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第25回APEC財務大臣会合 大臣共同声明(仮訳)(2018年10月17日 於:パプアニューギニア・ポートモレスビー)

  1. 我々、APECエコノミーの財務大臣は、2018年10月17日にパプアニューギニア・ポートモレスビーで、パプアニューギニア副首相兼財務長官のチャールズ・エーベル議長の下、第25回会合を開催した。

世界経済および地域経済
  1. 我々は、2018年のAPECのテーマである「包摂的な機会の活用、デジタル未来の受容」を支持し、直面する経済及び金融市場の見通しについて議論し、適切な政策行動に関する見解を共有した。

  2. 2017年10月の財務大臣会合以降、世界経済の成長は引き続き強固である。しかしながら、成長の均衡は弱まりつつあり、下方リスクは過去6ヶ月で上昇している。世界経済の成長に対する下方リスクには、貿易及び地政学上の緊張の高まり、金融上の脆弱性の増加、より逼迫した財政状況の下で債務が高水準かつ上昇する状況、グローバル・インバランス、格差及び構造的に弱い成長が含まれる。

  3. 我々は、全てのエコノミーの利益のため、現在の経済成長を拡大・持続するとともに中期的な成長見通しを引き上げるため、金融及び経済の停滞に対処する強靭性を構築しつつ、生産性を高め包摂的な成長のための潜在力を強固にする政策や改革を推し進めるべきことを認識する。構造改革はAPECの成長目標を達成するために重要な役割を果たす。

  4. 我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長を達成するため、金融、財政及び構造政策のあらゆる政策手段を、可能な限り個別にまた総合的に用いることをコミットする。財政政策は、経済及び金融の強靭性を高め、公的債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、機動的に実施し、成長に配慮し、質の高い投資と包摂性を優先したものであるべきである。金融政策は、引き続き中央銀行のマンデートと整合的に経済活動を支え、物価の安定を確保すべきである。強固なファンダメンタルズや健全な政策、強靭な国際通貨システムは、為替レートの安定に不可欠であり、強固で持続可能な成長や投資に貢献する。柔軟な為替レートは、場合によっては、ショックを吸収するものになりうる。我々はまた、為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する。我々は、通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。

インフラ開発と資金調達の加速
  1. インフラは、生産性を向上させ、連結性や競争力を強化し、雇用を創出し、包摂的な成長を強固なものとするために重要である。グローバルインフラハブ(GIH)の試算によれば、アジア太平洋地域は2020年から2025年の間に年平均2.1兆ドルの投資需要が見込まれ、大きなインフラ資金不足に直面する。この膨大で増加するインフラ投資需要には、投資の呼び込みを可能とする環境の整備、”バンカブルな”インフラ案件のパイプラインの創出及び長期の機関投資家の資本を惹きつけることができる金融ストラクチャーの構築を含め、利用可能な長期的資金源を多様化し民間セクターの関与を促進することによって対応できる。我々は、質の高いインフラ投資の重要性を強調し、能力構築プログラムがエコノミーのプロジェクト評価プロセス、規制並びに調達環境、プロジェクト準備、及び資金調達能力を改善することを奨励する。

  2. 我々は、質の高いインフラの計画、資金調達及び実行に関する、エコノミーの経験やグッドプラクティスを共有するために2018年3月に開催されたインフラ開発と資金調達の加速に関するセミナーを歓迎する。我々はまた、APECエコノミーにおけるインフラ資金調達に対する選定された効果的なアプローチに関するAPEC/OECDパッケージを歓迎する。

  3. 我々は、インフラ開発の横断的な性格を認識し、APEC財務高級実務者会合(SFOM)と経済委員会(EC)によって作成された2018年APEC経済政策レポート(AEPR)「構造改革とインフラ」を歓迎する。このレポートは、構造的な政策のメニューに焦点を当て、メンバー・エコノミーに対し、効率的で長期的な計画プロセスの構築、民間セクターの準備や資金調達を促進する制度整備の確保、適正評価の実施、及び質の高いインフラを促進する意思決定に強靭性を組み入れることを奨励する。

