・文化4.94.65.511.67.46.05.46.78.510.7
住宅0.20.00.00.31.73.60.20.00.80.4
地域計画・開発0.40.60.82.41.50.70.70.81.61.4
利払費3.30.41.63.85.81.84.10.73.73.2
その他の歳出x0.10.10.00.10.00.00.3

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0003)を使用した著者の計算。x:統計法の秘密保持要件に沿って公表を控えた。この表内の地方政府の歳出には教育委員会への歳出が含まれる。

4.2 特定の分野における公共サービスの供給

主な歳出機能のいくつかが各政府レベル間にどのように割り当てられているか、これらの機能下にあるサービスが一般的にどのように資金調達され、提供されているかについて以下で概説する。

医療

医療財源の一部は連邦政府から支出されているものの、医療サービスの大部分が州政府によって提供されている。表7の第1列目は、1977年から1996年の期間における州の医療支出に占める連邦補助金の割合を表しており、この連邦補助金は入院保険、医療保険および拡張療養サービス(通常の保険・プランでカバーされない広範な医療)を対象としたEPF(Established Programs Financing)協定に基づく補助金である。EPF協定による連邦補助金は、医療・高等教育・社会扶助を対象としたブロック補助金(block grant)であったが、EPFの補助負担率はEPF協定以前(1977年より前)に行われていた各分野への個別の補助負担率を基礎として算定されていた。表7が示すように、連邦政府の医療に対する補助負担率は、1977年の約26%から1996年の12%へと大幅に減少した。1996年より後は医療分野への補助負担率を正確に把握することはやや難しい。それは、1997年のCHST(Canada Health and Social Transfer)の導入によって、医療に対する補助負担率の計算をしなくなったためである。CHSTが導入された期間における連邦の医療に対する補助負担率を推計するために、Lazer, St-Hilaire and Tremblay(2004)は次の3つの数値を使用した:1)EPF協定に基づく補助負担率(43%)、2)EPF協定に基づく補助負担率に、連邦政府が医療分野へ特別に交付した追加的な補助金を加えた補助負担率(50%)、3)州のプログラム支出全体に占める州の医療支出の割合(68%)の3つである。推計結果は、1997年から2003年の期間における医療支出に占める連邦補助金の割合を右の3列に記載している。表7が示すように、推計値は約10%から16%の幅があるが、いずれの場合も1977年の水準よりもかなり低い。連邦の補助金をより明らかにすることも目的として、CHSTは、2004年にCHT(Canada Health Transfer)とCST(Canada Social Transfer)に分割された。

表7:州政府の医療支出に占める連邦から州への医療向け補助金の割合(%)

197726.5医療支出に充てられたCHSTの割合(%)
197826.5
197929.243%50%68%
198025.4
198122.8199711.012.817.4
198218.219988.19.412.8
198319.719997.99.212.5
198423.420009.210.714.6
198524.720019.210.614.5
198621.320029.411.014.9
198719.820039.911.515.7
198819.4
198916.7
199014.6
199112.9
199215.2
199317.8
199415.0
199515.6
199612.2

出所:カナダ保健情報機構(CIHI)のデータとカナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0003)を使用した著者の計算。医療に対する連邦からの補助金は、1977年から1996年までの期間は入院保険、医療保険、拡張療養サービスのための連邦からの補助金の合計、1997年から2003年までの期間はCHSTの医療相当分である。

医療費支出に対する連邦から州への補助金は、1984年に制定されたカナダ保健法(Canada Health Act)に明記された5つの一般基準を満たす必要がある。同法の主な目的は、州の医療制度が国の一定水準に達していること、そしてすべてのカナダ国民が所得に関係なく、必要な医療サービスを受けられることを保証することである。5つの基準は次のとおりである。

包括的範囲(Comprehensive Scope):必要とみなされるすべての医療サービスが州の医療プランでカバーされていなければならない。

普遍的な補償範囲(Universal Coverage):州のすべての住民に対し、同じ条件でサービスを提供しなければならない。新規住民に対しては最大で3ヶ月の待機期間が課される。公的管理(Public Administration):州の医療プランは、公的に管理・運営されなければならない。

携行性(: Portability):サービス範囲は、一時的に州を離れている者、あるいは他の州に転居し、まだ転居先の州の医療プランでカバーされていない者にも提供されなければならない。

利用可能性(Accessibility):各人の医療サービスの利用は、金銭的な制約等、さまざまな障害によって制限されてはならない。

これらの基準を強制するために、順守していない州への連邦移転額が減額されることがある。実際には減額はわずかである。それでも、こうした減額が重要となる可能性があるため、州の医療制度設計に与える連邦の影響は無視できない。例えば、上述の基準を遵守していない州は、患者に課される手数料1ドルまたは追加的な請求1ドルに対し、連邦移転額から1ドルが減額される。

州政府の医療支出は、大部分が使途の特定されない普通税によって賄われている。一部の州では、健康保険料・薬剤保険料から調達しているが、医療財源に対するこれらの保険料収入の寄与はごくわずかである。2004年は、健康保険料・薬剤保険料の合計は州政府の医療支出の約4.1%に相当した

民間病院もいくつかあるが、大半の病院は州立である。例えば、現在オンタリオ州では200を超える病院のうち民間病院は8つしかない。さらに最近、一部の州はPPP(public-private partnerships)による新しい病院の建設・運営に関心を示している。看護師を含め、病院の職員のほとんどが公務員である。他方で、医師の大半は自営で、医師が提供した医療サービスに対する報酬を政府に請求する。

