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第93回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成28年4月16日)

  1. 開発委員会は、ワシントンDCにて本日4月16日に開催した。

  2. 世界経済は、2016年も依然として期待を裏切っている。需要の弱さ、金融市場の逼迫、貿易の鈍化、原油・資源価格の継続的な低迷、不安定な資本移動など、経済成長に対する大きな下方リスクは依然として存在する。我々は、世界銀行グループ(WBG)及び国際通貨基金(IMF)に対し、それぞれの責務の範囲内で、こうしたリスクと脆弱性をよく注視するとともに、低所得国の債務持続可能性枠組みの更新を求める。また、我々は両機関に対し、持続的、包摂的で多様な経済成長と強靭性に向けた政策助言及び資金支援を求める。

  3. 我々は、途上国を巡る情勢の変化に対応してWBGが強力な国際開発機関であり続けることを目指した、WBGの中長期的なあり方に関する検討作業の進捗を心強く思うとともに、年次総会における最終報告に期待する。また、理事会とWBGマネジメントは、WBGが全ての顧客の多様なニーズに対応し、国際的な課題や知見について先導し、「数十億ドルから数兆ドルへ」の構想を具体化し、民間セクターと効果的に連携し、より実効的で迅速な開発パートナーとなり、そしてビジネスモデルを適切に調整することを確保するための提案を作るべきである。理事会とWBGマネジメントは、WBGが使命を果たすための資源を適切に備えるべく、既存資源の活用の最適化を含め、WBGの財務状況の強化策を引き続き検討すべきである。

  4. 脆弱性と紛争は何百万人もの難民を生み出し、発生国と受入国の双方に大きな影響を与えている。我々は、WBGとIMFに対し、それぞれの責務の範囲内で人道支援機関等と連携し、難民の脆弱性を緩和し、難民受入コミュニティによる対応を支援し、難民発生の根本的原因に対処するための行動を期待する。我々は、国際社会に対し、その多くが貧困ライン以下で生活している脆弱な人々の支援に向けて取り組むことを促す。我々は、難民受入国の犠牲と寛容性及び、難民受入国への適切な支援手段の不足を認識する。我々は、イスラム開発銀行、国連、WBGによる中東・北アフリカ地域のための資金ファシリティを設立する取組及び、このイニシアティブへのドナーのコミットメントを歓迎する。我々は、WBGに対し長期的なグローバル危機対応プラットフォームを作るためのオプションを検討するよう求める。我々は、第一回世界人道サミット及び国連総会での難民に関するサミットに期待する。

  5. 国際開発協会(IDA)は、引き続き、最貧国に対する譲許的資金源を提供する最も重要な機関である。我々は、最貧国へ継続的に注力することを確保するよう、伝統的ドナーと新興ドナーの支援による強力なIDA18次増資を提唱する。我々は、IDA18次増資の文脈において、IDA資本のレバレッジ策に関する具体的かつ野心的な提案を期待する。

  6. 2016年、我々は、2030開発アジェンダでコミットした困難なプログラムを本格的に実施するという課題に取り組み始める。IMF、国際開発金融機関(MDBs)、国連及びWBGは連携して、それぞれの比較優位に基づき、成長が鈍化している環境や民間資金フローの減少に対応しつつ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた途上国の取組を支援すべきである。我々は、持続可能かつ成長志向のインフラ投資に向けた質の高い資金供与を進展させるためのMDBsの連携を支持する。WBGとIMFは開発資金に関するアディスアベバ行動目標の実施に向けた取組を加速し、特に、不正な資金フローへの対処を含め、民間セクターの関与とともに、国内資金の動員を促進すべきである。

  7. 民間セクターは、野心的な開発目標の実現にとって重要。包摂的な雇用創出は繁栄の共有の中核である。我々は、WBGの全機関に対し、このアジェンダの支援に協働することを慫慂する。特に、我々は国際金融公社(IFC)及び多数国間投資保証機関(MIGA)に対し、最も厳しい環境において、また中小企業に向けて、資金動員や保証供与などにより持続的な経済成長を触媒するために一層取り組むことを求める。また、我々はIFC、国際復興開発銀行(IBRD)及びIDAに対し、各国の民間投資や国内の起業家を支援するビジネス環境を確立するため、必要となる改革の実施や、質の高いインフラへの投資を支援することを促す。

  8. ジェンダーの平等の達成は、持続可能な開発のための2030アジェンダの中核。我々は、WBGの新たなジェンダー戦略の採択を歓迎し、効果的な実施に期待する。

  9. WBGは、各国の統計システムの改善や低中所得国における南南協力などを通じて、国・地域・グローバルレベルでエビデンスに基づく開発に関する解決策を提供すべきである。我々は、WBGとIMFに対し、脆弱紛争国での業務遂行能力の強化、状況に合わせた能力向上の活動、職員のインセンティブや安全面の強化、及び革新的な資金支援を通じて、脆弱紛争状況でより有効になることを促す。

  10. 我々は、世界保健機関(WHO)や他の関係者と緊密に連携しつつ、パンデミックの予防や備えの強化を含め、各国の機構や保健システムを強化する必要性を強調する。我々は、WBGに対し、パンデミック緊急ファシリティ(PEF)の準備作業を可能な限り早期に完了し、パンデミックリスク管理保険のための新たな市場を育成するよう促す。

  11. 我々は、全関係者にとって野心的な気候対策のための環境を設定する歴史的なパリ協定を称賛する。WBGの最新の気候変動行動計画は、気候変動枠組条約(UNFCCC)と整合的であり、顧客の要望に基づき、気候に配慮した政策やプロジェクトの実施を支援するとともに、気候変動の緩和と適応のための技術的・資金的な支援を増大するというコミットメントを定めた。気候変動や自然災害の負の影響を最も受けるのは小国や貧困・脆弱層であり、我々は、WBG及びIMFに対し、これらの国々における強靭性構築のための支援を引き続き強化することを促す。

  12. 我々は、防災の主流化の進捗報告を歓迎する。我々は、WBGに対し、島嶼途上国等において、予防・備えの原則を活用した取組や政策を実施するとともに、仙台防災枠組で示された災害対応能力の構築に引き続き取り組むことを求める。我々は、二年後の進捗報告の更新に期待する。

  13. 我々は、WBGマネジメントと理事会に対し、世銀の環境社会配慮枠組みの現代化を2016年8月までに完了させることを慫慂する。

  14. 我々は、動的計算式に関する中間報告を歓迎するとともに、2016年の年次総会で合意するため、リマ総会で合意された株式保有の見直しの原則とロードマップと整合的に、計画された更なる作業の必要性を強調する。

  15. 開発委員会の次回会合は、2016年10月8日に開催する。