輸入差止件数は、30,305件(前年比26.6%増)で、3年ぶりの3万件超えとなりました。
輸入差止点数は、589,219点(前年比42.2%減)でした。
1日平均で、82件、1,600点以上の知的財産侵害物品の輸入を差し止めていることになります。
輸入差止価額は、推計で約136億円に上ります。
(注1)「輸入差止件数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品が含まれていた輸入申告又は郵便物の数です。
「輸入差止点数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品の数です。
例えば、1件の輸入申告又は郵便物に、20点の知的財産侵害物品が含まれていた場合は、「1件20点」として計上しています。
(注2)「輸入差止価額」は、正規品であった場合の推計価額です。
知的財産侵害物品の輸入差止実績の推移

(注) 令和元年は、平成31年1月から令和元年12月を示します。
○仕出国(地域)別輸入差止実績
輸入差止件数は、中国を仕出しとするものが25,828件(構成比85.2%、前年比30.4%増)で、引き続き高水準にあります。次いでベトナムが1,374件(同4.5%、同152.1%増)、シンガポールが845件(同2.8%、同42.7%増)、フィリピンが635件(同2.1%、同8.1%減)でした
輸入差止点数は、中国を仕出しとするものが410,405点(構成比69.7%、前年比31.1%減)、次いで、香港が58,157点(同9.9%、同3.2%減)、韓国が45,994点(同7.8%、同64.7%減)、ベトナムが28,621点(同4.9%、同277.7%増)でした。
件数、点数ともに中国を仕出しとするものの構成比が依然として高くなっています。
仕出国(地域)別輸入差止件数構成比の推移

(注1)構成比の合計は、四捨五入の関係で100%にならない場合があります。
(注2)ベトナム及びシンガポールを仕出しとするものについて0.5%未満の年は「その他」に含めます。
○知的財産別輸入差止実績
輸入差止件数は、偽ブランド品などの商標権侵害物品が29,483件(構成比96.7%、前年比27.2%増)で、引き続き全体の大半を占め、次いで偽キャラクターグッズなどの著作権侵害物品が576件(同1.9%、同14.1%増)でした。
輸入差止点数についても、商標権侵害物品が416,599点(構成比70.7%、前年比52.0%減)で、引き続き大半を占める傾向は変わらないものの、スマートフォンのグリップ・スタンドなどの特許権侵害物品が40,523点(同6.9%、同110.9%増)となり、大幅に増加しました。
知的財産別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)

知的財産別輸入差止実績構成比の推移(点数ベース)

(注1) 構成比の合計は、四捨五入の関係で100%にならない場合があります。
(注2)各権利で保護されているものは、例えば以下のものです。
- 商標権:商標法に基づき商標登録された文字、図形等の「ロゴマークやブランド名」
- 著作権:創作されたキャラクターや音楽CD等の「著作物」
- 意匠権:意匠法に基づき意匠登録された物品の形状、模様等の「デザイン」
- 特許権:特許法に基づき特許登録された「発明」
不正競争防止法で輸入が規制されているものは、例えば以下のものです。
- 広く認識されている他人の「商品等表示」との混同を生じさせるもの
- 著名な他人の「商品等表示」を使用するもの
- 他人の商品の形態を模倣するもの
- 「営業秘密」として管理されている秘密情報の不正使用により生じたもの
- 技術的に制限されているプログラムの実行を可能とする装置
(例:ゲーム機器において本来は使用することができない海賊版ソフトを使用できるようにする装置)
税関では、各権利を侵害するもの及び不正競争防止法で規制されているものを輸入してはならない貨物として、取締りを行っています。
○品目別輸入差止実績
輸入差止件数は、財布やハンドバッグなどのバッグ類が9,931件(構成比29.2%、前年比3.0%増)と最も多く、次いで衣類が9,166件(同27.0%、同54.1%増)、時計類が4,057件(同11.9%、同240.1%増)、靴類が1,962件(同5.8%、同1.9%減)でした。
輸入差止点数は、衣類が67,582点(構成比11.5%、前年比38.1%増)と最も多く、次いでイヤホンなどの電気製品が64,728点(同11.0%、同1.8%減)、包装用品などの紙製品が47,461点(同8.1%、同55.2%減)、メモリーカードなどのコンピュータ製品が42,914点(同7.3%、同40.8%増)でした。
品目別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)

品目別輸入差止実績構成比の推移(点数ベース)

(注)構成比の合計は、四捨五入の関係で100%にならない場合があります。
○輸送形態別輸入差止実績
輸入差止件数は、郵便物が大半を占めており、郵便物が28,090件(構成比92.7%、前年比33.2%増)、一般貨物が2,215件(同7.3%、同22.1%減)でした。
輸入差止点数は、郵便物が246,213点(構成比41.8%、前年比36.4%増)、一般貨物が343,006点(同58.2%、同59.1%減)でした。
輸送形態別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)

輸送形態別輸入差止実績構成比の推移(点数ベース)