カナダ保健法の対象で、州が提供している医療サービスには、医学的に必要とされる医療行為と病院業務のすべてが含まれる。外来患者への医療サービスと医薬品は、病院で提供される場合に保健法の対象となる。その他の医療サービス、長期介護サービスや在宅介護サービスは州が責任を負うものの、これらのサービスは同法の対象ではなく、その供給水準も州によって大きく異なる。しかしながら、2004年、連邦政府はCHTの一環として、州への追加的な支援を行う10カ年計画を発表した。これは州政府の長期介護サービスの拡大へ補助することも目的のひとつであった(Treff and Perry, 2005)。

長期医療の提供については、通常、公的支援を受けた施設があり、そこで提供されるサービスに対してかなりの補助金が支給されているが、このような施設には需要を満たすほどの十分な収容力がないことが多い。対応しきれない需要は、補助を受けない民間施設で対応している。現在、オンタリオ州を含むいくつかの州は、病院外で提供される公的な在宅介護サービスと長期医療サービスを拡大させている。オンタリオ州の公的な長期の高齢者介護サービスには2つのタイプがある。最低限度から中程度の身の回りの介護を提供する居住設備に対して州の補助金が支給される。長期介護施設は24時間の介護を必要とする高齢者も利用することができる。これらの施設は民間または地方自治体のいずれかに所有されているが、いずれの場合も、居住者が居住費用を支払い、州の保健長期介護省(Ministry of Health and Long-Term Care)が看護サービスと身の回りのケア・サービスの費用を負担する。州が出資する地方機関、コミュニティ・ケア・アクセスセンターは住民が利用できるサービスについての情報を提供するほか、住民が長期介護サービスを利用できるよう支援している。精神衛生(メンタル・ヘルス)サービスを必要とする者に対する長期介護もまた、精神病院、総合病院の精神科、特別介護施設を通して州政府によって提供されている。

いくつかの州では、サービスの提供主体として地域保健センター(コミュニティ・ヘルスセンター)の重要度を高めつつある。これらの保健センター、つまりプライマリー・ケア(一次医療)ネットワークは、通常、地域の保健当局によって調整されている。現在、オンタリオ州は、広範囲にわたる医療サービスを提供するために、かかりつけの医師らのグループからなる150ヶ所の新しいかかりつけ医療ネットワークを組織化している(Treff and Perry, 2005)。これらの組織は、保健長期介護省(Ministry of Health and Long-Term Care)に報告を行う。

最後に、各州はまた、産前・産後サービス、健康増進活動、栄養教育など、さまざまな地域医療サービスも提供している。通常、これらのサービスは学校その他の地域機関を通して提供される。

特別居住区や準州内に住む先住民への医療サービスの大半は、保健省(Ministry of Health)およびインディアン問題・北方開発省(Ministry of Indian Affairs and Northern Developement)を通して連邦政府から補助が行われている。しかし、3つの準州における医療サービスの供給は、徐々に準州政府へと委譲されている。先住民特別居住区に対するさまざまな種類の公的医療プログラムも連邦政府から提供されている。

連邦の保健省はまた、食品検査および医薬品の規制と承認を含め、市民の健康・安全プログラムも担当している。また、連邦政府は2000年に、カナダ健康研究所(Canadian Institutes of Health Research)を設立した。これは、健康や医療サービスについてさまざまな側面から調査する研究者らのネットワークである。

教育

教育は州の権限であり、ニュー・ブランズウィック州を除くすべての州において地域の教育委員会を通じて供給されている。教育委員会は地方政府のひとつで、初等教育と中等教育レベルの両方の学校運営に責任を負っている。教育委員会は市町村から独立し、地域の有権者に対する説明責任を負う。すべてではないが、いくつかの州では、教育委員会は固定資産税を課す権限を有する。しかしながら、先に述べたように、大半の財源は州政府から出ている。表1に示したように、2004年には、各州の平均として、州政府からの補助金は教育委員会の歳入の72%を占めている。しかしこの数字は、各州間の大きな差を見えにくくしている。表8は、各州の教育委員会の歳入源を示している。ここで次の3点が注目に値する。第一に、歳入に占める自主財源あるいは補助金の比率は州間でかなりの開きが見られる点である。自主財源は、ニュー・ファンドランド州では1%未満であるのに対し、オンタリオ州では40%超、サスカチュワン州では約55%を示している。第二に、実質的に教育委員会への補助金全額が州政府から交付されている。ただし、市町村が固定資産税を徴収し(税率は州政府が決定権を持つ)、教育委員会へ補助金を交付しているノバ・スコシア州は例外である(Treff and Perry, 2005)。第三に、一般的に、自主財源は固定資産税が大部分を占める。

表8:州別の教育委員会歳入の構成比(%)(2004年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
自主財源0.90.53.023.941.236.754.79.44.9
固定資産関連税13.238.833.651.04.1
財・サービスの売上0.80.42.710.72.22.92.74.54.1
投資収益0.10.10.20.90.70.6
その他の歳入0.10.10.10.10.2
補助金99.199.597.076.158.863.345.390.695.1
連邦政府0.70.10.30.20.3
州政府98.499.579.075.958.563.145.390.594.8
市町村18.00.10.1

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0003)を使用した著者の計算。ニュー・ブランズウィック州には教育委員会がなく、学校は、州政府によって直接管理されている。

教育委員会の裁量は州によって異なるが、一般的に、教育委員会に対する州の関与の度合いはかなり高い。例えば、通常、州政府はカリキュラムを設定し、教師の資格を規定し、教科書を認定し、設備投資を承認する(Treff and Perry, 2005)。しかしながら、教育委員会に対する連邦政府の関与、教育に関する一国全体の基準の設置あるいは州間の調整といったものは存在しない。