  4. インフラ開発と資金調達を加速するため、我々は、メンバー・エコノミーが、インフラの計画、評価及び実施を改善するための制度と実施体制を強化する政策アプローチを採用し、よく準備され投資適格であるインフラ案件を増加させるよう求める。コミュニティの期待と開発ニーズに対応するため、我々は、グッドプラクティスに沿い、案件の透明性を促進し、質と量を兼ね備えた案件の情報へのタイムリーなアクセスを確保し、潜在的な投資家への機会を増やすためのアプローチを奨励する。我々は、インフラへの資金調達ニーズに対応する取組みが持続可能な資金調達事例と整合的になることを確保するための最善の方法について考慮する。

金融包摂の促進
  1. 金融包摂は、包摂的な成長と開発の根本的な構成要素である。金融包摂は、個人やビジネスが、彼らの需要を充たす有用で手頃な金融商品やサービスにアクセスすることを可能にし、貧困の削減、生産的な資産の蓄積及び繁栄の共有を促進する。金融包摂はまた、市民生活を脅かしうる衝撃的な出来事に対する彼らの強靭性を高める。我々エコノミーのニーズや優先事項は、性格及び程度において異なるが、我々は、アジア太平洋地域において普遍的な金融アクセスと利用を達成することの重要性を認識する。

  2. 我々は、2018年6月のAPEC金融包摂セミナー「金融能力、教育及び技術」の開催を歓迎する。このセミナーは、金融リテラシーと金融技術革新による金融包摂の促進に関するエコノミーの経験やグッドプラクティスを共有する重要な場を提供した。我々はまた、2018年6月の「APECデジタル金融リテラシーの向上」(パプアニューギニアに対するパイロットワークショップ)の開催を歓迎する。このワークショップでは、消費者のデジタル金融リテラシーと認識の向上に焦点が当てられた。

  3. 我々は、OECD/INFE中間報告書「APECエコノミーにおける金融教育」に留意し、2019年の最終報告書を期待する。我々はまた、APECエコノミーにおける金融包摂の促進のための能力構築パッケージに関する財務高級実務者会合(SFOM)の作業の進捗に留意し、2019年における作業の完了、この重要議題に関する財務大臣会合プロセス(FMP)の作業の継続、及び「経済、金融及び社会的包摂性を促進するAPEC行動アジェンダ」の進展に資することを期待する。

  4. 我々は、金融包摂の促進のため、多くのメンバー・エコノミーが国内戦略を作成・実行し、例えば「マヤ宣言」や2015年世銀IMF春会合におけるコミットメントである「万人のための資金アクセス2020」といった多国間でのコミットメントを行っていることに留意する。我々は、メンバー・エコノミーが金融包摂の促進に向けた実用的な手法を取ることを歓迎し、彼らの国内戦略やコミットメントの十分で効果的な実行を奨励する。

国際的な税の協力と透明性の促進
  1. 「BEPS包摂的枠組み」を通じたOECD/G20のBEPSパッケージのミニマム・スタンダード及びその他関連するBEPS行動の実施と、課税を目的として国際的に合意された透明性の基準及び税の情報交換(EOI)の実施は、我々エコノミーにとっての優先課題として残っている。我々は、2018年7月の「BEPSと自動的情報交換に関する優先課題を進展させるためのAPEC技術セミナー」の開催、「税行政に係る知見共有プラットフォームにおけるAPEC-BEPSコミュニティ」の立ち上げ、「税の透明性と情報交換に関するグローバルフォーラム 」との継続的な関与、OECDとG20 の下で取り組まれているデジタル化に伴う課税上の課題に関する議論等において相互の支援を促進する2018年の作業を歓迎する。これらの作業は2017年の財務大臣会合プロセス(FMP)の成果の上に成り立っており、我々は、2019年のチリ議長下での更なる協力を歓迎する。

  2. 我々は、国際課税協力の重要性を認識しつつ、全てのエコノミーが、公正、持続可能、かつ、現代的な国際課税制度に向けた作業を継続し、APECが、課税制度の明確性、透明性及び公平性を高める努力を支援し続けることを奨励する。

