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東南アジアの金融資本市場の発展・深化に向けた研究会 第3回議事要旨

  1. 日時
    平成30年12月14日(金)10:00~12:00

  2. 場所
    財務省3階 第二特別会議室

  3. 出席委員
    小川英治委員、清水順子委員、奥田英信委員、清水聡委員

  4. 議題
    • タイの生命保険市場
    • 東南アジアの実物経済の成長と長期資金の需要面:アジア債券市場育成(ABMI)の成果と課題を考える

  5. 議事概要
     財務省国際局為替市場課の棚瀨資金管理専門官より「タイの生命保険市場の現状と今後の見通し」について発表。京都大学東南アジア地域研究所の三重野文晴教授より「東南アジアの実物経済の成長と長期資金の需要面:アジア債券市場育成(ABMI)の成果と課題を考える」について発表。その後の議論の概要は以下の通り。
    •  東南アジア域内の貯蓄をインフラ分野に還流するため、インフラ資金需要をどのように証券市場に取り込むかが課題。インフラファンドのマネジメントを誰が担うのか、またインフラ関連の債券を誰が発行するのかという2つの問題が存在。インフラ債券の発行体やファンドマネージャーも含めて、どのようなスキームが考えられるか検討することも有益。
    •  インフラプロジェクトに関する貸出債権を「証券化」し、市場に売却することで、政府系あるいは民間金融機関が市場にリスクを移転することが可能になり、長期投資家にとっても、新たな投資機会が得られるのではないか。インフラ投資については現地通貨建てが望ましく、国内の機関投資家の育成や為替リスクの軽減が課題。
    •  アジアの一部の銀行では、長期の金融債を発行し、資産・負債の期間ミスマッチを軽減している。
    •  東南アジア各国の生命保険市場の今後の成長性は、個人所得の動向は勿論、共働きや相続税の導入等の特殊事情も勘案する必要。
    •  東南アジア域内の長期市場の発展には、保険事業者等の機関投資家によるコーポレートガバナンスへの関与等、機関投資家の投資を深化させていくことが重要ではないか。また、年金制度に代表されるように、社会保障制度の構築も視野に入れることが必要。
    •  ABMIの取組みは、近年では、クロスボーダーでの債券発行の推進等、総合的なものへと深化。債券市場を中心とした金融協力に加え、銀行システムの発展や金融規制にも関与し、金融システム全体の発展を支援していくことも重要。ラオスやミャンマーでは金融システム全体が未成熟で、国債市場も確立していない。銀行と国債市場を合わせて整備し、国内で財政赤字のファイナンスを可能にすることが重要。
    •  東南アジア一国内だけでは、その資金需要を十分に満たせないことも考え得ることから、長期的には、域内の金融資本市場の自由化・統合を議論する必要。市場統合が進めば為替コストも下げられるのではないか。


(注)本研究会では、率直な意見交換を促進する観点から、議事録に代わって議事要旨を作成・公開することとしています。