近年、大半の州において、教育委員会の裁量がさらに縮小されている(Woolstencroft, 1997 ; McAllister, 2004)。例えば、教育委員会の財源の一部は固定資産税によって賄われているが、学校にかかる財源を州に集権化する傾向が一般的になりつつある(Boadway and Hobson, 1993; McAllister, 2004)。加えて、教育支出を抑えるために、オンタリオ、ケベック、ブリティッシュ・コロンビアを含むいくつかの州が、地方の教育委員会を統合し、管理下の学校数を大幅に増やした。

連邦政府はCSTを通じて各州へ教育目的の補助金を交付することに加え、さまざまな融資プログラムや助成金プログラムなどの学生支援プログラムを通して教育分野に関与している。連邦政府はまた、インディアンとイヌイットの人々の教育に責任を負っている。

所得保証プログラム

主な所得保証プログラムとして、失業保険プログラム、カナダ年金プラン(Canada Pension Plan)、高齢者保証プログラム、児童手当プログラム、社会扶助プログラムがある。

失業保険:失業保険プログラムは、連邦政府が担当し、カナダ人的資源技能開発省(Human Resources and Skill Development Canada : HRSDC)によって運営されている。但し、保険料はカナダ歳入庁(Canada Revenue Agency)が徴収している。このプログラムで支払われる給付金には、失業者に支払われる通常の給付金、シーズンオフで休漁中の漁業に従事する自営業者への漁業給付金、病気の家族の介護のために一時的に休職せざるをえない者への家族介護給付金、出産給付金、育児給付金、疾病給付金が含まれる。

HRSDC がこのプログラムを運営しているが、受給者は国内各地に所在するサービス・カナダ(Service Canada)の各事務所でプログラムに関する情報を入手、あるいは給付金の申請ができる。サービス・カナダは、次の業務を含む連邦のサービスを地方で提供する連邦政府の出先機関である:失業保険プログラム、カナダ年金プラン、高齢者所得保障・児童手当プログラムに基づく個人給付;個人や企業への労働市場サービス(例:キャリア開発計画、就職斡旋サービス、求職者サービス、雇用主への労働市場情報など)がある。現在、10州に320のサービス・カナダの事務所が点在している。いずれは、サービス・カナダはさらに広範な連邦サービスを統合し、地方事務所のネットワークを拡大する予定である。

カナダ年金プラン(Canada Pension Plan:CPP):CPPは連邦政府の公的年金制度で、生涯を通して掛金を支払った個人または生存の配偶者に、退職手当、障害者給付金、遺族給付金を支給する社会開発省(Social Development Canada)によって運営されている。各人の給付水準は、就労期間における拠出総額によって決まる。同プランは、従業員・雇用主・自営業者の拠出金、および年金基金の投資収益によって賄われている。ケベック州はCPPに代わる独自のプログラムを運営しているものの、このプログラムはすべてのカナダ人が利用できる。1998年より前は、CPPは賦課方式であった。しかし、カナダが直面する人口構造の変化に照らして年金を持続可能にするために、同年以降は一部積立方式に移行し、1997年から2003年の間に、拠出率は年金保険料賦課対象賃金(pensionable earnings)の6%から9.9%へと引き上げられた。CPPは、2017年までにおよそ20%の積み立てを予定している。年金基金は、国営企業(crown corporation)であるCPP投資理事会(Investment Board)によって運営されている。

高齢者所得保障(old age security):高齢者所得保障もまた、社会開発省によって運営されている連邦の年金プログラムである。しかし、CPPと異なり、給付金は政府の一般財源から調達されている。次を含め、いくつかのタイプの給付がある:65才を超えるすべてのカナダ国民が利用できる通常の年金給付、通常の高齢者所得保障の受給者でかつ他の所得が少ない者に支給する補足所得年金(Guaranteed Income Supplement)、配偶者の死亡などによって困難な状況にある60才から64才の年齢の者に支給される手当がある。

児童手当プログラム(child benefits program):連邦政府は18才未満の子供をもつ、低・中間所得層の世帯を対象にカナダ児童給付金(Canada Child Tax Benefit)を支給している。このプログラムはカナダ歳入庁によって管理運営されている。州独自の児童手当プログラムとカナダ児童給付金はひとつにまとめられて支払われているが、州独自のプログラムは州が拠出している。低所得世帯はこの給付金に加えて、連邦政府が拠出している全国補足児童給付金(National Child Benefit Supplement)も給付を受けることができる。

社会扶助(Social Assistance):社会扶助は州政府が責任を負うが、その財源の一部には連邦政府から交付されるCSTの一部が充てられている。この補助金は基本的に無条件であり、州の実施する社会扶助プログラムが一定の水準を満たすことを要求していないため、このプログラムの内容は州間で大きく異なっている。大半の州では社会扶助に関する権限が地方政府に委譲されており、その財源の大部分が州政府からの補助金である。例えば、オンタリオ州では市町村が社会扶助プログラムの20%前後の財源を調達している(Treff and Perry, 2005)。社会扶助プログラムの受給要件と所得扶助の額は州によって異なるが、両者ともに所得、固定・流動資産、身体的状況、家族構成、個人特有のニーズなどの調査結果によって決定される。近年、いくつかの州は、受給者の就労意欲を高めるために、社会扶助プログラムにさまざまな特徴的なしくみを採り入れている ―例えば、受給期間を一定年数以内に制限する期限の設定、職を見つけた受給者のための過渡的給付または就労手当(work premium)などがある(Treff and Perry, 2005)。

