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第3回国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会 議事要旨

第3回国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会
[議事要旨]
 
 
1 . 日時 平成23年10月28日(金)9:30~11:30  
    
. 場所 財務省第3特別会議室(本庁舎4階) 
    
. 出席者 
  

[委員]

 井之上喬 江川雅子 大貫康雄 緒方瑞穂 西久保浩二 畠中誠二郎

 (敬称略)

 
    

[財務省]

 藤田幸久財務副大臣、吉田泉財務大臣政務官、三谷光男財務大臣政務官、

 田中理財局長ほか

 
 
概要 
    
  ○   財務省事務局より、資料に沿って説明。  
    
  ○   防衛省(人事教育局長、厚生課長、陸上幕僚監部人事部厚生課長)より、資料に沿って、概要以下の通り説明 
  

 

・ 

  自衛隊は、国防と災害派遣のために全国300箇所以上の駐屯地、基地等に26万人を配置。また、部隊の運用のため、全国単位での大規模な異動が必要
 
  

・ 

  平成16年の新潟中越地震は土曜日(勤務時間外)に発生したが、近くにある高田駐屯地では隊員の9割が1時間以内に集合できた。高田駐屯地から宿舎までの距離が近かったため、円滑な動員が可能であった
 
  

・ 

  一部の隊員には基地内の居住を義務付けており、それ以外でも著しく参集が困難な場所への居住を禁じている。そのため、防衛省では、宿舎を基地等の近くに配置することが部隊の円滑な活動に資するという観点から整備を進めている
 
  

・ 

  陸上自衛隊練馬駐屯地では、南関東地域で震度6弱以上の地震が発生した際には、全員が参集できる。市ケ谷では、本省の内部部局をはじめ、統合幕僚監部等の9割が参集できる
 
    
  ○   警察庁(官房長、会計課長)より、資料に沿って、概要以下の通り説明 
  

 

・ 

  警察庁は、大規模災害、テロ事件等様々な事象への対応に当たり昼夜を問わず、緊急の対応を求められる。緊急事態には、直ちに体制を確立し、都道府県警察に対する指揮や広域調整、官邸・関係省庁との連絡・調整、国民への情報発信等を行う必要がある
 
  

・ 

  東日本大震災では、警察庁が各都道府県警察の広域緊急援助隊等を調整・指示した。警察庁がきちんと情報を収集して、各都道府県警察を指揮する体制が迅速に築けるか否かということが、現場における被災者の生死を分けることにもつながりかねないことから、初動の体制を確保することが非常に重要
 
  

・ 

  都心の宿舎を壊して、郊外の宿舎に移したことで、その面において警察の危機管理能力は低下してきている。仮に公務員宿舎を廃止して、個人で住居を用意しろということとなると、今回の震災のような場合には、全国の警察が迅速に対応することに影響を及ぼす
 
  

・ 

  今回の震災を踏まえると、都心部において短期間で参集可能な宿舎の必要性がさらに増大したのではないか
 
  

・ 

  警察庁では、現場に精通した都道府県警察からの出向者が中核的な役割を担っているが、この人たちに都心部において個人の負担により住居を確保させることは困難であるため、宿舎が必要
 
    
  ○

   質疑応答における委員からの発言の概要は以下のとおり

  (○…委員等、●…ヒアリング先省庁)

 
   

  防衛省は「営内居住を義務づけ」とか「著しく緊急参集困難な場所への居住を禁じる」とあるが、警察庁はそういう体制をとっていない。住宅問題というよりも、そういう体制をとるかどうかの根本的な問題の方が大きいのではないか
 
  

 

  「営内居住」の制度をとっているのは日本だけではない。諸外国の軍事組織もおそらく同じような体制を維持していると思われ、そこが警察庁と防衛省との違いとなっている

 
  

 

  危機管理用、緊急参集用のための宿舎が必要というのはわかるが、それ以外の福利厚生用の宿舎は、削減できるのではないか
 
  

 

