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第13回ASEM財務大臣会合 声明(2018年4月26日、ブルガリア・ソフィア) 

  1.  第13回ASEM財務大臣会合は、2018年4月26日にブルガリア・ソフィアにおいて開催された。45のASEMメンバー、即ちオーストラリア、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、ブルガリア、カンボジア、中国、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、イタリア、日本、カザフスタン、ラオス、ラトビア、リトアニア、マレーシア、マルタ、ミャンマー、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、ポルトガル、韓国、ルーマニア、ロシア、シンガポール、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、タイ、イギリス、ベトナム、欧州委員会(EC)の財務大臣・代表が参加した。 これに加え、国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、欧州中央銀行(ECB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州安定メカニズム(ESM)、欧州銀行連合会(EBF)、経済協力開発機構(OECD)、アジア開発銀行(ADB)、アジア欧州財団(ASEF)、単一破綻処理メカニズム(SRB)、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)の代表も、招待者として会合に参加した。

  2.  ヴラディスラフ・ゴラノフ・ブルガリア財務大臣は、第13回ASEM財務大臣会合の参加者を歓迎した。同大臣は、開会スピーチにおいて、ASEMは非公式な議論と実践的な協力のバランスを取り、政治リーダーと市民社会両方から評価される会合となっていることを強調した。また、3本の柱、すなわち政策、経済、社会・文化におけるASEM加盟国間の結びつきと協力は、2つの大陸の安定と繁栄に対し大きな恩恵をもたらすものであることを強調。更に財務大臣達に対し、両地域の共栄のため、引き続き協力を強化し、相互理解を深めるよう求めた。

  3.  同会合は、ASEM加盟国が共通の関心事項について意見交換し、経済的連結性の強化に向けた最も効率的な方法を探求するとともに、包摂的で持続的な成長の未来を共有したアジア及び欧州のより強固なパートナーシップ醸成の機会となった。大臣達は、平等なパートナーシップ、相互尊重、及び相互利益というASEMの主要な価値を再確認した。大臣達は、開かれた経済を共に支える努力が必要であることを強調するとともに、世界的な課題への対応や、より強固で、持続可能で、均衡ある包摂的な成長のための環境を創出するために、より密接でよりダイナミックなパートナーシップが必要であることを強調した。

    経済情勢(次の世界的な景気後退への備え)

  4.  大臣達は、2016年6月の前回会合以降の世界経済見通しの継続的な回復に留意した。欧州とアジアにおける経済は、同時に進む世界的な成長と力強い内需に貢献するとともにその恩恵を受けており、経済的な勢いは安定してきている。この経済的な勢いは欧州とアジアにおいて短期的には継続すると予想される。

  5.  低金利、強固な民間消費、企業及び家計の強い自信により、欧州における投資は増加。現在進んでいる貿易の回復及び持続可能な国内消費に照らして、地域の成長率は引き続き力強い。エネルギー及び産業用金属の商品価格も回復している。アジアの成長は、急速に成長する消費者市場に牽引された内需の強固な拡大と、域内及び世界的な力強い外需によって支えられている。

  6.  短期的な見通しは引き続き前向きである一方、新たな下方リスクが出現している。大臣達は、国境を越えた統合からの後退、金融上の脆弱性、構造的に低い経済成長が世界経済の3つの主要なリスクであると合意した。リスクが実現した際の対応策よりも、こうしたリスクに対する予防的な措置に議論の焦点をあてるべきという基本的な合意があった。自己満足に陥ることなく、構造的な努力を継続し、より深化した経済的な統合を地域的にも世界的にも進めることによって、拡大を維持していくことが重要。我々は、グローバルな成長を支援するよう、過度の世界的不均衡を縮小するために協働する。

  7.  更に大臣達は、大部分のASEM加盟国が2017年に予想を上回る経済的な結果を得たにも関わらず、成長を引き上げ、より包摂的なものとするには課題が残っていると議論した。これは、より早く大規模に世界的な金融環境の引締めがあり得ること、保護主義の台頭、好ましい循環的な要因が縮小していく予想されることと関係している。大多数の主要な先進国は、2018年の成長率が潜在成長率と同等かそれ以上となると予想されている一方で、高齢化や生産性の低調な伸びにより潜在成長は抑制される。同時に、発展途上国は、世界的な金融環境及び国際的な価格変動に引き続き影響を受けやすい。

  8.  大臣達は、債務の持続可能性を確保し、民間債務削減の支援に対策を講じることは安定した経済システムの維持に不可欠であることにも留意した。また世界的な債務水準は、名目上では高水準が継続し、かつ増加しており、全体的な金融及び経済の安定性の危機となり得ると指摘した。強固なGDP成長は、借入コストを上回り続ける限り、特定の国のリスクの軽減に資するが、幅広く見れば民間及び公的債務総額のGDP比は減少したわけではない。大臣達は、高い債務水準は、借換えリスクを意味するものであることから財政余地がなければ景気後退が深く長期に渡るものになり得るものであり、欧州及びアジアの様々な国々で投資見通しの重しとなるとして、この問題が重要であると合意した。