オンタリオ州の社会扶助プログラムには、障害を持つ者と就労可能な者とを対象にした主に2つの要素がある。障害者に対する所得扶助額の方がかなり高く、大半の州でこの傾向が見られる。就労可能な生活保護受給者は、求職活動を行うこと、訓練プログラムに参加すること、または社会奉仕活動に参加することが求められている。生活保護受給者が職を探し、職を確保することを支援するプログラムは、健常者と障害者の両方に提供されている。社会扶助プログラムは、州の地域社会サービス省(Ministry of Community and Social Services)の地方事務所または市町村の機関によって運営されている。

治安(Protection Services)

3つの各階層の政府が治安維持に深くかかわっている。警察は、連邦警察部隊、ケベック州とオンタリオ州における州警察部隊、市町村の警察部隊、および先住民特別居住区で活動しているいくつかのFirst Nations(最初の国民−「先住民」の意)と呼ばれる警察組織によって提供されている。比較的大きな都市では、その都市内を所轄する独自の警察サービスを備えていることが一般的である。より小規模な地方自治体だと、治安維持は州警察(ケベック州とオンタリオ州)、または連邦警察のいずれかによって提供され、かかる費用の一部または全額を市町村が負担することが多い。

矯正施設は連邦政府と州政府の共管となっている。連邦政府は最低2年の実刑判決を受けた受刑者を担当し、州政府がその他を担当する。

当然ながら、連邦政府は国防・安全保障、国境警備・管理、諜報業務、捜索・救助活動に対する責任を負い、費用は州政府と地方政府で負担する。

運輸交通

道路の建設と維持管理は州が管轄し、連邦政府は国立公園内の道路を管轄する。実際、通常、州は市町村内の道路の建設と維持管理および地方の公共交通システムの管理運営を地方政府に委譲する一方で、市町村の区域外のハイウェイを州政府が管轄する(Treff and Perry, 2005)。州政府はまた、運転免許証の交付も行う。道路の建設と維持管理に対する地方政府の支出の大部分は、州の補助金で充当されている。道路への大規模投資を支援するために、州政府と地方政府に対して連邦の定率補助金が交付されることがある。連邦政府は、航空輸送の規制のために、大規模空港の業務を担うほか、水上輸送と鉄道輸送に対する管轄権をもつ。

公営住宅

公営住宅への支出は、1990年代末までは概して連邦政府、州政府、地方政府の三者がほぼ均等に負担していた。しかし、この分野への連邦の支援額は、1990年代にやや減少したほか(Treff and Perry, 2001)、近年では、州の支出の大部分が市町村に委譲された。これについては後述することにしたい。通常、連邦政府の支出は定率補助金を通じて行われるか、または州政府と費用分担するかたちで行われている。社会住宅(social housing)プログラムには、市場価格未満で低所得世帯に提供する政府所有の住宅、非営利の住宅プログラム、家賃補助、および 国営企業のカナダ住宅ローン保証会社(Canada Mortgage and Housing Corporation)が提供する住宅ローン保証などの公的融資による支援が含まれる。

州によって程度は異なるが、州政府と市町村はホームレスの人々への収容施設の提供に関与している。オンタリオ州では、州政府が地域社会サービス省(Ministry of Community and Social Services)を通して、市町村の管理運営する緊急収容所に要する資金の大半を補助している。オンタリオ州政府はまた、ホームレスになるのを防ぐために行われる市町村のさまざまな取り組みに対しても補助をしている。州地域社会サービス省の各地方事務所は、市町村とのサービス契約、あるいは民間の非営利団体との直接サービス契約の任務を負っている。

環境

2004−2005年度には、環境支出の約70%を地方政府が支出した(Treff and Perry, 2005)。この分野における地方政府の支出の大半は、浄水・給水、汚水回収・処理、ゴミ・廃棄物の収集・処理である。これらの業務は、州政府によって規制されていたり、州からの補助金を受け取っていることが多い。連邦政府は水・大気の質の保護、公害防止、気象サービス、国際協定を含む環境分野に責任を負う。

5 地方政府:財政運営および近年における州から市町村への権限委譲

5.1 市町村の財政運営

一般的に、選挙で選ばれた議員から構成される議会が市町村を代表する。市町村議会は、規則や条例の採決、予算・税制の承認、市町村が実施するプログラムと政策の管理運営などを含む広範な責務を負う(Tindal and Tindal, 2004)。活動と政策、そしてとりわけ予算と税制については州政府からある程度の制約を受けるものの、市町村議会は州政府との関係において多大な自治権により恩恵を得ている。

上で簡潔に述べたように、特に市町村は経常歳出に充てるための赤字を出すことは通常認められていない。市町村は、歳出見積額と州政府から受け取る補助金の予想額を所与として、次年度予算の収支を賄えるだけの歳入を確保しなければならない。そのため、市町村の自主財源の太宗を占める固定資産税または使用料・手数料-を変更することで、各年の歳出の変化に対応させなければならない(先の表1と表3を参照。使用料・手数料は、これらの表内に記されている財・サービス収入の大半を占めている)

原則として、市町村は不動産評価の変動を考慮した上で、必要な額の歳入を調達するために毎年、固定資産税率を決定している。この不動産評価は市場価格を反映させることになっており、数年ごとに見直されることが一般的である―再評価の間隔は州によって異なり、1年から10年の範囲に及ぶ(Kitchen, 2002)。州によっては、一部の大きな都市は独自に不動産評価を実施するものの、再評価は州全域の不動産評価を行っている企業によって行われる。

