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G7による対象を特定した金融制裁の実施における協調(2016年12月22日)


  2016年5月、G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議において「テロ資金対策に関するG7行動計画」が採択された。この行動計画は、FATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)のテロ資金対策の強化に向けた戦略において示された優先的な取組みと足並みを揃えた次の3つのテーマに基づき、G7各国が取り組むことにコミットした行動から構成される:(ⅰ)情報交換や協調の促進、(ⅱ)予防的措置の将来的な基準強化の検証、(ⅲ)対象を特定した金融制裁措置における協調の向上。本報告は行動計画の(ⅲ)についての分析と結果を要約したものである。


調査結果:

  2016年5月にG7行動計画が承認されたことを受け、G7各国は、国連制裁委員会への指定提案の推進と検討、国連制裁指定の自主的な補完、二国間の資産凍結要請とそれに応じることを含むテロリストに対する金融制裁の既存の枠組みに関する調査を完了した。下記の提案は、これらの分野における、G7の協調を改善するものである。

  国連制裁については、国連制裁を実施するための法的権限においてG7全体に強みがあることを特定した一方、国連への指定提案を改善し、相互に協調し、安全保障理事会メンバー等からの専門知識が共有・活用されることを確実にするために、G7各国がさらに取り組めることがある。

  独自措置については、国連制裁指定が可能ではない、または適切ではない場合に、G7各国が国内または地域において独自に指定できることが確認された。しかし、これを実施する能力やリソースについては、G7各国に相違があることも認識された。我々の提案は、国内における独自指定の権限が、テロ資金対策において効果的に使用されることを確保することに焦点を当てている。

  国内における資産凍結の協調については、G7各国における国内のテロリストに対する金融制裁制度に留意し、適切な場合には、すべてのG7諸国が相互に二国間の資産凍結要請を実施・検討することにコミットすることを提案した。これにより、国連による対応が可能でなかったとしても、制裁は多国間において最大限追求されるべきという原則が更に根付くことになるだろう。

国連制裁に関する提案:
    • 安全保障理事会メンバーではないG7各国は、提案に対するあらゆる異議や修正が事前に提示されることを確保するため、安全保障理事会メンバーであるG7各国とともに、新規指定の提案について議論する。提案が強固であり、個人や団体がいかに指定の基準を満たしているかという具体的な事実に基づく情報を含むことを確保する。安全保障理事会メンバーは、指定の提案をうまく行うための助言など、その知識と専門性を共有する。
    • 可能であれば、G7でコンセンサスが存在する場合には、指定の共同提案について協調する。
    • 必要であれば、アル・カーイダ/ISILモニタリング・チームによる更なる調査の基礎となり得る、G7が関心を有するテーマ分野を特定する。
    • 上記について連携し、指定に関する定期的な対話を確保し、テロリストに対する制裁に関するG7の枠組みを十分に活用するため、G7の国連代表部の間でテロリストに対する国連制裁に関するG7のワーキング・グループを創設し、6か月毎に会合を開催する。
    独自措置に関する提案:
      • 9月に新しいEU規則が採択されたことを受け、全てのG7諸国が国連制裁に加え、独自に指定を行うことができるようになったことがこの調査で特定された。
      • G7諸国は、テロリストに対する制裁の推進と実施において、十分なリソースを投入すること、また、これらのリソースが有効に配分されるよう確保することにコミットする。
      • G7諸国は、指定の提案の推進に関し情報機関と緊密に連携していくこと、及びテロ組織を支援する資金ネットワークの特定や指定の提案の推進において、情報機関と協力するための追加的な方策を模索することにコミットする。
      • G7諸国は、国内体制がFATF勧告6に実際に準拠していること、また、指定が刑事手続の存在により条件付きにならないことを確認する。
      国内における資産凍結措置の協調に関する提案:
        • G7各国は、適切であれば、(i) 他のG7各国と関連がある者を指定する場合は、当該国と連絡を取り、二国間で資産凍結要請を行うこと、(ii) 他の G7各国から指定を要請された場合、国内の法的基準に適合するか十分に検討すること、(iii) 可能な場合に補足資料や文書を含めるため、個人や団体が、テロリスト、テロリスト集団のメンバーまたは支援者であるかという具体的な事実に基づく申し立てを含めることにコミットする。
        • 他のG7諸国が二国間の資産凍結要請を行う際に用いるため、G7各国はそれぞれ、コンタクト先を記載した短い文書を提供し、適度に詳細な関連情報が提出されることを確保する。