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令和3年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(令和4年2月16日)詳細

1.不正薬物

不正薬物全体の摘発件数は833件(前年比12%増)、押収量は約1,138kg(同41%減)となった。押収量は、6年連続で1トンを超え、過去9番目を記録し、深刻な状況となっている。

不正薬物の摘発件数と押収量の推移

グラフ不正薬物の摘発件数と押収量の推移)

(注)その他とは、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう。令和3年の数値は速報値。

令和元年は、平成31年1月から令和元年12月を示す。以下同じ。

(1)覚醒剤

  • 覚醒剤の摘発件数は、95件(前年比32%増)、押収量は約912kg(同12%増)と共に増加した。

  • 押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約3,040万回分、末端価格にして約547億円に相当する。

  • 覚醒剤の密輸形態別摘発実績では、航空貨物、海上貨物及び国際郵便物の摘発件数及び押収量をみると、前年並み又は前年より増加し、航空貨物の摘発件数は2.5倍となった。

    一方、航空機旅客をみると、摘発件数・押収量共に減少し、船員等では摘発はなかった。

覚醒剤の密輸形態別の摘発件数・押収量の推移

グラフ(覚醒剤の密輸形態別の摘発件数・押収量の推移)

(注)航空機旅客には、航空機乗組員を含み、船員等には、洋上取引、船舶旅客を含む。

航空貨物には、航空での別送品を含み、海上貨物には、海上での別送品を含む。

  • 覚醒剤の密輸仕出地別摘発実績では、件数の割合をみるとアジアが31.6%(30件)と最多、次いで欧州25.3%(24件)、北米20.0%(19件)となった。

    押収量の割合をみると、アジア58.2%(約531kg)、中南米21.0%(約192kg)と2地域で約8割を占めた。

覚醒剤・仕出地域別件数

円グラフ(覚醒剤・仕出地域別件数)

覚醒剤・仕出地域別押収量

円グラフ(覚醒剤・仕出地域別件数)

[事例1]

トルコから到着した海上貨物(炭)に隠匿された覚醒剤相当量を摘発した。

(令和3年11月・東京税関)

写真(トルコから到着した海上貨物)炭に隠匿された覚醒剤

[事例2]

アメリカから到着した航空貨物(石膏ボード)に隠匿された覚醒剤約7kgを摘発した。

(令和3年11月・東京税関)

写真(アメリカから到着した航空貨物(石膏ボード)に隠匿された覚醒剤)写真(アメリカから到着した航空貨物(石膏ボード)に隠匿された覚醒剤(拡大))

[事例3]

メキシコ等から到着した航空貨物(粘土、ゴムローラー)に隠匿された覚醒剤計約11kgを摘発した。

(令和3年4月、5月・東京税関)

写真(メキシコ等から到着した航空貨物(粘土、ゴムローラー)に隠匿された覚醒剤)写真(粘土に隠匿された覚醒剤)

[事例4]

カナダ等から到着した航空貨物、国際郵便物(浄水器、茶袋等)に隠匿された覚醒剤計約8.7kg、大麻約430gを摘発した。

(令和3年6月・大阪税関)

写真(浄水器に隠匿された覚醒剤)写真(茶袋等に隠匿された大麻)


(2)大麻

  • 大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は199件(前年比2%減)と減少した一方、押収量は約153kg(同22%増)と増加した。

  • 大麻草の押収量は約22kg(同56%減)と減少したが、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。)の押収量は約132kg(同72%増)と増加した。

  • 仕出地別の摘発件数では、アメリカが67.3%、カナダが3.5%あり、北米で約7割と大宗を占めた。

摘発件数と押収量の推移

グラフ(摘発件数と押収量の推移)

密輸仕出地別の摘発件数(R3)

グラフ(密輸仕出地別の摘発件数)


[事例5]

アメリカから到着した航空貨物(シャンプーボトル)に隠匿された大麻リキッド約1.3kgを摘発した。

(令和3年5月・函館税関)

写真(アメリカ来大麻密輸入事件)アメリカから到着した航空貨物(シャンプーボトル)に隠匿された大麻リキッド

[事例6]

アメリカから到着した国際郵便物に隠匿された大麻リキッド約3gを摘発した。

(令和3年9月・門司税関)

写真(アメリカから到着した国際郵便物に隠匿された大麻リキッド約3g)


(3)麻薬

  • 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は230件(前年比38%増)、押収量は約13万錠(同45%増)と増加し、重量は約51kg(同94%減)と減少した。