不動産税率は、特に農地や山林に対しては通常よりも比較的低率で課税されるが、非居住不動産に対してより高いことが多い(Boadway and Kitchen, 1999; Kitchen, 2002)。いくつかのタイプの不動産は、州政府によって特別に扱われることがある。州の規定により一定の種類の不動産に対する課税をすべて免除しているケースもある。この例には、大学、教会、公立病院、慈善団体が含まれる(Kitchen, 2004)。

年度ごとの歳出の変動を、使用料・手数料を改定することによって賄うことがある。使用料・手数料は市町村の自主財源のかなりの割合を占め―2004年には、全州平均で約25%(上記の表1を参照)―、極めて迅速に改定される。使用料・手数料は、給水、下水回収・処理、電気、公共交通、公営住宅、駐車場、レクリエーション施設、コミュニティセンターなど、公共サービスの利用に対して課される。

市町村は財政収支の均衡を保つことが求められているが、資本投資の財源を調達するために借り入れをすることが可能である(州政府の許可が必要なことがある)。州政府は債務残高の規模に関してガイドラインを定めているが、ほとんどの市町村において債務残高の規模はこのガイドラインが規定するところまでには達していない(Kitchen, 2003)。大半の州において、市町村の借り入れは州の当局を通して行われ、基本的に、州当局が市町村に代わって借り入れを行う。いくつかの州では、比較的小さな市町村に対してこうした借り入れ手続きを踏むことを義務付けている。

大半の市町村、あるいは少なくとも比較的大きな市町村では、資本投資の財源を調達するための多年度計画として資本予算を編成している(Kitchen, 2002)。当年度の歳入、積立金、連邦政府および州政府からの補助金、または借入金の使用に加え、資本投資は地方の整備改良税や開発税など、プロジェクトと明確に対応した特別な税によって財源を調達することが多い(Kithchen, 2002)。整備改良税は、道路の舗装や新規開発された近隣の舗道の建設など、特定の投資から直接利益を得る不動産所有者に課される追加的な税である。通常、開発税は数年間にわたり徴収される。開発税は、水道などのサービスを整備する費用の資金調達のために、1区画当りの固定額として開発業者に課される税である。

5.2 近年の市町村への権限移譲:オンタリオ州の場合

1990年代後半、オンタリオ州で州政府と地方政府との間で権限の委譲が実行された(Kitchen, 2002)。この改革の重要な要素は教育財源に関するものであった(Graham and Phillips, 1998)。改革前は、教育委員会は自己の歳入の約半分を固定資産税によって賄っていた。教育委員会は自由に課税率を設定でき、市町村は教育委員会に代わって固定資産税を徴収していた。教育財源の残りの半分は州政府からの補助金で賄われていた。改革後は、教育委員会の固定資産税収への依存度は縮小し、これに代わり、州政府の補助金への依存が高まった。この変更の目的の一部として、学校制度に対する州の管理を強め、教育委員会間の財政的な公平性を高め、全体的な教育支出額を引き締めることにあった(Siegel, 2005)。州から教育委員会への補助金の増加分を賄うために、市町村ヘの補助は引き下げられ、追加的な支出に対する責任は市町村に委譲された。市町村は、これまで教育委員会が課していた固定資産税の減税によって生じた余地に課税することが認められた。

最も重要な権限の委譲は次のとおりであった。第一に、州営住宅の大部分と社会住宅(social housing)に関する権限の大部分が市町村に委譲された。州政府はこの分野へある程度の関与を続けているが、現在、市町村は、それまで州が担っていた社会住宅に関する財源調達と管理の大部分について責任を負っている。次の図7は特定の分野における州政府と地方政府の支出額の合計に占める地方政府の支出額の割合(%)を示している。図7が表しているように、社会住宅における州政府と地方政府の支出額の合計に占める地方政府の支出額の割合(%)は、1990年代初頭の30%前後から1997年には10%を少し超える程度へと減少した。しかしその後、2004年には70%に達するほどに急速に増大している。

第二に、交通の分野においても重要な権限の委譲があった。多くの道路の維持補修費用が、州から地方自治体に委譲され、道路建設および市町村が行っている公共交通機関に対する州の補助金が大幅に削られた。2004年までに、交通・通信分野における地方政府の支出額の割合は、62%前後となった(1989年には56%、1996年には51%)。

第三に、比較的小さな市町村の警察サービスは、以前だとオンタリオ州警察によって提供され、州政府からその財源を調達していたが、現在ではすべての市町村が警察サービスの財源を調達する責任を負っている (但し、かなり小規模な市町村は、現在も州警察によるサービスを契約している)。地方政府が住民と財産の保護に対して支出した額の割合は、2004年には56%に達し、1990年代の平均水準をやや超えた。

図7:オンタリオ州の地方・州の支出合計に占める地方政府の支出の割合(%)

グラフ:オンタリオ州の地方・州の支出合計に占める地方政府の支出の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002、385-0003)を使用した著者の計算

第四に、現在は市町村が水道・下水サービスを提供しているが、以前は州政府によって提供され、市町村が費用を負担していた。水道・下水サービスを含む環境分野への地方政府の支出の割合は、1990年代初頭の80%前後から、2003年と2004年には90%超へと増大した。最後に、救急サービスはこれまでは州政府によって提供されていたが、(現在も、州政府が資金の約半分を負担しているものの)現在は市町村の責任となっている。

