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第99回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成31年4月13日)

  1.  開発委員会は、ワシントンD.C.にて本日4月13日に開催された。

  2.  世界の経済の見通しは、経済活動の緩やかな減速が見込まれ、下方リスクが根強く残っている。世界的な貿易の成長は弱まり、投資の見通しは軟化し、債務の脆弱性は継続し、政策の不確実性がコンフィデンスを弱めている。我々は、成長、生産性、イノベーション、雇用創出及び持続可能な開発のエンジンとして国際貿易と投資が果たす役割の重要性を改めて強調する。我々は、世銀グループとIMFが、債務者と債権者とともに、公的及び民間債務の記録・監視・報告の改善に「様々な角度からのアプローチ」のもと取り組むこと、既存の会合を活用しながら、債務再編時の債権者間調整の強化のために努力することを、引き続き支持する。我々は、リスクを抑制し最も脆弱な人々を守りつつ、成長強化に向けた政策を採っていくことの重要性を強調する。我々は、両機関が、政策当局者と共に、各国の状況を考慮しつつ需要の下支えと財政スペース再構築の適切なバランスを見い出すこと、各国の債務管理能力や債務の持続可能性・透明性の向上を支援すること、国内資金動員を強化することを求める。

  3.  我々は、1年前にIBRDとIFCの革新的な増資パッケージを承認した。本パッケージとフォーワードルックは、世銀グループの2030年までの戦略的方向性の指針となる。我々は、「フォーワードルック及びIBRD-IFC増資パッケージの実施に関するアップデート」ペーパーを歓迎するとともに、IBRDの融資金利及び一国の借入上限の差別化、IFCの付加価値枠組み、IBRDの財務持続可能性枠組み、改訂された職員給与枠組み等の重要な政策改革が行われたことを歓迎する。我々はまた、国別戦略の改訂版ガイダンスに反映されている通り、世銀グループが卒業所得基準以上国に対して強力でありながらも選択的に関与を行っていくことに留意する。我々は、世銀グループが、合意された効率性改善策を引き続き実施・監視していくことを慫慂する。我々は、マネジメントに対し、フォーワードルック及び増資パッケージでのコミットメントに関する進捗を継続的にトラックし、1年後に総務に対して報告することを求める。

  4.  我々は、2018年10月2日に始まったIBRD増資の応募及び払込プロセスに係る加盟国の進行中の作業を歓迎する。我々は、2019年9月18日までにIFCの総務決議が全て採択されるよう求める。

  5.  我々は、極度の貧困の削減と繁栄の共有の促進という世銀グループの二大目標、並びにフォーワードルックで掲げられた世銀グループのグローバルな役割及び目的、すなわち、(i)全ての被支援国への関与、(ii)国際公共財アジェンダの主導、(iii)市場の創出、(iv)業務・運営モデルの継続的な改善に引き続きコミットしている。これらを効率的に実施するためには、測定可能な開発成果に焦点を当てた、IBRD及びIDAの被支援国との強固なパートナーシップが必要である。増資パッケージは、危機の準備・予防・管理、脆弱・紛争への対応、気候変動、ジェンダーの平等、ナレッジの開発と試行、地域統合といった重要な分野における世銀グループのリーダーシップを強化するものである。

  6.  世銀の貧困国向け基金であるIDAは、世銀グループの目標及び持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために極めて重要である。我々は、IDA18の野心的かつ革新的なパッケージが力強く実施されていることを歓迎するとともに、IDAのウィンドウ間の資金の再配分等、先に提案された調整を支持する。我々は、世銀グループがIDA19の特別テーマの一つであるIDA国における「雇用と経済変革」を更に強調するよう求める。我々はまた、その他の特別テーマ(「ガバナンスと組織」「ジェンダー」「気候変動」「脆弱・紛争国」)と、横断的テーマ(「債務」「障害者への対応」「人的資本」「技術」)を支持する。我々は、IDA国における債務の積上りを認識し、債務持続可能性を向上させるための取組みを慫慂する。我々は、来るIDA代理会合の成果や、戦略的方向性及びIDA19の道行きに関する代理によるガイダンスに期待する。

  7.  我々は、「世銀グループにおける革新的・変革的技術の主流化アプローチ」ペーパーを歓迎する。また、こうした技術を途上国にとって安価かつアクセス可能なものとするための世銀の努力を歓迎する。我々は、世銀グループが貧困層のために機会を創出し、技術に伴うリスクを緩和するよう慫慂する。我々は、世銀グループに対し、各国や官民のパートナーと共に本アジェンダを様々なセクターで主流化させるよう引き続き取り組むことを求める。特に、我々は、世銀グループが迅速な規制整備を支援することにより、競争力向上、イノベーション創出、消費者保護に取り組んでいることを歓迎する。我々はまた、世銀グループとIMFが、バリ・フィンテック・アジェンダが産み出したモメンタムを活用し、フィンテックに係る課題に引き続き取り組むよう求める。