セブ行動計画の実施
  1. セブ行動計画(CAP)は、金融統合が進み透明で強靭で連結したAPECコミュニティの建設に向けた、自発的かつ非拘束的な10年間のロードマップを財務大臣会合プロセス(FMP)に提示している。

  2. 我々は、メンバー・エコノミーがセブ行動計画(CAP)第一段階における取組を提出し、エコノミー内の状況に適切に応じて取組の実施に関する進捗を報告する努力を歓迎する。我々はまた、メンバー・エコノミーがCAP第二段階における追加の取組を選定することを歓迎し、CAPが効果的に実施され、政策決定者にとって価値のある参考であり続けることを確保するため、将来的な見直しその他の努力を奨励する。

  3. 我々は、セブ行動計画(CAP)実施支援におけるAPECビジネス諮問委員会(ABAC)の積極的な関与を認識する。我々は、金融市場インフラ及びマイクロ保険に関するABACのロードマップを歓迎し、関係当局が適切にロードマップを活用する上で、ABAC及びアジア太平洋金融フォーラム(APFF)と協働することを奨励する。我々は、金融技術革新及びデジタル化、国境を越えたデータのエコシステム及び個人の自己破産制度の改革に関する地域的な官民連携を促進するABACとAPFFの作業に留意し、来年のこの作業の進捗を期待する。我々はまた、2018年のアジア太平洋金融包摂フォーラム及び2018年のAPEC経済政策レポート(AEPR)に付随する構造改革とデジタルインフラに関するABACのレポートの貢献に留意する。

災害リスクファイナンス・保険
  1. 我々は、アジア太平洋地域において増大する自然災害リスクに対処するため強固な金融リスク管理を構築する重要性を認識し、メンバー・エコノミーが自然災害によって引き起こされる経済・金融リスクに対処することを助けるため、技術的な面での先導的な役割を果たす世界銀行グループ、OECD及びその他の国際機関からの支援を受けて行われた、2018年の自然災害リスクファイナンス・ワーキンググループの作業を歓迎する。

  2. 我々は、2018年6月の「自然災害リスクに対する公的資産の金融リスク管理に関するAPECワークショップ」の開催を歓迎する。我々はまた、メンバー・エコノミーとの協働のもと世界銀行グループによって作成された「公的資産のための大規模自然災害保険プログラム-運用枠組み」に関する報告、及び世界銀行グループとOECDによる「公的資金枠組みにおける災害関連偶発債務管理に関する政策的教訓」の報告における災害関連偶発債務管理に対するエコノミーのアプローチに関する情報と分析を歓迎する。我々は、自然災害リスクファイナンス(DRFI)、特に自然災害に対する質の高い強靭なインフラの金融リスクに関して、協力や知見の交換の継続を期待する。

その他
  1. 我々は、財務大臣会合プロセス(FMP)の近代化戦略と整合的な形で、APECの作業の一貫性を促進するとともにFMPと高級実務者会合(SOM)プロセスの相互支援を確保するために重要である、財務高級実務者会合(SFOM)と経済委員会(EC)の協力の強化を歓迎する。我々は、明確で相互に恩恵をもたらす目標がある場合や効率的な実施が可能である場合において更なる協力を奨励する。また、我々は、SFOMとECが構造改革とデジタル経済に関する2019年のAPEC経済政策レポート(AEPR)における協働をさらに議論することを奨励する。

  2. 我々は、2018年のAPECビジネス諮問委員会(ABAC)の貢献を評価するとともに、引き続き2019年も民間セクターの関与を奨励する。我々は、今年の財務大臣会合プロセス(FMP)に対するADB、開発協調財団(FDC)、グローバルインフラハブ(GIH)、IMF、OECD、国連資本開発基金(UNCDF)、世界銀行グループ、APEC政策サポートユニットの支援に感謝するとともに、メンバー・エコノミーが強固で、持続可能で、均衡のとれた包摂的な成長を実現することを支援するため、これら及び他の機関が技術支援と能力構築支援を継続することを奨励する。

  3. 我々は、本年のAPEC財務大臣会合プロセスのホストを務めたパプアニューギニアに感謝する。我々は2019年10月、チリにおける第26回会合で再会する。