過去10年間において、市町村レベルでの分権化の傾向は、カナダの他の州よりもオンタリオ州においてより顕著であったことを述べておく必要がある。比較のために、図8では、カナダの全州を合わせた州政府・地方政府の支出の合計に占める地方政府の支出の割合(%)を示している。特に、カナダ全体でも住居、交通・通信、環境など、特定の分野で歳出の分権化の形跡をある程度確認することができるが、この傾向はオンタリオ州ほどではないようだ。

図8:カナダ全体の地方・州の支出合計に占める地方政府の支出の割合(%)

グラフ:カナダ全体の地方・州の支出合計に占める地方政府の支出の割合

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002、385-0003)を使用した著者の計算

オンタリオ州の改革は、州および地方政府の両レベルで財政的な中立性を目指したものであった(Tindal and Tindal, 2004)。市町村に対する州政府からの一般補助金は、この中立性を確保するために提供されているが、中立性が達成されたかどうかを判断するのは難しく、この一般補助金がゆくゆくは廃止される可能性もある(Siegel, 2005)。

歳入と歳出の分権化の改革の全般的な効果を評価する簡単な方法として、表9では、1981年から2004年までの期間の州・地方政府の歳入および歳出の合計に占める地方政府の歳入および歳出の割合を示している。オンタリオ州では、州・地方歳入の合計に占める地方政府の歳入の割合は、2004年には約37%で、1981年よりもわずかに高かった。地方政府の自主財源の割合は、1980年代にはやや上昇したが、1990年以降はかなり安定していた。最後に、地方政府の歳出の割合は、1989-1990年度前後にかなり上昇したが、その後はほぼ一定を保った。同時期のカナダ全体を見てみると、地方政府と州政府の歳入および歳出の両方で一定の中央集権化が進んだことをデータが示している。そのため、(カナダ全体でも分権化が進められた形跡がみられなかったように)オンタリオ州の州政府と地方政府の間で歳出および歳入の分権化が進められた形跡はあまりみられない。しかし、地方政府への権限の委譲が、地方政府および州政府の歳出比に与えた効果は、特に医療など州の管轄である特定の分野の急激な支出増によって埋め合わされてしまった。さらに、州政府の権限の委譲は、追加的に地方政府の財政圧力が加わったことにより、特定の分野の地方政府の歳出を抑制したのかもしれない。

役割分担の再編と平行して市町村の合併も行われ、市町村の数は約800から400へと約半分に減少した(Treff and Perry, 2005)。公共サービスの効率性の向上、歳出削減および税負担の引き下げを目的として、州政府は主導的に市町村の合併を進め(強制ではない)たが(Sancton, 2000a; Siegel, 2005)、多くの識者はこのような市町村合併が実際に効率性の向上をもたらすかについて疑問を呈した(Sanction, 1996; 2000b)。概して、合併についての初期の評価は、サービス供給の効率性の向上をもたらしたかどうかについて肯定的な見解と否定的な見解の両方が混ざっている(Kushner and Siegel, 2003a; 2003b)。

表9:州と地方政府の歳入・歳出合計に占める地方政府の歳入・歳出の割合(%)(1981年−2004年)

オンタリオ州カナダ
地方政府歳入
の割合
地方政府の
自主財源の
割合
地方政府歳出
の割合
地方政府歳入
の割合
地方政府の
自主財源の
割合
地方政府歳出
の割合
198135.426.532.931.224.129.3
198236.226.932.731.523.828.7
198335.326.231.730.422.928.1
198434.025.531.929.522.728.3
198533.725.531.329.322.727.9
198633.224.831.330.223.427.5
198732.824.630.229.923.427.7
198832.323.830.029.222.827.5
198936.329.435.729.623.327.6
199036.229.037.030.123.527.7
199137.529.437.031.424.527.8
199240.231.935.532.525.427.7
199339.832.834.631.925.128.1
199439.632.335.130.923.728.2
199539.331.834.930.323.327.9
199636.030.333.029.522.628.1
199736.430.334.429.622.628.1
199838.329.235.829.322.128.1
199937.329.234.928.121.728.3
200034.827.235.327.120.527.6
200134.927.634.526.420.225.6
200236.329.036.127.120.625.8
200336.729.635.826.220.425.7
200436.630.235.625.919.825.8

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002、385-0003)を使用した著者の計算

1 連邦政府の支出権限についてのより詳細な論考はBoadway and Hobson (1993)およびBoadway and Watts(2004)を参照されたい。

2 ケベック、オンタリオ、マニトバ、サスカチュワン、ブリティッシュコロンビアの5州

3 1996年以来の制度であったCHST(Canada Health and Social Transfer)に代わって最近設立された。CHST自体がEPF(Established Programs Financing)とCAP(Canada Assistance Plan)から転換されたものである。

4 CANSIMの表385-0002のデータを使用した著者の計算

5 CPP投資理事会(CPP Investment Board)

6 詳しくは、Kitchen(2002)とSiegel(2005)を参照のこと。


付録:図1から8に対応するデータ

表A.1:自主財源および一般歳出(GDPに占める割合-%)(1945年−2004年)