  警察庁に貸与されている省庁別宿舎、合同宿舎については、緊急用、一般福利厚生用という区別はない。東京では、自宅を持たせるよりも有利な通勤圏内になるということが多いため、運用として、公務員住宅には優先的に、危機管理を担当する人間を入れており、結果として公務員住宅に入っている者は大体危機管理対応の者になるという状況
 
  

 

  危機管理対応に当たって、事務や管理部門が増大して、逆に効率が悪くなることはないか。また、直ちに参集する必要がある職員はどのくらいいるのか
 
  

 

  現場の方へ部隊として出るのは国家公務員ではなく、多くの場合、都道府県警察の職員。その全体の調整を行う警察庁の職員の参集が非常に重要

  緊急参集要員の数は、事案によって異なるが、災害、大規模事故、暴力団、誘拐等、それぞれ担当部署ごとに有事の場合の指揮体制をあらかじめ作っており、その人間が出てくる。

 
  

 

  転居を伴う異動の頻度、年数、家族を伴う割合、持ち家取得のタイミングについて伺いたい

 
  

 

  人事異動は階級や年齢によって異なる。たとえば、下士官は幹部自衛官に比べると、人事異動の頻度が低く、比較的、特定の駐屯地に長期間勤務することが多い。幹部自衛官は、大体2年、早い場合で1年、長くて3年の頻度で異動

 家族を持ち、子どもを持った場合、子どもが成長して受験等の時期になると大部分の隊員は2年ごとに転勤するということはなく、どこかに自宅を持ち、本人だけが単身で部隊に勤務し、近傍の宿舎から通勤する場合が多い。

 
  

 

  転居を伴う異動については、防衛省とそれほど変わらず2、3年、早ければ1年。都道府県から警察庁に出向してくる者は、大体が警視・警部クラスで2、3年

 自宅を持つ時期は人によって異なる。

 
    
  ○   国税庁(次長、会計課長、厚生管理官)より、資料に沿って、概要以下の通り説明 
    
  

・   

  国税庁では、毎年職員の3分の1に当たる2万人程度が異動しているが、これは、公務の要請として、全国津々浦々で均一・均質な税務行政を確保するということがある。また、職員にとっても、様々な仕事や勤務先を経験させることで能力を向上させられる。職員の異動割合が高いのは、納税者との癒着を防止する観点から同一の税務署に長期間居させないようにしていることもある

 
  

・ 

  毎年1割程度の職員が転居を伴う異動となっている。職員の負担をなるべく少なくするため、宿舎を確保することが必要
 
  

・ 

  本庁に各国税局から人材を確保しているため、本庁職員の約4割は東京国税局、関東信越国税局以外の者となっている。各国税局単位でも、勤務官署が広範に散在しており、転居を伴う異動とならざるを得ない
 
  

・ 

  今回の震災は確定申告時に起きたため、その後の計画停電より出勤できない職員が生じ、確定申告会場で混乱を招くことがあった。これを踏まえ、緊急時に職員を召集する体制の整備に努めている
 
    
  ○ 国土交通省(官房長、福利厚生課長、海上保安庁装備技術部施設補給課長)より、資料に沿って、概要以下の通り説明。 
   

・ 

  国土交通省は、離島や山間地を含め、全国に多くの現場官署を抱え、居住地域を異にする異動も多いことから住居安定化を図りづらく、職務の能率的な遂行の確保と円滑な人事管理のため、官署の所在する各地域において宿舎を確保しておくことが必要

 
  

・ 

  地震、台風等の自然災害、事故等の非常時に緊急参集する必要があることから、緊急参集職員用として官署近隣に宿舎を確保しておくことが必要
 
  

・ 

  航空官署、海上保安庁官署等の交替制勤務官署及びダム管理所等においては、公共交通機関を利用し難い場合もあることから、官署近隣に宿舎を確保しておくことが必要
 
  