  • MDMA等の摘発件数は81件(同9%増)、押収量は錠剤型が約12万7千錠(同42%増)、その他の形状が約27kg(同約16.2倍)と摘発件数・押収量共に増加した。

  • コカインの摘発件数は34件(同26%増)と増加したものの、押収量は約14kg(同98%減)と減少した。

    *令和2年は、コカインで過去最高の押収量となる約722kgの大口密輸事件の摘発があった。

[事例7]

フランスから到着した国際郵便物(エキスパンダー)に隠匿されたMDMA約4,000錠を摘発した。

(令和3年2月・東京税関)

写真(フランスから到着した国際郵便物(エキスパンダー))写真(隠匿されたMDMA約4,000錠)

[事例8]

オランダから到着した国際郵便物(絵画)に隠匿されたLSD約20枚(10,000区分)を摘発した。

(令和3年8月・大阪税関)

写真(絵画)写真(絵画に隠匿されたLSD)


(4)指定薬物

  • 指定薬物の摘発件数は302件(前年比1%増)と増加し、押収量は約17kg(同90%減)と減少した。

    *令和2年は、指定薬物である一酸化二窒素を含有するガス(シバガス)約156kgの大量摘発があった。

[事例9]

ベトナムから到着した国際郵便物に隠匿されたADB-BUTINACA 300本を摘発した。

(令和3年6月・長崎税関等)

写真(ベトナムから到着した国際郵便物)写真(隠匿されたADB-BUTINACA)

[事例10]

ベトナムから到着した国際郵便物に隠匿された亜硝酸イソブチル等約315g(52本)を摘発した。

(令和3年4月・神戸税関等)

写真(ベトナムから到着した国際郵便物に隠匿された亜硝酸イソブチル等)


2.知的財産侵害物品等

(1)知的財産侵害物品

  • 商標権を侵害するケーブルや衣類等の知的財産侵害物品の密輸事件を11件告発した。

[事例1商標権を侵害するケーブルの密輸入事件

中国から航空貨物により商標権を侵害する充電用ケーブル1,000点を密輸入しようとした日本人1名を関税法違反で告発した。

(令和3年11月・函館税関)

写真(商標権を侵害するケーブル)


[事例2商標権を侵害する衣類の密輸入事件

中国から航空貨物により商標権を侵害する衣類26組を密輸入しようとしたフィリピン人1名を関税法違反で告発した。

(令和3年6月・東京税関)

写真(商標権を侵害する衣類の密輸入事件)写真(商標権を侵害する衣類)


(2)ワシントン条約該当物品

  • アメリカアリゲーターの骨格標本等の密輸事件を2件告発した。

[事例3アメリカアリゲーターの骨格標本等の密輸入事件

アメリカから航空貨物によりアメリカアリゲーターの骨格標本等を密輸入した法人及び日本人1名を関税法違反で告発した。

(令和3年12月・東京税関)

写真(アメリカアリゲーターの骨格標本)


(3)輸出事案

  • 超大型サーボや水中探知装置等の不正輸出事件を4件告発した。

[事例4超大型サーボの不正輸出事件

中国に向けて航空機により超大型サーボ150個を不正に輸出しようとした法人及び日本人1名を関税法違反で告発した。

(令和3年7月・東京税関)

*受信した電気信号を機械的な動きに変換するための装置で、ラジコン自動車等に使用される。

[事例5水中探知装置の不正輸出事件

ペルー及びチリに向けて船舶により水中探知装置一式を不正に輸出した法人及び日本人3名を関税法違反で告発した。

(令和3年12月・神戸税関)

(4)その他

  • 拳銃部品の密輸事件を告発した。

[事例6拳銃部品の密輸入事件

アメリカから国際郵便物により拳銃部品1点を密輸入しようとした日本人1名を関税法違反で告発した。

(令和3年9月・横浜税関)

写真(拳銃)


3.金地金

  • 金地金密輸入事件の摘発件数は5件(前年比90%減)、押収量は約27kg(同82%減)と共に減少した。

    *1金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。

【過去10年間の摘発状況】
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3
摘発件数(件) 18 12 119 465 811 1,347 1,086 61 51 5
押収量(kg) 79 133 449 2,032 2,802 6,277 2,054 319 150 27

(注)令和3年の数値は速報値。

【摘発件数と押収量の推移(四半期)】

摘発件数と押収量の推移(四半期)