自主財源一般歳出
連邦地方連邦地方
194520.23.53.134.23.43.0
194621.34.23.223.13.83.2
194719.64.73.113.94.03.5
194816.74.93.011.04.23.5
194915.24.82.910.94.73.7
195015.54.73.010.74.53.6
195118.44.82.912.84.43.5
195218.34.12.915.63.73.5
195317.94.13.015.63.73.6
195417.14.33.315.33.94.2
195516.84.43.214.33.94.2
195617.14.43.213.53.94.1
195716.25.03.513.64.04.4
195814.95.23.714.64.54.8
195915.95.54.013.85.15.1
196016.25.54.214.05.65.4
196116.26.44.914.56.66.5
196215.17.54.914.16.56.5
196314.87.64.913.46.76.7
196415.48.24.812.86.96.7
196515.39.04.712.17.26.9
196615.09.24.712.37.66.9
196715.39.94.912.88.87.4
196815.710.84.912.89.57.7
196916.811.34.912.510.08.0
197016.811.95.113.111.48.5
197117.212.25.013.112.28.8
197217.312.44.813.912.18.4
197317.212.84.513.412.08.2
197419.013.34.314.512.27.9
197518.013.24.416.113.78.3
197617.413.24.515.114.18.5
197716.214.44.615.414.78.8
197815.214.74.715.414.78.6
197915.214.74.514.714.78.4
198015.814.84.615.415.58.4
198117.514.64.716.015.68.0
198217.115.24.817.817.38.6
198316.315.64.617.817.78.5
198416.315.74.618.217.18.3
198516.515.34.518.617.18.1
198617.215.24.618.117.58.0
198717.315.44.717.416.97.9
198817.315.84.716.916.87.7
198917.215.94.817.116.97.7
199017.716.55.118.217.98.3
199118.316.45.319.419.28.9
199218.516.25.519.120.09.3
199317.616.45.518.719.79.3
199417.016.95.217.618.68.9
199517.216.85.117.318.18.5
199617.617.15.016.417.48.2
199718.316.94.915.316.67.8
199818.217.04.815.116.87.9
199918.016.84.714.216.27.6
200018.116.94.313.715.67.0
200117.617.44.413.518.07.2
200216.416.84.412.917.67.2
200316.316.94.312.717.77.1
200416.317.04.212.217.27.0

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、380-0022、384-0001、384-0004、384-0011、384-0014、384-0023)を使用した著者の計算

表A.2:歳入と歳出に占める補助金の割合(%)(1945年−2004年)

州の歳入に
占める州への
補助金の割合
州歳出に
占める州への
補助金の割合
地方歳入に占める
地方政府への
補助金の割合
地方歳出に占める
地方政府への
補助金の割合
194528.034.514.617.1
194626.433.616.820.1
194723.330.519.220.7
194816.820.021.522.4
194919.320.423.624.2
195022.425.223.224.9
195120.322.923.625.1
195226.632.822.824.1
195328.234.923.425.1
195428.233.923.223.2
195526.731.826.326.9
195625.429.825.826.9
195723.629.028.230.1
195826.330.430.232.9
195929.734.530.133.3
196030.933.531.134.6
196132.034.330.332.8
196228.833.533.737.6
196327.731.933.837.4
196424.929.035.038.1
196524.429.336.338.7
196624.428.538.642.1
196724.727.638.641.0
196824.527.738.639.8
196923.326.438.438.4
197025.226.741.742.1
197128.029.842.942.5
197225.426.644.044.5
197322.924.544.343.3
197423.425.845.744.9
197525.825.848.148.6
197625.124.645.945.3
197724.424.448.449.3
197823.824.545.645.6
197922.723.346.145.5
198022.221.447.249.3
198121.320.444.947.0
198221.919.847.048.7
198321.719.946.847.9
198422.421.545.546.4
198523.021.845.546.3
198621.719.844.746.6
198721.220.143.646.0
198820.720.243.346.1
198919.919.442.045.1
199019.518.542.845.9
199120.117.743.345.3
199221.117.744.246.6
199320.717.943.345.0
199418.817.243.645.6
199519.118.043.646.2
199616.416.041.843.7
199714.214.040.442.8
199814.214.041.242.8
199916.316.940.641.7
200014.815.840.842.3
200115.315.040.241.1
200214.914.240.441.1
200316.816.540.040.4
200415.715.840.340.7

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、380-0022、384-0001、384-0004、384-0011、384-0014、384-0023)を使用した著者の計算

表A.3:政府階層別のGDPに占める財政収支の割合(%)(1945年−2004年)

連邦地方連邦地方
1945-15.20.80.41975-3.0-1.0-0.7
1946-2.00.80.11976-2.4-0.6-0.8
19474.90.7-0.11977-4.3-0.3-0.5
19484.80.1-0.41978-5.50.3-0.6
19492.8-0.3-0.51979-4.00.2-0.6
19503.40.0-0.51980-4.0-0.9-0.2
19514.40.0-0.71981-2.8-0.8-0.1
19520.80.2-0.81982-5.6-2.2-0.2
19530.60.4-0.71983-6.8-2.0-0.2
1954-0.20.2-1.11984-7.5-0.9-0.2
19550.70.1-0.91985-7.8-1.2-0.3
19561.8-0.1-0.91986-5.6-2.0-0.1
19570.70.0-0.81987-4.6-1.20.0
1958-2.1-0.1-0.71988-4.3-0.40.0
1959-0.90.0-0.71989-4.2-0.70.1
1960-0.6-0.5-0.61990-4.9-1.20.0
1961-1.7-0.5-0.61991-5.4-3.0-0.2
1962-2.30.3-0.71992-5.1-4.00.0
1963-1.80.2-0.71993-5.4-3.10.0
1964-0.30.1-0.51994-4.5-1.90.0
19650.00.6-0.91995-3.9-1.30.0
1966-0.70.3-0.81996-2.0-0.50.0
1967-1.1-0.1-0.819970.7-0.40.1
1968-1.20.4-1.019980.8-1.10.4
19690.50.4-1.119990.90.30.4
1970-0.5-0.3-0.920001.90.80.0
1971-0.9-0.3-1.020011.1-0.8-0.2
1972-1.2-0.3-0.820020.8-1.3-0.3
1973-0.10.5-0.920030.1-0.6-0.3
19740.00.8-0.920040.6-0.3-0.4