・ 

  羽田空港が24時間国際拠点空港とされ、これから発着回数を増やしていくが、緊急事態が生じた場合に速やかに対応するためにも、近隣にきちんとした宿舎を確保しておくことが必要

 
  

・ 

  全国から人材を確保する観点から新規採用職員に対する宿舎を確保しておくことが必要

 
    
  ○

  質疑応答における委員等からの発言の概要は以下のとおり。

 (○…委員等、●…ヒアリング先省庁)

 
   

  メガバンクなどでも転居を伴う異動を要しないブロック採用の動きがある。癒着を防止したり、色々な職務を経験するというのは非常に重要な観点だと理解しているが、もう少し狭いブロックを設定して、(宿舎の)縮小の可能性は考えられないか

 
   

  1つの経済圏の中の税務署だけで異動させた場合、納税者は税務署ごとに分かれているが、例えば税理士はその経済圏の中で幅広く取引先を持っており、同じ経済圏の中だけでの異動では弊害も考えられるため、必要最小限に留めてはいるが、1割程度は転居を伴う異動になる

 
   

  宿舎の必要性について国税庁側の説明を聞いていると、癒着防止は国民も理解するかもしれないが、新規採用や転勤は国税庁内部で解決することも可能なものであり、宿舎の必要性が高いとは言えないのではないか。独身者や単身者については、宿舎は全てなくして、借上げに移っていくだけでも何千戸の宿舎の削減につながるのではないか

 
   

  癒着の防止のほかにも、524の税務署で納税者の方々にきちんとしたサービスを、限られた定員の中で提供していかなければならない。全国各地で均質な行政水準を維持するためには、優秀な職員を各地に配置し、何年後かにはまた入れ替えなければならないということを理解頂きたい

 
   

  国土交通省のように、建設省と運輸省が統合された省庁については、各々の省庁が保有していた宿舎を統合することにより、入居率を高めたり、不要な宿舎を廃止することができるのではないか

 
   

  合同宿舎については、旧建設省の業務に携わっている人間であれ、旧運輸省の業務に携わっている人間であれ入居できる。省庁別の宿舎についても、航空関係の宿舎、整備局の宿舎にかかわらず、現場で運用している

 
    
  ○ 法務省(官房長、施設課長)より、資料に沿って、概要以下の通り説明  
   

・ 

  全国に多数の職員を配置する必要があり、全体で5万人を全国に貼り付けているため、頻繁に転勤が行われる
 
  

・ 

  治安を司っている、ということで緊急事態に対応することが急遽発生することがある
 
  

・ 

 検察官の転居を伴う転勤率は、各省庁の職員の平均転勤率の約3倍となっている
 
  

・ 

  当省の幹部職員のうち97%の職員は全国の検察庁に勤務する検察官であり、他省庁と事情が異なる
 
    
  ○ 人事院(職員福祉局長、職員福祉課長)より、資料に沿って、概要以下の通り説明  
   

・ 

  職員が職務に専念できる定期的・広域的な転勤に対応しうる住居の確保といった観点から、公務員宿舎は必要である
 
  

・ 

  転居を伴う転勤率は11.3%であり、民間企業の転勤率である2.4%より約5倍高い
 
  

・ 

  公権力行使、許認可等に携わる省庁については権限行使の対象先との関係を定期的に遮断し、情実の発生を防止するための転勤が必要
 
  

・ 

  負担を伴う転勤については、人事院としても極力減らすべきと考えるが、どうしても一定割合の転勤は不可避。公務員宿舎は公務員宿舎法に基づいて、国の事業の円滑な運営のために業務の必要性に応じて設けられ、また、借地借家法の適用を受けず、退職すれば退去せざるをえないという点では、民間企業の社宅と同様の性格
 
  

・ 

  各省に早朝から深夜に及ぶ業務を行う職員が多く、勤務能率や健康保持の観点からも宿舎は必要。本省勤務のうち3割が61時間以上の超勤。80時間以上の超勤は15.8
 
    
  ○

 質疑応答における委員等からの発言の概要は以下のとおり。

 (○…委員等、●…ヒアリング先省庁)

