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第96回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成29年10月14日)

  1. 開発委員会は、ワシントンDCにて本日10月14日に開催した。

  2. 世界経済の成長は、投資・貿易・資源価格の回復、及び下支えする世界の金融情勢により、この一年で改善した。他方、依然として先行きには下方リスクが存在しており、成長の見通しは国によって大きく異なる。世界的には貧困削減は顕著に前進しているが、国の中や国の間で大きな格差が残り、長期間貧困にあえぐ地域が依然存在している。連関性を強める世界経済において、複雑かつ相互に連関した課題が、この数十年の重要な成果を後退させてしまうリスクがある。

  3. 途上国の発展に対する今日のリスクは緊急かつ大規模であり、強固で持続可能かつ包摂的な開発成果を実現するためには、国内及びグローバルな協調行動が求められている。世銀グループ(WBG)は、国際的な開発分野で能力と責任あるリーダーであり、我々は、加盟国の長期的な開発目標を支援するWBGの優れた実績を評価している。有能な職員を抱えるWBGは、全ての顧客に対して金融、リスク管理、技術支援、知見に関するサービスを提供するため、公的及び民間資金を触媒し活用することができる。また、世界、地域、国のどのレベルでも、開発のパートナーを動員する能力を有している。これらは、WBGを開発コミュニティにおける特別な機関たらしめている。

  4. 自然災害、飢饉、紛争、強制避難によって近年引き起こされた人命の喪失と経済のショックは、長年の努力で得られた経済・社会の恩恵が容易に失われうることを示している。財政調整の必要性は、多くの国々、特に重債務国に様々な課題をつきつける。我々は、WBG及び国際通貨基金(IMF)に対し、多くの途上国が直面している循環的及び構造的な逆風の中で、アフリカでの民間投資支援の強化などを通じ、債務危機のリスクに対し引き続き警戒するよう求める。WBGとIMFによる継続的な支援は、こうした国々が持続的かつ包摂的な成長を実現し、人的資本を強化し、強靭性を高めるために極めて重要である。

  5. 持続的かつ包摂的な成長を促す観点から、我々は、国際開発金融機関及びその他の国際金融機関に対し、雇用の創出と健全な経済の構築に必要な資金をレバレッジするため、協調と連携を強化することを求める。我々は、公的投資と民間投資が相互に補完しあうことを目指したカスケード・アプローチ等を通じて、開発のための資金を最大化するWBGの取組みに勇気づけられる。我々は、WBGに対し、WBGの二大目標と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、途上国が民間セクターを活用したソリューションも適切に活用しつつ開発資金を最大限確保できるよう支援することを求める。

  6. 人的資本を強化するため、我々は、長期的な発展の基礎となる保健、栄養、教育そして社会的な保護にシステマティックに取り組んでいくことを奨励する。特に、我々は、「世界開発報告:教育の恩恵を実現するための学び」を歓迎する。全ての者の学習の成果を向上させていくことは、貧困を撲滅し繁栄を共有していくための重要かつ現実的な戦略である。これは、倫理的な責務でもある。子供たちが学校に通っても最も基礎的な生きるための技術すら学ばないとすれば、それは機会の浪費のみならず、重大な不正義である。我々は、WBGに対し、途上国と協働し、長期的な視点から学習を支え、労働市場を変容させる技術革新に対して国民が備えられるような政策の採用・立案を支援することを求める。

  7. 財産、金融、適切な職業へのアクセスに関するジェンダー格差を解消することは、SDGsの達成に極めて重要である。我々は、WBGの女性起業家資金イニシアティブの創設に勇気づけられる。女性起業家のポテンシャル発揮を支援するため、10億米ドル以上の資金を動員することが期待される。また、我々は、世銀理事会におけるジェンダー多様性作業部会の設置を歓迎し、2018年の春会合までに進捗を報告することを求める。

  8. 強靭性を強化するため、我々は、経済の多角化を実現し、深刻で長期的な開発問題の負の影響を最小化するための政策やプログラムに対し、継続的に投資していくことを強く促す。紛争、パンデミック、自然災害、そして極度の気象といった危機から生じるマクロ経済ショックは、コミュニティを断絶し、生命、生活、インフラ、社会的一体性において大きな損失を生む。更に、循環的なショックは、脆弱な金融システムへの大きな圧力となる。我々は、WBGとIMFに対し、国内資金動員を強化し、不正な資金の流れを減らし、危機と災害の予防と備えのための支援ツールを生み出し、そして危機や災害が発生した場合の経済社会の強靭性を確保するため、引き続き各国と協働することを求める。

  9. 我々は、気候変動、移住・強制避難、国際保健、脆弱・紛争・暴力(FCV)といった、全ての国を脅かす課題に対応するための行動が必要であることを強調する。我々は、国、地域、国際的なレベルで、WBGがリーダーシップを発揮し様々なソリューションを支援した例として、カリブ海諸国巨大災害リスク保険ファシリティ、グローバル譲許的資金ファシリティ、パンデミック緊急ファシリティといったプラットフォームを歓迎する。我々は、WBGの気候変動行動計画に示された目標に留意する。我々は、小国が自然災害によって著しく影響を受けることを認識し、小国の資金アクセスを促進することが引き続き重要であることに留意する。

  10. 我々は、IDA18の開始、750億米ドル規模の歴史的な増資パッケージ、新たな資金モデルとAAA格付の取得、雇用と経済変革・ジェンダー・気候変動・ガバナンス・FCVに対する重点化を歓迎する。我々は、IDA18が成功裏に実施されること、特に資金や職員数の増加がFCV下にある途上国に貢献することを期待している。我々は、最貧困層・脆弱層の成長を加速させる民間セクターへの投資の促進に改めて焦点が当てられたことを、とりわけ歓迎する。この観点から、我々は、最も困難な環境で民間投資を動員し市場を創出するIDA18のIFC・MIGAの民間セクターウィンドウの重要性を認識する。

  11. 我々は、フォワード・ルックに関する実施報告に勇気づけられる。我々は、WBGが全ての顧客層を支援することの重要性を認識し、顧客ごとにきめ細かい価値を提供しつつ、資源はグローバルな課題や顧客国のニーズを満たすために戦略的に配分され、最も資金を必要としながら資金アクセスに乏しい地域に重点的に配分されるべきであることに留意する。我々は、WBGの業務や分析の質を低下させることなく、業務や管理の簡素化の最適化を目指すイニシアティブを支持する。我々は、WBGが環境社会枠組みの実施、迅速化プログラム及び給与見直しといった取組みを通じて、引き続き改善に努力することに期待する。効率性や実効性を高めることは、貧困撲滅と繁栄の共有を持続的に実現するというWBGの二大目標の達成に重要である。我々は、進捗を測定するための目標を含め、更なる報告が2018年の春会合でなされることに期待する。

  12. 我々は、投票権見直しに関する進捗報告を歓迎する。我々は、選択肢の更なる検討のための継続的な作業を支持し、2018年の春会合までに議論を成功裏に結論に導くよう理事会に求める。

  13. 我々は、フォワード・ルックに示された野心的な目標を想起し、WBGに対する期待を認識する。我々は、理事会とマネジメントに対し、2018年の春会合で合意に至ることを目指し、WBGの資本基盤を強化するあらゆる選択肢を検討し、自助努力や一般増資・特別増資を含む方策のパッケージを、総務の検討のために取りまとめることを求める。

  14. 次の開発委員会は 2018年4月21日に開催する。