  8.  学習や保健に係るより良い成果を生み出す人的資本への投資は、生産性及び経済的な繁栄に必要不可欠である。我々は、ヒューマン・キャピタル・プロジェクトが力強く発進し、これまで60か国近くの参加を得たことを歓迎する。我々は、ヒューマン・キャピタル・インデックスにおいて個別データを更に開発し指標を精緻化すること、具体的な成果が得られるような政策改革が強調されることを求める。我々は、2019年10月にヒューマン・キャピタル・プロジェクトに関するアップデートが行われることを期待する。

  9.  民間セクターは、開発課題に対する持続可能な解決策の提供、市場の創出、投資の動員、雇用の創出にあたって重要な役割を果たす。我々は、世銀グループが、開発のための資金動員を最大化するため、ビジネス環境を整備し、資本をレバレッジし、カスケード・アプローチを実施するよう慫慂する。我々は、民間セクター投資を喚起するIFC戦略3.0を支持する。我々は、IDA国及び紛争・脆弱国において投資を増加させるためのIFC及びMIGAの努力を認識し、最も脆弱な人々を支援するプロジェクトは高いリスクを伴うことを踏まえ、このためにIDAの民間セクター・ウィンドウを活用することを支持する。我々は、世銀・IFC・MIGAが、民間セクターによる課題解決や資金動員を促し、セクター改革を加速し、投資リスクを緩和するため、革新的な取組みを行い協力して取り組むよう求める。

  10.  脆弱性・紛争・暴力により、人々は人的な被害・脆弱性・望まない移住を強いられ、経済的なストレスを被る。これらは、2030年アジェンダの達成において大きな障壁となる。また、経済危機・自然災害・パンデミックは、各国の強靱性を試し、開発の成果を危機にさらしかねない。組織能力の構築、災害に対する強靭性の強化、知識の共有及び南南協力の促進は、特に小国において重要な優先課題である。我々は、危機への対応を改善するため、国内資金動員を強化し、不正な金融取引・汚職と闘うとともに、質の高いインフラに投資し、エネルギー安全保障を強化することを支持する。我々は、世銀グループの気候変動アクションプランを実行することの重要性を改めて強調する。我々は、脆弱・紛争国に関する戦略を策定することを期待する。

  11.  世銀グループが、リスクが高く、組織能力が弱い状況下での業務を拡大している中、環境社会保護及び説明責任のプロセスが強固であることが必要不可欠であり、世銀グループがこれら分野に引き続きコミットしていることを支持する。我々は、世銀の監査パネルとIFC・MIGAのコンプライアンス・アドバイザー・オンブズマンが、説明責任を果たし、教訓を学び、リスクを効率的かつ効果的に軽減するにあたって重要な役割を果たすことを認識する。

  12.  我々は、世銀グループが最も喫緊の開発課題に関し、国際金融機関や国連を含む官民のパートナーと緊密に協働し続けるよう強く求める。我々は、気候変動、UHC、SDGs、開発のためのファイナンス、小島嶼国に焦点を当てた9月の国連サミットに各国首脳が会することに留意する。我々はまた、世銀グループとIMFがそれぞれの使命を果たすことの重要性とともに、国際開発金融機関が、カントリー・プラットフォーム等を通じて、共通の課題への対応を改善させるために一つのシステムとして取り組むことの可能性を強調する。

  13.  我々は、世銀グループの職員とマネジメントにおいて、多様性及び包摂性が改善していることに勇気づけられるとともに、理事会においてもジェンダーの多様化を強化・促進することを引き続き支持する。ジェンダー・ギャップを解消することは、経済学的見地からも賢明であり、ジェンダー間のバランスがとれた構成や、ジェンダー間の完全な平等は、世銀の使命の中核である。我々は、こうした面での継続的な取組みを強く求める。

  14.  我々は、デイビッド・マルパス氏が世銀グループの総裁として選出されたことに祝意を表し、緊密に協働していくことを楽しみにしている。我々は、マルパス新総裁が世銀グループの使命と戦略に強くコミットしていることを評価する。我々はジム・ヨン・キム前総裁が、在任期間中に世銀グループが達成した重要な成果においてリーダーシップを発揮したことに謝意を表する。我々はまた、クリスタリーナ・ゲオルギエヴァCEOが、暫定総裁として、世銀グループの諸課題につきリーダーシップを発揮し優れた運営を行ったことに感謝する。

  15.  次の開発委員会は、ワシントンD.C.において、2019年10月19日に開催する。