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算。完全な発生主義会計の導入後にシリーズが中断したために、1983-84年度にスタートした連邦政府のデータは、それ以前の年度と直接比較できない。

表A.4:政府階層別のGDPに占める純負債の割合(%)(1961年−2004年)

連邦政府連邦政府州・準州政府
196136.5198341.89.5
196235.4198447.310.8
196335.5198551.313.0
196433.2198655.015.2
196530.1198756.015.6
196627.7198856.015.1
196727.3198957.015.2
196825.9199060.515.9
196923.2199165.019.3
197023.0199269.623.0
197122.9199372.626.5
197222.1199473.627.2
197320.6199573.927.7
197418.6199672.827.7
197520.2199768.928.4
197621.0199866.327.7
197724.2199960.628.8
197827.1200053.525.4
197928.0200151.525.1
198029.7200248.824.5
198129.9200345.623.8
198236.0200442.922.2

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算

表A.5:州別のGDPに占める純負債の割合(%)(1983年−2004年)

NFLDPEINSNBQUEONTMANSASKALBBC
198340.49.222.021.218.813.014.9-2.2-12.41.2
198442.69.324.022.321.413.115.00.4-11.63.2
198545.510.326.122.924.015.316.93.7-9.54.8
198643.510.026.124.724.515.119.611.1-2.06.6
198742.410.326.025.224.214.721.713.82.56.0
198837.710.025.824.123.313.819.715.35.65.1
198937.59.727.323.023.312.719.016.68.84.7
199038.510.127.824.024.513.619.717.47.88.0
199140.911.930.726.427.017.421.728.010.910.8
199244.715.040.337.729.621.626.131.015.812.1
199366.031.244.339.532.027.527.733.916.512.2
199466.639.345.638.533.829.226.631.214.411.9
199566.937.045.235.734.830.925.428.812.611.5
199669.635.146.834.835.932.222.824.98.811.3
199769.335.645.634.443.831.421.624.65.610.9
199870.233.248.134.042.130.421.024.24.510.8
199966.432.448.736.439.132.921.223.01.818.5
200060.630.846.133.836.530.120.320.7-3.016.5
200162.830.646.831.936.629.121.021.1-3.317.9
200263.931.444.931.735.227.719.920.4-4.519.6
200362.834.042.730.434.028.021.719.3-6.219.6
200460.733.441.228.932.327.519.717.0-8.117.2

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表380-0007、384-0001、384-0014)を使用した著者の計算。会計方式の変更後にシリーズが中断したため、次の年度の後のデータは、それ以前の年度と直接比較できない:ニュー・ファンドランド(1993-94年度)、ケベック(1997-98年度)、オンタリオ(1999-2000年度)、ブリティッシュ・コロンビア(2000-01年度)

表A.6:カナダ全体の地方と州の歳出合計に占める地方歳出の割合(%)

住居住民と財産
の保護
交通・
通信
教育環境レクリエー
ションと
文化
社会
サービス
資源保全と
産業振興
198923.9448.4248.9347.3674.4070.279.648.81
199026.2848.3748.0648.6073.7571.3111.178.43
199126.6447.5745.9149.0771.5465.5313.779.04
199224.3746.8847.3348.2671.7469.2414.077.22
199321.2647.2448.1647.0573.1770.0214.467.48
199420.3747.6351.3748.0275.6372.7914.118.95
199518.0248.6449.2747.3674.8973.7413.489.95
199617.9548.2647.6746.4675.1272.5811.579.06
199717.5147.6450.0748.1376.9773.0711.7610.24
199830.0347.6451.4047.3478.4874.8914.1811.10
199932.3048.2845.4542.0180.8574.3313.4810.34
200038.4948.0948.4545.0480.1673.6214.489.64
200139.2748.5551.5345.8583.6472.2913.069.78
200249.7448.7452.0945.7283.1272.9812.979.36
200352.8548.6152.3645.9983.3573.2813.388.69
200451.1949.2653.9646.0184.8372.4413.258.77

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002、385-0003)を使用した著者の計算

表A.7:オンタリオ州の地方・州の支出合計に占める地方支出の割合(%)

住居住民と財産
の保護
交通・
通信
教育環境レクリエー
ションと
文化
社会
サービス
資源保全と
産業振興
198929.6553.8755.9256.1981.1182.3020.9821.66
199033.4752.9656.3957.6380.2281.8923.0822.26
199133.6951.2350.4959.8677.7065.4526.6818.66
199226.9849.6852.1258.0275.9275.4027.0517.04
199319.1950.2352.4157.1076.4475.6927.3316.90
199415.8949.7759.1959.8781.2978.5326.4620.66
199513.2951.3553.8260.8082.9678.7525.2122.00
199611.6050.7050.8757.4880.9076.3223.2617.71
199710.2752.2553.7561.7682.8979.0724.8220.39
199831.9253.3357.3057.1386.4880.2829.8426.49
199935.9553.3151.8352.8387.3083.2428.9024.21
200045.4951.6465.2051.4385.4084.9831.4322.38
200145.5052.9962.3353.8289.7584.7028.2823.29
200262.4153.9065.1154.1289.4086.0229.2025.42
200374.5154.5062.8753.5690.8082.2929.4720.77
200469.7256.0662.2053.2790.5581.6329.3518.89

出所:カナダ統計局のオンラインデータサービスCANSIMのデータ(表385-0002、385-0003)を使用した著者の計算


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