税関で輸入を差し止めた侵害物品の例
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イヤホン(意匠権) ![]() | スマートフォンケース(商標権) ![]() ![]() |
ゲーム機用操作器(特許権) ![]() | バッグ(商標権) ![]() |
パーカー(商標権) ![]() | マイクロSDカード(商標権) ![]() |
美容用ローラー(意匠権) ![]() | スマートフォン等のグリップ・スタンド(特許権) ![]() ![]() |
税関で輸入を差し止めた侵害物品の例(つづき)
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腕時計(商標権) ![]() | DVD(著作権) ![]() ![]() ![]() |
つけまつげ用ピンセット(意匠権) ![]() | ヨガリング(特許権) ![]() |
自動車用ホイールナット(商標権) ![]() ![]() | キーケース(商標権) ![]() |
帽子(商標権) ![]() | ストリーミング配信用データ通信機(意匠権) ![]() |
税関で輸入を差し止めた侵害物品の例(つづき)
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マスク(商標権) ![]() ![]() ![]() | 医薬品(商標権) ![]() ![]() ![]() | |
ヘアアイロン(商標権) ![]() ![]() | 子守帯(商標権) ![]() ![]() | |
折りたたみ椅子(特許権) ![]() | トレーニング機器(商標権) ![]() ![]() | |
コードレスクリーナーのバッテリー(意匠権) ![]() | バイク用キャブレター(商標権) ![]() ![]() |
東京オリンピック・パラリンピック関連の侵害物品の例
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レプリカメダル ![]() | ピンバッジ ![]() | |
Tシャツ ![]() | 記念メダル ![]() ![]() | |
おもちゃのお札 ![]() | キーホルダー ![]() ![]() | |
ストラップ ![]() | トスコイン ![]() |
告発事例
事例1著作権を侵害する「鬼滅の刃」DVDの密輸入事犯を告発。
横浜税関は、茨城県警察と共同調査を実施し、マレーシアから著作権を侵害する「鬼滅の刃」の映像が記録されたDVD3枚組、合計200箱(600枚)を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反で告発しました。(令和2年12月)


事例2商標権を侵害するネックウォーマー及びマスク等の密輸入事犯を告発。
函館税関は、岩手県警察と共同調査を実施し、中国から商標権を侵害するネックウォーマー60点を不正に輸入し、マスク等247点を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反で告発しました。(令和2年12月)





事例3商標権を侵害するメダル等の密輸入事犯を告発。
東京税関は、警視庁及び山形県警察と共同調査を実施し、中国から商標権を侵害する東京オリンピックメダル等56点を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反で告発しました。(令和2年8月)



事例4商標権を侵害する衣類の密輸入事犯を告発。
東京税関は、新潟県警察と共同調査を実施し、中国から商標権を侵害する衣類250点を密輸入しようとしたフィリピン人女性を関税法違反で告発しました。(令和2年11月)


事例5商標権を侵害する帽子等の密輸入事犯を告発。
名古屋税関は、愛知県警察と共同調査を実施し、中国から商標権を侵害する帽子等27点を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反で告発しました。(令和2年3月)





差止回避工作事例
税関による差止めを回避するためと思われる工作を施した事例も見受けられます。
事例1ゲーム機用ACアダプターの標章部分をシールで覆い隠匿していた事例。
![]() (ACアダプターの全景) | ![]() | ![]() (貼り付けられていたシール) |
![]() | ||
![]() | ![]() | ![]() (シールを剥がしたところ標章を発見) |
事例2他の物品(置き時計)の中に商標権を侵害する物品(腕時計)を隠匿していた事例。
![]() (開披した状況) | ![]() | ![]() (収納されていた置き時計) |
![]() | ||
![]() (置き時計を開けた状況) | ![]() | ![]() ![]() (商標権を侵害する腕時計を発見) |
事例3他の物品(掃除機)の中に商標権を侵害する物品(腕時計)を隠匿していた事例。
![]() (開披した状況) | ![]() | ![]() ![]() (掃除機の全景) |
![]() | ||
![]() (蓋を開けた状況) | ![]() | ![]() (包装袋の中から商標権を侵害する腕時計を発見) |
事例4ズボン表地を裏返して標章部分を隠匿していた事例。
![]() ![]() | ![]() | ![]() |
![]() ![]() (ズボンを広げたところ黒色無地) | ![]() | ![]() (生地を裏返したところ標章を発見) |
(参考)差止申立ての状況
令和2年末時点において税関が受理している輸入差止申立ての件数は699件で、前年に比べて0.6%増加しました。
知的財産別では、商標権の申立てが421件(構成比60.2%、前年比1.4%増)、次いで意匠権の申立てが126件(同18.0%、同5.9%増)、著作権の申立てが90件(同12.9%、同6.2%減)、著作隣接権の申立てが33件(同4.7%、同21.4%減)となっています。
輸出差止申立ての件数は、商標権9件、意匠権1件となっています。
(注)知的財産の権利者は、自己の権利を侵害すると認める貨物が輸出又は輸入されようとする場合には、当該貨物について侵害物品かどうかを認定する手続きを執るべきことを、税関長に対し申し立てることができます。
(参考)税関が受理している輸入差止申立ての例(写真は全て真正品)
日本たばこ産業株式会社 エアロゾル生成装置の本体ユニット及びカートリッジ ![]() ![]() | 田中俊孝 気流拡散装置(特許権) ![]() | 横浜ゴム株式会社 自動車用タイヤ(意匠権) ![]() ![]() |
イデア株式会社 ごみ箱(意匠権) ![]() ![]() | メディトレック株式会社 コンタクトレンズ着脱具(意匠権) ![]() ![]() | 株式会社サザビーリーグ トートバッグ (商標権) ![]() ![]() |
株式会社宮本製作所 洗濯用洗浄補助用品(商標権) ![]() | 株式会社TASAKI 指輪(商標権) ![]() | ソフトバンク株式会社 モバイルルーター端末(商標権) ![]() ![]() |
日本テレビ放送網株式会社 DVD(著作権) ![]() | 俣野温子 タオル(著作権) ![]() ![]() | 月島環境エンジニアリング株式会社 充填物(不正競争防止法) ![]() |