 
   

  最近の若い人は公務員宿舎に入りたがらないというのを聞いたことがあるが、最近の傾向としてそういうことがあるのか

 
   

  現在、実際に新規採用の約半数が公務員宿舎に入居していると承知している

 
   

  現在、政府は公務員制度改革の一環として、公務員に団体交渉権を付与するための法案を国会に提出しているが、公務員宿舎の問題は団体交渉の対象となりうる事項か

 
   

  宿舎法の中に人事院の勧告権限が規定されているように、宿舎に関しては勤務条件の側面がある。また、公務員宿舎の問題が団体交渉の対象になるかどうかについては、使用者が建てるという意味で管理運営事項という面もあり、両方の側面を併せ持つことを踏まえ、今後法案が国会で成立した段階で、検討されるのではないか

 
   

  人事院として宿舎需要を発生させないような、省庁全体をコントロールできるような(異動の)発想はないのか。また、そういった異動の方針を作ることはできないのか。全国異動が必要か、ブロック異動が必要かについて、きめ細かく考えれば、今のような宿舎の戸数が必要かどうかもう少し議論できる

 
   

  宿舎法にもあるが、業務の必要性から宿舎は整備されている。人事院としては、転居を伴う異動を増加させてほしいとは思わないが、情実の排除、権限行使先との遮断、人材養成ということを考えても、いろんな環境で多様な経験を積ませていくというのは大変重要

 
   

  各省庁が業務運営の必要性を主張するが、どこまで言えるものなのか

  公務員の生活設計としては、早い時期に持ち家を取得して、生活ビジョンが早く確定する方がモラルを維持することにもつながるため、40代、50代になって宿舎に入っているよりも、然るべき持ち家を持ってというような、(公務員の)生活設計を支援する必要がある。また、公務員は単身赴任が非常に多く、ワークライフバランスは劣悪であり、考える余地は多分にある。

 
   

  人事院は、民間の状況を見て広く公務員制度を検討すべき。そうしないと、民間とのギャップが広まり、不満が高まる。民間と同じ生活をすることで、民間の事情が分かるようになるのではないか

 
   

  国民との間に乖離がある。癒着を防ぐために、2年に1回転勤させているのであれば、大きく枠組みを変える必要がある

  全従業員に対する社宅の戸数は把握しているのか。公正な数字を出す必要がある。

 ここ最近、社宅について、新規採用者向けの独身寮をなくす企業もあり、ベクトルは削減に向かっている。 

 
   

  全従業員に対する社宅の戸数については、経団連の調査で11、12%となっていると聞いている。人事院では最近のデータはとっていないが、17年に保有割合の調査をしており、それによれば自社保有と借り上げ両方あわせて14%となっている

  公務員は業務の性格上、民間と比べて転勤率は圧倒的に違う。それに応じて必要な宿舎を整備しなければならないというのが、宿舎の考え方。借り上げや自社保有等あるが、全体としてはここ数年間、民間の社宅をもっている企業の比率はあまり変化がない状況。

 
   

  緊急参集の方法等について、防衛省についてはかなりはっきりしていたが、他の省庁ははっきりしていない。緊急参集ということがどういうふうに各省庁ごとになっているのかということ。それから、宿舎の必要性の要件について、類型化されている中身を各省庁ごとにもう一度整理して頂いた資料を出させて頂く必要がある

 転勤ということ自体が業務との関係で宿舎のエッセンシャルな要因になるのかどうかを整理しながらヒアリングをやっていく必要がある。 

 
   

  現場ということは全国に散らばっているから、全国の具体的な状況を見て、きちんと配置することが必要 

 
    
  

 (以上)

 
 

担当及び連絡先

 財務省理財局国有財産企画課企画第2係
 電話 代表 03-3581-4111(内線5718)

 

 

    本議事要旨は、取り急ぎ取りまとめたものであり、今後字句等の修正があり得ることを念のため申し添えます。