  9.  金融市場の脆弱性及び伝染性の潜在的な脅威の観点から、大臣達は、十分な資金基盤を有するIMFを中心とした適切かつ効果的なグローバル金融セーフティネット(GFSN)の価値を強調するとともに、地域金融取極、すなわち、アジアにおいては、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)の支援を受けたチェンマイ・イニシアチブ、欧州においては欧州安定化メカニズム(ESM)がそれぞれの地域で金融安定性を確保するという役割の重要性を強調した。大臣達は、危機の予防・管理における2つの大陸間の更なる協力に資するAMROとESMの間で締結された覚書を歓迎。大臣達は、グローバル金融セーフティネット全体の強化のため、IMF及びその他の地域金融取極との協働を継続していくことを奨励した。

  10.  大臣達は、強固で、持続可能で、均衡的で、かつ包摂的な成長という我々の目標を達成するべく、全ての政策手段を引き続き用いることに合意した。大臣達は、財政余地は再構築される必要がある一方で、生産性を向上させ包摂性を促進するためには、質の高い投資を含め、財政は質に重点を置くべきであり、不平等に対処し構造改革を支援するべきであることに合意した。この観点から、大臣達は、インフラを含め成長を促進する投資の重要性を再確認した。

  11.  大臣達は、国際的な貿易と投資が、成長、生産性、革新、雇用創出及び発展の重要なエンジンであることを認識するとともに、適切に機能しているルールに基づいた多国間の貿易システムが、成長及び投資に対して好影響を与えることを強調した。大臣達は、貿易を促進し、保護主義に対抗し、多国間の貿易システムを向上するには更なる協力が必要であると再確認した。


    税と経済のデジタル化

  12.  近年の発展や革新は、技術変化と急速な電子経済の拡大へと導いた。これは国際社会に大きな恩恵をもたらし、経済成長と社会の繁栄を導き得るが、同時に国際課税や国内資源動員に対する課題も生み出す。

  13.  大臣達は、様々な問題が絡む複雑さについて理解を深めるため、最近の進展について議論した。大臣達は、合意に基く長期的解決策に対する異なる対応について検討し、OECDによる電子化に伴う課税上の課題に関する中間報告書を歓迎した。またデジタル・トランスフォーメーションの進展や、このような変化を監視する必要性が明確に認識された。

  14.  大臣達は、いくつかの論点に関する異なる視点について意見交換し、既存の課税フレームワークにおける2つの主要な側面、すなわち利益配分及びネクサス原則について、包括的な見直しを実施する必要があることを認識した。その際、経済活動と価値創造に利益を合わせるという原則に関して、経済の電子化が与える影響を考慮する。

  15.  大臣達は、こうした進展に対して理解を深めて対処するため、既にいくつかの取り組みが始まっているが、国際・国内の課税システムの有効性を守りながら、政府が電子化の機会を利用できるよう更なる努力が必要であることに留意した。

  16.  大臣達は、経済の電子化の国際課税システムに対する影響を分析するOECDの中間報告書を歓迎するとともに、より持続可能な国際課税システムを確保し、非協調的な方法による混乱を最小化するめ、電子化から生じる課税上の課題に対し、国際的な合意に基づく解決策に向けて作業するというコミットメントを再確認した。ASEM加盟国は、G20やOECD内で行われている税と経済の電子化に関する世界的な議論に積極的に貢献し、合意に基づく解決策を可及的速やかに推進する。


    金融システムに対する新たなリスクへの対処(サイバーセキュリティ)

  17.  大臣達は、サイバーリスクを含め新しく生じつつある金融セクターにおけるリスクについて議論を行った。大臣達は、国際金融システムに対するサイバーセキュリティーのリスクは重要な懸念であることに同意した。精巧さ、頻度、深刻さが増すサイバー空間での攻撃は相互に関係する国際的な金融システムを混乱させる脅威であり、世界の金融市場の健全性、効率性、堅固性への増大する危機である。電子顧客の相互作用へのトレンドは金融セクターをサイバーリスクに更にさらすこととなる。

  18.  大臣達は、金融セクターの電子化及び革新が、効率性の向上や全ての人々にとってより良いサービスという形で多大な恩恵をもたらすことを認識した。しかし、技術の進展、金融機関間や金融機関と外部組織の相互連携、ITシステムを攻撃し毀損させる新たな手法を見つけ出そうとするサイバー犯罪者の取組み、不正な金銭的利益を探し求めるサイバー犯罪のターゲットとしての金融機関の魅力は、金融機関に対するサイバーリスクの性質を変化させる要因となっている。金融サービスは国内及び国際金融システムにとって極めて重要であり、情報通信技術の悪用は安全と信頼を損ない、金融安定性を脅かしうる。

  19.  情報通信技術への更なる依存に伴い、金融セクター監督当局は、サイバーセキュリティーに責任を有する他の規制当局との協力を強固に進めるとともに、情報通信技術に関するガバナンスとリスクに関して焦点をあて更なる努力することを必要とする。大臣達は更に、不正な利益を阻止し、金融セクターや金融機関のサイバー強靭性を促進するよう、サイバー犯罪に対抗するため協働することに留意した。


    その他の事項及び将来の会合

  20.  第14回ASEM財務大臣会合は、2020年に開催される。大臣達は大臣代理に対し、次回の会合のアジェンダについて作業を行うよう要請した。本会合の結論は、2018年10月18日、19日にベルギー・ブラッセルで開催される、第12回ASEM首脳会合への財務大臣のインプットとなる。