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第55回AfDB・第46回AfDF年次総会 日本国総務演説(令和2年8月25日)

第55回アフリカ開発銀行・第46回アフリカ開発基金年次総会 日本国総務演説
(2020年8月25日(火))


1.はじめに

 議長、総裁、各国総務、並びにご列席の皆様、

 第55回アフリカ開発銀行(AfDB)、第46回アフリカ開発基金(AfDF)年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して、一言申し上げることを光栄に思います。

 まず初めに、新型コロナウイルスの感染拡大の中、前例のないバーチャル形式での年次総会の開催は、AfDBにとっても我々加盟国政府にとっても大きなチャレンジであります。アデシナ総裁の指揮のもと、このバーチャル総会の開催準備を行ってきたAfDBスタッフの努力に感謝の意を表したいと思います。

2.アフリカ開発銀行の実績と日本との協力

 アデシナ総裁は、2015年9月の就任以来、「High 5s」の取組みの進展、資金規模を倍増以上とするAfDB一般増資、2度にわたるAfDF増資など、大きな成果をあげられてきました。特に、昨年合意したAfDB第7次一般増資(GCI-7)、AfDF第15次一般増資(AfDF-15)において、日本が重視する(1)質の高いインフラ投資、(2)債務持続可能性、(3)投資環境整備の3点が盛り込まれたことを歓迎いたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、アフリカ経済は、2020年の実質GDP成長率がマイナスに落ち込むと見込まれるとともに、貧困層の拡大も懸念されています。こうした状況において、AfDBが、COVID-19 Rapid Response Facilityを設け、迅速な資金支援を行っていることを評価します。

 また、アデシナ総裁のリーダーシップの下、EPSA3・EPSA4が立ち上げられ、日本とAfDBとの協力が一層進展しています。この中で、道路・電力分野などにおける質の高いインフラの整備等を行うため、JICAを通じ緩やかな条件で資金を供与するとともに、信託基金FAPA(アフリカ民間セクター向け支援基金)を通じた技術協力により中小企業への経営指導等を図るなど、大きな成果が出ています。

 日本は、2015年の前回の総裁選においても当初から一貫してアデシナ氏を支持いたしました。今申し上げたように、アデシナ総裁が1期目に大きな成果を挙げられてきたことを踏まえると、我々はAfDBのリーダーとして正しい人を選んだものと考えています。今回の年次総会において開催される総裁選においても、アデシナ総裁の再選を強く支持いたします。

3.今後のアフリカ開発銀行への期待

 アデシナ総裁が再選された暁には、次に述べるような取組みを継続・強化されることを期待します。

 第一に、持続的な成長につながる分野における支援について申し上げます。

 質の高いインフラ投資については、GCI-7やAfDF-15におけるコミットメントを実行に移していくことが重要になりますが、その際、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」が十分に反映されるべきです。

 また、低所得国の債務脆弱性の高まりが大きな問題となる中で、AfDBが実施している各国に対する財政支援については、他の国際機関と歩調を合わせつつ、借入国の債務持続可能性への影響や、AfDB自身の財務への影響を慎重に見極めながら実施していくことが重要です。加えて、IMFや世界銀行と協力して、アフリカ諸国の債務管理能力の強化や債務の透明性向上に関する取組みを推進することを期待します。

 第二に、AfDBのガバナンス強化について申し上げます。

 日本はかねてより、職員の空席補充の取組みなど人員・組織体制の強化を含むAfDBのガバナンス強化の必要性を申し上げて参りました。総裁に対する最近の内部告発に関しては、その告発を処理するプロセスにおいて、倫理委員会に関する様々なチャレンジが明らかになりました。こうした点を踏まえつつ、AfDBのガバナンス改革について、総裁自らがリーダーシップをとって取り組まれるよう期待します。

 第三に、日本とAfDBの協力について申し上げます。

 日本としては、引き続き、EPSAの下で、AfDBとJICAとの協調融資等を通じて、G20質高インフラ投資原則を踏まえたインフラ整備に加え、投資環境の改善や保健分野への支援を強化していく考えです。

 また、アフリカへの民間投資を促進するため、引き続き、JBICの積極的な活用を図って参ります。本年7月には、AfDBとJBICが、6か国の輸出信用機関と連携して、モザンビークのLNG案件向けにファイナンスを供与したことを歓迎します。

 ビジネス面の協力に関しては、第3回日・アフリカビジネスフォーラムの開催に加え、アジア代表事務所が引き続き重要な役割を果たすことを期待しています。

4.結語

 新型コロナウイルスの感染拡大という危機において、AfDBが、透明性が高く信頼される国際機関として、アフリカ諸国の支援において主導的な役割を果たすことを期待しております。

 次回の年次総会は、来年、ガーナ・アクラにおいて対面で開催できることを祈念しつつ、私の演説を終わります。


(以上)